時空にまつわる不思議な体験『洞穴』など短編全5話

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時空にまつわる不思議な体験『洞穴』など短編全5話 不思議な話
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神隠しされかけ

 

神隠しと言えば、友達が江古田に住んでたんだけど、田舎にしばらく帰るから「自由に使っていいよ。」って言われて、私を含め5人で酒盛りをしよう!とその部屋で飲み会をする事に。江古田駅周辺で色々買い込んで、アパートに向かったんだけど、途中に古いお蕎麦屋さんがあって、そこの門を曲がったとたん、なぁ~んか薄ぐらいんだよねぇ~!それまで人通りも多くて自転車に乗った人なんかもいたのに、急にぱったりと人がいない…。

『なんか変だな?』と思いながらも、口に出すのが怖くて黙ってたら他の4人も妙に口数が少ない。やっとこの門を曲がればアパートって所まで来ると、ある筈の路地が無い!

古い納屋みたいな建物があって路地自体が無くなってるんだよね!
そこでじっくり周りを見まわすとマンションや高い建物が全く無くて、まるで戦前のような町並みが広がってた!
さっきから暗いと思ったのも、街灯が昔の映画に出てくるような裸電球だけだった。

「これはおかしい!とりあえず駅まで戻ろう!」と

来たのとは逆の道を通って、駅まで戻るとやっと駅周辺に人並みが…。
「怖かったね!どうする?もう1度戻る?」と話してると、私達と同じ方向に行く男性グループがいたんで、その人達の後をついて、元来た道を戻ると、今度はすんなりアパートに到着してホッとした~!
あの時戻れたからいいけど、もし戻れなかったら5人で神隠しにあってたのかな?

 

 

洞穴

 

小学校低学年の頃、近所の裏山に友達10人くらいで遊びにいったのね。
防空壕とか洞穴とかがあって、探検♪って感じで。

んで懐中電灯とかもって洞穴に探検に入ったんだども、恐がりな奴が一人入らなかったの。

で、そいつを無理矢理連れてったんだども、中で泣き叫ぶのね。

しょうがないから一旦外に出て、そいつを入り口で待たせて、オラ達はもう少し探検しちょったんね。

10分くらいかな、みんなで出てきたら、そいつの姿が無いの。

あれぇ?帰っちゃったのかなぁ?って思って、そいつの家にいったの。
そしたらそいつの家、空家になってた。

今考えると、引っ越ししたにしても時間的に辻褄合わなくて変だし、
翌日学校行っても、そいつの存在は無くなってるし・・・

でも小さい頃はそういう不条理も、そんなモンかって受け入れてたけど・・・

変だよね?
探検に行った10人みんな今でも覚えてる出来事。

 

 

ダッシュ

 

中学生の頃、文化祭かなんかの準備で学校の教室に残っていた放課後のこと。

自分の作業も一段落したので、息抜きしようと1人で教室(2階だった)を出て廊下へ。
何気なく階段を降りて1階へ行くと、そんなに遅い時間でもないのになぜか誰もいない(というか、いないことをなぜか確信してた)
その時になんとなく「今ここを走ったらすごく早く走れる気がする」と、どういうわけか急に思ったので、廊下の端から端まで(結構長くて50メートルぐらいあった)思いっきりダッシュしたら、自分でも思った以上のスピードが出た。
元々、足は遅いわけでもなく比較的速い方だったが、たぶん普通にダッシュする時の2倍以上の速さを感じた。
まぁ基本的に廊下は走っちゃいけないし、誰も目撃者はいなかったけど、なぜかその廊下に違和感があったのを記憶している。
その後、普通に階段を昇り、自分の教室へ。再び作業に戻りました。

しかしそれ以降、同じ場所や他の場所でダッシュを試みてもそんなスピード感は得られず……
体育の授業などでタイムを計っても、いたって普通のタイムでした。

あれは何だったんだろう?
なんとなくあの日、あの時の廊下は異空間だったのではないかと勝手に思ってます。
ただの自己暗示かもしれないけどね。

 

 

夕焼け

 

受験生の頃のお話。

高校生の時、私の学校からは「政治経済」で大学を受験する人がいなくて、政治経済の先生とマンツーマンで勉強していた。
その頃私は、放課後に志望大学の過去問のテキストを持って、先生へ質問に行くのが日課になっていた。

ある日、たまたま同じ準備室にいた日本史と世界史の先生が不在で二人きりになった。
丁度このくらいの季節で、日が沈む前の夕焼けがすごい色をして室内を照らしていた。

「──あれ?」

私は、不思議な事に気付いた。
普通、放課後でも部活動をやっている人が必ずいるはずでブラスバンドも毎日演奏しているはずなのに、私達のいる部屋は無音だった。

それも数分なら分かるが、たっぷり30分は誰も廊下を歩かない(走らない)。
誰の声もしない。何の音楽も聞こえない。
私は変だと思い、ちょっと外を見てこようと思ったが、先生に教えてもらっている最中に席を立つのもどうかと思い遠慮していた。
が、先生も変だと思ったのか外を気にしている様子だ。

