『妖怪にまつわる不思議な話』短編20話|洒落怖・妖怪・怪異の怖い話

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『妖怪にまつわる不思議な話』短編25話|洒落怖・妖怪・怪異の怖い話 妖怪
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天狗の道、蛇の道、天狗の棲家

私の若い頃の話ですが、暇な方がいらっしゃったら聞いてやってください。

私の住んでいた島には天狗の道、蛇の道、天狗の棲家、まいしんきょう跡?などと呼ばれる道がありました。
名称は違えど同じ場所を指すのですが、その道は夜間になると通ってはいけない道となります。
2車線ほどの幅で3区画に分かれている島の地区を結ぶただの道なのですが、そこを通って家に帰ると親にバレて叱られます。

私の場合は祖父が親代わりだったのでよく叱られました。

はじめて蛇の道に行ったのは高校生になってすぐ。島の特権というかなんというか。私達は高校生になると親から原付がもらえます。(男だけ)
原付を与えられた高校生が一番はじめにする事は、女を乗せてドライブ。

大人に見つかると島中に噂が広まって「家に連れてこい」だのやいのやいの言われるので
まだ付き合ってすらいない状態であったりとか、別に気がない子を乗せたりもするので誰にも見つからない蛇の道へ行きます。
夜間は高校生にとって最高のたまり場です。大人は来ません。
蛇の道に居るとバレていたとしても絶対に大人は来ません。

学校が終わるとやることが本当に釣りくらいしか無いのでみんなそうして楽しんでいました。
不良もそうでないやつもみんな混じって喧嘩一つ無く

そして帰ったら怒られる。
夜中に帰るから怒られるんだとばかり思っていました。でもそれは違いました。

ある日、友人宅に泊まっていました。いつも蛇の道から帰る時刻は朝4時なのですが
その日も家に忘れ物(PSのソフト)を取りに帰った時刻も4時頃だったと思うのです。
しかし祖父には怒られませんでした。
泊まりに行くとか一言も言っていないのに普通に「おかえり」と言われて家に上げられました。

いつもなら塩をぶっかけられて月桂冠を庭に置いておくのに…と。

違和感を感じた私は祖父に聞きました。

「なんで蛇の道行った日と行ってない日がわかるの?」と。
そしたら祖父は「カラスがついてきてないから」と答えました。
そんなの気にしたこともなかったので少しぞっとしました。

そこは人に聞いても意見が様々です。

・神聖な場所だから
・憑物を拾ってくるから
・狐に化かされる
・カワウソに騙される
・ヘビに喰われる
・めちゃくちゃでかい影の化物に襲われる
・天狗様が食事をするところだから(天狗なんて見たことないけど)

統計は取っていないけれど、一番多かったのが天狗様が食事をする所だからというのが多かったように思います。
特に天狗の伝説とかがあるような地域じゃないのでなんとも言えませんが。
夕方に道端のヘビをカラスが咥えて立ち去るのは何度か見たのでそういうのが関係しているのかなぁと思ったり思わなかったり。

先輩が信心深い人で氏んだ蛇の供養のために
蛇の道に入る前の大きな丸っこい岩に毎日葉っぱを置いてから入ると言ってましたからヘビに喰われるというのはそれが関係しているのかもです。

狐とかカワウソに化かされるというのは町内のマイク放送で朝方に迷子(老人だけど)の捜索を手伝え~みたいなのが過去に何度かあるんですが
2件経験したことがあって2件とも蛇の道で見つかってるのでそういうのが関係しているのかなぁと思います。

18年住んで狐もカワウソも見かけた事ありませんし、蛇に喰われたって人も聞きませんし、影の化物も見たことないですし
誰も憑物があると言われたこともないので全部迷信じゃないかなぁと思ってます。

でもカラスが毎回ついてきてると聞いた時は怖かったです。

小豆洗い – 恐ろしい体験

鬼太郎などで有名な小豆洗いだが、おれの地元の栃木北部の農村の山河にも、随分昔から目撃例がある。
コミカルなイメージの妖怪だが、こちらは洒落にくらい恐れられている。

地元民が釣りや川遊びで賑わうスポットだが、ある一角の河川敷は絶対に立ち寄るなとひい祖父さんや祖父さん、親父から教わった。
小豆洗いが川沿いに現れ、音に誘い出された人間を川に落として氏なせるという噂だ。

実際、当時中学生だった俺の親父と同級生達はジャリジャリジャリジャリという音を聞き、恐れおののいたという。
静止を振り切って二人の少年が妖怪を一目見ようと音の鳴るほうへ駆け寄った。
結果一人は川に流され行方不明。
おそらく滝壺まで堕ちたのではないか。

生き残ったもう一人によれば、音の鳴る場所へたどりつくと、背丈の小さな四人の老人が笑いながら桶に入ったなにかをかき混ぜていたという。
少年に気づくと、四人が揃ってこちらを振り向き睨んだという。
その瞬間金縛りにあったかのように身体が動かなくなり昏倒し、頭をぶつけて気を失ったという。

もう一人の少年については不明で、気を失う前にバシャンという音を聞いたとの証言から川に落ちたと推測され、随分長いこと捜索されたが結局発見されず、滝壺まで流されたと結論づけられた。
当時の学校から自治体まで厳戒態勢でその場への立ち入りをきつく禁じ、その後は不幸は起きていない。

一度、某大学の民俗学の助教授が研究で視察に来たことがある。
結局、流れの強い河川敷の一角で、足をとられて流されやすい。それにその場所は通常の流れとは微妙に異なり、その区域の川音が違う何かと誤認識しやすいのではないかという結論だったという。

しかし、小豆洗いの伝承は地元では随分昔から言い伝えられたものであり、その四人の老人の目撃談 は強烈なインパクトを残し、今でも恐れられている。
おれは結局小豆を洗う音を聞くことがなかったが、おれの同級生や今の小学生に至るまで音を聞いたという話はあとを絶たない。

いつか真相を知りたいと思うが、恐ろしくてその河川敷には近づきたくない。

 

田んぼで見た全身白づくめの人

 

子供の頃、お盆で山形にある父の実家に帰省した時の話。
夏休みの宿題の自由研究でトンボの観察にするために
昼過ぎに田んぼのあぜ道にビデオカメラをセットした。
そのまま、川に泳ぎに行った帰り道だった。
生暖かい風が吹いてきた。折角さっぱりしたのになんだよ!と思って空を見上げると
入道雲がもくもくと空に広がっていく。一雨くるな、と急いでカメラを回収にその場所にむかった。

雲の影が田んぼを走っていく。カメラが見えてきた。そのとき、カメラの向こうに何か見えた。
遠くからでよく分からなかったが、全身白づくめの人たちがうねうねと動いているようだった。
段々遠ざかっていく。その先には田んぼしかない。
奇妙に感じたが、雨も降りそうだしカメラの回収が先だ。

カメラを持って家に付くとすぐに夕立が振り出した。
濡れずに済んだと安心して居間に入ったとき祖父が帰ってきた。
濡れた頭をタオルで拭きながら居間に来た祖父にさっきみたものを訊いてみた。
祖父は途端に険しい顔をして「にしゃ(お前の意味)、あれ見だんか?目ぇ合わせぢまっだんか?」
そのとき雷が丁度近くに大きな音を立てて落ちた。
祖父のあまりの剣幕と雷に驚いて、訳も分からず俺は泣き出してしまっていた。
「遠くだったから良く分からなかったよ…」泣きながら言う俺の頭を撫でながら言った。
「あれは見ぃだらいがん。見んでえがった。」祖父は涙ぐんでるようだった。
落雷で停電してしまったのでビデオを見るのは忘れていた。

翌日、朝食のあとビデオのことを思い出し、観ることにした。
予想より多くのトンボが映っていた。
風で田んぼの稲の葉が擦れる音と遠くからセミの鳴き声が聞こえるくらい。
たまに鳥の鳴き声もする。のどかなものだった。
しかし、しばらくすると突然音が止んだ。そして何かを引きずるような音が聞こえてきた。
画面は雲の影が田んぼに映りこむくらいで殆ど変化が無かった。
音は次第に大きくなっていく。ざわざわというかぼそぼそというか人が話すような音も聞こえてきた。
そして、いきなり画面にそいつらは現れた。

ムジナに殺されたと町人みんながいうけれど…

 

田舎が茨城なんだけど、自分が子供の頃は夜になると街灯もなくて真っ暗だった。
都心に住んでた自分にとっては、恐い所って印象しかない。

そこの家から海まで歩いていけるんだけど、ルートがふたつあって、ひとつは田んぼの横の道、もうひとつは小さな山の雑木林を行く道。
雑木林の道はムジナが出るから、ひとりで歩いちゃいけないって言われてた。

ムジナってなあにって聞いても、そりゃムジナはムジナだわって答えしかしてくれない。
ただ、ムジナは人を騙すって言うのは聞いていた。

 

伯父さんって人は怠け者で、呑んだくれで毎日のように、
家から2km位の所にあるスナックに呑みに行ってたらしい。

夜遅くなっても( 10時とかね)、伯父さんが帰って来ない時があって、
そういう時は帰り道の何処かで爆睡してたらしい。

長男が自転車で伯父さんを探しながら、スナックへ向かう。
道の端っこで寝てる伯父さんを回収して帰る。
時々、近所の人が回収してきてくれることもあったそうだ。

ある日、いつものように長男出動したのはいいけど、
伯父さんは何処にもいなくて、とうとうスナックまで辿り着いてしまった。

 

