怖いけど切ない話【5】全5話
また会える
これから書く話は僕が25年間つきあっていた友達の話です。
これからも続けて彼の話を載せていきたいと思っているので、これはその序文とも言えるでしょう。
彼は映画「シックス・センス」を地でいく人でした、死んでいる人、いわゆる霊が見える人です。
他にもちょっと変わったやつでしたが...
そんな彼も去年病気で死んでしまいました。
彼が死ぬ前の日、夜電話をかけてきて
「明日必ずきてくれないか」といいだしたのです。
僕もちょうど暇だったけど、今日彼を見舞いに行って来たばっかりだったので
「何だよ、今日会ったばっかりじゃないか」
というと
「明日はどうしてもきてほしいんだ」
と何度も頼むので
「わかった。会社が終わったらすぐいくから」
と返事をし、彼も安心したようでした。
次の日彼を見舞いにいくととても喜んでくれて、あのときは怖かったよなとか、
馬鹿みたいな事もしたよねって昔話ばかりしていました。
彼とは小学校時代からの付き合いで、クラスも別だったけど
初めてあったとき
「よぉ!」
ってかれがいきなり声をかけてきて、
それにつられるように僕も
「おお!」
と返事をしたのを覚えています。
初めて会ったのに昔からの友達。そんな感覚だったのを覚えています。
そんな思いに耽っていると彼が
「俺、明日死ぬんだ」
といい出しました。
僕は
「なに言ってんだよ。縁起でもない」
というと彼は
「前から30才くらいで死ぬことはわかってたけど、やっとはっきりわかったんだ」
とても冗談とは思えない感じでした。
「馬鹿なこといってんなよ」
というと
「大丈夫。君とはまた会えるから」
と言い出しました。
彼の話によると今彼と出う前、つまり前世からの付き合いで、
互いにいつも親友としてつきあって、
それは気の遠くなるような昔から何代も何代も続いているそうです。
僕も何となくそんな気になって
「ふーん、そうなんだ」
と、相づちを打つと、彼はいきなり笑い始めました。
ほんとに楽しそうに..
ちょっとムッときて
「何で笑うんだよ」というと、
「君はいっつもそお言うんだよな」
といいます。
彼にははっきりと前世の記憶があるようで
(もっとも2・3世代前くらいまでといってましたが)
いつも彼が死ぬ間際に今みたいな事を話すと
僕は決まって
「ふーん、そうなんだ」
と、言い出すそうで
それがいつもおかしいと言います。
また、彼には僕という存在がとても大事だとも言いました。
この世で正気を保つのに僕の存在が必要だというのです。
彼は毎回物心が付くような頃から霊が見え始め、それらから話しかけられたり、
ちょっかいをいろいろかけられて気が狂いそうになると僕と会うそうです
すると今まで毎日と言うより、1分ごとに見えていた霊やその他の物が減りだして、
少なくても月一位間で減るそうです。
「君は全く霊という存在を感じないだろ、って言うより霊をはじいてるような感じだよ。
それが俺にも作用してきてあまり見なくなるんだよ」
「また今度会ったらよろしく頼むよ」
僕はもう面会時間もとっくに過ぎてる!って
おこりにきた看護婦さんにつまみ出されるように病院をあとにしました。
次の日の明け方、電話がかかってきて彼が死んだのを知りました。
でも、あまり悲しさを感じません。
なぜなら彼が別れ際に
「僕は死ぬけど今回はすぐにあえそうだよ。それも君の血縁になってると思う。
君の孫あたりになるんじゃないかな?今回は君もすぐ僕だって事がわかるよ」
と言っていたのです
私は彼にまた会える日を楽しみにしています。
それよりも彼が僕の孫になるって事は僕も近いうち結婚するって事だよな?
