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心霊ちょっといい話『帰ってきた弟』など短編全5話

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心霊ちょっといい話『帰ってきた弟』など短編全5話 不思議な話
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妹を見守る猫

 

去年の春だった。会社で仕事してたら、携帯に警察から電話がかかってきた。
同居してる妹らしい女性が、意識不明で倒れていたところを発見されたという。
慌てて早退して、教えられた病院に行った。身元を確認してくれとICUに通された。
点滴の管に繋がれて寝ていたのは、やっぱり妹だった。
命の危険は脱したが、検査と経過観察などでしばらく入院することになると云われた。
入院準備の説明を聞き、実家や会社への連絡などを済ませてから家に帰った。
部屋で布団に入った途端、猛烈に不安になってきた。
もともと体弱くて持病てんこ盛りの奴だけど、意識不明で口にビニール管なんかつっこまれてるのを見たのは初めてだった。
思い出しただけでどんどん心細くなってきて、いたたまれず友達に電話した。

話してるうちに、少し落ち着いてきた。
もう大丈夫だからと電話を切ろうとした頃、唐突に彼女が言った。
「大丈夫だよ、妹ちゃんとこ、ニャンコ来とるし」
その人はいわゆる『みえる』人で、たまにそんな話をすることもあった。
それでも、そういう感覚のない私はやっぱり半信半疑で、どんな猫か訊いてみる。
「白くてデカくて、アタマんとこだけ帽子みたいに黒っぽい猫だね」
………びっくりした。

間違いない、妹が中学生の頃、学校帰りに拾ってきた猫だ。
拾った時にはもう大人猫だったオスで、Tという名前だった。
大きくて貫禄があり、毎日黙々とパトロールに出る無愛想なヤクザみたいな雰囲気の猫で、妹が一番かわいがり、妹に誰よりも懐いていた。
うちに来て1年ちょっとで事故死したけど、冬の寒い日に、妹の肩先を温めるみたいに、首のそばにくっついて寝ていたのを思い出す。
でも、この猫の話を、私が友人にしたことは一度もなかったのだ。

妹と猫の話をすると、友人はふーんと頷いて続けた。
「あとなー、なんやらマダラの小さいのもおるわ」
実家には絶えず何匹かの猫がいるけど、そっちには心当たりがない。
記憶を探って悩んでいると、友人は笑った。
「はは、今あんたんとこにも一部来とるよ。大丈夫かなって様子見とるわ」
彼女の話では、ひとつの霊が同時に違う場所に存在するってこともあるらしい。
今のおおよその割合は、妹のところに九割、私のところに一割くらい。
嬉しいような怖いような、複雑な気分でその日は寝た。

数日たって、妹がまともに喋れるまで回復した頃に、私は彼女に話した。
Tが、あんたの事気にして様子見に来てたって。
妹は顔を覆い、心配かけちゃったなあ、と涙声で言った。

マダラの子猫の謎も、本人に訊いたらあっさり解けた。
大学時代、構内に野良猫が沢山住み着いて、学校側が駆除のため毒餌をまいた。
それを口にして死にかけていた子猫を、妹は自転車置き場で見つけたという。
結局、手当しようもなく膝の上で看取った子猫は、黒茶のマダラだった。
もう10年くらい前の、私も初めて聞いた話だった。

母にこの話をしたら、見舞いに上京してきた時、庭にあるハクモクレンの木から花を一輪だけ枝ごと折り取り、ビニール袋に入れて持ってきた。
すぐに傷んで変色してしまう花だと思っていたのに、長旅のわりに白い綺麗なままだったのが、ちょっと不思議だった。
Tは、そのハクモクレンの木の下に眠っている。

あれから1年少々。妹は今日もそれなりに元気だ。
この間、起き抜けに寝ぼけて転んで、生爪をはがしたりもしてたけど。

 

 

帰ってきた弟

 

8才で普通に生活出来るけどほんの少し障害のある娘がお盆に入ってから
「弟が帰って来たんだよ」
としきりに言う。
このくらいの大きさなの。と自分のアゴの下くらいをさして
「オレンジジュースが好きなんだって」
と笑う。早速お墓と仏壇にオレンジジュースを・・・。
4年前に天国へ旅立ったあの子は男の子だったんだねぇ。
と夫と話して涙が出てしまいました。
「もうすぐ帰っちゃうんだって」
ああ、お盆も終わるんだなぁ。
私にも見えたらいいのになぁ。