スナックのママが言うには、7時頃には店を出た。
長男は取り敢えず駐在所に寄って、協力してもらうことにした。

駐在所だけでは人手が足りないという事で、市の警察にも協力依頼して大騒ぎになった。

伯父さんの家のある町の自警団も出動して、田んぼにはまっていないか、
雑木林の道の何処かで寝ていないかと探し回ったらしい。

この頃には、みんなムジナが出たって確信してたんだと。

夜が明ける頃、伯父さんは見つかった。
雑木林の道から250m位外れた所。

誰も行かないので、道すらないような所に古井戸がある。
知らない人の方が多いその古井戸が、いつまで使われていたのかも定かではない。

 

伯父さんはその枯れた古井戸に落ちて氏んでいた。

雑木林のある山はスナックから来ると、家を通り越して行く事になる。
古井戸への道はないし、真っ暗闇の中、辿り着くのは不可能だ。
何故伯父さんがそこへ行ったのか見当が付かない。

ムジナ説は確実となった。

伯父さんの死因は、古井戸の中に発生したガスによる中毒死で、怪我はしていなかった。
顔は土気色に変わり、身体の至る所に、ヒルがへばりついていたそうだ。

 

ムジナってのはアナグマのことだが、タヌキ、イタチ、テン、この辺の動物と明確な違いをつけてない地方が多い。
イタチのことをムジナと言って、タヌキと区別するところもある。
化かしたんだろうからタヌキのことをムジナと呼ぶ地方かね。

人を化かすムジナって、実在動物の方じゃなく妖怪の方だろ。

 

火車 – 地獄に魂を連れて行く妖怪

 

当時付き合っていた彼女の住んでいた部屋は 築年数もかなり経っていて安さ相応の場所だったのだが、そこに泊まりに行った時、隣人の声ではない不気味な声が聞こえてきて――

当時の彼女が住んでいたワンルーム。

安さだけで決めたというだけあって、壁は薄いし夏は暑くて冬は寒い。
おまけに築年数もかなり経っていて、トイレはお風呂場と一緒のタイプ。

玄関入ってすぐに狭くて細いキッチンスペースがあり、その先に8畳のリビングがあった。
角部屋だった為、外階段を昇り降りする音も聞こえてくる。

彼女はだいぶ図太い神経をしていたのか、全く気にならないと言っていた。
偽物ではない、本当にサバサバとした男友達のような性格に惚れて付き合っていたんだ。

とまあ、前提はこれくらいで。

俺も一人暮らしをしていたんだが、大学もバイト先も俺の部屋の方が近かったせいか、ほとんど俺の部屋で半同棲のような形で生活していた。
何度か彼女の部屋に遊びに行ったことはあるが、初めて泊まったのは付き合って二ヶ月くらい経ってからのことだった。

部屋に入るなり、彼女はうーん…とうなりながら、狭い部屋をパタパタと片付け始めた。
俺の部屋と比べたらかなり片付いている(というよりものが少なすぎる)のだが、彼女は気になるようで、せっせと俺がいられるスペースを作ってくれた。

話に聞いていた以上に壁が薄く、静かにしていれば隣の部屋のテレビの音も聞こえてきた。
当然、彼女もBGMがわりに見もしないテレビをつけて生活音を消していた。

お酒も入っていたので、狭いベッドに抱き合う形で布団に入り、その日は早めに眠ることにした。

慣れない布団で眠ったからか、夜中に目が覚めた。
彼女を起こさないようにベッドから降りて、小さなテーブルの上の飲み物に口をつけた。

ふと、誰かが呟くような声が耳に入ってきた。
彼女の寝言かと思ったが、どうやら違うらしい。
息を殺して耳を澄ませていると、その呟きが何を言っているのかが耳に届いた。

「出て行け…出て行け…」

小さく小さく囁くように、その言葉だけを繰り返していた。
鳥肌が立った。
彼女を起こして、コンビニに行こうと誘った。とにかく一度、この部屋から出たかった。
彼女はめんどくさいと言いながらも付き合ってくれた。

「なあ、隣の部屋の人、ちょっと変だって」
「ん?なんで?」
「ずっと小声で、出て行け、出て行けって囁いてるんだもん」
「あー。あの声か。貴方にも聞こえたんだ」
「どういうこと?」
「あれ、隣の部屋の人じゃないよ」
「え?」

俺自身、そのときまで幽霊やら心霊現象やら全く信じていなかったんだ。
でも、よくわからないんだけど、直感でこれは「そういうもの」だったのかと、ストンと腑に落ちて納得してしまった。

「部屋のものをちょっと動かしたり、たまにピシピシ音を鳴らしたり、視界にチラチラ入るくらいだから気にないのが一番だよ。何か言っててもテレビつければ聞こえないしね」

彼女の神経の太さに驚いた。
そして、自分の肝っ玉の小ささにも。

彼女がいる心強さを頼りに部屋に戻ってみると、声は何にも聞こえなかった。

「ほらね、気にしないのが一番だよ」

彼女はそう言ってベッドに入った。
だが、俺はテーブルの上に置いたはずのペットボトルが倒れているのを見て、もう二度とこの部屋には泊まらないと心に決めた。

怖さでまるで寝られなかったし、やっぱり声は聞こえてきた。
この日以来、変なものが見えたり聞こえたりするようになってしまったことが、一番洒落にならないことだと思っている。

図太い彼女は子供の頃から、そういうものを見たりしていたらしい。
だが、他人に話しても信じてはもらえないし、基本的には誰にも話さないで過ごしてきたそうな。
でも、共通の体験をしたせいか、俺には色々と教えてくれた。

彼女が教えてくれた話の一つをしてみる。

彼女の祖父が、高校生のときに亡くなった。
一緒に住んでいたので、当然お通夜も葬儀も自宅ですることになった。
親戚が何人も泊りに来て大変だったという。
お通夜の夜は、線香とろうそくの火を絶やさないように、交代で寝ずの番をするというので、彼女も親戚と一緒に起きていたが、どうにも眠くなり、交代してもらった。
二階の自分の部屋に行き、ベッドに入るとすぐにうとうとし始めた。

と、そのとき、窓がコツコツと叩かれる音に気付いた。

コツコツと叩き、またしばらくするとコツコツと叩く。

一緒の部屋に寝ていた従姉妹もその音に気付いたらしく、目を覚まして彼女に話しかけてきた。

「何の音?」
「窓じゃない?」
「おじいちゃんが来たのかな?」
「おじいちゃんなら家の中にいるでしょ。あれは別のもの」

彼女が素っ気なく答えると、従姉妹は真っ青な顔をして、彼女の布団に潜り込んできて震えていたらしい。

彼女は従姉妹を撫でながら、そのまま寝たが、何度か従姉妹から起こされたと笑っていた。

俺は鳥肌が止まらないし怖いし、彼女は笑っているし、なんだかよくわからなくなった。

「火車っていう妖怪。知ってる?」
「かしゃ?」
「生前、悪いことをした魂を地獄に連れて行くっていう妖怪なんだけどね」
「おじいちゃん、なんか悪いことをしたの?」
「そうじゃないよ。でも、あのとき来たのはそれに近いものだと思う。凄く飢えてるような、そんな感じだったから」
「なんか怖いな」
「あと、私は寝てて気付かなかったんだけど、夜中に一回、インターホンが鳴ったんだって」
「誰が来たの?」
「誰も」
「玄関開けたら誰もいなかったとか?」
「ううん。誰も玄関は開けなかったってさ。こんなときに来るようなのは悪いもんだ!って誰も出なかったらしいよ。流石、信心深い田舎の人だよね。あとインターホンの画像にも、何にも映ってなかったしね」

彼女の説明によると、最近のインターホンは押されると防犯のためか、自動的に録画する機能があるらしい。

「てことは?」
「インターホンが押されたのは事実だってこと」

また鳥肌がたった。

 

一反木綿 – 目撃情報

 

家の裏の農道を散歩中に空飛ぶ布を見た。
農道から田んぼをはさんで100mくらい先に住宅街があり、
その一番端の家の二階の陰から大きな白い布が出てくるのが見えた。

干したシーツが飛ばされたな。と思って見ていたら
そのシーツはゆっくりと空に登り見えなくなった。
見えなくなるまで30秒から1分?くらいだったと思う。
快晴無風の空をひろひろひろひろ渡るシーツはかなり不可解、でした。

 

一反木綿っぽいやつ俺も見たことある。
5月はじめにGWで帰省してた時なんだが、昼の3時頃1階のリビングでマターリしてたら
隣の畑の地面スレスレを布のようなものが飛んで行くのが窓から見えたのな。
大きさはTシャツ程度だった。だから最初は近所の洗濯物が風で飛ばされているのかとオモタ。
で、面白いのがその色なんだが、なぜか派手なピンク色!(だから気づいた)
そいつはまるで獣が走るように(スピードも犬が走る程度)飛んで行ったんだが、
畑を突っ切ると今度は家の裏の方に回り込んで行きやがんの。本当に自分の意志で動いてる感じ。
もちろんすぐ家を飛び出したんだがもういない。辺りをしばらく捜索したけどダメだった。
怖いという感じはまったくなくて、ただただ( ゚д゚)ポカーンっていう出来事。

水木しげるが描く一反木綿にもピンク色バージョンがあるけどまさにこんな感じの色。
ttp://ecx.images-amazon.com/images/I/512K7NZYK7L.jpg

その後いろいろ調べると今昔物語に似たような話あったんだが(巻27第4「赤い単衣の怪」)、
不気味なのが今昔でもそいつが「はへ飛びて」(=這い飛んで)いること。

動きは直線的だった。強いて言えばヒモで引っ張られてる感じ?
で、そいつが地面スレスレをはためきながら(シルクみたいにかなりなめらか)動くもんだから、
フサフサの犬が何かを目がけて走ってるようだったのね。
よくある一反木綿の目撃情報とは「色」「大きさ」「飛行高度」の点で異なるから別物なのかね。
ちなみに長野県某市。

なんだろうね?

