心霊ちょっといい話『猫に助けられる』など短編全5話

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心霊ちょっといい話『猫に助けられる』など短編全5話 不思議な話
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父の優しさ

 

中学生の頃、病気で父が死んだ。
葬式からしばらくは、死んだことを自分で実感できずに、涙も出ず、私は薄情な人間なんだとぼんやり思いながら過ごしていた。
その頃の私は寝てばかりだった。あんなに寝ることはないっていうくらい一日の大半を寝て過ごした。今思えば無意識の内に寝ることに頼っていたのかもしれない。
あと、多分なんとなくだけど生命力が低下していた気がする。何もやる気が起きなかった。
そしてある日の夕方、父の部屋でテレビをつけっぱなしで寝ていたら、「○○(私の名前)!」と呼ぶ声が聞こえた。「お父さんだ!!」と思ってガバッと飛び起きたら、それはテレビのCMで、あるタレントがこちらを向いて笑いながら、「○○!がんばれ!」と
言っていた。偶然にも同じ名前だっただけだった。
でも後にも先にもそのCMを見たことはないし、私が聞いたの明らかに父の声だった。
そこでふと我に返り、父を亡くしたことがリアルに私の体を駆け巡り、父のいなくなった父の部屋でワンワン泣いた。
あのCMは偶然流れただけかもしれないが、私の中ではとてもとても大きなものだった。

それから、度々父が夢に出てくるようになった。
でも不思議なことに、はじめの頃は顔もしっかり見えていたんだけど、段々と後ろ姿だけになり、声だけになり、最後には“気配”だけになっていた。
“気配”だけになったのがちょうど大学の2年くらい。
“気配”だけでも私にはその存在はリアルに感じられ、父の夢を見た朝はいつも涙を流しながら目が覚めた。
父が“気配”になった頃、私には彼氏ができ、そして同棲をはじめたのだった。
それまでは慣れない場所でひとり暮らしの私を心配し、遠くから見に来てくれていたのかもしれない。
でも私を大切にしてくれる人が現れたから、安心して最近は現れないのかもしれないなあと思う。
同棲をし始めてから、父はぱったり夢に現れなくなった。

でも、先日祖父が1週間くらい昏睡状態が続き、「もうダメだろう」と言われて、誰もがダメだと思っていた。私は、実家に帰って一晩中父の仏壇に祈りつづけた。
「まだ、おじいちゃん連れて行かないで。お父さんいなくなっておじいちゃんもいなくなったらみんな悲しがる。お母さんのために、私のためにもまだお願いだから連れて行かないで」と涙を流しながら手を合わせ続けた次の日、おじいちゃんは奇跡的に目覚めた。そして危ないと言われながら半年経った今もなんとか生きている。
きっと私はあれは父のやさしさだと思っている。

 

 

猫に助けられる

 

高校2年の時の話。

親と仲が悪く、鬱に入った時期があった。
飼っていた猫が、脱走した翌朝、毒を盛られて庭で死んでいて、鬱時期だったこともあって自殺を考えた。
いつもは手首を切っても、そんなに深く切らず、何本も血のにじむ浅い傷をたくさん作ることで鬱憤を晴らしていたが、その時は本気で死のうと考えた。
カッターじゃなくて、彫刻刀のナイフ形のを持ち出し、手首に刺した。
抜くと、すぐに鼓動にあわせて血が出てきて、バスタオルにしみこんでいく。
両手首にしようと思ったけれど、左手が小刀をうまく握れず、ならばと小刀を首に当てた時、猫の声がした。
振り向くと、ベッドの枕元に、骨壷をおいてあり、そのところに猫がいた。
猫はベッドの上から降りると私のそばに来て、血がだらだら流れてる手首を舐めた。
一生懸命血を止めようとしてくれてた。
ずっと泣けなかったのに、涙がぼろぼろ出てきた。
そのあと泣き声に気づいた母親が救急車を呼び、医者に連れて行かれた。

それからはそんなバカなことは考えなくなった。
偶然知り合った霊能者さんには、
「強いキジトラの猫が守ってくれてるよ」と言われた。
猫に呆れられるようなことはしないで、これからも生きていきたいと思う。

 

 

ペット達との再会

 

