【信じようと、信じまいと】『狭い方の道』など全50話【38】ロア – 噂話集 – 嘘のような本当の話

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【信じようと、信じまいと】『狭い方の道』など全50話【38】ロア - 噂話集 - 嘘のような本当の話 信じようと信じまいと
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信じようと、信じまいと【38】全50話  ロア – 噂話

 

中国は青海省のある村を訪れた若い男が、近くの山を一回りするのにいい道は無いかと村人に尋ねた。
村人達は皆遠回りになる広い道を使い、決して狭い方の道は使うなとその男へと何度も注意した。
不思議に思った男は一体何が起こるのかと狭い道を選んだが、特に何事も無く元の村へと戻ってきた。
男が顛末を村人へ話すと、村人は悲しそうな顔で男へ鏡を向けた。そこには年老いた男の姿が写っていた。

 

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ミズーリ州のある町で銀行強盗に失敗した男は、人質を取ったものの路上で警官隊に包囲されてしまった。
男は「さっさと車を用意しろ!」と真上へ拳銃を撃って警官隊を威嚇した後、人質の側頭部へ銃を突き付けた。
数分間の睨み合いの後、男が再び何か言おうとした瞬間、鈍い音と共に男は突然痙攣しその場へ倒れた。
検死の結果、男の頭頂部には弾痕があり、摘出された弾丸はその男の拳銃から発射された物だったという。

 

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古都・京都には多数の社寺建築物があり、その多くが古くからの由緒あるもので、見事な木造建築技術が駆使されている。
とある大学の教授陣が、ある宗派の国宝でもある五重塔を現代の建築技術で解析し、当時の建築技術を調査するプロジェクトを立ち上げた。
柱、梁、外壁、屋根、床、その材質、その構造計算、その他現代の技術を尽くして綿密な調査が何度も行われたが、教授陣が出した答えは
「構造上建立不可能」であった。  その五重塔は今年で築1058年目を迎えるという。

 

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メラネシアのある島には、古くから伝わる非常に興味深い失われた祭に関する話がある。
失われたとは言っても、祭の最後の部分を除けば、今も行われている祭と変わりはない。
最後の部分とは、全行事が終わった後、天から神輿が舞い降りてくると言うものである。
島の女を一人連れ去る銀色で円盤形の“神輿”は、ある年から突然来なくなったという。

 

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数年前、ロシアの国境付近の街で、ある男が中心となり、独立を求める運動が勃発した。
ロシア政府は当初、馬にのって活動を展開する、この運動を然程重要視していなかった。
が、指導者の名前が分かった途端、政府は多数の兵士を派遣し即座に指導者を殺害した。
ロシアとモンゴルの国境付近、チンギス・ハンが率いたこの運動は政府に揉み消された。

 

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第二次大戦中、フィリピン等で日本軍が多数の陸上戦を展開したことは今や常識に近い。
しかし小隊の中に、一切の銃を使わずに相手を恐怖に陥れた隊の存在は知られていない。
その小隊は、背格好や服装までバラバラで、中には服も来ていないもの達もいたという。
凡そ人間に見えない容姿の者ばかりのその小隊は、軍内で「妖怪小隊」と呼ばれていた。

 

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アフリカには未だ未開の地が多い。よって、まだ見つかっていない人種も当然だがいる。
アメリカの人類学者だったボス・ミケルマンは、自身の日記に、ある文章を残している。
内容は、アフリカ某国の奥地で小さい集落を見つけたが、すぐに逃げ帰ったというもの。
日記の最後には「あんな大きな目で、全身銀色の人間は見た事もない」と記されている。

 

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スペインのある調査隊が西インド諸島の沖へ向けて、海底調査の為に航海へと出かけた。
調査を続けてしばらくすると、潜水艦からの映像に、不思議な岩の映像が写し出された。
岩には、所々に白い直線が引かれ、持ち帰った岩から、これが3000年前の物と判明した。
調査隊は、縦4km横1kmのこの岩の存在を「飛行場にしか見えない」と結論づけ黙殺した。