 

森の道から現れた段々デカくなる女

 

夏休み、深夜に家の前にある自販機まで出かけようとした俺は、たまには他の飲み物を飲もうと思い立ち近所のコンビニに向かうことにした。その帰り道、 つい興味本位で街頭もまばらなうら淋しい場所を散歩した俺は、コツコツというハイヒールの音を耳にして――

あれは俺が中学一年の夏休み、8月も半ばをすぎた頃だったと思う。
宿題が殆ど手付かずだった俺も流石にマズいと気づいて、毎日夜遅くまで宿題をしてた。

その夏は熱帯夜が続いて、昼に用意してた飲み物もすぐに無くなるもんだから家の前の自販機でコーラを買うのが日課だった。
その日も夕立のせいか蒸し暑くていつも通り自販機に行こうとしたんだけど、毎日コーラじゃ流石に飽きるし気分転換も兼ねて徒歩10分くらいのコンビニに向かうことにしたんだ。
何事も無くコンビニでポカリと夜食を調達した俺は悠々と帰路についた。
時間はその時点で1時を回ってたと思う。

だけどただ帰るだけじゃ勿体無い。せっかくの夜の散歩だし、もうちょっとブラブラして帰ろうと思って、遠回りになる裏道を通って帰ることにした。

街灯もまばらで舗装もされていない薄暗い道は、幽霊はいないと公言してた俺でも何か出るんじゃないか、と思わせるには十分な雰囲気だった。

足もとに注意しながら暫くすすむと、前方の森の中へと入る横道からガサガサと物音がした。

 

もうその時点で逃げ出したかったけど、俺が逃げるよりも先に子供が飛び出してきた。
その子供は俺に気付かなかったのか興味が無かったのか、脇目も振らずに全力疾走で俺とすれ違った。俺はというと子供が見えなくなるまでマヌケな顔して突っ立ってた。

暫くして、また音が聞こえた。今度はハイヒールの足音みたいな
コッコッコッコッ
って感じの乾いた音だ。

ハッとして前を向いたら子供が出てきた横道から今度は女がでてきた。
さっきの子供の母親だと思った。
その時は。

(ただの親子が夜の散歩にでて、テンションが上がりきった子供が全力疾走で走り出したんだろう。俺も夏の夜のテンションに任せてわざわざ遠回りしてるんだ。気持ちは分かる。)
んな事を考えながら歩いてると、おかしな事に気づいた。

デカい。
女がデカい。

俺が一人でホームズのごとき名推理を繰り広げている間に、女が謎の成長を遂げていた。
具体的には当時の俺と同じくらいの160センチから一気に2メートル近くまで。
物凄く怖かったが、すぐに“みこし入道”という妖怪を思い出した。
近づけば近づく程デカくなるというアレだ。
生憎攻略法をぬ~べ~でマスターした俺の敵になるような奴じぁあない。
そう判断した俺は、自分の恐怖心を克服する為の第一歩を踏み出した。
今思うとそこで引き返せば良かった。

近づいていくと女の成長が止まった。
俺が怖がらなくなったからか、元々それが限界だったのかは分からないが、段々気が大きくなってきた俺は意気揚々と進んだ。
あくまで女と目を会わせないように俯きながら。
相変わらずハイヒールの音だけが響いている。

俺はそこでようやく気づいた。
なぜそれまで気づかなかったのか、舗装されていない地面は夕立のせいでぬかるんでた。

驚いた俺が女の足もとに目をやると、女はハイヒールどころか靴自体履いて無く、更にあろう事か距離を取ってすれ違おうとしてた俺に向かって進行方向を変えてきやがった。

それが決め手になって俺はコンビニまで全力で逃げた。
後にも先にもあそこまで本気で走ったことはないと思う。
暫くコンビニで時間を潰して家に帰る頃には随分明るくなってた。

結局新学期が始まるまでそれ以外には変わった事も無く、怪談話として友達に話したりもしてた。

翌年の夏、俺はまたあの女をみた。
見たといってもチラッとだけ視界の端にうつる程度だったし、気のせいだろうとタカをくくってたが、その次の年も、毎年女は現れ続けた。
俺がその存在に気づいて顔を向けるとスッと物陰に消えていく。
気のせいにしてはやけにはっきりと見えるし、俺以外の人間にも見えるみたいだ。
俺はそのうち女が現れる条件のようなものを見つけ出した。
夏の雨上がりの夜振り向くと出てくる。
だんだん気配みたいのもわかるようになってきた。

なので唯一の対抗策として、ここ二年程気配を感じても振り向かないようにしてる。
ただ、去年からあのコッコッコッコッって音が聞こえだしたんだが、もしかして近づいてきてる?

振り向いた方がいいのか?

 

マンドラゴラとまっくろくろすけを見た話

 

俺は霊とかあんまり信じてないんだが
所謂妖怪ってのはいると確信している
今まで俺が妖怪を見たのは人生で2回だけ
その内の1回をちょっと書いてみようと思う

当時俺は小学5年生だったかな?
祖父がガンで氏んでしまったので急遽東北のド田舎に帰る事になった
お葬式もなんなく終わって
大人は片づけがあるからお前は散歩してこいと言われ
祖父母の家の裏手にある山を散歩する事にした
この山は何度も遊びに来てるし慣れたもんで
迷う事なく一人で山をブラブラしていた
30分ぐらい山の中をうろうろしていると遠くに神社の鳥居が見えたんだ
そういえば いつも車の窓から山を眺めていると山の中に無数の鳥居が見えた
当時の俺は「何で山の中なんかにたくさん神社があるんだろー」って不思議に思ってたんだ

 

ちょうど山をブラブラするのも飽きたし
1番近い鳥居の方へ行ってみる事にした
鳥居の下までたどり着くと無数の階段が上の方まで続いていた
正直ここまで来るのにかなり疲れていたが
せっかく来たんだし1回拝んでから帰るかーと思いそのまま階段を上った
ようやく階段を上って辺りを見回すと
そこにはボロボロのお寺とは思えない建物があるだけ
「そりゃーこんな山奥に作ったらそうなるわなw」
と当時の俺は特に不気味に思う事なくそのお寺に近づいて1回拝んだ

拝んでいると神社の裏の方から水の流れる音がしたんで
裏手に回ってみると案の定細くてあんまり深くない川が流れてた
水遊びするにはもってこいの場所だ
「いいとこ見つけたわーw今度みんな連れてこよう!」とか考えて
一人で川に足突っ込んで遊んでた
そしたら川を挟んだ反対側に何やら動く物体が見えた
「うわー熊かな?やべぇ・・・どうしよ」とgkbrしてると
それはゆっくりと木の物陰から出てきた

 

なんて説明したらいいのか自分でも分からんが
調べた中で一番似てると思ったのはマンドラゴラ
ぱっと見た感じただの木みたいな感じなんだけど
たしかに歩いてるし下の根っこのような物が蛇みたいにくねくね動いてる
人間と同じぐらいのサイズかな?もしくはちょっと大きいぐらいで
4つ葉のクローバーみたいな形した頭があって口みたいなのがついてる
下半身は木の幹みたいな感じで
足には根っこのような物が無数についててそれが蛇みたいにくねくね動いてる

分かり辛かったらすまん・・・俺にはこれが限界だ
とにかくそんな見た事もない生物がたしかに俺の目の前にいて動いてる
勿論すぐに逃げて全力疾走で山を駆け下りた

 

家に駆け込んで
とりあえず姉と従兄弟に事情を説明した
そりゃーもう必氏になって見た事ない生物がいた!やばい!って
そしたら案の定大爆笑
姉は漫画に夢中で聞く耳持たないし、従兄弟は腹抱えて笑ってる
こうなったら実物を見せようと思って
姉と従兄弟を強引に引っ張って山の方へ連れていった
先ほどの鳥居まで行き階段を上がって神社の裏手に回り
物陰からバレないように覗くと奴はまだそこにいた

未だに文句を言ってる2人を神社の裏手まで連れていって
たしかにそこにいる見た事もない生物を指指して2人に見せた
もう2人とも唖然
それを見た瞬間従兄弟は口開けたまま動かないし
姉は「やばい!早く逃げるよ!」って言って真っ先に逃げた
俺と従兄弟もすぐに姉を追って家に逃げ帰った

 

いつの間にか恐怖感も薄れて
俺はとにかくワクワクしていた
だって見た事もない生物がたしかにいてそれを目撃できたんだから

姉に「明日も見にいこうよ!」と言うと
姉は「もう・・・行くのはやめよう」と言った
「あれはきっと私達の見間違い、風で木が動いてるように見えただけ」
と言ってそれ以来姉はあの生物の話をしなくなった
もう20年も前の事だけど久々にあの時の話を姉にすると
「もう忘れちゃった」とバレバレな嘘をつく

でも実は5年後ぐらいにまた一人であの場所に行ったんだ
どうしても見間違いじゃないって事が証明したくて
カメラを持って一人であの場所へ行った
鳥居は前と変わらずそこにあって
上へ続いてる階段を上がっていけば神社があるはずだった
でも階段を上がると視界を塞ぐ程雑草が生えてて前が見えない
神社がどこにあるのかすら分からないぐらい雑草が生い茂っていた
そしてやけにここだけ蜂が密集してて丸で神社を守ってるみたいに
無数の蜂がブンブン飛んで俺を威嚇していた
これじゃ神社に近づけない

 