 

 

スローモーション

 

配送関係の仕事をしているのですが、何度か不思議な体験をした事があります。
パレットに高さ2メートルほどの鉄のポールをクロスさせ固定し、それを簡易棚のようにして商品を管理しているんですよ。
ある日簡易棚の二段目の商品を取る時、通常は二段目はリフトで下に下ろして商品を取るのですが横着してよじ登って作業しました。
同僚が三段目にカタログの乗ったパレットを置くと、重さに耐えきれなくなったパレットが割れ、俺の上に1トンほどあるカタログが落ちてきました。
「あー、こりゃヤバイなぁ」と妙に落ち着いていると、急に時間の流れが遅くなりました。
何故か視線が動きその通りに身体を動かすと、下の段の簡易棚に逃げ込む事ができ私は無傷で助かる事ができました。
「あーやばいなぁー」「こっちに行けば良いのか」と言う流れで体感的には10秒ほどあったのですが、実際は1秒無かったみたいです。
見ていた同僚が絶対に死んだと思うぐらい一瞬の事でしたから。
何故普段なら降りるのを躊躇する高さから全く恐怖心無しに飛び降り、的確な避難ができたのか今でも不思議に思います。
「見守ってくれなくて良いから、せっかく楽になったんだから安らかに休んでてくださいな」と言う考え方なんですが、こんな私でも見守っていてくれていると言う事なんでしょうか。

 

 

幻の恋人

 

怖いと言うか私にとっては切ない話になります…
私が高校生の時に、友達Kと少し大きめのゲーセンでレースゲームで対戦して遊んでいたときに、(4人対戦の筐体)隣に二人の女の子が座ってきて
「一緒にやってもいいですか?」
と聞かれ今までこんな事なかったので少しびっくりしながら一緒にゲームをしました、そんでゲームが終わってナンパ目的ではなかったんですけど(金も全然なかったんで(笑))結局ナンパモードになって、上手いことカラオケにいって仲良くなりました。
その家の方向も一緒らしいので、また遊ぼうとPHSの番号を交換しその日帰りました。
次の日学校に行くとKが
「俺昨日の娘好きになっちゃったよ」
と相談を受け、俺もまんざらではなかったので早速電話して
「学校終わったら会おうよ!」
って事になり結構いい感じになってきて、ほとんど毎日遊ぶようにりました。
実際俺はすぐに俺のお目当ての娘と付き合い始めて、Kも相当いい感じになってきて、4人で会う事より二人で会う事の方が多くなってきてすげー楽しい日々でした!

そんである時4人で遊園地に行く約束をして、結構楽しみにしてたんですけど、Kの相手のほうから
「私たちいけない」
というメールが入り、理由がわからなかったので俺の方に電話をしてみると、
「この番号は現在加入者なし」
とのメッセージが流れてきて
「え?」
っと二人で拍子抜け!

ほんの数分前までメールしていた電話がいきなり加入者なし!
これはマジでビックリしました…
それでKが相手の実家の番号を緊急のために聞いていたのでかけてみるとお父さんがでて「○○さんの友達のKと申しますがPHSがつながらないので…」
と言うとお父さんが急に怒りだしたらしく、Kが困った顔になってきて、それからどんどん顔色が悪くなってきて
「で!でも俺たちは…」
といきなり自分達の出会いから関係までをお父さんにべらべらとしゃべりはじめました。
俺はおかしいな?と思いながらも電話が終わるのを待って、詳しく聞いてみると俺の彼女もKの相手も2ヶ月前に水難事故で亡くなっているとの話でした。
俺のKもそんな話ははっきり言って信じられなかったので、そのとき聞いた住所に行って確かめてみました。
俺の彼女の家にも行きました、本当にもう居ませんでした、俺たちが知り合う1ヶ月も前に亡くなっていました…
俺の彼女の実家でお母さんに俺のPHSの履歴やメールを見せると泣きながら最後のメールを見て
「この日に私が解約しにいったんです」
と言ってくれました。
私もぼろ泣きでした…
怖いという感情はなかったです、辛くて切なくて…
Kと二人で彼女たちの事故現場に行って二人で無言で泣いてしまいました。

