神社にまつわる不思議な話・怖い話【2】短編10話

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神社にまつわる不思議な話・怖い話【2】短編10話 不思議な話
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神社にまつわる不思議な話・洒落にならない怖い話【2】

 

 

神罰

当時、高3で大学受験だった俺はセンター失敗で急に焦ってしまい、勉強するよりも神頼みにはしったのだった(アホすぐる)
俺は近所の白山神社に毎日朝・昼・夕とお参りし受験成功を祈願した(勉強もした)
しかし受験は失敗してしまった・・・
普通に考えれば俺が悪いに決まっているが、なぜかここで俺は神社の霊験に疑義を向けたのであった
俺は毎日お参りしていた白山神社の霊験がどの程度の物なのかいちど試してみようと考えた
やり方は神社内の物を盗んで神罰が当たるかどうか試すという方法である(当時かなりヤケクソだった)
俺はさっそく神社に行って拝殿横の祠を見てみると、木箱と平たい石が置いてあったので石の方をを奪いとった
しかる後、拝殿で「ここの神に力があるなら一週間以内に俺に神罰をあててみろ」と宣告した
俺は盗ってきた平たい石を自転車の荷台に紐で固定し悠々と神社をあとにした

三日後だった、その日、俺は友人宅まで自転車で出かけた
雨が降りそうだったのでいちおう傘を持っていたのだが、走ってる途中で傘の先端が地面に接触した感じがした
次の瞬間、俺は思い切り前に放り出されて道路に叩きつけられた!
傘が地面に当たって停止したため、自転車は前輪を中心に大車輪で前方一回転してしまったのだ
俺は辛うじて顔が地面と衝突するのをを防いだが、何が起こったのやらわからず道路に腹ばいになってた呆然
そこにぐるりと一回転してきた自転車の荷台が後頭部に落下して来た
荷台には神社から盗ってきた石が!これが直撃したのだ、痛い、痛すぎる!!

ここに至って俺は神社の神の力を認めざるを得ず、急遽神社に走って石を返して謝ったのだった
以降、俺は浪人の一年間は神社の神様への謝罪参りと、賽銭寄進と自主奉仕(週末に拝殿前を掃いたり)を行い
翌年春は無事受験に成功した(もちろん勉強もしたから)
やっぱ努力もせずに神様に頼ったり、神様に八つ当たりしてはいかんな

 

 

大蛇

夏祭りが終わった夜、村外れの山裾を一人歩いていた。
行く手の方角から、ズルズルと何かが擦れるような音が聞こえてくる。

やがて月明かりの下、音の主が眼に入ってきた。
道を横切って塞いでいる、黒光りする長い生き物。
蛇のように見えた。太さは彼が一抱えするほどもあったらしい。
尾の先の方は繁みの中に潜っていて、一体どれほどの体長なのかもわからない。
それが延々と山手の方に向かって這い進んでいる。

山肌を見やると、途中に穴が開いているようで、蛇はそこに這い込んでいく。
「この斜面、こんな太い蛇が潜れる穴なんてあったっけ?」
凝視していると穴の縁が見て取れるようになってきた。

小さく古びていたが、間違いなく鳥居だった。

「あ、これ、主様かも知れん」
確かここの主は大蛇だったと年寄りに聞いたことがある。
行き逢えば祟ることもあるという話だったので、慌てて踵を返すと別の道を辿って
家に帰ることにした。

翌日日が高くなってからもう一度そこに訪れ、例の鳥居を探ってみた。
鳥居の周りは何処にも穴など無く、とてもあの蛇が潜り込めるような隙間も無い。

「鳥居を抜けて通るってことは、神様の類なのかなぁ。
でもあまり厳かな感じは受けなかったなぁ。
何にせよ、祟られなくて良かったよ」
そう苦笑しながら、彼はこの話をしてくれた。

 

 

蛇神の化身

うちは田舎の旧家なのだが、庭に先祖代々祀られてきた小堂がある
小堂の中には蛇神の化身を祀っているらしいが、おれは見たことがない
蛇神の化身は家の守り神で、大事に崇めていれば家は栄え、有事の際には手を差し伸べてくれるとか

たとえば、屋敷が火事にみまわれた時、火消の若い衆が駆け付けるより早く、20人ほどの若い男たちが現れ、あっという間に火を消し、立ち去ったという
さほど大きな村ではなかったのだが、その若者たちは全員見覚えのない顔だった