でも普通に考えて
5年前までは雑草なんてまったくなかったんだ
ということは・・・誰かが管理してる
管理してる人があいつの存在を知らないわけがない
と思って近くの住民にさりげなく聞いてみた
「あそこの神社で前不思議な物見た気がするんですよー」って
そしたらあからさまに嫌な顔をして「もう近寄るんじゃないよ」って言われた
多分地元の人はあいつの存在を知ってるんじゃないかなと思ってる
でもどんなに聞いてもそれ以上は教えてくれなかった

以上

ちなみに全て実話です

 

もう1つは
たしか中学1年ぐらいだったかな

その日は学校が終わって当時1番仲の良かった友達と遊んでた
友達の家は一軒家で大きめの庭があり
当時はよくその庭で遊んでてその日もキャッチボールとかして遊んでた
だんだんキャッチボールにも飽きてきて
家の周りで鬼ごっこをする事にしたんだ
たしか俺が鬼で友達が逃げてて家の裏手の方まで来た時に
友達の家の裏手は物置?みたいな感じで
使わない冷蔵庫とか洗濯機とか色々置いてあってかなり狭い
俺が友達に「裏手はちょっと通りにくいから通り道作ろう」って言って
邪魔な物をどかしたんだ

 

2人で持てそうな物をどかして
最後にサーフボードをどかせばやっと人が通れる道ができる
それで2人でサーフボードを持ってどかした時だった
サーフボードの下に何やら動く物体が見えた
となりのトトロの真っ黒くろすけを想像してもらえばいいと思う
色は茶色で目とかはなかったと思う
最初はほこりの塊だと思ったんだけどそれは俺達に気づくと
物凄い勢いで動いて慌てた感じでぐるぐる回りだした
俺と友達は唖然として頭の中はパニック
そしたらその真っ黒くろすけみたいなのは
家の壁に向かって猛スピードでダッシュして
壁の隙間に吸い込まれるように消えた

 

妖怪ってのは案外身近にいると思う
真っ黒くろすけみたいな奴も本当にいきなり出てきたし
まさか東京にそんな生き物がいるなんて思わなかったよ
青森で遭遇した大きい奴は
山とかにいかないと会えないかもしれないけど
小さい妖怪は身近にいると思う
人間に見つからないように上手く隠れてるだけでね
死ぬ前にもう一度会えたらいいなー

 

妖怪ではなく神様の眷属かもしれないですね。

真っ黒クロスケみたいなのを見た友達の家はかなり裕福で
お父さんは20歳ぐらいに会社作ったとかで
おまけに成功して小金持ち
家も友達の中では1番広くて綺麗だったな
お母さんもモデル並みに美人だし友達もイケメンで性格良くてスポーツ万能
考えてみたら神様なのかもしれないな

 

竜神をぶん殴り、悪魔をいじめ、河童とかけをしたうちの婆ちゃん

 

守護霊は一人とは限らないってお払い屋だった婆ちゃんがいってた

上限はない。
ただそれは悪霊にも言えること、だそうだ

 

うちのばあちゃんは金取って祈祷とかする人ではないからそんな大勢が憑いた人は見たことないそうだ。
ただ聞いた話であれば185体の「何か」に取りつかれた男がいたそうだ

婆ちゃんは詳しく語ってくれなかった。
ちなみにその男は5人のお払い屋が一人37体ずつ「閉じ込めて」対処したらしい。

婆ちゃんいわく「わしに任せてくれれば一発じゃったのに」

 

なんでも肝試しと称して遊んでいたらあたりを引いてしまったんだとか。
婆ちゃんから肝試しはするなっていう教訓を教えるために語られたお話だったからな。
有名ではないスポットでも、そういう危険すぎる場所はあるってこと。

「有名なところはむしろ心配いらん、生きて帰ってきたものがいるのじゃから」と。

せっかくだから別のお話もしようか。

・竜神をぶん殴った話
・悪魔をいじめた話
・河童とかけをした話

面白いのはこれくらいだな

 

じゃあまず悪魔のお話から

近所の子供がこっくりさんやって悪魔を呼び出してしまった。
6歳の子供だったらしいが、

「人類に今まで起きた厄災の元凶は我なり」

ととても低い声で、世界恐慌とかスペイン風邪とかの話をこと細かく語りだしたそうだ。
そこでうちの婆ちゃんにおよびがかかった。
婆ちゃんは線香と苦い薬草(人体には無害)を数種類持って行った。
そして「本当に悪魔ならこの薬が飲めるはずだ」といって
いくつかの薬草を子供に飲ませ、嫌がった数種類だけを混ぜてすりつぶし、

「本当の悪魔ならこれくらい飲める」
「儂が前にあった悪魔は飲んだ」
「これを飲まないとキリストに勝てない」

とか適当にいって飲ませて、その子供が吐くまで続けた。
あとは線香の煙を使って悪魔の姿(大蛇だったそうだ)を作ればこっちのもの。
殴るは蹴るはで痛めつけて悪魔がねをあげると、家にあった三つの瓶を出して、

「これ以上殴られたくなければ3つにわかれてこの瓶に入れ」

といった。
いくら悪魔でもそれは無理難題。
泣いて許しを乞う悪魔に、婆ちゃんは、

・自分の三つの名前を答えること
・金輪際人間に取りつかないこと
・自分の命令には従うこと

を条件としてだした。
結果悪魔は三つの名前をばらしてその条件を飲んだ。
婆ちゃんは、

「よし、じゃあまずは3つにわかれてこの瓶に入ってもらおう」

とまたしても無理難題をいい、
悪魔がそれはできないといっても約束だからとその体を鉈で斬り刻み、三つの瓶にそれぞれ入れて蓋してお札をペタリ。
あとは名前を周りのみんなにばらして力を失わせて放置。

うんあんま面白くないね。
自分が聞いた時は大爆笑だったんだが

 

2話目
竜神のお話

とある金持ちの娘が竜神に取りつかれた。
その金持ちが沼を埋め立てたのが原因らしい。
その金持ちは霊能者に頼むのは金がかさむからと婆ちゃんに頼んだ。
正直自業自得だろと思ったらしいが、娘がかわいそうだと思った婆ちゃんは了承。
さていって見ると竜神がふんぞり返ってる。
最初は婆ちゃんも下手に出てお帰り下さいとお願いしていたが、祠を建てろ神社を建てろといってきたのでぶちぎれた。
掃除用具のはたきで娘さんから竜神を払いだすと線香の煙で姿を作って、その顔に一発拳を叩き込んだ。
若いころ素手で野犬の群れを返り討ちにしたこともある婆ちゃんの一撃を喰らい、竜神は面食らった。

「調子こくでねぇ!これ以上何だりかんだりいうんであれば天龍様御呼びしていいつけっぞ!」

竜神はそそくさとその家の縁の下に隠れた。
婆さんは家の者にはまた何かあったら天龍様を御呼びするといえばいいと教えて帰ってきた。

ちなみに天龍様なんて御呼びできるの?と聞いたら、

「弘法大師様が出来たんじゃから儂にもできるはず」

とのこと。

 

三つ目の河童のお話
婆ちゃんがまだ若かりし頃(20代)のお話。

婆ちゃんいわく河童には赤河童、青河童、黒河童の三種類がいるそうだ。
赤河童は顔が赤く、人前に姿を表さない。
青河童は一般的な河童で、人を溺死させることもあるが友好的な連中。
そして黒河童は頭でっかちで甲羅がなく、人を好んで食べてしまうそうな。

その黒河童が婆ちゃんの地元で暴れていた。
地元の自警団も手を焼く有様で、業を煮やした婆ちゃんが一人河童の住処の池へ向かった。
河童はよく相撲を仕掛けてくるが、黒河童にはお辞儀をさせてはいけないらしい。
黒河童は妖術に長け、その皿に人を乗せるという術を使うらしい。
なので婆ちゃんは河童に対して「石が水に浮くか沈むか」という掛けを持ちかけた。
河童は「浮く」方に掛け、沈んだら婆ちゃんのいうことを聴くこと、浮いたら婆ちゃんの命を奪うとした。
黒河童は妖術で浮き沈みを逆にできるので、石を浮かせることなど簡単だそうで。
だが婆ちゃんはそれを見越して浮石(水に浮く石)を掛けに使った。
妖術で浮き沈みが逆転した所為で浮石は沈み、掛けは婆ちゃんの勝ちとなった。
当然河童はそれに納得しなかったが、婆ちゃんがした

「悔しかったらこの水筒の中に入ってみぃ」

という挑発に乗って水筒に閉じ込められ、使われていない工場(河童が大嫌いな金気たっぷり)で解放されてお得意の肉体言語による説得を受け、無事に和解したそうです。
その後婆ちゃんはその河童から妖術と薬草に関する知識をあるだけ教えてもらったそう。
悪魔を追いだした時の薬草もその時の知識を応用したものなんだとか。

 

ツカイ – 死期を示唆する妖怪

 

祖父から聞いた話。

祖父達がまだ若い頃、ツカイ(漢字表記はわからない)と呼ばれる妖怪がいたらしい。
顔は人間っぽく真っ白で尻尾も無い。体毛は短く二足歩行もする。
多分アルビノ種の猿なんだろうって思ってるけど、祖父はそれを否定する。

ツカイが現れると死期を示唆するというのが、地元での言い伝えだった事と
戸締まりをしているのにも関わらず、家に安々と侵入して来る所と牙がある事からそう考えられるらしい。

ツカイは朝方に出没する事が多く、5時くらいに目覚めるとじっと枕元でこちらを眺めている。
ツカイを家で見かけたら果物なんかを差し出すのが習わしらしく、当時は高級であったみかんやりんごやバナナなどを差し出し、帰ってくださいとお願いする。

