本当にあった不思議な話『人生が残り少ない事』など 短編5話【6】まとめ

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本当にあった不思議な話『人生が残り少ない事』など 短編5話【6】まとめ 不思議な話
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不思議な話・体験談 短編5話【6】

 

 

天の使い

たぶんどうでもいいことが原因で旦那と喧嘩をしたあの日、育児にも疲れ、夫の家族と同居していた私は姑たちともうまくいってなくて、ほとんど育児ノイローゼ寸前でした。

それでも家事はしなければいけないし、娘も私のイライラがうつったのかグズって泣き止もうとしません。
途方に暮れながらも、お米が切れているのを思い出し、娘を抱っこして買い物に出ました。
お米と食材を買い、そのままどこか消えてしまいたい気持ちでいっぱいな私に追い打ちをかけるように雨が降り出しました。
傘もないし、もう走る気力もない、どこまでついてないんだろう……。

娘と一緒に自分も泣き出しそうだったその瞬間、
「ボロボロの傘でよかったら」
と知らない青年が少しくたびれた傘を渡してくれました。
すごく優しい声で、まっすぐ私を見て傘を手渡す彼が天使に見えました。

娘もその優しい声に触れたのか、すぐに泣き止んでニコニコしだしました。
最近は娘にも優しくできず、こんな笑顔を見たのは久しぶりかも、いや娘の笑顔に関心を持てないほど心がすさんでいたのかな、と思うと心から後悔しました。

旦那と結婚したときの幸せな気持ち、娘が生まれたときに「天使が生まれた」と一緒になって喜んだときの気持ちを思い出しました。
思わず涙があふれそうになり、娘を見ると笑顔で私を見つめています。
この子の笑顔を見るためなら頑張れる、旦那に対しても感謝の気持ちを忘れていたかもしれない、そう思いました。

旦那はいつも譲歩してくれるのに、私はイライラしてぶつけてばかり。
反省していること、感謝していること、これからも一緒に頑張りたいことをその夜旦那に伝えて仲直りし、旦那もできるだけサポートするからと言ってくれました。

あのときの青年は、天の使いだったんじゃないかと今でも思います。
傘を見るたび、がんばろうって思えるようになりました。

 

 

お盆のある時

私には4年前、赤ちゃんの時に亡くなった子どもがいました。

昨年の8月のお盆のある時、上の娘が空を見上げて

「お母さん、空見てみて。
ほら、空の雲の間に光っているところあるでしょ。そこから○○ちゃんが見えるんだけど、歩けるようになってるよ。
笑ってるし。あと、一人じゃないよ。
ほらお母さんのお友達かな? 一緒にいてくれているよ。
だから寂しくないから、大丈夫だよ」

と私に言うのです。

それを聞いて私は涙が止まらなくなりました。
何故なら、まだ上の子が生まれる前に仲良しだった友人が若くして亡くなったのですが、娘には詳しく話したこともなかったのに、その友人のことまで私に教えてきたのです。

私は思いました。
友人が泣いてばかりいる私に、「私が一緒にいるから大丈夫だよ」と娘を通して励ましてくれたのではないかと。

亡くなった子も天国では成長し、歩いて、笑っていることも判り、少しですが心がすっとしたことを思い出します。

今でも悲しくてふさぎ込むこともありますが、お盆の時の出来事を思いだし、少しずつ前を向いて行けるように頑張りたいと思っています。

 

 

ああ、来てくれたんだ…

学生時代、彼氏を事故で亡くした。
引き摺りまくって、もう新しい彼氏も結婚も要らないと荒み、誘いも蹴り告白も断った。
お一人様の老後を設計していたのだけど、ある日いきなりご縁が降って湧いた。

今までそんな気になれなかったのに、ふと付き合ってみる気になって
(これがそもそも不思議。色々と大変な時期でそれどころじゃなかったのに)、付き合い始めてみるとあれよあれよと結婚まで進んで行った。

そして結婚式当日。
天気予報は雨だったのに何故か見事に晴れ。
式は恙無く進み、招待客のお見送りの時間になった。
先頭に立って来たのは十年来の親友(女性)。
「今日はありがとう」と声を掛けようとしたのだけど、
その前に「おめでとう、幸せに」と私、主人と握手。
一礼して退場。
仕草と言い、言い方と言い、紛れもなく前彼のものだった。
一瞬驚いたけど、
『ああ、前彼だな。来てくれたんだ…』と、何となく納得してしまった。

二次会の時、親友にそれとなく式の間のことを聞いてみると、何故か彼女、平謝り。
「乾杯のシャンパンしか口にしてないのに緊張してたからか酔ったみたい。式がお開きになる前後くらいから記憶がない。気が付いたら近所のカフェに座っていた。泥酔して迷惑掛けたよね」とのこと。
いえ、あなた普通に素面だったし普段うわばみですよね…。
近くに居た友人二人曰く、
「酔ってた様子には見えなかった。そういう酔い方もあるんだね。気分も悪くなさそう。と言うか『ああいい気分だ!』と言ってたよ」
もちろん親友はその記憶もなし。
ちなみに、式から二次会までそんな時間も空いていないのに、泥酔したはずの親友に酒が残っている気配は一切なし…。

