古事記・日本書紀に登場する神話の武器・防具・道具や日本の伝説に登場する武器・防具・道具を一覧で紹介しています。
神話上の武器・防具
武器
天逆鉾(あめのさかほこ、あまのさかほこ)
記紀神話では、漂っていた大地を完成させる使命を持った伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)の夫婦神が天沼矛を渾沌とした大地に突き立てかき回し、矛を引き抜くと、切っ先から滴った雫がオノゴロ島となったとされていた。
一般的に記紀に登場する天沼矛の別名とされているが、その位置付けや性質は異なっている。中世神話上では、金剛宝杵(こんごうほうしょ)、天魔反戈(あまのまがえしのほこ)ともいう。宮崎県・鹿児島県境の高千穂峰山頂部(宮崎県西諸県郡高原町)に突き立てられているものが有名。
天之尾羽張(あめのおはばり/あまのおはばり)
日本神話に登場する刀であり、神の名前。
イザナギが所有する神剣(十束剣)で、妻イザナミが黄泉へ行く原因となったカグツチを斬り殺す時に用いられた。『古事記』における神名は、天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)という。別名 伊都之尾羽張(いつのおはばり)。
神戸剣(かむどのつるぎ)
阿治志貴高日子根神(あぢすきたかひこね)が天若日子(あめのわかひこ)の喪屋(遺族が喪中を過ごす家)を切り倒した際に用いた剣という。
天之瓊矛(あめのぬぼこ)
日本神話の国産みで、イザナギ神とイザナミ神がオノゴロ島を造るときに用いた矛。『古事記』では天沼矛、『日本書紀』では天之瓊矛・天瓊戈と表記される。
茅纒之矟(ちまきのほこ)
千草を巻いた矛で、アマテラスが天岩戸にこもった際に、これを持って天宇受賣命(アメノウズ)が踊った。
天之麻迦古弓(あまのまかこゆみ)と天羽々矢(あめのはばや)
天稚彦(あめのわかひこ)が高皇産霊神(たかみむすびのかみ)より賜った弓矢。この弓矢は雉の鳴女(なきめ)を射抜き、そのまま高天原まで届いたとされる。
生弓矢(いくゆみや)
大国主(おおくにぬしのかみ)が根の国から持ち帰ったスサノオ神の弓矢。この弓矢と生大刀で八十神を倒し、葦原中国を平定した。美具久留御魂神社に奉納されている。
金の弓箭(きんのきゅうせん)
キサガイヒメが誓約をして現れた金の弓箭で、これで岩屋を撃ち抜いたのが現在の加賀の潜戸である。
幸弓・幸矢(さつゆみ・さつや)
彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)が所有した弓矢
天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)
スサノオ神が八岐大蛇の尾から取り出した剣。のちに「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」と呼ばれるようになる。三種の神器の一つで、熱田神宮に奉納されている。
天羽々斬(あめのはばきり)
スサノオ神が八岐大蛇を斬り殺した剣。十束剣のひとつで、大蛇を斬ったことでこの名が付けられた。尾を斬った際に刃が欠けたので裂いて確かめたところ、中から出て来たのが天叢雲剣。
生大刀(いくたち)
大国主(おおくにぬしのかみ)が根の国から持ち帰ったスサノオ神の剣。この剣と生弓矢で八十神を倒し、葦原中国を平定した。美具久留御魂神社に奉納されている。
伊都之尾羽張(いつのおはばり)
日本神話で、イザナギ神がカグツチ神を斬ったときに用いた十束剣。
大量(おおはかり)
アヂスキタカヒコネ神が持っていた剣。友人であったアメノワカヒコ神の葬儀に訪れたが、ワカヒコに容姿がそっくりであったため、生きていたと間違えられ、死者と一緒にするなと激怒して喪屋を切り倒した。
十束剣(とつかのつるぎ)
拳10個分の長さの刀身を持つ剣。十握剣とも。神話中には複数登場する。
