天使の階級や七大天使、天使の羽の数など天使に関することをシンプルにまとめて紹介します。
天使の階級とは?
神秘思想家偽ディオニシウス・アレオパギタは著作である
『天上位階論』
の中で天上の位階(ヒエラルキア)について記述し、天上の存在者を三階層の三つの組に配しました。
これが後の神学者にも引用され、天使の「天軍九隊」または「九歌隊」として広く知られるようになりました。
天使の九階級
偽ディオニュシオスの「天上位階論」による天使の階級は九つに分けることが出来る。
①熾天使 – セラフィム – Seraphim
②智天使 – ケルビム – Cherubim
③座天使 – オファニム – Ofanim
④主天使 – ドミニオンズ – Dominions
⑤力天使 – ヴァーチューズ – Virtues
⑥能天使 – パワーズ – Powers
⑦権天使 – プリンシパリティーズ – Principalities
⑧大天使 – アークエンジェルス – Archangels
⑨天 使 – エンジェルス – Angels
そしてこのうち
①熾天使、②智天使、③座天使、を上級三隊、
④主天使、⑤力天使、⑥能天使、を中級三隊、
⑦権天使、⑧大天使、⑨天使、を下級三隊
と分けられる。
これらは番号が小さいほど光や炎、ゆらめきに似たような存在で、神に近く、番号が大きいほど肉体的な実質を持ち、神の座から離れる傾向がある。
上位三隊 「父」のヒエラルキー
第一階級 → 熾天使 セラフ=セラフィム
第二階級 → 智天使 ケルプ=ケルビム
第三階級 → 座天使 ソロネ=スローンズ、オファニム、ガルガリン:王座
中位三隊 「子」のヒエラルキー
第四階級 → 主天使 ドミニオン=ドミニオンズ、ドミネイションズ:主権
第五階級 → 力天使 ヴァーチャー=ヴァーチュズ:力
第六階級 → 能天使 パワー=パワーズ:能力
下位三隊 「聖霊」のヒエラルキー
第七階級 → 権天使 プリンシパリティ=プリンシパリティーズ:権勢
第八階級 → 大天使 アークエンジェル=アークエンジェルズ
第九階級 → 天使 エンジェル=エンジェルズ
九階級の天使 詳細
① 熾天使
三対六枚の翼を持ち、一対は頭を、一対は体を隠しており、残る一対で飛翔する。神への愛と情熱で体が燃えているため、熾(燃える、などの意)天使といわれる。
神に最も近い、威厳と名誉に満ちた天使である。その手にはサンクトゥス(聖なるかな)の歌詞を刻んだ炎の短剣か旗を持っている。
天使の九階級のうち最上とされている。

熾天使
② 智天使
旧約聖書の創世記3章によると、主なる神はアダムとエバを追放した後、命の木への道を守らせるためにエデンの園の東に回転する炎の剣とともにケルビムを置いたという。
四つの顔と四つの翼を持ち、その翼の下には人の手のようなものがある。
「天使の階級」では第2位に位置づけられる。

智天使
③ 座天使
名は「玉座」や「車輪」の意で、唯一神たる主の戦車を運ぶ者とされる。また、「意思の支配者(Lords of Will)」の異名も持つ。 物質の体をもつ天使としては最上級にあたり、主に燃え盛る車輪の姿で描かれる。 座天使の指揮官は、ザフキエルまたはラファエルとされる。
第3位に数えられる上級天使。
④ 主天使
統治、支配を意味する天使である。神の威光を知らしめるため、様々な働きを担うとされる。また、そのシンボルは笏(しゃく)である。ザドキエル(Zadkiel)やハシュマル(Hashmal)に率いられているとされる。
第4位に数えられる天使。
⑤ 力天使
地上の奇跡を司り、それをもって英雄に勇気を授けたり、正しい行いをする者たちの前でその奇跡の威力を見せたりする。名は「高潔」、「美徳」を意味する。
キリストが天に召される時に、付き添ったのも力天使たちであるという。 また、カインの誕生の際に産婆の役目も務めたとされる。
第5位に数えられる天使。
⑥ 能天使
神の掟を正しく実行にうつす働きを司る能力の天使。神に対して加えられた侮辱をつぐなう方法を教える。神の命により、天に背いた悪魔達を滅ぼすという役目を持つ。
使の階級の中で堕天使となる数が最も多い。
第6位の天使。
⑦ 権天使
国家及びその指導者層の守護。国家の興亡。悪霊からの守護を司る。人間の指導者たちの行いを監視して正義の決断をさせる。
第7位の天使。
⑧ 大天使
二枚の翼を持ち、助祭のような姿をして神と人間を結ぶ連絡係を務める一方で、天使軍の兵士として槍を持ち群をなして地獄との戦いの任に就く。終末の時には7人の大天使がラッパを吹きその時を知らせる役目を持つ。
第8位の天使。

大天使
⑨ 天 使
最も人間に近い存在で、人間を悪意から戒め、正義を示す。
第9位の天使。
天使の羽の数
天使の名前 | 羽の数 | |
---|---|---|
1 | 熾天使 セラフィム | 6翼 |
2 | 智天使 ケルビム | 4翼 |
3 | 座天使 スローンズ | 無翼 |
4 | 主天使 ドミニオンズ | 2翼 |
5 | 力天使 ヴァーチャーズ | 2翼 |
6 | 能天使 パワーズ | 2翼 |
7 | 権天使 プリンシパリティーズ | 2翼 |
8 | 大天使 アークエンジェルス | 2翼 |
9 | 天 使 エンジェルス | 2翼 |
最強の力を持った天使である「光をもたらす者」ルシフェルは、12枚の翼を持つ天使でしたが、神に反逆をし、熾天使に敗れました。
七大天使
七大天使(しちだいてんし、ななだいてんし)とは、ユダヤ教およびキリスト教で認められている、最も有力な七体の(広義の)大天使のことです。
七大天使の構成は一般的にミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルの四大天使に三体の天使を加えたものが基本で、その三天使は教派や聖典ごとに異なります。
四大天使
- ミカエル
- ガブリエル
- ラファエル
- ウリエル
『エノク書』の三天使
- ラグエル
- ゼラキエル
- レミエル
『ディオニュシオス文書』の三天使
- カマエル
- ヨフィエル
- ザドキエル
教皇グレゴリウス1世時代のカトリック教会 の三天使
- サマエル
- オリフィエル
- ザカリエル
(※さらにウリエルがアナエルと入れ替わることがある)
東方正教会の三天使
- セラフィエル
- イェグディエル
- バラキエル
(※さらに「イェレミエル」を加えて八大天使とすることもある)
コプト正教会の三天使
- スリエル
- サラティエル
- ザダキエル
(※さらにウリエルがアニエルと入れ替わる)
その他の聖典などではメタトロン、サンダルフォン、ラジエルといった全く別の天使が入ることもあります
イスラームの四天使
- ジブリール
- ミーカール(ミーカーイール)
- アズラーイール(イズラーイール)
- イスラーフィール
以上、『天使の階級と七大天使-名前一覧と羽の数』を紹介しました。
天使によって羽の数が違いますが、無翼の天使である第三階級の座天使のように羽の数が強さや能力と関係してるわけではないようです。
また、七大天使は各宗派の解釈によってその天使が入れ替わるという曖昧な部分もあるようです。
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