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【信じようと、信じまいと】『石垣の上』など全50話【5】ロア – 噂話集 – 嘘のような本当の話

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【信じようと、信じまいと】『石垣の上』など全50話【5】ロア - 噂話集 - 嘘のような本当の話 信じようと信じまいと
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信じようと、信じまいと【5】全50話  ロア – 噂話

 

山奥の里に漁師と呼ばれている男がいた。早朝山へ登ると夕方には魚を持ち帰ってくる。
里で持ち帰った魚を売るのだが、その中に海のものと思われる魚が混ざっている。
どの魚も採れたてのように新鮮なので、ある人が何処で釣っているのかと聞いた。
漁師は坊主岩の下にある池で採るのだと答えたが、坊主岩という名を知る者はいなかった。

 

□ □ □

 

ある男が木を切っている最中、切り口から白い手が伸びてチェーンソーの刃を掴んだ。
思わず覗き込んだ刹那、男は縦に裂けた木の幹に胸を強打され、吹っ飛ばされてしまった。
気が付くと、全身ずぶ濡れで家の縁側に横たわっていた。妻が心配そうに覗き込んでいる。
派手な水音がしたので表に出たところ、夫が池の中に倒れているのを見つけたらしい。

 

□ □ □

 

ある日、少女は村の年寄りに中腹にある石垣より上に立ち入るなと言われた。
少女に思い当たる節は無かったが、石垣には近づかないように心掛けていた。
ある晩、ふと目が覚めると、豪雨のさ中に石垣の上で寝ている自分に気が付いた。
驚いて山を下ったが、すでに村は土石流に押し流され、助かったのは少女だけだった。

 

□ □ □

 

冬のあいだ閉鎖されていた山小屋で、老人と若い女性の遺体が発見された。
二人とも街を歩くような軽装で、老人は83歳という高齢、女性は妊娠7ヶ月であった。
後の調査では、彼らがどのようにして山小屋に辿り着いたのかは分からずじまいだったが
二人が夫婦であったことが判明した。

 

□ □ □

 

1922年、メキシコの石器時代の遺跡から銃弾と銃殺された石器人の骨が出土した。
翌年、発見者のカーナボン氏は趣味のボウガンの暴発で死亡。
矢のあたった場所は発見した骨と同じこめかみであった。
現在、石器人の死因は鈍器によるものであるとされている。

 

□ □ □

 

アメリカ、ノースカロライナ地方で1960年とある女性が、
自分は宇宙人にさらわれたと言った。
別に体に異常はなかったのだが、不思議な事にその女性がその後妊娠すると、
破水はしたのだが結局何も生まれてこなかったという。

 

□ □ □

 

明治35年の9月3日、山形県のとある村で男の子が生まれた。
助産婦とその母は、その子供を見るとすぐに右目を包帯で隠した。
その男は40歳で死ぬまで包帯を巻き続け、
結局、右目がどうだったのかを知る者は一人もいなかった。

 

□ □ □

 

ロンドンで、5年間行方不明だった男が当時の格好のまま発見された。
その男の話によると、男は二階建ての建物のエレベーターに三階のボタンがあるのを発見した、
そして、好奇心からそのボタンを押して外に出ると5年が経過していたという。
そのビルは男が消えてから5年間の間に三階に建て増しされていた。

 

□ □ □

 

乗客を乗せていたら突然消えてしまったと言うタクシー怪談。これは、その元となった実話。
恋人を殺害し、城ヶ湖という湖に捨てた男が車で帰宅途中に悪臭。トランクの中に死体が入っていた。
恐ろしくなってもう一度捨てに行くと、今度は自宅に死体があったという。男は恐怖して自供。
管理人の話によれば、男はその日外には出てないと言う。夢でも見たのだろうか?それとも…

 

□ □ □

 

南アフリカのある地方に、動く人形があるという。
イギリス人記者が、それがあるほこらに行ったところ、突っ立ったままで動こうとしない。
その事を現地人に報告すると彼らは一気に青ざめた。その人形は、座っているはずだと。
記者がそこに戻ると、人形は座ったままで微笑んでいた。

 

□ □ □

 

1989年アメリカのコロラド州に住むJが、ネットの掲示板上での殺人予告を見つけた。
その日Jは過ちで見ず知らずの老婆を轢いてしまい、警察が身元を調べると、
なんとその老婆はあの殺人予告でJの見た被害予定者だったのだ。
しかし、調べてもJの言うそんな書き込みはどこにも存在しなかった。Jは何を見たのだろう。

 

□ □ □

 

東京都渋谷区、井の頭通り付近に決して開かないマンホールがある。
その厳重さはマンホールの内部に鉛を注入してある程である。
そして、そのマンホールの内側から何か物音を聞いた者もいるそうだ。
その地下には、下水もガス管も地下鉄も存在していない。一体何に蓋をしているのだろうか?