布都御魂(ふつのみたま)
神武東征の際にタケミカヅチ神から神武天皇に与えられた剣。
八握剣(やつかのつるぎ)
十種神宝の一つ。天孫降臨の際に共に地上に下ろされたと伝わる神宝。
鉄輪(かなわ)
洩矢神が諏訪でタケミナカタ神と戦った際に使用した武器。タケミナカタ神の藤蔓によって破壊された。
防具
天磐靫(あめのいわゆぎ)
アメノオシヒが天孫降臨時に、矢を入れる箙として背負っていた。
黒御縵 ( くろみかづら )
イザナギが黄泉の国から逃げるときに、蔦を巻いた冠を投げて、山ぶどうを生み出し相手が拾い食いしてる隙に逃げた。
蛇比礼(へびのひれ)・呉公蜂比礼(むかではちのひれ)
大国主神が須勢理毘売命から渡された前者は蛇、後者は百足・蜂除けのスカーフ。
品物比礼(くさもののひれ)
十種神宝の一つ。あらゆる邪悪なものを払える。
道具
八塩折之酒(やしおりのさけ)
ヤマタノオロチ退治に用いられた、非常に強い酒。日本書紀には毒が入っている記述がある。
天甜酒
コノハナサクヤ姫が狹名田という地の稲から作った酒。
非時香菓・非時香木実・トキジクノカクの木の実
不老不死になる木の実。
貧鉤(まじち)
元は海幸彦の釣り針で、山幸彦が借りていた釣り針を返す際に釣り針を貧鉤と呼び呪いをかけて、こっそり返すように言われる。
無目籠(まなしかたま)
火遠理命が海宮に行くために入れられた目の無いように見えるほど細かく編まれた籠。
三身の綱
八束水臣津野命が島々を引き寄せ島根半島を造る際に使用した綱。
八咫鏡(やたのかがみ)
三種の神器のひとつ。『古事記』では、高天原の八百万の神々が天の安河に集まって、川上の堅石(かたしは)を金敷にして、金山の鉄を用いて作らせた」と記されている。
奧津鏡 (おきつかがみ)・邊津鏡 (へつかがみ)
十種神宝の二つ。古事記中卷 應神天皇において、渡来神アメノヒボコが持参した。
天詔琴(あめののりごと)
須佐之男命の宝物の一つで、大国主が持ち逃げしたもの。
変若水(おちみず)
若返りの水。
カグツチの血
切り殺された際に多くの神を生み出した。
湯津津間櫛(ゆつつまぐし)
イザナギが黄泉の国から逃げるときに、髪から外して投げた櫛。タケノコを生み出す。日本書紀には玄櫛(黒い櫛)を投げて竹森(現実でも竹は育つのが早い)を出す話もある。
湯津爪櫛(ゆつつまぐし)
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に生け贄に捧げられそうになっていた奇稲田姫(クシナダヒメ)を神聖な爪櫛に変化させた。
振浪比礼(ふるなみひれ)・切波比礼(きるなみひれ)
渡来神アメノヒボコが海を渡り持参した八つある玉津宝の二つ。前者が波を起こし、後者が波を鎮める。
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
八咫鏡・天叢雲剣と共に三種の神器(
満珠・干珠(まんじゅ・かんじゅ)
海の満ち引きを制御する宝珠。日本書紀で、同様の効果を持つ潮満瓊(しおみつたま)と潮涸瓊(しおひのたま)が登場する。
伝説の武器・防具
武器
髭切(ひげきり)
源氏の宝刀の一つ。「鬼丸」「獅子ノ子」「友切」など多くの別名を持ち、渡辺綱が一条戻橋にてこの刀で鬼(茨木童子)の腕を斬り落としたなど、多くの逸話が残る。
膝丸(ひざまる)
源氏の宝刀の一つ。「蜘蛛切」「吠丸」「薄緑」など多くの別名を持ち、源頼光が土蜘蛛を斬るのに使用したなど、多くの逸話が残る。
雷切(らいきり)
元の名は「千鳥」。立花道雪がこれを用いて雷(または雷神)を切ったとされる逸話が残る日本刀。
天下五剣(てんがごけん)
鬼丸、三日月宗近、大典太、数珠丸、童子切安綱。
童子切安綱(どうじぎりやすつな)
源頼光の愛刀。元の名は「血吸」。田村麻呂から伊勢神宮へ経て頼光へ渡り、日本三大妖怪の酒呑童子を斬った逸話を残す。
