【イマジナリーフレンド】作り方と体験談 – 不思議な話まとめ

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【イマジナリーフレンド】作り方と体験談 - 不思議な話まとめ 不思議な話
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この恋じゃない方のもやもやはなんなのだ、そろそろ限界だ、死ぬか
くらいに追いつめられていた(つもりの)ある日の放課後。
たまたま転校生と俺が教室に二人きりになった。その頃はもうお互い打ち解けたし
俺は俺で隠しきれない下心が見え見えだったりもしたけれど、軽口をたたける仲になっていた。
既視感も手伝ってか、転校生と俺はかなり仲が良い関係になっていたし、転校生からも
好意のような物を感じていた気がしないでもない。というか実際好意を持たれてた。
よくある放課後のドキドキ感の中、他愛もないことを俺たちは話していた。

 

何て事はない話だったんだけど、流れで「そういえばもう随分慣れたっぽいけどどう?」
みたいな話になった。「妙な時期に転校してきて馴染めるか不安だったけど馴染めてよかった」
そう言った転校生は実際かなり馴染んでた。転校生ということを除いても男女共に人気があった。
それで「そりゃよかった、そういや友だちも多いもんなー」みたいな感じのことを言ったんだよ。

「でもいちばんは俺くんだよ」

ちょっとはにかみながら転校生がそう答えたとき、俺はちーちゃんの事を完全に思い出した。

 

思い出してたまげた。たまげすぎてまともなリアクションとれなくて完全に不審者になった。
大いに混乱した俺が取った唯一の行動は、その場からの逃走だった。
なんか遠ざかりながら「う、あ…ごめん!」みたいな事を言って逃げていった。

 

家に帰った俺は放心状態で部屋の壁に向き合ったまま微動だにせず考えつづけた。
深く考えない残念な子でお馴染みだった俺でもこの時ばかりは考えに考え抜いた。
ちーちゃん?そんな友だちがいた?そうだ俺は見えない友だちがいたんだおかんが言ってた
言ってたっつーか覚えてるしでも現実にはいなくて?でも今いて?
ちーちゃんが?転校生は?そうだ転校生もちーちゃんだ?え?

 

しばらく混乱したままだったけど、俺はおそるおそる母親に訪ねた。
「俺昔見えない友だちと遊んでたって言ったよな」
「そうよあんた、母さんほんと心配したんだから~」
「その友だちさ、何て名前だった?」
「何だったかしらね、ああそうそう、たしかちーちゃんとか言ってたような…」

 

全部が繋がった気がしたけど、意味がわからなかった。
俺には昔友だちがいて、でもその子は実在しない子で、でも今目の前にいて…。
でも現実にそんなことが起こる訳がないと言い聞かせた。中二病のくせに。
偶然同じ名前で、偶然同じ事を言って、偶然面影があって、そう偶然だ!
とりあえずその日はそう言い聞かせながら寝た。

翌日、転校生と顔を合わせたとき非常に気まずい思いをした。
結構な事を言われたのにも関わらず謝りながら逃走したんだから当然だけど。

休み時間に昨日はごめんと謝り、放課後またちょっと話がしたいと伝えた。
憮然としながらも承諾してくれたけど、目は合わせてくれなかった。最高にかっこわるかった。

 

そして中学史上最高に気まずい一日を耐え、放課後。
とにかく俺は謝った、謝り倒した。端から見たらやらせて貰おうと拝み倒してるレベルで頭を下げた。
あまりの滑稽さに呆れたのか、転校生は許してくれた。
俺は意を決して転校生、ちーちゃんに聞いた。
「変な事を言うけど、昔どこかであった覚えない?」

「やっと思い出してくれた?」

 

…なんて返答は無かった、が。

困ったような顔をしたちーちゃんは少しずつ話しはじめた。
俺とはどこかで会った気がする、ずっと前に遊んだ事が会った気がする
昔いた仲の良かった友だちとそっくりな気がしてた、最後にまた遊ぼうって約束した、
そんな感じの話だった。

 

もうそれを聞いた時点で俺は考える事を止めた。運命だと思った。
意味はわからなかったけど、ちーちゃんとまた会えた、今度は現実だ、もうそれでいい。
俺はなんか泣きながら今までの話、思い出したこと、覚えてることを全部話した。
ちーちゃんは泣きじゃくる俺に若干引きながらも全部聞いてくれた。
全部聞いてくれて、最後に笑って「不思議だね、運命だね」って言った。

 

詳しく書くと長いので割愛するけど
ちーちゃんは別に俺と同じようにイマジナリーコンパニオンを持っていた訳ではなかった。
けど俺と同じように引っ込み思案で友だちが全然出来なかった子だった。
そんな時、おそらく俺と思われる子と友だちになって、それがきっかけで友だちが出来た。
そのおそらく俺と思われる子とは凄く仲が良かったけど、いつの間にかいなくなった。
小学校にあがったけど俺と思われる子はいなかった、でも友だちはたくさんできた。
なんとなくずっと覚えてたところで転校、俺と思われる子と思われる俺に会う、と。

 

最初は元々こっちに住んでて引っ越してまた戻ってきた、とかも思ったけどそうじゃなかった。
だからお互い不思議だね、と言いながらこれは二人だけの秘密にして誰にも言わないでおこうと決めた。
言いたくてしょうがなかったけど信じてもらえないどころか可哀相な人だと思われるのがアレだった。
ただでさえ残念な子扱いを受けてきた俺としてはちーちゃんがそうなるのは避けたかった。

 

「不思議だし不可解だし意味がわからんところもあるけどこうやって再会出来たんだから良しとしよう」
という所に落ち着く事になった。ちーちゃんも俺と同じであまり深く考えないタイプだった。
実際この後ちーちゃんは俺に負けじ劣らずの残念な子だということが露呈するがそれはまた別な話。

 

こうして俺とちーちゃんは再会というか、本当の邂逅を果たしたというか
ともかくこの俺のイマジナリーフレンドに端を発する
一連の奇妙な出来事はこうして終わった。

だが俺は誰にも言わずにいよう、とか言い出したくせにある一件を思い出し
Yを呼び出してちーちゃんを紹介した。Yも同じクラスだというのにも関わらずだ。

「ほら、ちーちゃんだ、今度は見えるだろう」
Yは何言ってんだこいつ、みたいな顔をしてた。
ちーちゃんはこいつ何を言い出すんだみたいな顔をしてた。

 

一週間くらいしてから「あれなんだったんだ?」と聞かれたから
今度はちーちゃんに許可をとってからYにも全部話した。

「あーそう言えばそんな喧嘩もした気がするけど、何が何だかわかんねーよ」
「俺もよくわかんないんだ」
「まあいいや、なんかわからんけどめでたいんだろ?おめでとう」

Yも俺と長年の付き合いだけあってバカだった。
二人だけの秘密は三人の秘密になった。Yはよく分かってないと思うけど。
お察しの通り俺とちーちゃんは付き合う流れに。

 

そして月日は流れ、十数年。
昨日入籍してきた。
俺とちーとYだけの話だったけど、入籍を期にちょっとだけ話してみたくなったんだ。

そんなこんなで、俺の奇妙なイマジナリーフレンドの話はおわり。

 

ちなみに
Yは未だに独身で、俺とちーの話も未だによくわかってない。
「わからんけどめでたい、めでたいけどわからん、世の中いろんなことがあるんだな」
そんなことを酔いつぶれながら言っていた。
俺とちーはこいつバカなんじゃないかとそんなYを見ていた。

そしてまだいる。はよ帰れ。
空気読め。

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