時空にまつわる不思議な体験『近道』など短編全5話

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時空にまつわる不思議な体験『近道』など短編全5話 不思議な話
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白い部屋

 

小学生くらいの時に、家族と喫茶店に行った。
トイレを済ませた後、入ってきたドアとは違うドアがあるのを見て、そっちのドアをつい開けてみた。
道具入れではなさそうだった。そこは小部屋で、真っ白くて何もない部屋だった。(1m四方もないくらい)またドアがあり、私は気になってドアを開け、小部屋に入り、ドアをあけ、小部屋に・・・を7回くらい繰り返した後、次のドアを開けると人影が見えたのであわてて閉めて逃げた。

なぜか、いけないことをしたような気がして、家族にも話さなかった。
今思えば、なぜそんな小部屋があったのか、気になってもう一度確かめたいんだけど、白くて真四角のような喫茶店というだけしか記憶にない。四国のどこかなんだけど・・・

 

 

近道

 

俺は、現在二十歳です。家は生まれた時から東京で、ばあちゃんちが宮崎にあります。
そんで俺が小学生時代のある日、通学路の途中にある細い横道をなんか通りたくなったので通ってみると、三段くらいの石段があって、そこを上ると山道にでました。
乗用車が目の前を二台通り過ぎるのを見送ってから、そこを横断したのですが、すると、今度は崖があります。
その崖を降りるとそこは宮崎のおばあちゃんちだったのです。
俺はおばあちゃんと少し話してから来た道を戻り家に帰ったのですが、その間は実際の時間も体感時間も30分程でした。
翌日も同じことをしたのを覚えています。
当時俺は、東京と宮崎との距離をしらなかったので何も不思議に思わなかったのですが去年、宮崎に行った時におばあちゃんに聞いてみたら、やっぱり俺は一人で宮崎に来ていたと言います。
でも、今はその宮崎への抜け道はありません。不思議だ。

 

 

回廊

 

俺が小学校低学年くらいの頃の話。
オヤジと二人でデパートに行った記憶がある。
大阪の高島屋か、大丸か、覚えていないがとにかく御堂筋線に乗ったことは覚えている。

当時オヤジは単身赴任をしていて、たまに実家に戻って来ると家族で出かけるため、俺とオヤジと「二人だけ」で出かけるのは珍しいことだった。
何の目的だったかは全く覚えていないし、よく考えたら何故二人だったのかも覚えていない、というか二人だけで出かける必然性が無かった。

俺はオヤジに手を引かれて人気の少ない紳士服売り場を歩いた。
久々にオヤジと一緒に居られるので最初は嬉しかったが、やはり子供だけにすぐ飽きてしまう。
あまり不満を表に出さない子供だった(と俺は思っている)が、オヤジはそれを悟ったのか、俺の顔を覗き込んで少し微笑むと、売り場の奥の通路に俺を連れて歩いていった。

 

その通路は白い壁で小奇麗だった。空中通路(回廊)とでもいうのだろうか、そして奥にガラスのドアがあった。
ドアを開けて外に出ると一気に視界が広がり、石の床の大きな広場のようになっていた。大きな建物もいくつかあった。空は真っ青だった。
とにかくだだっ広く、正面には茶色の石で出来た、段の幅が広い大きな階段があり、泉のようなものもあった。
異次元のような空間だったが、俺たちのほかにも2.3人の男が何をするでもなく佇んでいた。

子供心に、「なんでデパートの奥にこんな空間があるんだ」と思ったが俺は何も言わず、オヤジも何も言わなかった。
そして、この記憶の中では俺も、オヤジも、他の誰も喋っている姿を覚えていない。
オヤジは俺の手を引き、また元来た回廊を通ってデパートの中に戻った。

俺はこの思い出の話をすることなくオヤジと別れた。
今まで他の誰にも話していない。今こうして文にしても途方も無い夢の話のようだが、あまりに映像が鮮明すぎて夢だとは思えない。

 

 

名札

 

俺が小学生(4年生くらいかな)だった頃の話。
朝、妹の名札をとりあげて遊んでいた。
で、捕まりそうになったから名札を部屋に投げ入れた。

取りに行った妹が数秒後、「無い」と騒ぎだした。
入口から軽く中に投げ入れただけなので部屋の中央に転がっているはずなのに、確かにどこにも見当たらない。
登校時間が迫っていたので妹は予備の名札をつけて登校した。

下校時。
俺が一人で歩いていたら後ろに何かが落ちる音がした。
振り返ると数メートル後ろに妹の名札が落ちていた。

親は俺の背中のランドセルから落ちたんだろうと解釈したが、登校時や学校ではくっついてなんかいなかったし、そもそも名札を投げ入れた部屋にはランドセルを置いていなかった。

俺の解釈は…言わなくても分かるよね?w

 

 

階段とおっさん

 

旅行に行ったとき、とある旅館に泊まった。
料理もうまくサービスも結構良かったのでここは当たりだな、と思った。
いい気持ちで部屋のテレビを見ていたが、ふとビールが飲みたくなってフロントの横の自販機まで買いに行くことに。
しかし部屋から出ると横に急な階段があり、階段の下に自販機が見えた。
「あれ?こんなとこに階段あったっけ?まあフロントまで行かなくてすんでラッキー」
そう思い、階段を下りて自販機でビールを買った。そこには座敷があり、障子の向こうから話し声がした。
部屋の前で隣のおっさんが、そのビールはどこで買ったのか、と尋ねてきたので答えると、彼も階段を下りた。
しかし部屋にはいるやいなや「うわっ」ガラガラドシャーン。
落ちた!と思いドアを開ける。しかし、階段なんてどこにもなかった。
その辺を探してみたが勿論無い。隣の部屋をノックしたがおっさんはいない。
従業員に聞いても階段なんて無かったという。

 

無論さっきのことを話しても信じてもらえなさそう・・・
気持ち悪かったが予定通り宿泊して帰った。隣のおっさんは戻ってこなかった。
数年後、そんなことも忘れてその辺りに引っ越したときに○○という旅館で改築中に壁の中から中年男性の白骨死体が発見された、何故建てられてから20年以上も経つ建物の中から死後数年の骨が発見されたのか?
壁に掘ったような跡は無かったのに・・・
というような記事を地元の新聞で読んだ。
あの時の旅館の名前は忘れてしまったが、確かめる勇気が私には無かった。

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