戦時中、深刻な食糧難に襲われたとき、
どこからともなく20人ほどの若者がたくさんの荷物を抱え、うちに訪ねてきたという。
贈り物です、とだけ告げて、若者たちはすぐに去ったという
荷物は米、醤油、味噌、塩、砂糖やマッチ等の必需品からたばこの葉まであったという
これが3日間続いた
当時の主人は気前よく、村で生活に困っている家にこれを配った。
おかげで村からは餓死者や身売り等の不幸は出なかった。

しかし、蛇神の化身をないがしろにすると恐ろしいことが起きる
ある時、当時の三男が酔って小堂に小便をかけた
三男は酒癖が非常に悪く、また、信仰心のかけらもないような人物だった翌日より三男の局部はパンパンに腫れ、1週間もたず狂死した。
また、その嫁、3人の子供も次々に不幸な死を遂げたという。

今もこの不思議な小堂はきれいに掃除され、家の庭にたたずんでいる

 

聖域

幼少の頃の叔父は手のつけられない程の悪餓鬼だったそうで、
疎開先の田舎でも、畑の作物は盗み食いする、馬に乗ろうとして逃がす等、
子供達のガキ大将を自負するようなDQNでした。

さてその疎開先には、地方にしては大きな神社がありました。
「今となっては何を祭っていたのかもわからん」だそうですが、
桜の木が何本も植えられていて、春ともなれば正しく満開の桜が見物できたのでしょう。

また、聖域とでも言うのでしょうか。
「子供達がむやみに近づいてはならない」という暗黙の了解があったようです。

しかし、そこはDQNな叔父のこと。
「やってはいけない」と言われれば反発心が刺激されます。
ただでさえ娯楽の無い疎開先。いずれは出ていくという気持ちもあったのでしょう。
一つのイタヅラを実行に移す事にしました。

神社には神様を乗せる(?)馬が飼われています。
これに乗って神社の石段を駆け下りようというのです。

勿論、昼は大人達の目がありますから、夜のうちから神社に忍びこみ、
朝のお勤めの時に馬で駆け出す…みんなびっくり!
俺様の株、急上昇!(゚д゚)ウマー という作戦でした。

予定どうりに深夜部屋を抜け出して、神社へと向かう叔父…
満開の夜桜が近づくにつれ、叔父の耳に場違いな音が聞こえてきました。

ぽんぽん…ぽぽん…それはツツミの音だったそうです。

最初は大人達が酒盛りでもしているのかと警戒した叔父ですが、
こんな深夜の、この戦時中にありえない事くらい子供にもわかることでした。

神社に近付けば近付くほど、ぽん…ぽぽん…という音がハッキリ聞こえます。
鳥居の影に隠れ、中を覗く叔父。

そこには、ひどく幻想的な光景がありました。

風に散る夜桜の花びら、ツツミをうつおかっぱの子供。
くるくる…くるくると舞う1人の女性。

叔父は時間を忘れ、その光景に見入ったそうです。
この世の物とは思えない美しさでしたが、
どこかおかしな、非常識さが叔父を正気に戻らせ家へと逃げかえりました。

翌朝、昨夜の出来事を誰かに話したかった叔父は、
思いきって神社の神主さんに全てをうちあけました。

話を全て聞き終わった神主さんは、
「声をかけたか?」「見つかったか?」などいくつか質問をした後で、
叔父にニンマリ笑いかけたそうです。

「よかったなぁ…見つからんで、ほんによかったなぁ」

「ありゃ、この世の者でない」「…鬼じゃ」

今でも叔父は酒が入るとこの話をします(苦藁
「S(俺)君、鬼はいるんだよ…」
まぁ、正直俺も信じてないし、オカルトとも微妙に違う気がすんだけど。

 

 

異常行動

入院中、1週間くらい意識ない時の事です
真夜中に点滴交換にきた看護婦が、病室のカーテンが揺らいでベッドに自分がいないのをおかしいと思い
ベランダを見たらあと一歩で飛び降りるところだったらしい
自分で点滴を外してあちこち体をぶつけながらベランダに出たので体中血だらけで

その後はベッドに戻され手枷足枷させられて縛られていたせいか、白目むいて飛び起きようと暴れ叫び続けていたという
見舞いに来た姉はエクソシストみたいで怖くて病室に入れなかったと
母は変わり果てた息子を見て、泣きながら医者に「この子このままこんな風に・・・」と心配したらしい