私の家族は動物好きでずっと動物がいた。
今、私は故郷を離れ、犬と一人暮ししている。実家にも犬がいる。最近、仕事で疲れる事嫌な事があり気分が沈んでいた。
ある晩、不思議な夢をみた

私は電車に乗っていた。まわりは、いつもと様子が違う。私以外、動物ばかり。家に代々いた(らしい)動物達のようで、皆、私に「大きくなったわね」と親戚のおばさんのように話し掛けてくる。
その中に小学生の頃、家にいた猫がいた。
私は、その猫と楽しく思い出話をした。
電車が駅に停まる度に動物達は電車を降りて行った。車内の(人数?)はだんだん減っていく。
ある駅に停まった時、猫が、「ここで降りなくちゃ。」と立ち上がって降りてしまった
猫が降りた後、車内を見ると、私と実家で飼っている犬しかいない。犬と家族のことや私の仕事のことを話した。仕事が忙しく、しばらく実家に帰っていない私は家族が元気であることを嬉しく思い、その犬が家族を見守ってくれていることを頼もしく感じた。
また電車が停まり、犬がここで降りるという。犬は「帰らないの?」と聞く。
私が帰れないと答えると「そっか。体に気をつけてがんばって」と言って降りて行った。車内は私一人になった。私は悲しくて寂しくて、声をあげて泣いた。電車は暗いトンネルを抜け、また停まった。
今、一緒に暮らしている犬が電車に乗ってきた。
犬は私の隣に座った。「どこまで行くの?」と犬が私にきく。
私は何か地名のようなのを答える。
犬は「じゃあ、一緒だね。一緒に行こうね。」と言ってくれた。私はなぜか、また涙があふれ泣いた。
ここで目が覚めた。実際、私は泣いていて犬が私の涙をペロぺロなめていた。

 

 

おばあちゃんとの思い出

 

去年の事です。大好きなおばぁちゃんが突然亡くなりました。
うちは叔母にも叔父にも子供はいなくておばぁちゃんにとっての孫は私と姉と2人だけでした。
そのせいもあってかおばぁちゃんは本当に小さい頃から私達姉妹を本当に可愛がってくれていて私達もそんなおばぁちゃんが大好きでした。
父の仕事の都合上、海外転勤などもあって離れて暮らしていた時期もありましたがその間も私達の大好きなお菓子を送ってくれたり、いつもいつも私達の事を考えてくれていました。

本当に優しくて大好きなおばぁちゃんでした。
私達もしょちゅうおばぁちゃんの所へ遊びに行っていて、その度におばぁちゃんは「ほらほら、お菓子沢山あるよ食べなさい」と
好物のお菓子や食べ物を用意して嬉しそうに勧めて来ました。
私達もお腹が一杯になっても「美味しい美味しい」と喜んで…本音としては「苦しい」と思いつつ…食べる姿を嬉しそうに見るおばぁちゃんの為に無理してまで食べてました。

でも私達も高校に上がってからは段々と遊びに行く回数も以前と比べると大分減ってしまい、姉が社会人・私が大学生になるころには「仕事があるから」「バイトとかレポートが…」
と月1回行くか行かないかくらいになっていました。(それでも普通よりは多いらしいですがほぼ毎週だったので)
その間にも母だけが会いに行って帰ってくると必ず「おばぁちゃんから」と沢山のお菓子や好物がお土産に渡されていました。

そんなある日、久々におばぁちゃんに会いに姉が泊まりに行きました。
姉は私以上に仕事が忙しいのもあって会えてなかったので「しばらく合わないうちにおばぁちゃん、凄くちっちゃくなってたんだね。ご飯もあまり食べれて無いみたいだし…」
と久々に目にしたおばぁちゃんの姿にショックを受けているようでした。
元々が食の細い人だったしそれでも元気にチャリ漕いで結構遠めのスーパーまで坂道も軽々と行ってしまうようなおばぁちゃんなので
「そう?」とあまり気にしていなかったのですがやっぱりちょっと前と比べたら確かに…と思い
私も久々に泊まりに行こうかな?敬老の日も近いし…とぼんやり考えていました。
で、バイトの休みも取れて泊まりに行こうと思っていた矢先…おばぁちゃんが亡くなりました。
本当に突然でした。早朝に電話が鳴って…「おばぁちゃんが息をして無い!」と叔母の泣き叫ぶ声が受話器から聞こえて…
母が泣き崩れて…それでもなんとか慌てて着替えて車を出して…