彼女は何かあるたびに涙を見せたり、ヤキモチ妬いたりと今思い出しても本当に大好きでした…
俺たちは普通の恋人のように手もつなげば、キスも何度もしました、ほんとに普通の恋人のように…
もっと前に彼女と知り合いたかったです、こんな形では無く…
これは俺とKと二人の不思議な体験です。
高校時代の大切な思い出でもあります…

 

 

息子を頼む

 

おれにとって,ばーちゃんは『優しさ』の権化みたいな人だった.
いつもにこにこしてて,言葉を荒げることもなく,本当に穏やかな人で,家族みんなが,ばーちゃんのこと,大好きだった.ばーちゃんは動物にも優しくて,家の周りにある三毛猫がうろつきはじめると,餌づけして,いつの間にか家のネコになってた.ほどなくして家族にもなついたんだけど,おれや妹が抱き上げて撫でてやっても,機嫌よくはしているんだけど,ノドをゴロゴロと鳴らすことはないくせに,ばーちゃんが視界に入るだけで,その三毛猫はゴロゴロとノドを鳴らしてた.その様子にいつも可愛がってたおれや妹は憤慨したもんだ.なんでばーちゃんがいるだけでゴロゴロいいやがるんだ,こいつは(`Д´)と.

三毛猫が二度目の出産をしてしばらくたった頃,ばーちゃんが入院した.本人には知らせなかったがガンだった.入院からたったの一ヶ月.ホントにあっとゆー間にばーちゃんは逝っちゃった.
看病している時,一言も『痛い』と言わなかったばーちゃん.末期で凄まじい痛みがあるハズなのに,顔を見ては『ありがとう』と微笑むばーちゃん.逝ってしまう1週間くらい前だったかな?珍しくしかめっ面してベッドにいるばーちゃんに『痛いのか?』と聞いたら,小さく頷いた.おれが初めてみたばーちゃんの弱音だった.そんな我慢強い人だった.
死に顔は本当に安らかで,元気だった頃のばーちゃんの穏やかな顔そのもの.遺体を家に連れて帰って,葬儀をすませたその夜,気がつかない間に,三毛猫は生後二ヶ月の仔猫4匹を連れて家出した.それっきり帰ってこなかった.大好きなばーちゃんがいなくなったのを感じ取ったんだろうか...
あれから9年.ばーちゃんの事を思い出すのも滅多にないよーになってた.
先日,ばーちゃんに会わせてあげられなかった嫁が死産した.おれの子供が,嫁のお腹の中で死んでしまってた.前日までお腹蹴ったりしていたのに.母体への影響もあるということで,嫁は,普通分娩で2日かかって出産してくれた.9ヶ月の男の子だった.体重2600g,身長49cmまでにもなっていたのに,産声を上げることなく出てきた.

おれも嫁も初めての子だっただけに,どうにも現実とは思えず,放心状態.
息子が出てきてくれた夜,丸二日寝てなかったのに,病院の簡易ベッドということもあり,なかなか寝つけなかった.うとうとし始めた頃に,夢にばーちゃんが出てきてくれた.
別に何を言うわけでもない.いつもの笑顔でおれを見つめて,ただ2度頷いてくれた.
目がさめて,まわりを見渡し,夢であったことを自覚すると,嫁にきづかれないように病室を出て駐車場のクルマまで一目散に行った.そして大泣きした.まさに号泣した.

ありがとう,ばーちゃん.きっと息子のことはまかせとけって言いにきてくれたんだよね.
忙しさにかまけて墓参りもまともに行ってない不幸者なのに,ちゃんと見守ってくれてたんだな.そう思うと,息子を亡くした悲しさと,ただ自分がつくりあげた妄想かも知れないが,夢にまで出てきてくれたばーちゃんや祖先にたいする感謝が塊となって襲ってきて,大声あげて泣いた.
まだ立ち直ったとは言い切れないけれど,おれは嫁と一緒にがんばっていくよ.心配ばっかかけてごめんな,ばーちゃん.どうかこれからも見守っててください.
そして,おれも嫁も知らない世界へ行った息子の魂を守ってやってください.

 

 

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