【時空の歪み】『海の家の男の子』長編 – 異次元に行った不思議な体験

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【時空の歪み】『海の家の男の子』長編 - 異次元に行った不思議な体験 不思議な話
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海の家の男の子

 

自分が小学2年生の時に体験した不思議な話。
この話、友達の何人かに話してるんだけど怖がられるだけで
その謎を考えてもらえないんですよね。
小学生低学年の頃、毎年家族で海水浴に行ってたんです。
千葉県に住んでいたので、九十九里浜か茨城の大洗。
その年は、九十九里がすごく混んでる情報を仕入れた父の提案で
茨城の大洗だったんだけど。
で、家族で浜辺につくともう至るところ人だらけなんだよね。
行楽日和で、親父が休暇取れるのもお盆近辺だけだったから。
で、オレには7歳離れた弟がいるんだけど、当時は弟は赤ん坊でさ。
海に家族で来ても、父親はビーチパラソル立てたり、母親は弟の世話に追われて。
全然、構ってもらえなかった。
つまらなさそうにしてたら、「一人であそこの潮溜まりで遊んで来い」って言われたんだ。
親父の指差す方を見ると、30メートルくらい離れた浜辺に
引き潮によって、水が溜まった浅く小さな池のようにくぼんだ場所があってさ。
そこまで、歩いていったんだ。

 

その小さなくぼみまで一人で来て、足だけ浸かってたら
ちょっと大きめのカニ(多分当時は子供だったから大きく見えた?」が1匹だけ水の中にいて。
オレ、生き物大好きだったから何とか捕まえようとしたんだよね。
でも、とても素早くて何度も逃げられてしまうんだ。悪戦苦闘。
しばらく、カニと睨めっこしてたら地元の子供だと思うんだけど
同じ歳くらいの、赤い水着で色の真っ黒な男の子が「何してるの?」って話しかけてきたんだ。
オレは、一瞬男の子の方を見て「カニがいるんだ」って小さな声で答えて
指を指そうと、再びくぼみの中に視線を戻したんだけど、カニが消えててさ。 で、消えたカニを二人で探してたんだけど
全然出てこないから、なんだかなあという空気になりかけた時
男の子が「うちに来ない?」って言ったんだよね。
その時に、ああやっぱりこの子は地元の子なんだと思って。
「いいの???家はどこなの??」って聞いたら、
「あっち!」って少し離れた場所に見える海の家を指すんだ。
で、その男の子の後を付いていったんだよね。
知らない土地で知らない男の子と友達になれたのが嬉しかったし。

 

海の家の近くまで行ったら、普通に営業をしていて
お客さんも何人か入っていた。
で、てっきり正面から行くのかと思ったら
男の子が「こっちだよ」って海の家の隣にある小さな脇道のようなところに
入っていったんだ。ちょっと薄暗くて嫌な感じだったのを覚えてる。
で、細い道を辿ると、ちょうど海の家の勝手口みたいなところ?
小さなドアがあって、「ここから入れるんだよ」って男の子がドアノブを開けて先に入ったんだよね。
ドアから入ると、畳の部屋がいくつかあって。
多分、サークルとか団体が泊まる部屋だと思う。部屋の隅に座布団が積み重なっていた。
裏側のドアから入った事になるんだと思うんだけど
人が誰もいなかった。いつの間にか男の子がフランクフルトを持っていて
オレに手渡してくれたんだ。「食べなよ」って。
たぶん、海の家で出してる商品だと思う。。。。
本当は、人からもらったものをそのまま食べるのってよくないと思ったんだけど
何か、ここで断ったら逆に失礼な気がして。
二人で誰もいない畳の部屋で食べた。どんな話をしたのかはあんまり覚えてないけど。
で、食べ終えたら「この部屋で隠れん坊しない?」って言われた。
うち、当時はせまいマンションだったから畳の部屋なんて無かったし
フスマを隔てていくつも、同じような部屋があったから隠れがいがあるなあと思って。
男の子と、どちらが隠れるのかジャンケンしたんだ。