 

□ □ □

 

戦後まもなくの話だ。中国、燕赫村の森林地帯で未確認生物の足跡が発見された。
中国政府の調査隊が調査を行ったが、厳重な監視にもかかわらず、足跡は増えるばかりであった。
1960年代に入って再び本格的に、今回は監視カメラを用いての調査が行われた。
録画テープには驚くべきものが映されていた。上に何もない地面に、ただ足跡だけが歩いていたのだ。

今、私の書いているこのロア(噂話)たちは、もともと私の知識ではありません。
ましてや作り話でも。これは半ば強制的に自分が知らされてしまったものです。
現在、私はこのロアをこれら以外にあと52知っているのですが、これ以上話すのには勇気が要ります。
何故なら―いや、それは明日の夜にでも話します。

 

□ □ □

 

北海道1966年2月4日、千歳空港に向けて乗用車で走行中の家族があった。その日の不思議な出来事。
空港まではほぼ一本道であるはずなのに、ずっと進むといつのまにか逆方向を走っているのだ。
何度向きを変えても、元の場所へと戻されてしまい、結局予約した飛行機を乗り逃してしまった。
しかし乗り損なったそれは、その日に東京湾へ墜落した羽田沖全日空遭難事故の機体であったという。

 

□ □ □

 

ベルギーの北部に「神隠しの森」と呼ばれている場所がある。そこへ行くと必ず誰かが消てしまうと、
現地の人は怖がって近づこうとしない。日本人の大学生グループが遊びでそこに寄った時の事だ。
森に入り、出てくるとその5人は一応お互いに確認し、誰も消えていないと安心していたが、
帰国の際、宿で荷物をまとめると見知らぬ日本製のバッグが残ってしまった。一体誰の物だったのか?

 

□ □ □

 

フランスの南、カンブレの村にはきれいな水の出る井戸があった。
水量も豊富で、村の人間はそれを長年大変重宝にしていたのだが、
1862年、その水が急に出なくなったので、村人が井戸の底へと下って行くと、
水脈はおろか水脈があった形跡すらなく、ただ石の床があるのみ。彼らは何を汲んでいたのだろうか?

事の始まりは、一週間前、私宛に送られた一通の手紙です。
その手紙には差出人の名はなく、不審に思いながら開封すると、
そこには、ワープロで62ものロアが書かれていました。
そして、手紙の最後に次のような文が載せられていたのです。

 

□ □ □

 

この手紙にあなたの知るロアを一つ加えて、一人の人間に送れ。
そして、この中のロアについては10までしか人に教えてはならない。
もしこれを破れば、あなたの名前の載ったこの手紙がそのうち回りだすことになる。
私の名はロア。私が事実に打ち勝つ日まで―

私は、暗闇であり地下であり背後である。
私は、偶然であり運命であり奇跡である。
そして、無意味であり意味である。
私の名はロア。私が事実に打ち勝つ日まで―

 

□ □ □

 

たぶん私の身の上に、何か良からぬ事が起きるとでも言いたいのでしょう。
しかし、私はこの手の話を信用する人間ではまったくありません。
だから、チェーンメールなどする気も起きませんし、この内容も恐らく作り話だと思っています。
ただ、このロア自体はとても面白いので皆に楽しんでもらおうとこんなスレを立てました。

そんな自分でも、やはり10を越えるのは少し怖かったです。
しかし、既に教えてしまったので、もしこれがホントだったとしても、もうどうしようもありません。
私の身に何か起これば、それも重ねて報告しようと思っている次第です。
事情と言うのは以上です。そういう訳で、これからもよろしくお願いします。

残りロア数 ―48―

途中で何故か名前が変わってしまいました。すみませんでした。

 

