『犯人はまだ逃走中』|【狂気】人間の本当にあった怖い話

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『犯人はまだ逃走中』|【狂気】人間の本当にあった怖い話 人間の怖い話
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犯人はまだ逃走中

 

これは俺がまだ、学生だった頃だからもう、15年も前の話になる。古い話で悪いんだが・・・
当時、俺は八王子にある学校近くのアパートで独り暮らしをしていた。
その日は、俺の部屋で友人と酒を飲んでいた。
いつもならクダラナイ話で何時間も盛り上がっていたのだが、その時は少し酒を飲み過ぎた為、俺も友人も11時過ぎには寝入ってしまっていた。
何時間位経ったのだろう?
突然、玄関で呼び鈴の音が聞こえた。
時計を見ると0時30分をまわっていたが、俺は寝ぼけていたこともあり、飛び上がるように起きると、すぐに玄関の扉を開けてしまった・・・。
と、そこには25~6歳位のグレーのトレーナーを着た男が立っていた。
「なんですか?」
俺は訝しげに男に尋ねた。
「○○さんですね?(俺の苗字)」
男が尋ね返す。
「えぇ、そうですが?」
なおも怪訝そうに答える俺にその男は、ユックリと落ち着いた口調で話はじめた。
「僕はこの地域の町内会長をしているものです。実は、今しがたこの地区で殺人事件が起きました。犯人は逃走中でまだ捕まっていません。危ないですから戸締りをキチンとして、今日は出歩くのを控えて下さい。」
俺は、寝ぼけたままで
「はぁ、解りました・・・。」
と言うと玄関を閉めた。
そして、酒の酔いもまだ残っていたのでまた眠ってしまった。
翌朝、新聞でもニュースでも確認したが近所で殺人事件など起きた話は載っていなかった。
友達は「あんなに若い町内会長なんているかよ。」と不審げに言っていたが、そう言われてみれば、夜中に警察でもない男が、近所にその様な注意をして廻る事、自体が妙な話だった。
「なんだったんだよ、あいつは?」
その時は少し気味が悪かったが、しばらくして、そのこと事態を忘れてしまっていた。
ところがその2カ月後に俺は、その時の男を再度、目撃することになった。
やはり、夜中の0時30分を過ぎたころだった。
呼び鈴がなったのだ。
しかし、それは俺の部屋ではない。
隣りの部屋だった。1回、そして、2回、どうやら隣は留守らしい。
と、呼び鈴は再度、立て続けに鳴った。
「うるせぇなぁ!こんな夜中にそれだけならして出てこなければ留守だろ!」
俺れは少し不機嫌になって、玄関の扉を半分開けた。
そこには、先日の男が、グレーのトレーナーを着てたっていた。
俺の扉を開けた音に気が付いて男が振り向き、俺と眼があった。
俺は、少し気味が悪かったが、それ以上に腹も立っていたので「隣、留守なんじゃないですか?なんすか?」と不機嫌に言った。
「あぁ、○○さん。いえこの間の犯人なんですが、まだ、捕まって居ないんですよ。だから、捕まるまでは近所の皆さんに、夜中は出歩かないように注意して廻ってるんです。」
俺はムッとして
「この間の朝、新聞もニュースも確認したけどそんな事件起こってないじゃないっすか!あんた誰だよ?」
俺は語尾を荒げながら、その男に言ったのだが、男はひるむ様子もなく
「いえ、そんなことはありません。それに、犯人はまだ捕まっていないのです。とても危険です。いいですか、夜中は出歩いてはいけませんよ。」
と逆に強く諭すように俺に言った。
男の眼が据わっていたこともあり俺は少し背筋も寒くなり
「そうっすか。」
と愛想なく言って、玄関の扉を思い切り閉めて鍵を掛けた。
腹立たしい思いと、気持ち悪い気分が入り混じったなんとも奇妙な心持でその夜、俺は寝床についた。
そして、翌日に俺は背筋が凍る思いをしたのだ。
その日の朝のワイドショーでは独身OLの殺人事件が取り上げられていた。
場所は、俺の住むすぐ傍のマンションだった。
寝込んでいたOLの家に空き巣に入った犯人が物音に気付きOLを殺してしまったのだと言う。
走り去る犯人の姿を目撃者した人が語った犯人の特徴は20代後半の若い男でグレーのトレーナーを着ていたと・・・。
前の晩に俺の見た男の特徴。
そして話の内容に妙に重なっていたのだ。
俺が背筋が凍る思いをしたのは、その夜になってからだ、やはり、夜中の0時過ぎに玄関のベルが鳴ったのだ。
俺は、怖くて扉を開ける気にはなれなかった。が、ベルは、1回、2回、3回となっている。
扉を開けずに俺が、玄関先で
「誰ですか?」
とたずねると先日の男の声がした。
「○○さんですか?ホラ、言ったでしょ。犯人はまだ逃走中ですよ。戸締りはシッカリして下さいね。」
その声で、俺はハッとした。窓、鍵を閉めてない・・・
急いで、部屋の窓の鍵を閉めようとカーテンを開けると玄関に居た筈の男が、窓の前に立っていたんだ。
グレーのトレーナーを着て・・・。
息を呑むという表現がどんなものなのか、俺はその時はじめてしった・・・。
鍵をすぐに閉めて、カーテンも閉めて、何を血迷ったのか、部屋にあった扇風機を両手に構えて、俺は窓を見張った。
何十分もしたが窓を割って入ってくる様子もない。
カーテンを再度開いて外を確かめる気にもなれない俺は、暫くはそのままでジッとしていた。

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