勝ったのか負けたのかまで覚えてないけど
とりあえず、オレが隠れる事になったんだよね。
で、顔を伏せて数字を数える男の子を残して
オレは、迷わず違う部屋へ進んで押入れの中に隠れたんだ。
本当は2階に上がろうと思ったんだけど、それは失礼だと思って。
で、押入れの中に入って大きい声で「もういいよー!!」って叫んだ。
見つからないようにってすごくドキドキしてた。
でも、しばらくしても全然見つけに来てくれないんだよ。
だんだん、押入れの中の暑さに我慢できなくなってきて。
だって、すぐとなりに布団があって。身体を小さくして隙間に
無理矢理潜り込んだから、どんどん汗が吹き出してきてさ。
で、我慢できなくなって相手にわかるように
押入れの中から再度「もういいよー!!」って叫んだ。
でも、30秒くらいしても誰も来ない。
だから、思い切って押入れを開けたんだ。

 

最初の部屋に、忍び足で戻ったんだけど…さっきの男の子が見当たらなくてさ。
で、よそ様の家に一人で上がりこんでるのも微妙だから案内された勝手口から
さっきの薄暗い道を通ってそのまま海の家の表側へ出たんだ。
浜辺を見渡しても、赤い水着の色の黒い子が見つからなくて。
それで、再び最初のくぼみまで戻ったんだ。 急にいなくなるなんて、なんなんだよって少し不機嫌になってた。
それで、くぼみに腰掛けて溜まった海水に足を入れたら
サササって、さっき捕まえようとしたカニが出てきてさ。
今度こそ、チャンス!!って捕まえようとしたんだよね。
そしたら、さっきの男の子の声がすぐ後ろでしたんだ。
「なんだ、ここにいたんだ。みっけ!」って。 でも、今度は、男の子の方を振り返らなかったんだ。
振り返って、カニから視線を外したら絶対にまた捕まえられずに見失っちゃうと思って。
で、しばらくまた「海の方に行こうよ」とか「遊ぼうよ」とか言われてたんだけど
オレは「これ捕まえてから!」って男の子の誘いに応じなかったんだ。
意地悪とかじゃない。急にいなくなって、怒ったわけじゃない。
それより、捕まえてその男の子に見せてやりたかったんだよね。

 

で、やっとくぼみの隅の方にカニを追いやってガシッって捕まえた。
それで、男の子の方に振り向いたんだけど男の子がいなくなってた。
あれだけ、誘ってくれて応じなかったから怒らせてしまったと思った。
でも、カニを見せれば機嫌を直してくれると考えて海の家の方へ走ったんだ。
で、海の家に着いて最初はさっきの裏道に入ろうと思ったんだけど
流石に、男の子もいない状態で人様の家のドアを開けて入る勇気は無かったので
今度は正面側から行ったんだ。バイトらしい若いお兄さんが呼び込みとかしてた。
で、最初そのお兄さんに声をかけようとしたんだけど、何か怖気ついちゃって。
一瞬、モジモジしてたらその隣りにいた同じバイトの若い女の子が
「きみ、何持ってるの?」ってオレのカニを見て聞いてきたんだ。
で、「あっちで取りました」って答えたついでに
「あの、ここの男の子と遊んでたんですけど」って続けて話した。

 