騒速(そはや)
坂上田村麻呂の愛刀。悪事の高丸、日本三大妖怪の大嶽丸を斬った逸話を残す。
降魔の利剣(ごうまのりけん)
唐土にて田村将軍の父・藤原俊仁を打ち倒した不動明王の剣。
三明の剣(さんみょうのつるぎ)
田村将軍の妻となった天女・鈴鹿御前(もしくは天の魔焰・立烏帽子)が所有する剣。顕明連、大通連、小通連の3振りの総称。
日月護身剣(にちげつごしんのけん)・三公闘戦剣(さんこうとうせんのけん)
天皇家の三種の神器に次ぐ天皇継承器で、2振りの宝剣。再鋳に際して陰陽師・安倍晴明が管理し、打ち直しにも関わったといわれる。
七支刀(しちしとう)
石上神宮に伝来した古代の鉄剣。
坂家宝剣(ばんけのほうけん)
天皇家の三種の神器に次ぐ天皇継承器。大納言・坂上田村麻呂から伝わった。
壺切御剣(つぼきりのみつるぎ)
天皇家の三種の神器に次ぐ皇太子(東宮)継承器。
防具
隼人楯(はやとのたて)
『延喜式』において平城京を守護した隼人(はやと)が持っていた魔除けの紋が描かれた木盾
稜威高鞆(いづのたかとも)
腕に着ける弓具で、アメノオシヒが天孫降臨時に帯びていた。また、天照大神が武装した際、稜威之高鞆(伊都之竹鞆)という武具を帯びている。
金甲(きんこう)
坂上田村麻呂が神の峯(金甲山)の麓の円通寺の竜王に必勝祈願をして加護を得た、無事に阿久良王を退治したお礼として竜王に奉納した金の鎧。
避来矢(ひらいし)
藤原秀郷が百足退治の礼として龍宮の王からもらったという大鎧。着用すると矢に当たらないという。
源氏八領(げんじはちりょう)
清和源氏に代々伝えられたという8種の鎧。
- 源太が産衣(げんたがうぶきぬ)源氏の嫡男の鎧の着初めで使われたという甲冑。
- 八龍(はちりょう)全身に8匹の龍(八大龍王)の飾りが付けられた甲冑。
- 楯無(たてなし)その堅牢さから盾がいらないといわれるのが名の由来。
- 薄金(うすかね)源氏の棟梁のみが着用を許された甲冑。
- 膝丸(ひざまる)牛1000頭の膝の皮を集めて作ったとされる甲冑。
- 沢瀉(おもだか)の詳細は伝わっていない。平治の乱では、義朝の次男源朝長が着用し、敗戦で落ち延びる際に、雪中に脱ぎ捨てたという。
- 月数(つきかず)保元の乱では、為義の四男源頼賢が着用したという甲冑。
- 日数(ひかず)保元の乱では、為義の五男源頼仲が着用したという甲冑。
天女の羽衣(てんにょのはごろも)
天人が着て空を飛ぶという、鳥の羽で作った軽く美しい衣。
火鼠の衣(ひねずみのころも)
かぐや姫が貴族に要求した宝物。燃え盛る火の中に放り込んでも決して燃えないという、『火鼠』という幻獣の毛皮で出来た衣。
隠れ蓑笠(かくれみのがさ)
姿を隠すことができる簑笠。
領巾(ひれ)
古代日本の女性装身具。現代のスカーフ、ショールのようなもので、これを振ると災厄を払うと信じられていた。
道具
疫病神の詫び証文
疫病神が過去の過ちを悔いて疫病を流行らせないとする証文。この証文は護符となるとして各所で様々な逸話と共に刷られた。
人魚の肉
不老不死の妙薬ともされる。
打出の小槌(うちでのこづち)
振ることで様々な物が出てくるとされる槌。大黒天の持ち物ともされる。
玉手箱(たまてばこ)
開けると煙が出て、開けた者を老化させる。
雷鼓(らいこ)
雷神が持つ太鼓。
龍の頸の五色の玉
かぐや姫が貴族に要求した宝物。
反魂香(はんこんこう)
焚くことで煙の中に死者の姿が現れるという香。
囀り石(さえずりいし)
人々の役に立つ話をしたという石。
夜泣き石
泣き声がする石。
殺生石(せっしょうせき)
妖狐の化身玉藻前が倒された後に変化した石。
平将門の首
平将門の首級が平安京の都大路に晒されたが、後日飛んで行き、落ちた場所に平将門の首塚が作られた。この塚に害なすと祟られる。
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