祖父と血が繋がっていない弟が、祖父が仕事で大怪我をしたという噂を聞いて家に泊まりに来た。
その夜、祖父の弟がツカイに噛みつかれてツカイをころしてしまったんだそう。
それからツカイは出なくなったし祖父の弟もその時は無事だったんだけれど、ツカイが氏んだという噂が広がり地元では大混乱。

 

ツカイに命を救われた恩があるという人もいるし、ツカイに母をころされたという人もいるし
祖父自身も脳腫瘍を患っていたと知らなかった母を病院へ連れて行って延命できた恩がある。
迫害を受け、引っ越しを余儀なくされた祖父は弟の家へ行く事になった。

関連があるかはわからないけど、それから程なくして弟に白斑ができるようになった。
命に別状は無いらしいけど90歳を越えた今でも白斑は残ってる。
特にオチもパッとしない下手くそな文で申し訳ないけどこれでこの話は終わり。

兵庫県の美方という地方の話。

 

七人ミサキ – 「あれに見つかってはいけない」体験談

 

これは、僕が小学校四年の頃に遭った体験です。
八月のお盆の頃、僕は家族で母方の祖父母の家に帰省していました。
祖父母の家は、岩手県の北上市というところに在って、北上川のすぐそばでした。
二階の窓から外を覗くと、堤防が良く見えました。
その出来事が起こったのは、家に着いたその日の夜のことでした。

僕は二階の部屋で寝ていました。
夜中の二時ごろです。
遠くから聞こえる鈴の音で僕は目を覚ましました。
どうやら外から聞こえるようです。僕はそっと窓から外を見ました。
堤防に誰かいる!?それも六,七人・・・。
全員白い服を着て、一列に並び、先頭の者が鈴のような物を持っていました。
ゆっくりと堤防を歩いているのです。
みんなうつむいている様でしたが、辺りを見まわしている様にも見えました。
暗くて顔は良く見えませんでした。
僕は怖くなり、急いで布団にもぐりこみました。

次の朝、祖母にそのことを話すと、祖母は顔色を変えました。

「彼らに見つからなかったか?」
「どうして?何なの?あれは」
「あれに見つかってはいけない。あれは浮かばれない霊たちがこの頃になると、自分たちの身代わりを探してさまよっているのだ。見つかればあの中に引きこまれてしまう。」

 

それはたぶん7人ミサキっていう悪霊だと思う・・・
7人ミサキは7人のうち1人でもなんらかの理由で成仏すると、その抜けた人数分、他の人を引き込むんだって。
というか家のばあちゃんは7人ミサキと目を合わすと絶対しぬと言っていた・・・

 

七人みさきの伝説

日暮れに七人の黒衣の「みさき(僧)」が現れ、鐘を鳴らして徳山の町を歩く。
見た者はしぬと言われ、女子供はさらわれるとも言われる。

親指を掌で握りしめていれば、出会っても無事である(山口県徳山市の伝説)。

通津の漁師たちが、漁場荒らしの二艘の船を見つけ、乗っていた七人をコロして岬に埋めた。
ところがその日から魚が取れなくなり、祠を立てて七人の霊を弔うと、もとのように魚が取れるようになった(山口県岩国市の伝説)。

 

この妖怪(?)最凶ですよね。
自分の中の7人みさきのイメージはかなりキツイんですが、首がもげかかってたり、
腕や足が取れてめちゃくちゃな所にくっついたグチャドロの7人分の人間の塊が暴走している感じ。
なんか「出会っちゃいけないモノ」って一番恐怖を感じるんですが。
そういえば前「アンビリバボー」で八丈島かどこかで七人の僧侶という話が出ましたね。
海で七人の僧侶が遭難して、やっと島に漂着したが、天然痘にかかっていた彼らを島の住人がサツ害した、という話。
それ以来島ではこの話がタブーになっている。
七人みさきの出所って、これですかね?
八丈島の七人坊主ってどこよ?
事の発端は1994年8月、八丈島の火葬場で身元不明の焼骨七体発見に始まる。
事件発覚後、この坊主伝説が脚光を浴びた。
元は江戸時代、七人の坊主が島に流れ着き島民に助けを求めたが、島全体が飢饉の最中。
島民達は坊主を見殺しにするしかなかった。
この様な伝説が残っています。
現在中之郷地区にこの七人坊主の墓が残っています。

 

「猫又」に出会った話 – しゃべる猫との不思議な話

 

8年前私が体験した話です。
大学を卒業して獣医師免許を取ったばかりの頃のお話。

私は大学附属の動物病院に勤務していた。
大学附属と言っても動物病院なんでそんなに大きい施設ではなかったが。
私の上司に当たる獣医師は、
「獣医師業務は慈善事業でも、野良犬・野良猫の保護でもない。
そのへんにいる動物を片っ端から助けていたら破産する。ただでさえ給料が少ないのだから利益をいかにして出すか。獣医師はビジネスだってことを忘れるな。」
そんなことを常日頃から言っている人だった。
何となく大沢たかおに似ていたため以下大沢とする。

大沢は私の10歳年上の所謂中堅ポジションとして病院では活躍していた。
「獣医はビジネス」という考えが理解できなかった私は大沢が大嫌いだった。
しかし、それが病院の理念でもありほとんどの獣医師がその理念のもと働いていた。

もともと動物が好きで獣医師を目指してきた私にとっては
病院が掲げるその理念は衝撃的であった。
もちろん動物が好きなだけではこの仕事が務まらないのもわかっていたし、
獣医師は法律上人間のために存在する資格であることもわかっている。
しかし、私の中での獣医師像とはかけ離れた「ビジネス、利益至上主義」のその病院のことは、
どうしても好きになれなかった。

例えば、治療で使う抗生物質一つでも、より高価なものを選択する。
考えてみて欲しい。
自分がとても可愛がっている家族同然のペットが、
大きな病気やケガをしたとき藁をもすがる気持ちで、
少しでもいい治療を受けられるよう病院に連れてきたのに、
必要のない薬や高価な薬を勝手に使われ高額な医療費を請求される。
飼い主さんにとっては「ただこの子を助けたい」という思いだけなのに、
そんな気持ちを踏みにじるような治療内容であることも少なくはない。

私はそんな動物病院の体制に嫌気がさしていた。
もうこの上司の下ではやっていけない。
こんな仕事やめて、ボランティア団体に行ってみようか。
最初はとにかく辞めたくてしょうがなかった。

そんなある日の深夜、一人の老婆が訪れた。
19歳になる猫の様子がおかしいので連れてきたと言うのだ。
猫は可愛らしい顔をしたアメリカンショートヘアー。
診察の結果腎臓が悪く、急に昏睡状態に陥ったようだ。

私はその日経過が気になる犬がいたので徹夜で様子を見ていた。
獣医は私と大沢の二人。
大沢はあからさまに嫌な顔をしていた。
仕方がないので私が診察に当たり、現在の状態を説明。
「詳しい検査もあるので今晩は預かります。詳しく検査をしてみないと
今後の治療方針も決まらないのでまた明日、お迎えに来てください」
と老婆に告げた。
老婆は分かりましたとポツリと言い残し去っていった。

翌日猫は未だに昏睡状態。
詳しく検査した結果、腫瘍が全身に広がっていることが発覚した。
おそらくひどい痛みに耐えていただろう。
腎不全のため心臓も弱っていた。
19歳という年齢も考慮して、痛みを最小限に抑えてあげて、
お家で飼い主さんと最期の時を過ごしてもらうのが最善だろうという結論に至った。
そのことを老婆に告げると、色々準備をするのでもう一日預かってくれと言われた。
私は快諾した。
その日の夕方猫が目を覚ました。
痛々しい姿ではあるが飼い主を探すような仕草をして「ニャーン」と鳴いた。
私はひと安心し自宅に帰った。

翌日休みだった私は夕方まで寝ていた。
すると大沢が大声で怒鳴り電話をかけてきた。
何事かと聞いてみると、なんでも猫の飼い主と連絡がつかないらしく
治療費を踏み倒されたらしい。
最初に名前と住所と電話番号を書いてもらっていたのだが全てデタラメだったのだ。
まあ珍しいことではないんですがね。

とりあえず明日まで待ちましょうと言い電話を切った。
翌日出勤してもまだ猫のお迎えは無かった。
大沢は「無料で治療は出来ない。可哀想だがこのまま投薬をやめて死ぬのを待つしかない。」
と言っている。
私は猫の顔を見ていると何だかとても悲しい気持ちになった。

「私が看ます!」

勢いで言ってしまった。
今考えると、獣医師としてのプロ意識が足りないと思うし
正直考えられない行為だ。
なんでそんなことを言ってしまったのかわからない。
でも何だかこの猫を見捨てることがどうしても出来なかったのだ。

その日から、私は仕事以外の時間を全部猫の面倒を見るために使った。
数日間は病院に入院させてもらい、
病状が落ち着いてから家に連れて帰り点滴、投薬をした。
とにかく痛みを取り除くために手を尽くした。

 

そんなある日、仕事が終わり家に帰るとなんと猫が立ち上がっていた。
病状は改善はしないものの痛みが和らいだため、
動くことができるようになっていたのだ。
餌も柔らかいものなら食べられる。
一安心だ。あとはこの猫のそう長くはない余命を、幸せに全うさせてあげよう。
そんなことを思っていた。

次の日私にとって忘れられない体験をすることになる。
事前に言っておくが、これは色々な人に話しても誰も信じないし、絶対にありえない。
お前人間の病院に行ったほうがいいぞと言われるほどブッ飛んだ体験だった。