 

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旧ソ連邦、現ウクライナに住む男がいた。彼の人生はとても数奇なものだった。
彼の年齢が奇数のぞろ目の年は良い事が、偶数のぞろ目の年は悪い事が起こった。
気付いたのは44歳、妻を交通事故で亡くした時。だが、彼は11年後の55歳の時に再婚する。
しかし、その結婚生活はおろか彼の人生も11後の1986年で幕を閉じた。ウクライナ、プリピャチに住んでいた男の話だ。

 

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イギリスのある町で、交差点を渡ろうとした男が信号無視の車に撥ねられるという事故が発生した。
撥ねられた男に外傷は無かったが、意識を失っていた為にすぐさま救急車によって病院へと運ばれた。
脳内出血を疑われた男がCTスキャンに掛けられると、なんと男は小脳を欠損している事が発覚した。
検査の結果、先天的に小脳を欠損していたと思われる男は、今も植物状態が続いてるという。

 

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スーダンのある集落では、生活の為に毎日5km先の井戸まで水汲みへ行かなければならない。
ある年に、水汲みへ行く女性達がいつもの半分の時間で戻ってくるという事が何度も起こった。
男達は別の井戸でも出来たのか?と聞いたが、女性達はいつもの井戸から汲んで来たという。
首を傾げる男達に、ある女性が言った。「たまに道が無くなるんだよ、そういう時はすぐ着くんだ」

 

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川崎に住んでいたある男は、仕事帰りに居酒屋で飲んでいくかと手近な店の暖簾をくぐった。
すると男の目に映ったのは店内ではなく、サイレンが鳴り響く古めかしい街並みであった。
男は呆然としていたが、突然「早く!」という声と共に右袖を引っ張られた為に軽くよろめいた。
次の瞬間男は居酒屋の店内に居たが、右袖には何者かの手形がはっきり残っていたという。

 

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キプロスは十字軍遠征時に征服された十字軍国家の一つであるが、そこに奇妙な記録がある。
1155年、ルノー・ド・シャティヨンがキプロスを略奪しようとした際に「悪魔」が出現したというのだ。
悪魔は鉄の如き硬い体を持ち、轟音と共に身を転がして進み、火と鉄を吐き出して人々を殺害した。
敵味方関係無く散々に暴れ回った悪魔は、何の前触れも無く溶けるように消えてしまったという。

 

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「助かっているといいのだが」老人がその事を話すとき、強い後悔の念が顔に刻まれた。
空襲警報が鳴り響く中、彼はスーツに身を包んだ男が棒立ちになっているのを見つけた。
防空壕が何処だか分からないのだ。咄嗟にそう考えた彼は、男を連れて行こうと手を引いた。
しかし次の瞬間、引いていた手応えが無くなり、男の姿も煙の様に消えてしまっていた。

 

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1990年代のある日のこと、古くなった乾パンをおやつ代わりに食べていた伊藤という男は、奇妙なことに気がついた。
彼一人しかいない部屋のはずなのに、半分かじっていた乾パンが少し目を離すと必ずなくなっているのだ。
何事かと考え、彼は半分かじった乾パンをあえて残し、部屋を外から見張ることにした。
すると、自分にそっくりな男が彼が座っていた椅子の後ろに現れ、残していた半分の乾パンを食べていたという。

 

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戦時中、日本軍のある部隊で暗号の代わりに鹿児島弁が使われていたと言う逸話がある。
この部隊には2人鹿児島出身の者がおり、その2人が通信兵に抜擢されたそうだ。
しかし新たに配属された鹿児島出身の兵士がその2人の通信を聞いた時「あれはどんな暗号ですか?」と上官に尋ねたという。
二人は一体どんな言語を使って会話していたのだろうか。

 