意識が戻ってからも体は縛られたままの真夜中のある日
ふと目が覚めると窓側に人影があった
冷蔵庫のない病院だったので、親が窓際のテーブルに飲み物を置いていてくれたんだけれど
そのペットボトルを両脇に抱えて女の子らしき子が窓から出ようとしてた
とっさに「何?どうしたの?」と話しかけても出ようとした姿のまま止まってる
カーテンで顔だけ隠れてたんだけれど、髪の襟足の部分だけみえた
今には珍しいおかっぱ頭だった ちびまるこちゃんみたいな
その時は怖いとか以前になんでいるのか不思議で
きっと喉が渇いてるんだろうと思ったので「持っていてもいいよ」と言った
それでも女の子はとまったまま
そこへ夜中の点滴交換でちょうど看護婦がやってきた
あそこに女の子がいるんだけどって言うと看護婦は「いないわよぉ~」と笑いながら言う
ええ?と思って窓際を見るといなくなってた
そこで初めて恐怖を感じて、縛られた体のまま暴れてしまった
普段はいたって精神的にも普通なのに、こんな自分になった事がとても恐怖だった
そんな猛暑な夏の入院生活の出来事
後に霊感に詳しい人にいうと、顔が見えなくて良かったとの事。
心のそこから喉が渇いてるように思えて仕方なかった
ちなみに意識がない時に夢の中で、あっちにいけばめちゃくちゃ楽になれるていうのを見てた
それが飛び降りようとしてた時と重なるならやっぱり死ぬときは花畑みたいのがあるんだろうと実感した
でも自分の時は花じゃなくて、真っ暗な湖みたいだったんだけど・・・・・・・・まさか・・・・・・・・TT
日ごろの行いで変わると信じて生きてます。

 

 

コソコソ神

母:直感的霊能力タイプ 観る話は滅多に聞かない

実家:窓からの景色は『神社』、その向こうに小学校が見える
家に神棚はない、その見える神社があるなら

年の瀬の話
裏の神社って、ちゃんと神様いるのかねぇ…って話を振ったら

「あぁ、いるいる、こー、半身だけコチラに覗き込んでて、半身は隠れてる感じで」
「…そんなにコソコソしてるの?」
「裏の小学校が煩いからねぇ~」

他所の神社の神様がどーやってるか知らないけど
しょっちゅう、神社の外をコソコソ見ているようです

お賽銭奮発しておきました

 

 

黒い人

よく黒い人を見る。
最近見た一番新しい場所は踏み切り。
飛び込みがあったらしくて警察なんかが
色々しているその場所にそれは居た。
それは別に動くわけでもなくてただそこに立っているだけ
な事が多い。
ずっと見ているとその場で消えてしまったり
すたすたと歩いてどこかへいってしまう。
進行方向に建物があったりするとその中へ消えて?透過?
みたいな感じで目では追えなくなる。
そんなだから周りの人全てには見えてはいないもので
それは誰にでも見えるものでは
ないのかなとか自分的には思ってる。
見えていれば騒ぎのひとつにもなるだろうし。
自分的にも見えているだけって事だしそんなに気にも止めていなかった
が今年の夏、ゴローさんの番組見てる時、死神って話の中に出てくる黒い人が
自分がよく見かける黒い人そっくりな感じだった。
ちょっと気になったから心霊サイトとか見ると
黒い色のものは危険みたいな事柄がよく書いてある。
自分がよく見るそれも危険なものかどうか調べる事は出来ないけれど
要するに死神ってのは黒い人ならなんでも死神って定義になるのかな
とか思った。
それが居る所は事故現場だとか病院だとかそんな生き死にの場面に
確かによく居る。
…こんな風に考えていたらゴローさんの番組のように
自分の周りにそれが来た時の事を思うと少し鳥肌が立った。
怖い話でもなくてすまん。
そんな自分は心霊体験っぽいものをした事は一度っきりしかない。
その体験も怖くない。
…なんだかすまん。

 

 