□ □ □

 

考古学者のプロレは1958年インドで廃墟となった遺跡の発掘中に直径約一メートルの石球を発見した。
しかし、彼が仲間を呼ぶために目を離した隙に消失。地面には複雑な模様が残されていた。
三日後に同じくインド、ニザマバードの広場に同様の物と思われる球体が早朝に突如出現。
市がトラックで輸送を計画したが、今度はトラックごと消失。同じく模様が道路に残された。

 

□ □ □

 

ソ連の宇宙船、ソユーズ1号は打ち上げには成功したが、着陸に失敗。
乗員であるウラジミール・コマロフ大佐は帰らぬ人となった。
不思議なのはそれからである。ソ連政府は、宇宙船の回収班のメンバーに何故か生物学者を加えた。
さらに、墜落した森林地帯でそれ以降3ヶ月間に渡り赤い怪光が何度も目撃されたという。

 

□ □ □

 

1995年に韓国通信技術研究所の調査は、驚くべき結果を示した。
全世界において、総アクセス数がPCユーザーの総数の約120倍になる時間が存在したと言うのだ。
当時のPCのスペックからすると、一台でそんな多くのサイトにアクセスできるはずも無いという。
一体、誰が紛れ込んだのだろうか?

 

□ □ □

 

6月のある日イギリスの議員バリー・チャーチの懐中時計が、8時20分で急に止まってしまった。
時間がわからなくなったため、彼はとにかく急いで議会へと向かった。議会へと到着した彼が、
議会の時計に目をやると、ちょうど針は8時20分を指していた。そして、その瞬間に彼の懐中時計が
また再び動き出したという。「急ぎ過ぎたチャーチ」、以来これが彼のあだ名となった。

 

□ □ □

 

エレベータから出てきた五年前の男の話には、こんな続きがある。その話を聞いた別の男が、
友人と共にそのビルへ行った。ビルが、再び建て増しすると聞いたからだ。そして、
4階のボタンを発見。男と友人はそれを押してみた。しかし、彼らはドアが閉まる前に恐ろしい事を
聞く。建て増し計画が無くなったというのだ。友人は慌てて降りたが、男は二度と戻ってこなかった。

 

□ □ □

 

トルコの名家、ヨルゲン家で1854年に起きた事件。
当時のクリミア戦争の戦火を逃れるため、ヨルゲン一家は中央ヨーロッパへの移住を計画。
逃亡のための荷物をまとめているさなか、当時6歳だった嫡男のロイが倉庫にあった箱の中から、
一枚の肖像画を発見。そこにはロイによく似た男児が描かれており、その題名は「1854年」であった。

 

□ □ □

 

1895年ドイツの医学者シュベルトが、漢方薬の研究の元に完成させた鎮炎症薬を試験的に、
自分の腱鞘炎患者に使用した際起きた事故。なんと両腕に使用した者は両腕で自分の首を締めて自殺。
片腕だけに使用した者は、もう一方の腕で締めようとする腕を抑えて危うく難を逃れたという。
シュベルトの輸入した漢方に使用されている生物の中には、現在未確認であるものも多い。

 

□ □ □

 

エリコというイタリアの数学者が、0と1が等しいという証明をしたという。
彼は、友人の前で紙にさらさらと証明を書いて、それ自慢げに説明をした。
説明が終わり、友人がさっぱりわからず紙から目をあげると、エリコの姿は消えていた。
再び紙に目をおろすと、今しがた書いた式も消えていた。

 

□ □ □

 

平成3年、群馬の建設業者社長が自宅で衰弱死しているのが発見された。彼の手記にはこうある。
1年前、自分は町長との癒着を公表しようとした議員を殺し、新しく作られる講堂の壁に埋めた。
しかし、住民の反対で取り壊しが決定。殺人の発覚が恐ろしく、住民に根回ししたが無駄であった。
だが、実際はさらに恐ろしい事に、いくら壁を壊しても一向に死体が出てこなかったのだ。

 

□ □ □

 

18世紀、現在のオーストリアにあたる地方でカミーユという女が子供を孕んだが、相手の男が失踪。
女は男が戻るまでけして産まないと決心したという。その後の数十年、男が戻ることはなく、
また彼女は何も産むことなく腹は際限なく膨らんでいった。結局、男は現れず、
そのままカミーユは死んでしまった。そして、彼女の腹からは老人の死体が出てきたという。