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中国では双頭の生物や奇形の子供など、
未処理の化学物質が原因と思われる異常がよく報告されている。
しかしあまり知られていないことだが、
隋の時代の書物にも同じような奇形の存在が多々描かれているそうだ。

 

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タイムトラベルの矛盾点として「親殺しのパラドックス」がよくあげられる。
「自分が生まれる以前に戻って自分の親を殺した場合、現在の自分はどうなるのか?」というのだが、
あるSF作家がこの質問をされた時、「私が存在している事が答えだよ」と話したという。
彼には両親がおらず、孤児院で育てられたそうだ。

 

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Aさんは昭和40年代の深夜放送ブームの頃に放送されていた、ある深夜ラジオ番組について情報を探しているという。
その番組についてAさんは、「投稿したネタが読まれた翌日、『ネタおもしろい あげる。』と書かれた紙片と、
金属なのかゴムなのかも判らない材質の断片が自分の部屋に置いてあったが、いつのまにか失くなってしまった」という事以外、
毎回聞いていたはずの番組なのにどんな番組だったのか、自分が投稿した内容すら思い出せないそうだ。

 

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日々寄せられる行方不明者のリストを調べると、たまに首を傾げるような事例があるという。
とある行方不明者の情報の詳細を調査すると、実は架空の人物であることが判明した。
また、心ない誰かのイタズラで投稿された架空のはずの人物が発見された。
そして明らかに情報が寄せられた後に失踪するケースもあるとのことだ。

 

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1902年、ドイツのハノーバーで火災が発生し、少女が建物に取り残されるという事態が発生した。
地元の消防隊が駆け付けてみると、建物は旧いレンガ造りで窓という窓から炎が噴き出していた。
消防隊による決死の突入で少女は発見されたが、救出は断念され消火活動に専念する事になった。
突入した隊員によると「少女の体からは何本もの炎が噴き出し、近付く事すら出来なかった」という。

 

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ポルトガルのブラガに住むアントニオ=フェレイラは、畑で作業中に複葉機が飛んでいるのを目にした。
その複葉機はみるみる接近し、畑の近くへ着陸して手塩にかけて育てた大豆に傷がついてしまった。
怒ったフェレイラはパイロットに文句を言おうと複葉機へ近付いたが、なんとパイロットの姿が見えない。
また複葉機は何処も損傷しておらず、コクピットには「ここは危険だ」という血文字だけが残されていた。

 

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仕事でアトランタに来ていた新田氏は、あるビルの9階で所用を終えてエレベーターで1階へ降りた。
すると突然、激しい揺れと共にエレベーターは停止、さらに凄まじい熱気と粉塵が新田氏を襲った。
パニックに陥った新田氏が床に伏せると、エレベーターは何事も無かったかのように1階へ到着した。
訳も分からず外へ出た新田氏が目にしたのは、テロによるWTC崩壊を伝えるニュース映像であった。

 

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マダガスカル島北部のマロモコトロ山には、地元の人から亡者の谷と呼ばれる土地があるという。
南北方向約300mに渡って崖に挟まれたこの地では、亡くなった人たちの声が聞こえるというのだ。
ある時、一人の男が谷に行き「お前達は本当に死んでいるのか?」と問いかけた事があった。
すると幾つもの声が重なり合い「知っているなら教えてくれ!ここは何処だ!?」と聞こえたという。

 

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インドのチャッティースガル州に住むある老人は、「決して正しく映らない鏡」を持っていたという。
ある年に一人の記者が訪ね鏡を見せて貰う事になったが、どう見ても普通の鏡にしか見えない。
念の為写真を撮った記者が「普通の鏡みたいですね」と言うと、老人は突然鏡に石を投げつけた。
すると石は空中で消えてしまい、老人は「鏡に害を加える物は映らないんだよ」と語ったという。

 