次の神様

そう言えばまだ俺が小さい頃ひいばあちゃんの家にあそびに行ったときに山で変なものを見つけた
手のひらサイズの綺麗な和柄の布で作られた巾着が古臭い柿の木にちょうど実がなってるみたいにいっぱいぶら下げてある
巾着はちょっと色あせてたり土がついてたりしたけど生地自体が振袖生地みたいな可愛い柄だったし
それほど古いものじゃなかったみたいで俺はどうしても欲しくなったんだ
そんで、家で本を読んでた2つ上の姉を連れてきて脚立立てて二人で木にぶら下がってた巾着を全部とった
中にお姫様の宝物が入ってるんじゃない?とか言いながら家に持ち帰って俺はワクワクしながら中身を取り出してみたんだけど
出てきたのはゴルフボール大の固まった泥団子
俺と姉はがっくりしながら他の袋も開けてみたんだけど案の定他の袋にも泥団子が一個ずつ入ってただけだった

姉は折角本を読んでたところを邪魔されて取らされたのが泥団子だったのがどうも気に食わなかったみたいで
縁側に並べた泥団子を石垣に投げつけた
そしたら粉々になった団子からはくちゃっと丸められた黒い毛みたいなものが出てきた
他のも同様に割ってみると、魚の骨?の一部、何かの動物の歯、昔のお金、あと人の名前みたいなのが掛かれた布切れが出てくる
不思議に思ってひいばあちゃんに見せに行くとそうかそうか、とばあちゃんは笑って俺らの頭を撫でたあとその出てきた物やら泥やらを一箇所にまとめてみんな燃やしてしまった
髪の毛の燃える嫌な匂いが立ち込める中ばあちゃんにこれって何なの?と聞くと「次の神様」と答えた
続けてばあちゃんは俺たちに
「この巾着には神様が入っていて、これを開けたらそいつは次の神様になるんだ
神様になったら極楽にも地獄にもいかずにずっとこの土地の神様になる
小さいときにお前とおんなじように山でこれを見つけて来たのが○○だ(俺の親戚のおばちゃん)だから次は○○が神様だ
お前が巾着を見つけたから、もうふたつ次の神様は決まった。もうじきうちから神様が出る」
と嬉しそうに教えてくれた

それから2年くらいして、親戚のおばちゃんが死んだ
ばあちゃんが言うとおりならおばちゃんは今でも天国にも地獄にも行かずに神様をやっているらしい。
次は俺だ。誰かが山でまた俺みたいに巾着を見つけてしまうのが怖い。死ぬのが怖い。神様になんてなりたくない。

 

3つのお守り

姉の体験談

近所の神社が祭りのために臨時で巫女のバイトを募集していた。
姉はそれに応募して、見事採用された。
主な仕事は祭りの時期の接客であったが、祭りのあとも土日だけ働けるようになった。

ある日、姉が境内の掃除をしていると、一人のサラリーマン風の男が声をかけてきた。
どうやら、神主とお話がしたいらしい。
セールスマンかな?と思ったが、とりあえず神主を呼び出した。
神主は境内で立っている彼を人目見て、血相を変えて近づいてきた。
神主が彼に一言耳打ちすると、彼は肩をガクっと落として涙を浮かべた。

男と神主は、姉も入ることを禁じられた(というより、入る用事をうけたことがない)部屋に2人で入った。
数分して、神主がノソっと顔を出して姉に、日本酒を持ってきてくれ。と言った。

それから小一時間たったであろうか、彼と神主は部屋から出てきた。
彼は神主に何度も何度も礼を言っていた。
彼はお金と生で10万円ほど出して、気持ちです、と神主に押し付けて帰っていった。

神主はその10万円から数枚の札を姉に渡して、日本酒が足りないからと、10本ほど頼んでくれと姉に言った。
姉は神主の言うとおりに日本酒を頼んだ。
日本酒が届いたあと、神主は先ほどの部屋にいた。
神主は部屋の前においておいてくれ、そして今日は帰っていいと言った。

次の週、姉は神主に先週あの後何があったのか聞いた。
要約するとこうだ。

あの男は、死神と出会ってしまったようで、近いうちに死ぬと宣告された。
それから、ずっと死神がまとわりついていた。
彼はいくつかの寺や神社を訪れたが、彼の死神を見える人間はいなかった。
お祓いをしてもらってもまるで効果がない、死神は消えない。
そもそも、彼が言い出すまで、彼が死神に憑かれていると気付いた人はいなかった。