 

「先生…何か変じゃありませんか?」
「ん…そうだな」
「ちょっと私、見てきます」

ようやく私は立ち上がり、そろそろと部屋の引き戸を開けた。

──瞬間、うわんッと音が戻ってきた。

「えっ!?」

びっくりした私は、廊下を歩いていた生徒に変な顔をされた。
振り返って先生と目を合わせると、先生も驚いていた。

この部屋は、ただの社会科準備室で防音も何もしていないし、何故?と思った。
でも結局先生も私も理由は分からずじまいだった。

ただ、あの日の異様な夕焼けだけが印象に残っている。
そして、これは全く関係無いが、先生と私は今月結婚式を挙げた。

 

 

トンネル

 

トンネルで不思議なできごとに出遭った。そんな話をよく聞くのだが、実は私にもそんな経験がある。この時期になると思い出すのだ。
ちょうど冬休みに入った日のこと。小六だった。

そのトンネルは高速道路の下をまっすぐ横切る細くて短いトンネルだった。左右一車線ずつ、片側にしか歩行者用の区切りがない、そんなところだった。今はアスファルト舗装されているが、この当時はまだ舗装もされていなかった。
場所は伏せた方がいいと思うので書かないが、ある県の農村部とだけ申し上げておく。
とにかく田舎のトンネルだ。

その日私は友人宅に行くためにそのトンネルを通った。まだ午後の一時過ぎだった。子供の足でも数十秒で通りぬけられるくらいの短いトンネル。むこう側の出口がトンネルの外からだって見える、そんなトンネルに入った途端だった。
目の前が急に真っ暗になった。見えるはずの向こう側が見えない。
なにが起きたのかわからなかったが、とにかくおかしいぞ、と思った。
それでとにかく一度外に出ようとふりむいたら、そこにはあるはずがない壁が。
ちょうどトンネルの横壁と同じようなコンクリートの壁があった。入ったばかりの入り口が壁で全部塞がっていた。

怖くなり外に出ようとトンネルの反対側出口に向かって走ったが、いくら走っても外に出なかった。
先にも書いたがそもそも出口が見えない。いつもなら、あっという間に出られるはずなのに。
そこでもう一度反対にもどると、やはり壁に突き当たって出られなかった。
ちょうどながーい袋小路に押し込められたような感じだった。

 

当然パニックを起こして「うわー」とか「おおー」とか叫んでいたと思う。壁も叩いたり蹴ったりした。
しかし壁に変化などあろうはずもなかった。しかたなくもう一度向こうに出ようと歩き始めた。
依然として出口は見えないままだったが、しばらくして妙な音がしているのに気づいた。横壁の向こうから車の走る音がしていた。普通に道路を歩いている時にしている車の音。
舗装していない道を走るジャリジャリという音。

そのときにわかった。「壁の向こう側にほんとのトンネルがあるんだ」って。じゃあ今いるここは、と考えても答えは出なかった(というよりもいまだに答えが出ない)が、とにかくここはあのトンネルではない、それだけは確かのようだった。そこで横壁をさわりながら前に進んでいった。
横壁のどこかからトンネルに帰るのではないかと思ったのだ。聞こえるからにはつながっているところがある、と思うしかなかった。

ちょうどパントマイムでよくやってる「壁」って奴。あれのような恰好で壁を触りながら進んでいったら、突然、ほんとうに突然明るいところに出た。あたりを見ると20mくらいうしろにトンネルの入り口が見えた。道端に立っていた。いつもの見慣れた場所。「こちら」に戻ってきたらしかった。戻ることのできた理由はわからない。このあと急いで友人宅へ行き、これこれこうだ、と説明したのだが、当然信じてもらえなかった。無理やりトンネルまで連れてきたが変わったところはなく、「うそばっかりいってるんじゃない」と言いながらトンネルに入っていった友人も、なんのこともなくトンネルを通りぬけてまた普通に戻ってきた。

話はこれだけですが、ひとつだけ今でもどうなっただろう、と思うことがある。あの時私はひとつしかない歩行者用の区切りに沿って中に入り、そのあともこの区切りの中で奥にいったり、戻ったり壁を触ったりしていた。
もし、あそこで区切りの向こう側、つまり奥に向かってではなく車道にむかって横にずっと歩いていたら、むこうはどうなっていたのか、それがわからないのだ。
壁があったのか空間が続いていたのか。

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