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あるラジオ局の投稿者コーナーでのこと。先週のお題が良くなかったのか、投稿ハガキが
非常に少ない日があった。これではネタが尽きてしまう。困ったプロデューサーは、住所と
名前、内容をでたらめに書いたハガキをでっちあげ、届いたハガキの中に混ぜ込むことにした。
本番中、ラジオDJはこう喋った。「あっれ~同じ人から同じ絵のハガキが2通届いてるよ!不思議だね~!」

 

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カナダのあるアザラシ猟師は小船で猟に出掛け、小さな島で夜を越そうと雪洞を掘る事にした。
しかし、雪を1mほど掘った所で突然硬い手応えと共に掘っていた穴から血が噴き出してきた。
それと同時に凄まじい轟音と揺れが猟師を襲い、猟師は小船と共に海へ放り出されてしまった。
なんとか小船にしがみついた猟師が目にしたのは、猛烈な速度で北へと去って行く島であった。

 

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イギリスはグラスゴー近郊のある村では、5年に一度必ず双子が発生するという。
“発生”と書いているのは、妊娠初期~中期で双子ではないと確認されているからである。
妊娠後期の検査で突然双子であると発覚し、さらに必ず深夜0時~3時の出産となる。
尚、この地で生まれた双子は皆短命であり、30歳に達することなく事故又は病死している。

 

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食虫植物は”食虫”と言われるように総じて小さな昆虫類を捕食又は捕獲している。
しかし、西部開拓時代のアメリカでは人を捕えられるほど大きな物が目撃されていた。
1846年、モートン=リードは現在のネブラスカ州ハムレット付近で突然植物に襲われた。
彼はライフルで応戦し、持っていた弾丸を全て撃ち込んでようやく植物は動きを止めた。

 

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ある大学で、重力の研究をしていた教授が研究室から飛び出した所で突然消えてしまった。
しかも目撃していた学生が研究室に入ると、室内は机や椅子も何も無い状態であったという。
当時一緒に研究していたはずの研究員3名も行方は分かっておらず、研究室は封鎖された。
教授は消える前「これだ!これで出られる!」と叫んでいたが、この意味も分かっていない。

 

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1998年、ガダルカナル島中南部の洞窟で日本兵が書いたと思われる手記が発見された。
その中には「奥は広く、多くの樹がある。実は大変美味で桃に似ている」と記されていた。
しかしその洞窟は5mほど奥で行き止まりであり、落盤等によって埋まった後も全く無い。
手記と共に碁石大のバラ科の種子も発見され、この二つは現在も研究が進められている。

 

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中国地方のとある旧家の家紋は少々変わっている。家を守ってくれた秋津(トンボ)なのだそうだ。
その家の先祖は戦国時代の豪族で、隣国に攻められた際、援軍を得て勝つことが出来たという。
家に伝わる書物には、援軍の足軽達は絶え間なく射てる種子島を持ち、火を吹く秋津を使役して敵陣を吹き飛ばしたとある。
尚、何人かの兵はその地に定着した。その子孫達の家紋は直線と星形からなっており、軍隊の階級章のようであるという。

 

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2008年初夏、東京都調布市内において太平洋戦争時代の不発弾が発見された。
避難令の直前、不発弾を覗き込む野次馬の中から「年がら年中避難ばかりじゃたまらんな」との声が上がった。
作業に取り掛かり始めていた自衛官の一人は、十五年に及ぶ自分の任期中初の出来事のように思ったが、
同僚の誰に聞いてもその言葉は耳にしておらず、ついには野次馬の中にもそんな者はいなかったという。

 

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飛び魚とは水面から飛び上がり暫く滑空する魚の事だが、小笠原諸島の一つ、平坦な砂浜のみが5kmも続く小さな無人島「傘島」で、1926年に奇妙な飛び魚が発見された事がある。地元の漁師の話を信じるなら、一休みするべく浜に上がって休んでいると突然、水面から浜に向かって飛んでくる物が有った。よく見るとそれは飛び魚で、そのまま漁師を追い越しはるか彼方の砂浜の向こうまで、空を飛んでいったと言う。漁師が慌てて追い掛けた所、海岸から500mも離れた場所で飛び魚の死体が発見されて、死因は窒息死だった。