 

簡潔に言うと、猫が喋ったのだ。
帰ってすぐ電気もつけずに「ただいまー。具合はどうだい?」と何となく話しかけた。
すると猫が「腹減った」っと言ったのだ。
私は耳を疑った。「え??喋った?」
猫は続ける。「腹が減った」
私はびっくりして言葉が出なかった。
それから猫は良く喋るようになった。

 

猫は飼い主のこと、猫の気持ちなど色々な事を喋った。
不思議だったのが、私の知らない病院内の事情を教えてくれること。

それは決まって寝るとき電気を消してから一方的に喋るのだ。
私が話しかけても返事はない。

「あの婆さんは俺がいらなくなって捨てたんじゃない。
生活に困っていて俺を助けるために捨てたんだ」
「お前の上司、実はそんなに悪い奴じゃないぞ。よく見てみろ」
「俺たちに餌をくれる女。病院でタバコ吸ってるぞ」
「病院にいた毛の長い猫。あいつは気に入らない」
「病院にいた犬。あいつは元気になる」
「お前がくれる餌はマズイな」
「人間が思ってるほどまたたびは好きじゃない」

 

特に病院スタッフの話はよくしていた。
この時は大沢がいいやつなんて半信半疑で
「あんな冷血漢になんでこんなに肩入れしているんだろう?」ぐらいにしか思わなかった。

中でも女性スタッフの院内での喫煙は大問題になった。
猫が言っていたことが本当なのか確かめたくなり、
翌日こっそり女性スタッフをのぞき見してしまった。
すると個室に入ったスタッフは本当にタバコを吸っていたのだ。
彼女は10年近く働いている、所謂お局さん。
私なんかが指摘したら後の仕打ちが怖い。
とにかく上司に報告し注意してもらった。
酸素を使っているのも知っているはずなのに、一体何を考えているのか。
それから程なくしてお局さんは辞めた。

 

それにしてもよく喋る猫だ。

時には私の悩みを見透かしたように

「そんなに背負い込むな。俺らはお前が思っているより強い」
「可哀想なんて思うな。俺らは幸せだ」
「人間はいつも忙しない。そんなに急ぐな」
「気まぐれで俺らを助けるな。氏んだ方が幸せな奴らだっている」
「現実が残酷なのは当たり前だ」
「上司をもっとよく見ろ。お前はアレみたいになりたいんじゃないのか」
「お前は何も知らないんだな」
「知識だけで分かった気になるな。目に見えないものもある」
「目に見えないものこそ今のお前には必要だ」
「たまには気晴らしに散歩でもしてこい。散歩はいいぞ」

 

猫は私の事をよく知っていた。
人の嫌な所ばかり見て、
自分の理想を追いかけ、現実は残酷だと嘆いているだけ。
この日ばかりは電気を消したまま、酒を飲んだ。

そしてそれから数日後猫は息を引き取った。
最期はとても安らかであった。
猫は亡くなる前日の晩
「世話になった。ありがとう。幸せになれ」と一言言った。
私は涙が止まらなかった。
たった一週間ほどの時間が私にとっては人生を変える時間となった。

 

当時の私は自分の理想とする獣医師になりたかった。
小さい頃から夢見ていたただひたすらに優しい獣医師に。
しかし、現実は甘くない。
一匹一匹の患畜に感情移入しすぎる私に大沢は

「プロ意識を持て。全ての動物を救えるなんて思うな。動物は人間とは違う。
病気になって病院に連れてきてもらえる動物なんてひと握りなんだ。
動物が病気になったから獣医に連れて行くのが当たり前だなんて思うなよ。
昔よりはだいぶマシにはなってきたが、未だに動物にそんなにお金をかけるなんて考えてない飼い主は多い。
人間にとって動物は所詮動物だ。どんなに俺らが頑張っても無責任な飼い主は減らない。
だから虐待されたり、捨てられたりする動物も減らない。それを全部助けようなんて一生かかったって無理だ。
俺だってできる限り助けたい。でも治療費を払うのは飼い主だ。ペットの生き氏にを決めるのは飼い主なんだ。」

と悔しそうに言っていた。

 

猫の言っていた通りだった。
大沢はよくわかっている。
死と向き合うことから逃げていたら一人前の獣医にはなれない。
私は覚悟を決めて動物の死と向き合わなくてはならなかった。

それから私はがむしゃらに働いた。
時には心を鬼にしなくてはならないこともあった。
猫が亡くなって数ヵ月経った頃、
心疾患で子犬の頃からうちの病院に通っていていたシーズー犬がいた。
6歳だった。
ある日飼い主は頻繁に起こす発作に耐えられなくなり
「こんなに苦しむなら安楽死させてやってくれ。終わったら連絡して下さい」といい
承諾書にサインをし、病院に犬を置いていってしまった。
私はやるせない気持ちでいっぱいだった。

 

安楽死させる直前、大沢は犬に話しかけていた。

「人間は自分のエゴで動物を飼う。今まであんなに可愛がっていたのに
氏に目には会いたくないという。
勝手だな。でも俺はお前をコロさなくちゃならない。仕事だから。
俺じゃ役不足かもしれないが、最期まで見ているぞ。
お前は病気に負けず精一杯生きた。楽しいことよりも辛いことのほうが多かったかもしれない。
助けてあげられなくてゴメンな。もう頑張らなくていい。次は人間に生まれてこい。美味い酒でも飲みに行こう。絶対だぞ。約束だ。」

大沢は優しい顔をしてそんなことを言っていた。

 

病院では泣いてはいけない。
私の不安は動物にも伝わる。この犬の最期の瞬間、不安な思いをさせてはならない。
私は涙をこらえて薬を注入した。
犬は安らかに逝った。
飼い主は遺体を迎えに来ると大声で泣き出した。
すると大沢は「あなたに泣く資格なんてない!」と声を荒げた。
私にとって初めての安楽死であった。

以上が私が体験した不思議な話だ。
母、父、妹、友達皆笑って「うそだーww」とバカにする。
しかし大沢だけは笑わなかった。

「そんなこともあるんだなあ。猫又とはよく言ったもんだ。
動物は俺らなんかよりずっと人間の本質を見抜いているのかもしれんな」

と言っていた。

 

後日談。

二年程前、大沢は「独立する。お前もついて来てくるか?
ついでに結婚してやってもいい。お前はどんくさいからな。このままじゃ行き遅れるぞ。」
なんて笑いながら言った。

今は結婚し、開業しました。
相変わらず生活はカツカツですが、大沢と私と猫一匹の三人で幸せに暮らしています。
大沢は「15年経ったらこの猫も喋るだろう。もし喋るとき苦労しないように、
色々な言葉を教えておこう。また会いたいな。猫又」と言いながら毎日猫に話しかけているが
一向にしゃべる気配はありません。

 

こんな話誰も信じてくれないし、私の夢だったのかもしれません。
でもあの猫との出会いは私の価値観を大きく変えてくれたのも事実です。

今回妊娠が発覚し、新しい命を授かりました。
あの猫が教えてくれた事、大沢が教えてくれた事をしっかり胸に刻み、
これから生まれてくる新しい命と向き合っていきたいと思っています。

 

この猫は本当に不思議な猫でした。まあ喋ること自体不思議なんですが。
まず、猫が言っていることがでたらめではないんだと思った言葉が、
「お前のくれる餌はまずいな」と言われたときでした。ピンときました。
もうほとんど経口摂取はできなかったんですが、
柔らかいものを少し無理やり与えていました。
その餌というのが、腎臓に疾患のある猫専用の餌でした。
猫は腎臓を患いやすい動物ですが、やはり多少なりとも人間の食べ物を食べていた
猫の方がそのリスクは跳ね上がります。もちろん個体差はありますが。
あの猫はグルメだったんですね。
「まずい」と言ってからは一切口にしませんでした。
性格的にもとても強情な猫でした。
私が診てきたアメショの中でとても珍しい性格でした。
一般的にアメショは活発で甘えん坊な子が多いのですが、意地っ張りというか
頑固というか、何だか祖父と一緒にいるような感覚に陥りましたww
やはり貫禄がありましたね。

 

鍾馗 – 神様に化けて掛軸に住む妖怪

 

鍾馗(しょうき)は、主に中国の民間伝承に伝わる道教系の神。
日本では、疱瘡除けや学業成就に効があるとされ、端午の節句に絵や人形を奉納したりする。また、鍾馗の図像は魔よけの効験があるとされ、旗、屏風、掛け軸として飾ったり、屋根の上に鍾馗の像を載せたりする。
鍾馗の図像は必ず長い髭を蓄え、中国の官人の衣装を着て剣を持ち、大きな眼で何かを睨みつけている姿である。

鍾馗

 

小学校低学年の頃の話

お盆の頃、うちの両親に用事があって、オレはじいちゃんの家にしばらく預けられることになった。

じいちゃんの家はド田舎、周りは山ばっかで遊ぶトコがまったくないような辺境地帯にあって、
じいちゃんはそんな辺境のド田舎でばあちゃんと一緒に暮らしていた。

最初、両親と離れて暮らすことに不安があったんだけど、時期に慣れて、
慣れたら慣れたで、田舎生活は案外楽しかった。

ただ怖いこともあった。夜になると、ほんとに周りが真っ暗になるんだ。
これが怖かった。だから、オレは夜になると、絶対にひとりになりたくなくて
いつもじいちゃんとばあちゃんの近くにいるようにしていた。

じいちゃんもばあちゃんもその辺りは察してくれてたみたいで、
ひとりきりって状況になることはなかった。風呂はじいちゃんと一緒に入ってたし
寝るときは、じいちゃんとばあちゃんがオレを真ん中になるように布団を並べて
一緒に寝てくれた。