オレ的には「ここの男の子」というフレーズですんなり相手に伝わると思ったのだが
若いバイトの女の人が「え?どんな??」っていろいろ聞いてくるんだよ。
で、赤い水着で同じ歳くらいのっていろいろ答えてたら、女のバイトの人が
「○○さーん」って奥で食器の片づけをしているおばちゃんを呼んだんだよ。
で、おばちゃんにいろいろ伝えてもらったら、そのおばちゃんもまた同じ質問を繰り返すんだよね。
「赤い水着はいてたの?」って。で、何か海の家のスタッフの人たちが騒然としてきて。
ちょっとガヤガヤし始めて。「なんか、あったのか?」って。
そしたら、たぶんその海の家の店主らしい色が黒いおじさんが奥から出てきて
「何があった?」って。
で、そのおじさんに向かっておばさんは「赤い水着をはいてたんだって!」って
そればかり、伝えるんだよ。
で、おじさんも「本当か?本当か?」って聞いてきて。
なんかオレ、実はつるんだ男の子が、すごい悪さでもしたんじゃないかって
すごく怖くなっちゃって。

 

で、おばちゃんが思い出したかのようにちょっと待ってて!って奥に引っ込んだんだ。
奥に行くおばちゃんに向かっておじさんも
「あれ持ってこい!写真、写真!」って叫んでた。
で、おばちゃんが数枚の写真を持ってきたんだ。
そしたら、そこにさっき一緒に遊んだ男の子が写ってたんだ。
「ああ、この子です」って迷わず答えたんだよね。
でも、おじさんは多分疑ってたんだと思う。
「ホントにこの子か?別の子じゃないか?」って。
で、「名前は?」って聞かれて思わず自分の名前を答えたら
「違うよ、この子の、こいつの名前だよ!」って写真を指差しておじさんが声を荒げた。
なんか、オレ。疑われてる気がしてすごく嫌だった。
だからこの際、一緒にどんな遊びをしたか全て白状したんだ。
「裏側から、一緒に家に上がりました」って。

 

だって、その男の子の名前を聞いていなかったからね。
もう全部話さないと、自分の立場が危ういって。
正直に話したら、楽になれるって思った。
で、その裏道までおじさんとおばさんと、何か知らないうちに増えた野次馬を従えて
連れて行って、「ここから入りました」って答えたんだ。
で、おじさんが「そこは、普段はカギをかけてあるだろ」って若いスタッフにボソって言ったから 、オレは、両手でそのドアを開けたんだ。さっきと同じように開いた。
で、この部屋で「隠れん坊」しましたって答えた。
そしたら、おばさんが「やっぱりあの子は…」って急に泣き出したんだ。
すごいびっくりしたのを覚えてる。
で、一瞬で何となくその涙の意味を悟ったんだ。
同時に、おじさんがオレに近づいてきてしゃがみこんで
「写真の子は一昨年、海で亡くなったんだよ」って言って。
それで、オレ何だかよくわからないけど悲しくも何もないのに涙がその場で溢れたんだ。
だって、よくよく見たら浜辺を素足で歩いたまま裏のドアから入ってるわけなんだけど
畳の部屋を見たら、オレの足跡しかついてなかったんだよね。

で、何が何だかよくわからなくてドッと疲れてしまって。
それで、おばさんに「きみ、おとうさんとおかあさんは?」って聞かれて
「あっちにいます」と答えたら「心配してるから早く帰りなさい」って。
それで、ヨタヨタと戻った。
気がついたら、手に掴んでたはずのカニはどこかへ逃げてしまったのかいなくなってた。
どのタイミングで、いなくなったのは覚えていない。
でも、すごく長時間留守にしていたから、父親も母親もさぞかし心配してるだろうと思って
申し訳なさそうに、それと今あったことを説明しようと思ったんだ。
でも、親父がオレを見て言った言葉が
「あれ?一人で遊ぶのは嫌か?」だったんだ。
で、もう十分遊んできたよ、って答えようと思ったら
弁当箱やら、遊具を入れたカバンが来たままになってる。
もう、2時間くらい過ぎたと思っていたのだけど、様子がおかしい。
で、よくよく確かめるとオレが両親を離れて戻ってくるまで
全然時間が過ぎていなかったんだ。

おばさんが泣き出した瞬間にすごく嫌な空気を感じちゃって。
何度も父親に「早く帰ろう」ってせがんで昼過ぎに車で帰ったんだ。

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