心霊ちょっといい話『牛に見守られる』など短編全5話

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心霊ちょっといい話『牛に見守られる』など短編全5話 不思議な話
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おかえり

 

妹の話。
俺が小学3年、妹が1年の夏に妹は亡くなった。
妹が入学してから俺はおにいちゃんぶって、毎日先導しながら学校に行っていた。
純粋に妹がかわいかった。

その妹の突然の死を受け入れられなかったんだろう。
葬式でも泣きもしなかった。
ただポッカリと穴が開いたような感覚だけがあった。

しばらくたったある日、居間でうとうと夢を見た。
「ただいまー」と妹が玄関から入ってくる夢。
目が覚めてからすぐ、何となしに玄関に行ってみた。
風のせいだと思うが、玄関がすっと開いた。

その瞬間
「おかえり」と言っていた。

それまで出なかった涙があふれてきた。
なぜかわからないけれど、その瞬間に妹の死を実感した。
にいちゃん、もっとお前と遊びたかったよ。

 

 

「出ておいで」

 

私は、不妊治療を受けてきましたが、精神的にも疲れ果て、子供をあきらめることにしました。

そんなある日、主人が子猫を拾ってきました。
私たちは、その猫にチーと名づけ、本当の子供のように可愛がりました。
その子猫は、交通事故で親猫を無くした子猫で、
道路わきで冷たくなった親猫に寄り添って鳴いているのを、主人が見かねて拾ってきたものです。

その一月後。夫婦に待望の妊娠。
私たちは、チーがつれてきてくれたと、手を取り合って喜びました。
しかし、出産予定日を過ぎても、出産の気配がありません。
高齢出産ということもあり、不安になる日々。
このままでは、薬を使って出産を促すか、帝王切開か、ということになりました。

私が疲れて横になっていると、チーが擦り寄ってきて、大きくなったお腹に、
コツンと鼻をぶつけました。
「チー、遊んであげなくてごめんね。でも、赤ちゃんが生まれたら、チーも赤ちゃんと一緒に遊んでね。」
私が話し掛けると、チーはうなづくように鳴き、また鼻を押し付けてきました。
あまりにも執拗に繰り返すので、主人が不信がり、チーを別の部屋に連れて行きました。
チーは、激しく泣いています。
そのとき、突然激しい痛みが襲い掛かりました。
陣痛です。
私たちの子供は無事に、この世に生まれてきました。

しかし、先日、2歳になった娘が、鏡に映る痣を指差して一言。
「これ、チーが押した。チーが、出ろってゆった。」
彼女のお尻には、小さな三角の痣があります。
まるで、猫の鼻先のような・・・。

あの時、チーは娘に「出ておいで」と伝えてくれたのかもしれませんね。
娘とチーは、今でもとても仲良しです。

 

 

牛に見守られる

 

友人Aには、Kさんと言う霊能者の知り合いがいます。
ある日AがKさんといつもの居酒屋で飲んでいた所、よく顔を会わせるおじさんが突然、話し掛けて来たのだそうです。
それは、深酒した夜おじさんが寝ていると、必ず何かの気配を感じ耳元でゴゴゴッと言う音がすると言う奇妙な話でした。
おじさんは、Kさんが霊能者とは知りませんし、AもKさんも霊的な話はいつも極力避けるようにしていました。
ですがKさんはこれも何かの縁と、自分の事を話ておじさんを視てあげました。

Kさんがおじさんを通して見たのは、何と牛でした。
ゴゴゴッと言う奇妙な音は牛の鼻息だったんだそうです。
Kさんはこう言いました。

「あなたが身一つでやってきて、なけなしのお金を叩いて廃棄寸前の乳牛を買い酪農を始めた頃に一番最初に飼育してた牛です。随分可愛がったんだね。あなたを心配してるんだ。深酒は止めて体を大事にしろって言ってるよ」

おじさんは、Kさんの言葉を聞き男泣きに泣きだしたそうです。
もちろんKさんはおじさんの職業の事など知りませんが、牛が教えてくれたんだとか。
奥さんをなくし引退して一人暮らしをおじさんは、荒れた生活をしてたそうですがKさんの話を聞いたその後は、ウォーキングに参加したり、脱サラ希望者に酪農指導などをして、充実した日々を過ごしてるのだそうです。

 

 

クリスマスプレゼント

 

私の家の愛犬が去年死んだのですがとてもその犬を可愛がっていた母に関連したクリスマスにプレゼントを贈ろうと思い店を探していたところ、いつもなら入らない店に入り、そこで死んだ犬にそっくりのぬいぐるみを見つけました。

店員さんに聞いたところつい最近入荷したばかりでしかも一品しかないとのこと。
死んだあいつが導いてくれたとしか思えません。

 

 

前世の恋人と姉

 

病気や落ち込んだ時に見る夢に必ず出てくる人がいました。
顔は何時もボヤケているんですが、いつも雰囲気でその人だって事は解かりました。
成長する毎にその夢を見る頻度が少なくなっていきましたが高校の時に理由は忘れましたが、落ち込んでいたらその人が夢に出てきました。
それで私は貴方は誰なんですか?と聞くと、その人曰く前世で恋人だったと言うのです。
私には姉がいるんですが、本当はその姉の恋人だったらしく、でも私が略奪してしまってたと。
前世でも姉は姉だったらしく、それまではとても仲良かった姉妹が、略奪した後は骨肉の争いをしたらしいです。
まぁ、修羅場は起こるべくして起こったのでしょうが…。
だから今世では、やり直す為にまた姉妹になったらしいです。
姉とは凄く仲良くて姉妹というより大親友だってので、どうも俄かには信じがたい話でしたので、あんまり心にはとめませんでした。

19歳の頃、病気を患ってしまい、全身麻酔で手術する事になりました。
麻酔中に久しぶりにその人が出てきました。
その人は、ずっと私の枕元にいて、これで元気になれるから頑張れと励ましてくれていました。
そして、今から大体1年後に出逢う人と結婚する、その人が私を守ってくれるので自分はもう必要無い、自分は私達姉妹と同じ時世に生まれる事はもう無いので何時までも姉妹仲良く過ごす様に、と言われました。

気が付くと病室で寝ていました。
後で付き添っていてくれた母が、私が手術室から出てきた時に私は一瞬目が覚めて、泣きながら、今までありがとう、でも寂しい、と言っていたので、ひやっとしたって言っていました。
退院後その当時付き合っていた彼には直ぐにフラれ、それから1年後に今の旦那と知り合いました。

あれから10年近く経ちましたが、その人は夢に表れて来ません。

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