 

□ □ □

 

スペインの漁師町で1970年頃、真っ赤なレインコートを着込んだ女が嵐の日に決まって現れたと言う。
その行動の突飛さから、町では彼女のことを知らない者は居なかったのだが、
その顔を見た者は誰一人として居なかった。ある嵐の日、漁師の一人がその女を見つけ、
危ないのでと注意しようと引き止めると、なんと中に体は無く、コートだけが地面に崩れたという。

 

□ □ □

 

アイルランドのクリスという男は、自分が囚人であるという夢に悩まされていた。
精神科医にも通ったが、一向に回復しない。しかしこの男、実際はジョージという囚人であり、
クリスというのは夢の中の自分であった。それでも、彼は獄死するまで自分はクリスと信じ続けた。
あなたは今、本当に目を覚ましていますか?

 

□ □ □

 

ロサンゼルス。1992年にとある男が精神病院に運ばれた。男の話はこうだ。昨夜、コンビニに行くと、
真っ赤な監視カメラがあった。色が色なので気になっていると、その後に行ったコインランドリーや
公衆電話にもそれがあった。そして、自宅の玄関にもそれが付いていたのを見て、気絶したという。
男はその後、謎のショック死をした。顔は天井を向き、何かに怯えているようだったという。

 

□ □ □

 

日本人カメラマンが、ロシアのノヴォクズネツクにあるホテルに泊まったときの話だ。
彼は、窓から見える美しい湖を撮影するため、そこに泊まっていたのだが、
なんと2月だとというのに、湖で泳ぐ青年をレンズ越しに発見。良い被写体と思い、
彼はホテルから出てそこへ向かったのだが、そこに人の気配は無く、湖には分厚い氷が張っていた。

 

□ □ □

 

ギリシアの西部に住民から底なし池と呼ばれている池があった。国の調査員が国土の把握のため、
ボートからワイヤーを垂らして計測したのだが、100m垂らしても、一向に底に着かない。
その時ワイヤーが強い力で下に引っ張られ、ボートが破損。国は危険と判断し、池の埋め立てを決定。
トラックで土を流し込んだのだが、何故かすぐに埋まり、今地面を掘っても土があるばかりだという。

 

□ □ □

 

1812年、イタリアのアロルドという男が自費出版で100冊ほど本を作った。
彼は、近くの書店に50冊ほど置いてもらい、残りは自分で保管していた。しかし、出版一週間後に、
彼の家が火事で焼け、本は焼失し、彼も死亡。さらに、書店にあった本には全て虫喰いが発生。
現在、完本は一冊も存在していない。その題名は、「奇跡の起し方」であった。

 

□ □ □

 

マルセイユのとある教会には、「悪魔を閉じ込めた箱」があったという。
箱を振ると確かに、カタカタと木の玉のようなものが中に入っているのがわかる。
1988年、アメリカのTV局のレポーターの女がそこに訪れ、牧師に無断で蓋を開けてしまった。
しかし、箱の中には何も見つからなかったという。

 

□ □ □

 

スコットランドの生物学者の学説。動物の細胞には遺伝子が存在する。それが細胞分裂する際に、
その両端のテロメアという部分が短くなり、やがてなくなると分裂は止まる。これが、老いである。
しかし、リング状の遺伝子であればそれが短くなる事は無く、生殖は出来ないが理論上不死である。
彼によれば、確率からそんな人間が今までに5人は生まれているという。彼らは、今どこに居るのか?

 

□ □ □

 

熊本県の横断歩道で、Aという男が事故にあった。赤信号なのにトラックの前に踊り出たというのだ。
Aは何とか生きており、その時、何故か「通りゃんせ」の音が聞こえた、と証言した。
Aの証言を気にした警官がその横断歩道について調べると、
交通量に比べて死亡事故の件数が圧倒的に多かったという。

 

□ □ □

 

フランスの貴族、オリオルのもとに9通のバースデーカードが送られた。
しかし、そのうち5通は配送中の事故により紛失。3通は宛先の間違いによって届かず、
最後の一通は、出したはずであるのにいつのまにか戻ってきていたという。
オリオルは誕生日の前日に死亡。その日を迎える事は無かった。

