日本の神話や伝説、世界の神話や伝説には数多くの鳥が登場します。
ここでは、神の使い、幻獣、怪鳥など神話に登場する『鳥』を紹介します。
日本の神話・伝説の鳥
- 以津真天(いつまで)
『太平記』によれば建武元年の秋、疫病が流行して病死者が多く出た頃、毎晩のように紫宸殿の上に怪鳥が現れ「いつまでも、いつまでも」と鳴いて人々を恐れさせていた。公卿たちは弓の名手に退治させようと考え、依頼を受けた隠岐次郎左衛門広有は鏑矢(かぶらや)で見事、怪鳥を射止めた。
怪鳥は顔が人間のようで、曲がったくちばしに鋸のような歯が並び、体はヘビのようで、両足の爪は剣のように鋭く、翼長は1丈6尺(約4.8メートル)もあったという。 - 夜雀(よすずめ)
高知県などに伝わる鳥の妖怪。鳴き声をあげながら夜に現れる妖怪で、山道を歩いている人の前後について来るという。 - 寺つつき
啄木鳥のような怪鳥。四天王寺や法隆寺に現れ、嘴で寺中をつついて破壊しようとしていると言われる。古来の神々を信仰していた物部守屋が、聖徳太子と蘇我馬子に討伐された後、寺つつきという怨霊になって、仏法に障りを成すため、太子の建立した寺を破壊しようとしているのだとされる。 - 朱雀(すざく)
日本、中国で南方を守護する神獣とされる。 - 波山(ばさん)
伊予(現在の愛媛県)に伝わる怪鳥。婆娑婆娑(ばさばさ)、犬鳳凰(いぬほうおう)ともいう。赤々とした鶏冠を持つ鳥で、口から赤々とした炎を吐き出す。この炎は狐火などと同じで熱を伴わず、物を燃やすことはない。 - 迦楼羅(かるら)
インド神話のガルダを前身とする、仏教の守護神。
鳥頭人身の二臂と四臂があり、龍や蛇を踏みつけている姿の像容もある。鳥頭人身有翼で、篳篥や横笛を吹く姿もある。
- 迦陵頻伽(かりょうびんが)
下半身が鳥の仏教における想像上の生物。極楽浄土に住むとされる。殻の中にいる時から鳴きだすとされる。 - 送り雀(おくりすずめ)
和歌山県や奈良県吉野郡東吉野村に伝わる妖怪。夜に提灯を灯して歩いていると、寄って来るという。鳥の姿だとされるが、その姿を見た者は誰もいない。 - 金鵄(きんし)
神武天皇による日本建国を導いた金色の鵄(みみずく)。 - 陰摩羅鬼(おんもらき)
中国や日本の怪鳥。充分な供養を受けていない死体が化けたもので、経文読みを怠っている僧侶のもとに現れるともいう。
- 青鷺火(あおさぎび)
サギの体が夜間などに青白く発光するという怪現象。別名、五位の火(ごいのひ)または五位の光(ごいのひかり)。鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』や『絵本百物語』にも取り上げられた。 - 鳳凰(ほうおう)
日本、中国神話の伝説の鳥、霊鳥。鳳皇とも言う。
一般に、背丈が12-25尺の大きさがあり、容姿は頭が金鶏、嘴は鸚鵡、頸は龍、胴体の前部が鴛鴦、後部が麒麟、足は鶴、翼は燕、尾は孔雀とされる。
日本では一般に、背丈が4-5尺ほど、その容姿は頭と嘴が鶏、頸は蛇、胴体の前部が麟、後部が鹿、背は亀、頷は燕、尾は魚であるとされる。 - 鵺(ぬえ)
『平家物語』などに登場し、猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇。
この鳥の寂しげな鳴き声は平安時代頃の人々には不吉なものに聞こえたことから凶鳥とされ、天皇や貴族たちは鳴き声が聞こえるや、大事が起きないよう祈祷したという。 - オゴメ
東京都三宅島に伝わる怪鳥。特徴的な高笑いをするといわれる。姿を人に見せることはない。 - チカプカムイ
アイヌのカムイ。フクロウと大地のカムイである。コタンコㇿカムイともいう。人間とカムイたちの行いに目を光らせることが務め。この世での繁栄に関する神であるともされる。 - ヒザマ
鹿児島県奄美群島の沖永良部島に伝わる伝説の生き物。家に憑いて火事を引き起こすといわれる魔鳥。姿はニワトリに似ており、胡麻塩色の羽根を持ち、頬が赤い。家に憑く際は空の瓶や桶に宿るといい、これを防ぐためにはこうした器を伏せておくか、常に水で満たしておくという。 - フリカムイ
アイヌ民話に伝わる巨鳥。片翼だけで約七里(約30km)はある巨鳥で、十勝川の上流にある洞窟や、網走の海岸にある洞窟に棲んでいたとされる。食事の際には海へ出て、鮭や鯨を捕えて食べていたという。
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