いつもののおばぁちゃんの部屋に入ったら寝てるような顔のおばぁちゃんがいました。
ベットでそのまま、いつものの寝顔のままで…「なんだ寝てるじゃん。寝てるだけじゃん」と思いました。
本当に寝てるようだったんです。でも…触ったらとても冷たくて「おばぁちゃん。おばぁちゃん」って何度も呼んでも起きてくれなかったんです。
その時にやっと「死んだんだ」と言う事を理解して泣きました。

その日から慌しく葬式の準備が進められておばぁちゃんの遺体は棺桶に収められ別室へ移動しました。
姉や母たちは棺桶のある部屋で昔話を語っていたのですが私はおばぁちゃんの部屋で寝る事にして布団を敷いて横になりました。
ちゃぶ台の上にはお菓子が沢山置いてあります。良く見ると棚には私の好きなお菓子ばかり。
姉と私の成人式の写真、幼い頃の写真、修学旅行でお土産に買ってきた人形…
泣き過ぎてもう出ないと思っていた涙がまたどんどんと溢れてきました。泣きながら布団に入って
(いつもだったら、おばぁちゃんがあのお菓子を「どんどん食べなさい」って勧めてきてくれるのにな)
そんな事を思いながら眠りにつきました。

気がつくとちゃぶ台の前のいつもおばぁちゃんが座っていた場所におばぁちゃんがいました。
ニコニコと笑って、昔からの変わらない笑顔で「ほら、○子。これ好きだったでしょ?どんどん食べなさい」とちゃぶ台の上のお菓子を私に勧めてきます。
夢かな?等と思いながらも私はおばぁちゃんとちゃぶ台を囲んでいつもののようにお菓子を食べながら色々な話をしました。
「美味しいかい?」「もっと食べなさい。あんたはタダでさえガリガリなんだから…」とお菓子を食べる私を嬉しそうに見て話しかけてくるおばぁちゃん。
私はただただ「美味しい美味しい」といつものの様にお腹一杯になっても無理矢理詰めこむようにしてお菓子を食べつづけました。

朝になり、気がつくとやっぱり私は布団で寝ていて、お菓子を食べた跡は残っておらず…やっぱり夢だったんだーと目覚めましたが
「夢枕」に立って会いに来たっていうやつだったんでしょうか?
今でもおばぁちゃんが良く買ってくれたお菓子を見るとあの笑顔を思い出します。

こんなにまで可愛がってくれたおばぁちゃん。
ありがとう…

 

 

幽体離脱しそこない

 

今日職場の昼休みに無人の仕事場兼和室で腕を頭の後ろで組み、昼寝をしてた。
うとうとするような薄い眠りの中で私は組んでいた腕が目の前にあるように感じた。
意識はあったので「変だな?腕は頭の後ろなのに」と気づき、
「もしやこれって幽体離脱?」とわくわくした。
つい、面白半分で「立ちあがったら体が浮くのかな?」
と思い立ちあがろうと手を伸ばしたその時。
ぱしっ
誰かが、伸ばした私の腕をぴしゃりと叩いた。

思わず腕を戻したが私は混乱したまま、
「え!?何?」
でも、もう一度再チャレンジするべく再び両手を伸ばそうとしたら、今度は私の後ろから知らない両腕が伸びて
(肉眼では見てないがそんな感じがした)、
ものすごく強い力で私の両腕を後ろにひっぱり元の場所へ戻した。
2回も止められ、ようやく私は起きあがろうとするのをやめた。
そしたら誰かが私の後ろで話している声が聞こえた。
畳の上で仰向けで寝ているはずなのに。
内容はほとんど忘れてしまったが男の人の声だった。
「ふりかえってみろ」的なニュアンスの事は言われたが怖くなったので振り返らなかった。
怖かったのに、目を覚ました後、無意識に私は「ありがとう」と言っていた。

…幽体離脱しそうだった私を、背後霊か守護霊かご先祖様が止めてくれたんだろうか。
そうだとしたら、改めて私の後ろの中の人、ありがとう。

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