しかし、神主は見えたと言う。ある程度力があればここまで明らかな神は見えて当然らしいが
最近は力がないのに、寺や神社を継いでいる者も多いと言う。
で、見える神主に除霊、というか死神祓いを頼んだそうだ。

だが、神主も見る力があると言っても、神を祓えるほどの力はない。
だから、彼に清酒をかけ、死神が少しだけ彼から離れた隙に身代わりに憑かせたらしい。
しかし、所詮は身代わり、力を抑え続けないと大変なことになる可能性もある。
そこで、清酒と身代わりを大量に用意し、当面はこれで力を分散させ、対処法を練らねばいけない。

とのことだった。
姉はその時は、怖がらせるつもりかな、程度にしか考えていなかった。
だが、そのあとすぐに、事実だと悟るようになる。

ある平日の夕方に神主の奥さんから電話がかかってきた。
神主が亡くなった、通夜も含めてこれからのことを相談したいの来てほしい、とのこと。
姉はなんだか嫌な予感がしたという。

姉はすぐに神主の家に向かった。
奥さんに何が原因で亡くなったのかなどをやんわり聞くと、死因は不明だそうだ。
ただ、いくつもの酒まみれの紙人形と数匹のねずみなどの小動物と一緒にあの部屋で亡くなっていたそうだ・・・

その後、姉はその神社でのバイトを辞めた。
その事件から半年ほどして、奥さんが神主の亡くなった部屋で首吊り自殺した、という話を風の噂で聞いたらしい。
姉は確信した。
死神はまだあの神社のどこかにいるのではないか。あの男の人は大丈夫なのか。

そして、あそこで部屋の外とはいえ近くにいた私は、死神に狙われているのではないのかと。

話の最後に姉は、それからいつもこのお守りを肌身離さず持ってるの、と3つの身代わりお守りを見せてくれた。

 

 

ひしめ様

俺が実際に小さい頃に経験した話です。
その当時俺は漁師町に住んでいた。
いつも学校から帰ると友達と近所の神社へ行って遊んでいた。

その神社は表向きは海難事故防止と、水難によって行方不明になった人物の供養のための神社だったそうだが

実際は余り良くないものを抑えるために建てられた神社だ。
夏の暑さが厳しいある日、いつもどおり友達と神社で遊んでいると奇妙なものを見つけた。

60cmほどの苔むした小さな石碑。

表面には漢字で何かが書いてあったけど子供だった当時には解るわけがない。
俺らはそれを冗談半分で倒してしまった。それがどんなものかも知らないまま…
次の日、家に帰ると祖母ちゃんが回覧板を持って俺に問いただしてきた。

「緊急の回覧板が届いた。神社の大事な石碑が壊されてたらしい。お前がやったんじゃないだろうな?」

と聞いてきた。俺は怒られるのが怖くて嘘をついてしまった。
祖母ちゃんは厳しい表情のまま

「あの石碑はな、『ひしめ様』をあの場所にずっとおらせるために建ててた石碑だ。もし目をつけられても知らんぞ。」

と言って回覧板を隣の家に渡しに行った。

もちろんそんなものを信じてはなかった俺なので(『ひしめ様』なんて怖がるなんてばあちゃんアホスww)ぐらいの考えしかなかった。

しかしその日から家から家鳴りがするようになった。しかも俺の部屋だけが異常に。

さらに怪我をしたわけでもないのに顔の右半分に大きな痣ができた。

その痣は爪で引っ掻かれた様な感じになっていた。
さすがにおかしいと思ったのだろう。
祖父ちゃん、祖母ちゃん、そして近所の寺のおじちゃんに正座をさせられて尋問された。
結局自分たちが壊したことを認めたのだが、祖母ちゃんは泣き出してしまい、祖父ちゃんは唇をかみそうなくらいギュっと閉じて俺を真正面に見据えた。

「いいか?あの石碑はな、『ひしめ様』をあの場所に居らせるために建てたんだ。
お前はそれを壊した。つまりひしめ様が自由になったんだ。」
と祖父ちゃんが語気も荒く説明してくれた。

「『ひしめ様は』良い神様じゃない。目星をつけた人間を殺していく神様だ。
今回はお前が選ばれてしまったんだ。」
と俺を揺さぶりながら祖父ちゃんは涙を流した。俺も怖くなり泣いてしまった。
まさか自分がした事で自分を死なせてしまうことになるなんて思いもしなかった。

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