『ああ、前彼が祝福に来てくれたんだな。心配かけていたのね…』
としんみりしてしまった。
そのうち子どもでもできたら、墓前に参って
「ありがとう。幸せだよ。でも親友には謝ろうね」
と言っておこうかなと思っています。

 

初恋の相手

私はその日両親、妹と住宅展示場に来ていました
家を新築する予定となり、両親はここのところ住宅展示場巡りをしていました
私はいろいろ予定があり住宅展示場に来るのはこの日が初めてでした
家が新しくなることに家族全員がわくわくしていました

住宅展示場の家はどれも平均よりも高級で夢のような気分でした
両親もあくまでも参考にする程度で知識としていろいろと見ていたのだと思います

そんな時に突然、背後から名前を呼ばれました
私が振り向くとそこには私と同じ年齢くらいの男性が立っていました
「久しぶりだな~元気だった?」
私は男性の顔を見てもすぐには誰なのか分かりませんでした
男性のスーツの胸元の名札を見てはっとしました
彼は小学校時代の同級生でした

私は展示場内を案内してくれる彼の横顔を見ながら、小学校の頃を思い出していました
小学生の私は彼に淡い恋に近いような好意を持っていたのです
展示場で再会した彼は背が高く、とても感じが良く思えました
すっかりカッコよくなっていた彼の笑顔だけはあの頃のままでした

その日、私は久しぶりに小学校の卒業アルバムを開いてみました
昔の彼の写真を見て、展示場での彼を思い出していました
あの頃と同じ笑顔の彼に再会して一瞬で好きになっていたんだと思います

きっとあの展示場に行けば彼にまた会えるだろう
でも自分から会いに行くことも出来ずに数か月が経ちました
ある日1人で街中を歩いていると向こうから彼に似た人が歩いてきました

距離が近づくにつれて、お互いに気づきました
彼も1人でした

その日2人でカフェに入り連絡先を交換しました
それからメールでお互いにたわいもない話をするようになりました

展示場で再会してから約半年経った頃に初めて食事に行きました
その帰り道の彼の言葉に私は泣いてしまいました
「初恋の相手だったんだ、良かったら付き合ってください」

こんな再会があるなんて思いもしませんでした
私は彼に再会出来て本当に幸せです

 

 

人生が残り少ない事

2年前、父を癌で亡くしました

癌が発覚したのはその3年前。
カゼが治らないと病院に通い、それでも治らず精密検査をしたら肺癌が見つかりました。
しかもリンパにも転移していました。

この時から父を含め私達家族は彼の人生が残り少ない事を少しずつ覚悟していたと思います。

リンパに転移がある以上、もう癌を切っても意味がないので抗ガン剤治療です。 副作用で味覚は変わってしまって美味しいものを美味しいと食べれない生活でした。
でもその中で私達家族も父も精一杯幸せに過ごす事を一番に考えてたくさん笑いました。
笑う事で少しでも回復すると信じてた。

けど現実はそんな事なくて、 ある時から食べれてたのが食べれなくなり、ずっと嘔吐を繰返し、ついには痩せ細って倒れてしまった。
私は内臓に癌が転移したのかと心配していたけどそうじゃなくて、

転移は脳でした。

父は脳に転移した事で日常生活もままならず、記憶力も日に日に落ちていった。 賢くて、頼りになって、困ったら何でも治してくれた父が子どものようになってしまいました。

病はゆっくり父を蝕んで、脳に転移が発覚した一年後、父は静かに息を引きとりました。

病気が発覚してから父とお別れするまで私達には3年月日がありました。

事故などで大切な人と突然お別れした方々の事を思うと父と向きあう時間をしっかり作れたのは幸せな事で、 父自身も脳への転移で闘病で苦しんだ事も、死への恐怖も最後は分からず精神的に辛かった方々を思えば幸せだったと思います。

だけど、 やっぱり、 最初の病院でもっと早く癌を疑ってくれたら 嘔吐が繰り返された時にもっと早く脳への転移を疑っていたらと 後悔すればキリがありません。

最後にお父さんとちゃんと話したのはいつだったかな。
どんな話をしたのかな。

最後のお父さんの言葉、ちゃんと聞きたかったな。
色々大切な事 言葉にして話したかったな。

お父さん 大切にしてくれてありがとう。
いつも助けてくれてありがとう。
お母さんが反対した結婚に賛成してくれて祝福してくれてありがとう。
彼が挨拶に来た時泣いてたよね?
孫の事もとても可愛がってくれてありがとう。
これからも大切に育ててもらった分、 お父さんが一緒にいれなかった分、 お母さんを大切にして、 家族を大切にして、 周りを大切にして、 私は一生懸命生きるから見守ってね。

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