相手誰だよー!!彼に聞いときゃよかった。
母との生活
俺の母親は、俺が小学生2年生の時に死んだ。
死んだことを納得できず、そのあと一ヶ月くらい母親が帰ってくるのでは?と玄関に座って待っていたこともあった。
ある日、学校から帰ると普通に母親がいた。
買い物をすまして夕食の準備をしていた。
父親が帰ってきたが、母がいることに驚くようすはない。
子供だったので、母が帰ってきたことがうれしくて、そのまま生活した。
学校にいって、友達に「死んだおかあさんが帰ってきた」
と話しても、「XXくんのおかあさん、死んでないじゃん」
と言われた。
楽しい日々が続いた。
1年半ほどした、その日は遠足だった。
母親の作ってくれた弁当はとてもおいしかった。
遠足から帰ると、家に母親の姿はなかった。
家中さがしまわったがいなかった。母親が生活していた痕跡もなかった。
夜になって父親が帰ってきたので、「おかあさんがいなくなった!」と言ったら、
「おいおい、おまえ、いまごろ何言ってるんだよ」と困った顔で言われた。次の日から、父親と二人の生活が始まった。
父親にたずねてはっきりと確かめたかったが、母との生活が否定されてしまうようでできなかった。ずっと。
その父ももういない。
30年以上たったいまでも、あの時の母との生活を思い出す。
猫
休みの日、する事もなくアパートの一室でゴロゴロしていると、
外から猫の鳴き声がしたそうです。
『うるさいなぁ。寝かせてくれよ。』
そうボヤキつつ外に出てみると、それは見覚えのある猫だったんだそうです。
その猫は、その人が昔付き合いのあった女性の飼っていた猫でした。
『おぉ!!懐かしいなぁ!しかしおまえ、こんな遠くまで何しに来たんだ?』
猫は何かを訴える様にニャーニャー鳴くばかり。
『何あわててんだ、近所迷惑だろ。落ち着け。』
そこに現れたのは大家さん。
『ちょっとあなた。このアパート、ペット禁止ですよ。猫なんか、、、あら?』
『え、いや、この猫は、、、あれ?いない、、、。』
『のら猫かしら、、、』
その場はそれでおさまったそうです。
でも何か気になったんでしょう。
その人、昔の彼女に電話したんだそうです。
いくら猫はアッチコッチ出歩くとは言っても、車でも1時間以上かかる距離だし、、。
何か妙だと感じたんでしょう。
しかし何度かけても電話には誰も出ません。
たまたま留守なのか、でも気になったんでしょう。
彼女のうちまで出かけたそうです。
鍵が掛かっていなかったので入ってみると、
彼女が体調を崩して苦しそうにしてベッドに横たわっていたそうです。
彼女を看病し具合も良くなったころ、聞いたそうです。
『あの猫が知らせてくれた。ご主人思いの猫だ』
『そんな筈ない、、、』
『なんで?』
『あのコ、、、すこし前に死んじゃってるから、、、』
彼女はそう言ったそうです
今度は・・・
あるところに美男美女の夫婦がいたが、生まれた子供はたいそう醜かったという。
そして湖に行楽に出かけたとき、子供を湖に突き落として殺してしまった。
そして次に生まれた子供は親に似て美しかった。
そして同じ湖に行楽に出かけたとき、子供はこう言った。
「今度は落とさないでね」
ダイビング
週末を利用してダイビングに行って来ました。
この話は,そこのオーナーに聞いた話。
水難事故の時に警察のダイバーが出動しますよね。
ダイビングって基本は二人一組なんですけど、
その時はベテランの方と、実質初めての出動、という若い方。
心中現場に潜って遺体を引き上げることになったそうです。
潜航していくと、車はすぐ見つかりました。
若い方のHさんが近寄ると…まず、女性が見えました。
海の中ではただでさえ赤色系が見えなくなるので、顔色は真っ白。
カッと見開かれた目がHさんを見つめ、長い髪がユラユラ揺れて…
「…やだな~」
プロでも人間。怖いものは怖いです。しかも新人なんだもん。
でも、プロ。
ベテランダイバーのTさんは、Hさんにドアを開けるように指示して
自分は男性側にまわりこみました。
「…まだ男のほうがいい…」
と、思っても始まらないのでHさん、思いきってドアを開けました。
…瞬間。
ぶわーっと、女の人が、抱きついてきました。
正しくいうと、浮力があるからご遺体は浮いて車外に出て、
Hさんがたまたまそこにいて、
たまたま、女の人の腕が、Hさんに抱きつくような形で前にのばされてて、
たまたま、ホントにたまたま、
女の人の顔が、見開かれた目が、Hさんの目の前に…
「ぎゃあああああああああああ」
Hさん、たまらずレギュレーター(口に咥えるやつ)をはなして絶叫してしまいました。
そして、たまらず海面めざしてまっしぐら。
上に船が通らなくて良かったです。
そして、絶叫したおかげで、肺の空気が減って水圧が急に変わっても
肺がパンクせずにすんで良かったです…
さて、海底に残されたTさん。
ちょっと待て、戻って来いとも言えず、仕方なく漂ってる女の人が流されない
ように捕まえて(さすがに一瞬だけはイヤだな、怖いな、と思ったらしい。一瞬だけね)
男の人はシートベルトで固定して動かないようにして
女の人と二人で、浮上したらしい・…
若い男の人が迎えに来てくれて、仏さん嬉しくて抱き着いちゃったんだね、きっと。
…とうちのオーナーは話を締めくくり,そんなのやっぱイヤだな、
と私達はぶるぶるしたのでした…
…これはダイバー仲間では結構有名な実話で、緊急浮上するときには
叫びながら、という例に挙げられて事故集の本とかにも載ったらしいです。
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