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時空にまつわる不思議な体験『穴を通って』など短編全5話

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時空にまつわる不思議な体験『穴を通って』など短編全5話 不思議な話
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風景

 

白昼夢のように一瞬自分の周りがいつもと違う光景に見えることがある。
信号で立ち止まってボーっとしていると、近所の駅前風景だが様子が違う。
バラックが立ち並び、所々屋根が崩れかけている。
しかし当たり前のようにそこを見ている自分がいる。
通り過ぎると板切れに墨で書いたような名前がかけてあった。
後で古い地図などで確認すると、そこには同じ名前が書かれてあったりする。
通り1つ行過ぎるといつもの街並みに戻って車やバスがやかましく往来してくのだがあれはいったい何だろうといつも不思議に思っている。

 

 

穴を通って

 

14年前、多摩川の河原から栃木の山中にワープした。

草むらに見つけた穴を5mほど進んでいったら、なぜか板壁に突き当たりその隙間から這い出てみると、森の中の腐りかかった社の縁の下だった。
振り返って出てきた板壁を見ると、何十枚と色褪せたお札が貼られていた。
混乱した俺はとりあえず泣き叫びながら山を下った。幸い少し降りた所で舗装された道路に出たので、そこを辿って町の交番に駆け込んだ。

不思議だったのは警察官たちの対応が素早かった事。支離滅裂な俺の言葉を遮っては住所氏名を確認し、テキパキと迎えの手配を済ませた。
落ち着いた頃にいったい何が起こったのか尋ねてみたが、わからん謎だの一点張り。
それは両親が聞いても同じ事だった。結局今もって何も分からない。

 

その日は親戚の葬式だったのですが、年の近い親戚もいなかったため一人で河原を散策していました。
例の穴は、川と土手の中間辺りのやや斜面になったところで見つけました。
間口は草に覆われていましたが、少し頭を下げれば入れそうだったので何の気なしに覗いてみました。
なぜ穴の奥に進む気になったかというと、その穴は斜め下に向かっているにもかかわらず奥の方が暗闇ではなかったからです。
少し降りてみると、明らかに前方から光が漏れているのが確認できました。
その時点ですでに???の心境でした。

 

 

岩場のドア

 

高校時代妙な体験をした。あまりに妙なのでこれまで一度もまわりから信じてもらったことがない。
でもほんとうに体験した100%の事実。

高2の秋。
私の通う高校は文化祭などはまったく無関心なくせに体育祭(というよりその応援合戦)にだけは非常に力を入れていた。各クラスが趣向を凝らした応援をするのだ。
私のクラスは応援席のうしろにおおきな立て看板をつくることになり、支柱にする木材を探すことになった。クラスのAが木材ではないが竹ならただで手に入る、というので竹に決まった。なんでもAの家はちょっとした山を持っており、そこに竹薮もあるというのだ。

早速土曜の午後に竹を伐採にいった。Aと私のほかに3人、合計5人。
竹薮はちょうど山の一番低いところにあった。竹薮のまんなかに細い道(むろん舗装などしてない)があり、山(といっても高さ100mくらいか?)に続いていた。
竹を切り始めたとき。山道の遠くの方から妙な音が聞こえてきた。
ミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
人の声でもない。動物の吼える声でもない。機械がだすような音。だが、なんの音かわからない。電動のこぎりかなにかかとも思ったが、Aは今日は誰もこの山に来てないはずだ、という。それに第一、電動のこぎりのようなエンジン音ではない、別の種類の機械から出る音だった。木などを切っているのではない。でも誰かがなにかの機械を山のなかで使っている……5人は顔を見合わせて不思議がった。

 

ミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
ふたたび音がしたとき、私はのこぎりを片手に音のする方にむかっていた。気になってしかたなかったのだ。ほかの四人もついてきた。同じ気持ちだったようだ。
この山に詳しいAを先頭に山道を登って行く。

ミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
また聞こえてきた。
音は山道から少しそれた林の方からしていた。ほんの少し歩いた時急に先頭のAが立ち止まり、全員を制すと右の方向を指さした。
指さす方向にあったのはドア。特撮番組の秘密基地さながらに岩場にドアがついていた。
金属製の重そうなドアだが取っ手がない。どうやって開け閉めができるのか、とにかくへんな場所にへんなドアがついていた。
そのドアは開け放たれていた。奥は暗くてよくは見えないがなにやら通路が続いている。
この奥からあの音がした。確証はなかったが誰もがそう思った。
「おいA、なんだこのドア?」
「知らない。こんなものいつできたんだ?」
Aはまったく知らないという。こんな変なものは見たことがない、Aは中を覗きながらぶつぶつとそんなことばを繰返していた。そしてこちらを振り返り、「とりあえず中を確かめてみようぜ」と言った。

 

ドアが突然閉まって閉じ込められたら洒落にならない、ということで開いたドアの下に大きな石を置いて閉まらないようにしてから、怖いからいやだというB、C2人を残して3人で中に入ることにした。通路に入るとかなり暗くよく見えなかった。
喫煙者だった私たちはジッポーを取り出し蝋燭がわりにした。壁を触るとごつごつとした岩の感触がした。
しかし自然にできたものでないことは明らかだった。機械で掘ったような直線的なあとがいくつもあったのだ。通路の広さはひとひとり通れるほど。

