戦争にまつわる不思議な話・怖い話【3】
デンデン太鼓
太平洋戦争の終わり頃、学童疎開していた時の話───
間もなく2月になろうかと言う頃、疎開組の男子が一人、地元の餓鬼大将たちに川へ落とされ、
亡くなった。
疎開組と、地元の子供らとは仲が悪かった。
と言うより、幼い頃から野山を駆けずり回って育った田舎の悪童どもに、都会からの疎開組は
体力的に全く歯が立たず、しょっちゅう苛めを受けていた。
なお具合の悪い事に、問題が起きたところで、向こうには両親が付いているが、こちらは引率の
教師しかいない。
この時も、ただ黙って泣くしか出来なかった。
疎開組は笑顔を忘れ、押し黙る事が多くなった。
節分の夜。
形ばかりの豆撒きをした。
畳の上や縁側に落ちている豆を、皆で拾っていると、パラパラン…パラパラン…と音がする。
何かと思ったら、ある女子が境内へ降りる階段の上に立ち、夜空を見上げながら、古びた小さな
玩具のデンデン太鼓を振っていた。
どうしたの?何してるの?
他の女子たちが声を掛けるが、本人はじっと夜空を眺めたまま微動だにせず、時折手を動かして
デンデン太鼓を鳴らしている。
「おい、どうした?」
教師が側に寄ろうとした時だ。
いきなり、その子が境内へ駆け下りた。そして裸足のまま、恐ろしい勢いで門の方へ走って行く。
「待て!!」
教師を先頭に、何人かが彼女の後を追った。
しかし、追いつけない。
尋常ではない足の速さだった。
街灯も無い田舎の夜道の事、彼女の姿はすぐ闇に紛れて見えなくなった。
何処へ?
皆が息を切らせながら顔を見合わせていると、暗がりの向こうから、彼女のとてつもない大声が
聞こえて来た。
『…鬼は外!鬼は外!鬼は外!』
ともかくも、彼らは声のする方へ走った。
彼女が叫んでいたのは、件の餓鬼大将の家の前だった。
既に、家の中から父親が出て来ており、彼女に負けない大声で怒鳴り返していた。
「うるせぇ!!この糞ガキが!とっとと帰れッ!!」
しかし、彼女は全く怯まず、いっそう大きな声で叫ぶ。
「鬼は外!鬼は外!鬼は外!」
「こん畜生がァッ!!」
鬼のような形相になった父親が、思わず手を振り上げ、彼女に殴りかかろうとした時だった。
「鬼はここッ!!!」
およそ人の身体から発せられるとは信じがたい程の、それこそ落雷のような大声を彼女が放った。
誰もがビクッとして瞬時に凍りつき、同時に激しい突風が砂塵を巻き上げた。
わずかに間をおいて、糸の切れた操り人形のように、彼女ががっくりと崩れ折れた時、家の中から
誰のものとも分からない長い悲鳴が聞こえた。
その夜、ガキ大将は行方不明になり、翌朝、畑近くの枯れ井戸の中、首の骨を折って死んでいるのが
見つかった。
手には家族の見覚えのない、古びた小さなデンデン太鼓がしっかり握られていたと言う。
消えた部隊
場所は中国方面。
ある日本軍部隊(多分、小規模)がいつまで経っても帰って来ない。
そこで、別の部隊(騎兵隊)が探しに行った。
さて、捜索部隊が消えた部隊を捜索してると、
いつの間にか狼の群れが集まってきていた…。
狼達は、明らかに自分達を狙っている。
捜索隊の面々は、消えた戦友がどこへ消えたか、を理解した。
兵士達は狼の群れと睨み合いながら後退した、との事。
黒い影
終戦間際の大阪の話なんだけど空襲の焼夷弾で
黒焦げになった遺体を回収して夜に焼却するまで
見張りをさせられてたら遺体の周りに十数人の
黒い影がうごめいていて遺体から貴金属を剥ぎ取っている…
斬首
とある日本の一部隊が敵に囲まれてあわや皆殺し、という時に
その部隊の隊長が
「部隊の皆を並ばせてからはじめに自分の首を斬ってくれ。
そうしたら自分は走ってみせるから、自分が走った距離までの
隊員は助けてくれ。」と言って首を斬られた、そして走った。
そして首のない隊長は部隊員全員が助かる位置まで走って倒れたという。
ひかりごけ事件
「ひかりごけ事件」というのがあります。
太平洋戦争時、北方で(確か北海道辺り)一隻の小型船が難破しました。
乗組員達は何とか岸まで泳ぎ着いたものの、季節は冬。
極寒の地で乗組員達は疲労と寒さ、そして飢えが原因で一人、また一人と死んでいきます。
「このままでは、いずれ全員が死んでしまう…」
生き残った乗組員は悩み続けた後に、とうとう「神の食料」を口にする決断をします。
先に死んだ乗組員を食べ続け…とうとう船長一人に。
とうとう全滅か、と思われた時。船長は辛くも救出されます。
救出された当初、彼は不屈の精神を持つ英雄として評判になりました。
ですが、どうやって生き延びたのか、何を食べたのかが明るみになると…世論の風当たりは冷たいものとなります。
挙げ句、裁判にまでなりました。
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