ある日のこと、オレはいつものようにじいちゃんとばあちゃんと一緒に寝ていた。

バサッと布団がめくれる音がして、オレは目を覚ました。目を横にやると
じいちゃんが起き上がり、そのままソロソロと部屋を出て行ってしまった。

 

(トイレかあ……)

じいちゃんの足音はトイレに向かってるのはわかる。
蛍光灯の薄明かりの中、さて寝ようかと布団を被ろうとしたとき、
床の間に飾ってあった鍾馗さまの掛け軸が目に入った。

ギョロリとした鍾馗さまの大きな目が動き、オレを睨みつけた。
その目の迫力に思わず身体が固まると、今度は掛け軸から毛むくじゃらの太い腕が
オレの頭のトコまで伸びてきて、手に持っていた刀の鞘でオレの頭をポカリと叩いた。

ここまで来るとオレも限界で、「うわああ!」って大声を出して
布団から飛び起きてしまった。

「なんだ!どうした!」

バタバタと音がして、じいちゃんが大急ぎで部屋に戻ってきてくれた。
ばあちゃんも何事かと大慌てで飛び起きて、部屋の明かりを付けてくれた。

オレはじいちゃんとばあちゃんに事情を説明した。
床の間の鍾馗さまに頭をポカリと頭を叩かれたと

「ああ、わかった。ちょっと待ってろ」

じいちゃんは床の間に飾ってある掛け軸を床の間から外してくれた。
オレは怖くて仕方なかったから、じいちゃんが床の間の掛け軸を片付けてくれている間、
ずっとばあちゃんに抱っこしてもらい、絶対に床の間を見ないようにしていた。

片付けが終わった後、オレはじいちゃんとばあちゃんと同じ一緒の布団で寝ることにした。
怖ったけど、眠気には勝てなかった。オレは直に眠ってしまった。

 

次の日、じいちゃんはえらく怒っていた。

「〇〇(オレの名前)の大事な頭を叩くなんて許せん!懲らしめてやらんといかん」

じいちゃんはそう言って、オレを庭に連れてきた。
庭には、ばあちゃんがいて、小さな七輪に火をくべていた。

「〇〇はソコに座り」

じいちゃんはオレが縁側に座るのを見ると、家に戻っていった。
しばらくして戻ってきたじいちゃんは手にフライパンとクルクルと巻かれた
掛け軸を持っていた。

「〇〇、ようみとき、じいちゃんがこらしめてやるからな」

じいちゃんは庭に出て、七輪の上にフライパンを置くと、
フライパンの中に刻んだ鷹の爪を放り込んだ。

燻され鷹の爪からモクモクと黒い煙が立ち昇ると、
じいちゃんは手に持っていた掛け軸を立ち昇る煙の中に入れた。

 

コホン…コホン…

掛け軸から小さな音がした。なんか咳みたいな音だった。
立ち昇る煙が勢いを増し、猛々とした黒い煙が立ち昇るのに合わせて
ゴホッゴホッ!と咳みたいな音も勢いを増していく。

突然、丸めた掛け軸がプルプルと上下に小刻みに震えて、
掛け軸の穴から細長い灰色の毛をした生き物みたいなのが出てきた。

それがポトリとフライパンの上に落ちると、ビョンと飛び上がって
大慌てでどこかに行ってしまった。

「〇〇、今の見たか?」

じいちゃんが縁側に座るオレを見た。オレは首を何度も縦に振った。

「イタチがイタズラしにきたんよ、もう大丈夫、これに懲りて二度と来んよ」

じいちゃんは立ち上がって、ヒュルヒュルと掛け軸を開いた。
そこには、二匹の鶴と赤い日輪があった。

「鍾馗さまに化けようなんて、罰当たりなイタチやな、だからこんな目に合うんだ」

じいちゃんはそう言って、ばあちゃんと一緒に笑ってた。
オレはというと目の前で起きた出来事があまりに不思議だったんでポカーンとすることしかできなかった。

今では懐かしい話、細かいトコは忘れてるけど、大体こんな感じの出来事だった。

 

三匹の妖怪に助けてもらったら

 

発端は夢からだった。
と言ってもほんのり程度だから、何があったわけではないが・・・。

夢は夜の世界で、妖怪が毎夜お祭りをしている場所を、散策しているものだった。
私はちょっと見つかりたくない妖怪が近くに居る事を感じながら、通りすがりの
子供の姿をした三人の妖怪に声をかけた。

一人は全身赤い肌で模様があり、ザンバラの長い髪で、目つきは鋭い。
一人は、着物を着て、子供の天狗のようなすがた。顔は可愛かった。
一人は、黒っぽい着物を着て、はっきり姿は観察していなかったのでおぼろげ。

私は天狗に似た子供に、視界に入った木の枝を指して、選んでくれるように依頼した。
子供は快諾して、枝に生える葉っぱを示す。
私は夢で、その葉っぱを取って、口と言葉を清める行為をとる。
その夢から醒める直前、文字が視界一面に広がった。

「薄いご飯を三度作って」

薄味の食事を三度、供えるのだな・・・と夢現に受け止めて・・・・。
起きたらそれは夢として処理したが・・・。

 

ちょっとお世話になった人に、話のネタ的に、その夢の話しをしたところ
「小さい子・・たしかに付いてるね。三度の食事は・・・見返りでしょう」
驚いた。
夢だと思って、それだけの話に受け止めていた。

私は、その頃仕事が忙しく、一月先の休みの日に食事を作ろうと決めて
その人に話すと「早い方がいい」と言われてしまう。
「長居すると、離れなくなるよ。悪いものではないけど、いいものでもないから」
早速三日後に決行。

三度を三品に(多少時間差をつくり)して、作り始めると
我が家は家族同居で何時もは皆か誰かが自分以外に在宅しているのに
食事を作り始めて、完成して供え終わり、私がその残りを食するまで
私以外の家族全員・・・・様々な事情が重なり外出してしまっていた。

一人で静かな中、黙々と料理を作っていたわけだが・・・・。
夢の中とは言え、今度から安易に頼みごとをしないようにしようと、決めた一件の話。
勿論実話。

 

その後の話なんだけど・・・。実は、見つかってしまったよ。

そう、助けられたんだよね。でも、人じゃないものに安易にお願いしちゃうと
見返りを求められることもあるという、そう言うのを教えられた一件かな。
簡単に実現出来るものでよかった・・・。

 

天狗の怨念

 

じいちゃんに聞いた怖い…かわかんないけど…
話を晒してみようと思う。

地元はH県にあるど田舎で、
中学校より高い建物なんて全くない場所だった。
わりと昔から人が住んでいたらしく、
△△民話伝っていう本が図書室に置いてあったのを中一の俺は見つけた。
古い古い文章を現代語訳したものらしい。
こんな、しょっぱくてつまんなそうな本だれが目つけたんだよw
とか思いながらそれを読んでみた。
だが内容は、俺の思っていたものとは違った。
もっとつまらない、年寄りの武勇伝みたいなのとか、
戦時中の様子とかがだらだら書いてあるだけかと思ってたんだが、
書いてあったのは妖怪とか神様とかが出てくるような話ばかり。
そのころクラスで怖い話が流行ってたんで、
ここにあるそういう話持って帰ってやろうと思い本を借りた。

家で読んでいると、俺のじいちゃんが声をかけてきた。
「おお、それ、読んどるんか。天狗様の話あるじゃろう」
と言ってきた。
まだ読み始めたばかりだったので
何言ってるのかいまいちわからなかったが、
確認するといちばん最後の話は天狗の話だった。

なーんだ天狗って、よくある話じゃん。
と特に興味もなしに
「ああ、あるねー。」みたいな適当な返事をすると、
じいちゃんは隣に腰かけて話し始めた。
(ここからの会話は具体的には覚えてないから、要点をそれっぽくして書くわ)

なんでも、天狗が出たのは俺の家のすぐ隣にある山。
川とイチジク畑を隔てて、窓から見えるN山だ。

 

そこに、天狗は天狗でも子天狗がいるらしい。
大天狗の話からしようか。

N山の大天狗は大昔から気が荒く、
ちかくのM湾がよく氾濫していたのはそいつのせいだと考えられていた…
というか、天狗のせいだというのは
ある種の固定観念のようなものだったらしい。
村人全員が盲目的に信じていた。

そしてある夏、
今までとは比べ物にならぬ程の大洪水が起き、
稲やらなんやらが全部流されてしまった。
そのせいで年貢が払えず、
慕われていた庄屋さんが都へ連れていかれる事態となってしまったそうだ。

村人は怒り、となりの村から腕のいい僧を呼んで、
山に火を放った。
林業や猟をしていた人も多かっただろうし、
生命線の山を焼くなんてと思ったが、
村人たちはもう後に引ける状態ではなかったのだろう。
作戦はうまくいった。

天狗はその翼に火傷を負い、
落ちてきたところを村人に処刑されてしまったそうだ。
いつ頃の話かはよくわからないが、
年貢という言葉がでてきたから多分江戸だろうな。
ここまでが、あの民話伝にあった話。

 

ほんとうに怖いのはここから。

天狗の話なんてしってる子供がいなくなった、
戦後のある年の夏。
N山に行った小学生男子数名が、
夜になっても帰ってこない。
当然大捜索…といっても町の人たち駆り出して
山とか川とかを探す程度だが、懸命に探された。
そしたら見つかった…ずっと遠くのN川中流で。
不思議なのが、気を失ったその子たちはカエルの上半身にまみれてたこと…。