10mもいったらすぐに「部屋」と呼べるような広い場所に出た。そこで終わり。なにもなかった。

誰かがいた形跡すらない。ここじゃなかったのかな、などと話をしていると、「おーい、もどれ!もどってこい!」
と入り口から声がする。
残った2人が叫んでいた。あせったような叫び。尋常でない感じがして急いで戻ると、ドアが動いている。

石だけでは押さえにならなかったようでふたりも必死にドアを押しもどしていた。私たちが外に出て5人ともがドアから離れると、

ミィーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
という大音響ともにドアが閉まった。止め石が通路をごろっと落ちていくのが見えた。
あの音はこのドアが開閉するときの音だったのだ。
Bの言うにはなんの前触れもなく突然動き始めたという。それで慌てて押さえていたがドアの力はだんだん強くなっていったそうだ。もう少し私たちが遅かったら閉じ込められていたかもしれない。
夕方になっていたこともあり、翌日もう一度調べようということになり、翌日5人でもう一度この場所に行った。
しかし、なぜかドアは見つけられなかった。むろん通路もなくなっていた。

Aとはいまもつきあいがあるが、その後一度もドアについては見ていない、という。岩場も異常がないし、あの音ももうしないという。

 

 

飛行機

 

数年まえ
午後4時頃、大好きな見晴らしのいいドライブコースの高原を車でドライブしていたんだが。
そしたら、斜め横の辺りを低空で旅客機が飛んでるのよ。
こんなとこを、低空で旅客機が飛んでるなんて珍しいな、なんて思いながら俺も飛行機が好きなもんだから車のスピードを20キロくらいに落として飛行機を見ていた。
旅客機が緩やかにカーブしながらちゃんと窓の一つ一つも見えるし、少し日が傾いていたもんだからオレンジがかった光りが機体に当たって、ピカ、ピカと反射していてまた綺麗だった。
でも、あんなに低空で飛んでいるにも関わらず飛行機の音が全然しない。
変だなと思いながら、飛行機が横の土手で視界が邪魔され見えなくなった。
もうチョット先に行けば、障害物が無い見晴らしのいいとこに出るから、そこに車を停めて、飛行機をじっくり観察しようとと思って、そこに出た。
そしたらその飛行機がどこにも見えない。
あれ?あれ?といいながらそこらじゅう見渡しても飛行機が見えない。
機影すら見えないし、車のエンジン止めて音を聞こうとしても音もまったく聞こえない。
そこは標高1000メートルくらいのとこで360度視界が開けているような場所にも関わらずだ。
あのスピードで少しの時間目を離した瞬間に消えるものでもないと確信していたのに、見渡しても、どこにも飛行機らしき姿が見えない、飛行機の点すら見えない。
視力両眼2.0を誇る俺の目でそこらじゅう凝らして見てもだ。
雲も無いような素晴らしい天気であり、また午後4時頃と言っても十分明るい季節。
空もまだ十分青かった。
あれはまさしく謎だ。

 

 

煙草

 

子供の頃、田舎のおじいちゃんの家で、ひと夏過ごした事がある。
ある日、沢までわさびを取りに山の奥までおじいちゃんと行った時のこと。
町の人がその場所まで分け入った細い道が出来ている。
季節は夏で、青々とした雑草やらシダやらが、その細い道を覆っているが踏み込んだ後が見える道だった。
行きは30分くらいで沢まで着き、わさびを食べる分だけ取ってくる。

根わさびは、しょう油か味噌と混ぜ合わせて熱々のごはんに乗っけて食べると格別の美味しさなんだけど
まぁそれは置いといて…。

そろそろ帰ろうと元来た道を引き返した。
が…、1時間歩いても家に帰れない。

細い道を辿って、というか道はちゃんと合ってる。
目立つ木の位置も、群生してる花の位置もそのまま。
迷った?でもそんな事ありえない、おじいちゃんは山歩きが趣味でこの辺りはいわば庭みたいなものだ。

おじいちゃんは、立ち止まって適当な木の下に腰を下ろした。
「心配すんな、こういうのはたまにある」
そう言うと、煙草を一本吸い出した。
プカーと煙を吐き出し終わると、ドッコイショと言いながら立ち上がりまた歩き出した。
俺は、幼いながらも何だか釈然としない気分でいた。
きっと変な顔をしていたんだろう。
おじいちゃんが俺に言った。
「煙を出すとちゃんと帰れるからな~」

その後、10分ほど歩いてちゃんと家に着いた。

 

煙草に「邪を祓う」効果がある、ってのは聞いたことあるな。
「こういうのはたまにある」と平然と言い放つじいちゃん、すげぇ。
怪異現象じゃなくて、日常なんだな。

 

水木しげるの本にあったような気がするムジナだったかな
「ばかされてる」と感じたら煙草に火をつけるとどこかで「ぎゃー」と叫び声がして、まわりが急に明るくなり家に帰れたとか。

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