 

□ □ □

 

1994年、ルーマニアでオズロという男が右目に角膜移植をした。
翌年、彼は失踪。彼の家の鏡、ガラス、その他あらゆる反射物は割られ、粉々になっていたという。
彼の机から、日記が発見された。日記には移植の日を境に、ある言葉が大量に書かれていた。
「右目が俺を睨んでいる」

 

□ □ □

 

ある人が切り倒した木を寸断していると
木の中に空洞があり、その中に獣の骨が一揃い入っているのを見つけた。
抜け穴もなく外界から完全に隔絶した洞の中には
乾いた糞のようなものも落ちていたと言う。

 

□ □ □

 

山菜採りを生業としている夫婦が、山肌にある大岩が燃えているのを見つけた。
慌てて近寄ったが、不思議と熱を感じない。
やがて火は消えたが、周囲の草や木には焦げた跡はなかった。
ただ、岩肌の苔は奇麗に無くなっていた。

 

□ □ □

 

ある人が梯子に上り木の枝を切っていると、耳もとで声がした。
声のした方向を見ると、幹の向こう側から誰かが覗いている。
目が合った途端、そいつは上の方に滑るように消えてしまった。
その目は真ん丸で、目蓋がなかったと言う。

 

□ □ □

 

猟師が河原に猿を追い詰め、銃で撃った。
倒れて動かなくなった猿のところへ、猟師が近付いてみると
そこにはひからびた猿の毛皮があるばかりで、周囲には血の跡もなかった。
猟犬は怯えるばかりで近寄ろうともしなかった。

 

□ □ □

 

男が炭を焼いていると、窯の中から妙な音がする。
耳を澄ませると、男がいつも歌っている歌が聞こえてきた。
気味が悪くなったものの、そのまま焼き続けた。
やがて出来上がった炭は、生焼けで使い物にならなかったと言う。

 

□ □ □

 

ある男が山菜を摘んでいると、背後から何物かが近づいてくるような音がした。
てっきり猪か熊だと思い込み、慌てて手近な木の上に登って下を見ていると
姿の見えない何物かによって草や灌木がなぎ倒され、けもの道が出来上がっていく。
それが遠ざかってから下に降りてみると、辺りには百合の匂いが漂っていた。

 

□ □ □

 

その杣取りは、毎朝桜の木の根元にあるお地蔵さまに手を合わせるのを日課としていた。
ある日、手を合わせている最中にお地蔵さまの顔が何処となく悲しげに見えた。
そこで、五分咲きの桜の枝を手折りお地蔵さまの足元に添えた。
夕刻山から下りてくると、満開となった桜の枝がお地蔵さまの頭を貫いていた。

 

□ □ □

 

枯れた竹薮に湧く化け物がいるらしい。立木を引き倒し、大雨を降らせると言う。
嵐の夜、見回りをしていた男が、半年前に枯れた竹薮の足元に来た時
黒髪のようなものが絡み付いた木々が、土石流と共に押し寄せてきた。
慌てて逃げる男の後ろから、甲高い笑い声が追いかけてきた。

 

□ □ □

 

一仕事終えた男が山で酒を飲んでいると、突然耳もとで声がした。
「馬鹿だな、馬の小便なんか飲んで」それを聞いた途端、
口の中に何とも言えない味が広がり、男は思わず酒の瓶を放り投げた。
一瞬後、我に返った男がいくら探しても瓶は見つからなかった。

 

□ □ □

 

ある人が山中の滝壷の側で休んでいた。
何気なく滝に近付いた際、轟々と流れ落ちる水の中で腹を見せて泳いでいる魚を見つけた。
尾ひれを優雅にくねらせる魚の周囲の水は静止しているようにも見える。
思わず顔を近付けたその時、向こう側の水面から突き出した嘴が魚をついばんで消えた。

 

□ □ □

 

ある晴れた日の早朝、村人が外に出てみると山の景色が変わっていた。
形が幾分ずんぐりとしていて色は黒く、全体がうねうねと蠢いているようにも見える。
村人が騒然とする中、猟師がのそりと歩み出て空に向かい銃声を一発轟かせた。
すると、山から雲が湧くように無数の黒い鳥が一斉に羽ばたき、何処へと飛び去った。

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