 

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ある男が、イギリス東部で付近の住民から不思議な家と呼ばれている一つの建物を訪ねた。
しかし建物は南向きに建てられたごく普通の平屋建て。特に不審な点も発見できなかった。
後日、不思議な家についての記録を漁っていた男は20年前に撮影された写真を発見した。
そこに写る建物は男が見たのと同じだったが、「2階建て、北向き」という走り書きがあった。

 

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フランスのある地方に住む男は、毎日塀に書かれる気味の悪い落書きに悩まされていた。
10日前から始まった落書きは誰が書いたか全く分からず、消しても翌日また書かれてしまう。
ある朝、男が門をくぐり抜けた瞬間、ドンという衝撃と共に男の首が飛び門の前に転がった。
塀に描かれていた落書きは断頭台で、毎日少しずつ刃が下がっていくようにも見えた。

 

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1742年、オーストリアのある町で「絵画の中の孔雀が逃げだした」という事件が発生した。
この事件はたちまち町中で噂となったが、ある手品師が自分がやった悪戯だと告白した。
その証拠にと、手品師は大観衆の目の前で絵画から孔雀を出すという手品を行ったが、
手品師が去った後に残された孔雀の羽根は、全て乾いた油絵の具になっていたという。

 

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愛知県在住の勝田氏は、古いアルバムで数年前まで住んでいた家の写真を見ていた。
しかし庭を撮った写真を見て氏は驚愕した。男が庭で首を吊っている様子が写っていたのだ。
撮影した時はそんな光景で無かった筈なのだが、氏は友人に写真の場所を確認して貰った。
友人がその庭に行ってみると、つい数日前に首を吊ったとみられる男の遺体が発見された。

 

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ある写真好きな隻眼の老人が亡くなった。彼は若い頃に買ったライカIIIaを生涯使い続けた。
遺言にはライカを柩へ入れて欲しいと書いてあり、友人は綺麗に整備して送る事にした。
しかし友人が整備の為レンズを外した所、中から瑞々しい人間の眼球が転がり出てきた。
生前、老人はこの友人に「このライカIIIaが私の右目そのものなんだ」と語っていたという。

 

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フランス西部ラファトーレ地方で赤いトリュフが発見された。
「人の血でも吸って育ったんじゃないか」と冗談交じりに言われるほどの赤色だった。
毒々しい色とは裏腹に、意外にも濃厚な味だったため高値で取引されたという。
採取されたのは、数十年前にユダヤ人が処刑されて埋められた土地だったというが無関係なのだろう。

 

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宇宙人には、第1種から第4種までの接近遭遇パターンが定められているらしい。
一方で幽霊に対しても似たような遭遇パターンを作ろうとした研究者がいる。
彼が調べた結果、最も接近した遭遇例は1711年イギリスのマチルダという女性のものだった。
記録によると、彼女の母親の幽霊が胃の中に現れ、その中から賛美歌を歌ったというものだった。

 

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1938年、ある2人の物理学者が古代の英雄・アレキサンダー大王にまつわる悪夢を見た。
解けば世界の覇者になるという「ゴルディオスの結び目」を大王が一刀両断するやいなや
断面から無数の炎が噴出し、敵国の大地と国民を無慈悲にも焼き尽くしていく────
同年の冬、原子を解く核分裂の原理を発見したハーン、マイトナー両名が見た悪夢である。

 

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I県に白いカンバスばかりを壁に掛けた画廊があった。
時が経つにつれ、少しずつ絵は増えたが、どれもなんということもない、写真屋のショーケースの写真のような肖像画ばかりだった。
白いカンバスが一枚も無くなったころ、その画廊は閉店した。
さして見るものもなさそうなその画廊へは不思議と人が入って行き、その内の数名は誰も出てくるところを見たことがなかったらしい。