その事件のあと、似たような事件が続いた。
夜のあいだに漁船に大量の鳥の糞がたまってたり、
カラスが小学校の正門にずらっと並んだり。
こんなのが一か月ほど続いた。
いつのまにか、天狗の噂が流れていた。
処刑された天狗の、怨念だ  と。

決定的になったのが、
町のJ寺の目の前で起きた事件。
田んぼのあぜや用水路に
大量の山菜や果物が積まれ、
水がつまってあふれ出ていた。
周囲には鳥の羽。

その寺の住職は調査に乗り出した。
山や犯行(?)場所をまわり、
人々に聞き込みをしてみたり。
代替わりしたばかりだったらしいから、
伝承のことをしらなかったんだろうな。

結果、N山の大天狗の話に行き着いた。
ここから先はよく覚えていない。
じいちゃんに確認しようにも、もう聞けない。
住職が特殊な方法で子天狗の魂?をひきよせ捕らえた、
みたいな話だったとうろ覚え。
だが最期の子天狗についてのじいちゃんの言葉は鮮明におぼえている。

 

炎に焼かれながら、子天狗は
カラスと人の断末魔を足して二で割ったような叫び声をあげた。

そして周囲の、じいちゃん含む町民をにらみながら息絶えた。

その場に居合わせた者は皆、山で行方不明になったそうだ。

うちのじいちゃんも、認知症が進んだころ山へ散歩に行ってから
帰ってこない…。

 

海のリゾートバイト先で『肉』と呼ばれる妖怪

 

海沿いのリゾートで1年間のバイトをしたときの話です
敷地内に広い散策路があり、水場やアスレチックスもあるため、夜間は酔っ払い客や不法使用者の侵入が絶えない場所だった
実際大小事件はあったが、オーナーと地元が箝口して表沙汰にはならなかったらしい
くまなく一周すると二時間はかかる敷地を社員やバイト、警備員の夜勤担当の二人組が交代で見回る事になっていた
事前に敷地内に現れる肉と言われる化け物について説明があった
最初に会った一度だけ、体調を崩すらしい
他に特に害はない
絶対に口外しないことと約束を交わし、就業契約となった
肉については他に誰も詳しくは教えてくれなかった
俺は巡回開始後二日目にして早くも肉を見た

 

先輩と遊歩道を歩いていると、懐中電灯の照らす先に唐突に現れた
先輩は
あ、肉だ 避けろ
といって俺を引っ張り道を外れた
肉は、幼稚園生程度の身長で、何も着ていない
肌色で、ずんぐりむっくりしていた
頭と首と胴体の境目がわからず、皮がダルダルに伸びており、目も鼻もわからなかった
かろうじて口のようなものは見えたが、人間で言うところの腹のあたりに位置しており、異常だった
手足ははっきりしており、非常に短く肘や膝の区別がつかなかったが、ピョコピョコとゆっくり歩いていた
俺達には気づいており、すれ違い様に一瞥したように見えたが、そのまま通りすぎていった
非常に甘い臭いがした
先輩は
あれな、あれが肉だよ
お前明日から寝込むぜ
と笑って語り、翌朝すぐに主任に連絡してくれた
俺は三日シフトを外れ、休暇を取らされた
翌日帰宅後昼より酷い発熱と下痢が起き、二日ほど何も食べられず寝込んだ
噂は本当だった 冷静になったあと俺が一番恐れたのは何かウイルスにでも感染したのではないかということだったが、後日病院で調べてもらったところ何も出てこなかった
バイトは予定通り1年間続けたが、肉を見たのはあの一度きりだった

以上です
そのバイト先ではもう当たり前のような存在で、皆慣れたものでしたが、俺は非常に恐怖した
初回のみ体調を崩すというところが引っ掛かり、一時感染症恐怖症と診断され心療内科にも通院した
今は何事もなく元気だが、なにしろ怖かった
おわり
ぬっぺふほふまたはぬっぺっぽうは、
『画図百鬼夜行』や『百怪図巻』などの江戸時代の妖怪絵巻にある妖怪。顔と体の皺の区別のつかない、一頭身の肉の塊のような姿で描かれている。

ぬっぺふほふ

 

天狗伝説

天狗がちょくちょく現れるという寺がありました
天狗の招待はムササビでした。
昔の明かりは油に火をつけたものでその油をなめにきたムササビが引火して
火事がちょくちょく起きました。
ムササビをコロしたいでも仏籍あるものが殺生できない、ではどうする?巣になる木を切りたい。
いやいやでも御神木だ。さて困りました。
僧正(その寺で一番位が上)になりゃ自分でルールきめていいんじゃね?と思った下っ端小僧が修行に修行を重ねついにトップになり御神木を切り倒し以降火事などのトラブルになることなく平穏に尾までも寺は継承されている
天狗=ムササビ

 

 

人間のようなカモシカのような異形と出逢った話

もう5年ほど前の事になるが、十月の第三週頃、
北八甲田の城ヶ倉大橋でおかしな体験をしたことがある。

城ヶ倉大橋は城ヶ倉渓谷の上空122メートルに架かるアーチ橋で、
橋の上から真下の渓谷を覗き込むと、ブナやダケカンバの美しい紅葉を見下ろす事が出来るんだが。
当時はまだドローンのような物は一般的ではなくて、
景色を真上から見下ろす事は簡単に出来なかったから、
面白いアングルの風景写真が撮れる貴重な場所でもある。

確かその日は、早朝から天気も良く、
八甲田ラインをめぐってブナ林の黄葉を撮った後、
午後も遅くなってから城ヶ倉大橋の上から写真を撮っていた時だったと思う。
だいぶ日が暮れかかってきたころ、真下の渓谷を見下ろしていると、
人が一人、渓谷沿いの登山道を上流から下って来るのが見えた。

四つ足の獣と違って人間は二足歩行だから、真上から見ると頭の部分しか見えなくなる。
なので、今ひとつ判然としないのだが、
とにかく白髪交じりの初老の男性のようで、髪の毛はあった。

で、カメラを向けて200ミリの望遠越しにファインダーを覗いていたんだが、
その内にふっとその人物が真上を見上げて、こちらと目があった。

目があったんだが、よく見るとそれは人の顔ではなかった。
というか頭が人間のそれではなく、何と言うか面長のカモシカのようで、
黒白の剛毛に短い二本の角のような物が突き出ていた。
まあ、とにかくそんな風に見えた。

驚いてファインダーから目を離した瞬間に、被っていた帽子が落ちてしまい、
あっと言う間もなく谷底から吹き上げた強い風に煽られ空高く舞い上がって、
橋上の道路にストンと落ちた。
急いで帽子を拾ってもう一度覗き下ろすと、さっきの人(カモシカ?)がいない。

きょろきょろしていると、だいぶ下流の方に動いて行く黒い姿が見えたので、
反対側の橋桁に移動して覗き込んだが、もう何も見えなかった。
しばらくして日が落ちると、谷底は完全に闇に包まれて後は何も見えなくなった。

結局、あれがなんだったのかは良くわからん。

日が暮れかかっていたので、ただの人を見間違ったのかもしれないし。
何かの面をかぶっていたとか、あるいは本当にカモシカだったのか。
その時は、錯覚か見間違いだと思って大して気にも止めなかったのだが、
今思うと不思議なものを見たように思う。

キジムナー

十数年前に修学旅行で沖縄へ行ったらキジムナーらしきものに遭遇した
遭遇した場所は大きなガジュマルの木が目の前に植わっていたリゾートホテルの部屋
深夜にシャワールームから水音がして目を覚ましてつい「誰?今から風呂?」って毛布にくるまったまま声を掛けた
そしたら水音が止んで子供が走るような足音がドドドッと近づいてきてベッドで寝てる私の周りをぐるぐる駆け回り始めた
体が凍りついたけど好奇心に負けて目を開けて毛布の隙間から様子をうかがったら毛むくじゃらの子供くらいの足が見えた
その時点で恐怖がMAXになって意識を失って次に目を覚ましたら朝
シャワールームの辺りの床が少し濡れてたがそれ以外は何もなかった
同室の子に昨日の夜中シャワーを使ったかとか物音を聞かなかったかとか聞いたけど誰もシャワーは浴びてないし音も聞いていなかった
だから多分あれはキジムナーだったんじゃないかなと思う
キジムナーに会えたら幸運が手に入るらしいと後から知ったけど特別目立った幸運は掴んでない
でも修学旅行以降は何が起きても絶対私にとって悪いようにはならなくなったので地味な幸運は掴んでるのかもしれない

キジムナーを知っているとは俺より年上かな?
悪さをしない神霊だよ
目に見える幸福とは行かないけれど、悪い奴らを追い払うのが役目
もしかしたら不慮の事故で氏ぬ寸前の予防線をはってくれたのかもね
もう一回、宿泊しないでもキジムナーを見た樹に御礼しに行った方が良いよ

 

ぬっぺらぼう

小学校低学年の頃、全身緑色の人を見た。
放課後、校庭で友達とかくれんぼをして遊んでいた時、私が鬼だったので校舎に顔を伏せて数を数えてた。
「もういいかーい
?」
「モウイイヨー?」
声がした方へ振り返ると、校舎横にある桜の木。
その向こう側に全身緑色の大人くらいの身長のナニカがいた。
顔はぬっぺらぼうだったが、視線がぶつかったような気がした。
視線が合った瞬間、緑色のナニカは桜の木の後ろに”シュッ!“と隠れた。
多分振り返って目が合ってからそのナニカが木に隠れるまではほんの数秒しか経ってない。
ナニカが隠れた場所へ走って行って見渡したけど、跡形もなく消えていた。
あれは何だったんだろう…

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