 

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1995年。広島県のあるFMラジオ局の番組中でゲストの一人が、出がけに家の時計が止まって困った、という
話をしたところ、MCや他のゲストも自宅の時計が止まっていたことが分かり、リスナーからもその日の朝、
同様の体験をしたとのメールやFAXが相次いだ。なんと時間までほぼ一致しており、広島市内だけで少なくとも
2000を超える世帯で同時に時計が止まったことになる。8月6日、午前8時16分のことだった。

 

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歴史的名作、『ローマの休日』。その中でも屈指の名場面といわれる、新聞記者ジョー・ブラッドレーが真実の口に
手を入れ、抜けなくなった振りをするシーンはジョー役のグレゴリー・ペックのアドリブであった。
このシーンで、当時無名の新人で演技も固かったヘプバーンの緊張もほぐれ、撮影も成功に終わったのであるが
のちにペックがスタッフに「あのときは本当に抜けなくなったんだ」と漏らしたことは知られていない。

 

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数年前、作家のIが自身のブログで語ったところによると、彼のマンションの蛍光灯は、そこに住んで以来15年間、同じ物を使い
続けているのだという。その記事を書いた3日後、Iの家に蛍光灯の製造メーカーの人間が訪ねてきて、くだんの蛍光灯を代わりの物と
交換して持って行ってしまったらしい。噂ではあるが、切れない蛍光灯は既存利益の保護のため発売されていないだけで
既に技術的には完成しており、時に試作品が手違いで市場に出回ることもあるという。ちなみに新しい蛍光灯は半年で切れたそうだ。

 

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昭和史に残る怪事件のひとつとされている「三億円事件」、犯人どころか事件自体が『存在しなかった』のをご存じだろうか。
当時、警視庁は一七万人にも及ぶ捜査員によるローラー作戦を行っていたが、その真の目的は当時盛んだった学生運動の
アジト摘発と要注意人物の監視だった。また、その裏で極秘に捜査が進められていた連続ピストル射殺事件の犯人、永山則夫を
油断させるためのカモフラージュであったことを指摘する声もある。

 

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1983年、北海道のある地方テレビ局で職員のミスによる放送事故があった。放送終了後、残っていたスタッフが誤って自身の
持ち込んだビデオを放送用のデッキで再生、20分間にも渡ってアダルトビデオの映像が流れてしまったのだ。直後に抗議・苦情の
電話が殺到し、局では翌朝のローカルニュースの番組中に謝罪テロップを挿入、くだんのスタッフは減給となった。
ただ、全ての放送が終了し、砂嵐しか流れていない午前3時、抗議をした1200人にも及ぶ人々が何を見ていたのかは不明である。

 

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2002年頃、「6つの円」という都市伝説が流行した。6人で円になりその中央に鏡を置き、まず最初の一人がそこに円を描き込む。
次の者はその円の内部にさらに円を描く。それを繰り返すと6人目が鏡の中に引きずり込まれ存在が消されるというのだが、
実はこの話、ある大学の6人の学生が「ネットの情報伝播」の研究のため一年がかりで流した全くの創作怪談で、その後彼らは
ホームページで実際に「6つの円」の儀式を行い、「何も起こりませんでした」と、メンバー5人全員の写真付きのルポでネタ晴らしをした。

 

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第2次大戦中、ある年のクリスマス。深刻な食糧不足の中、ドイツのある孤児院で何年ぶりかの豪勢な肉料理が出た。
子供達は競ってごちそうを胃袋に収め、特にもも肉を一本丸ごとローストしたステーキは大人気だった。
「そんなに急がなくても、もも肉はあと一回分残ってるよ」と院長は優しく言う。だがその直後、一人の児童が急に
料理に手を付けなくなった。理由を聞かれても彼は黙っていた。もも肉が一頭に二本しかない動物を彼はひとつしか知らなかった。

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