『おじいちゃんからの報復』|【狂気】人間の本当にあった怖い話

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『おじいちゃんからの報復』|【狂気】人間の本当にあった怖い話 人間の怖い話
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おじいちゃんからの報復

 

先日、私の母方の祖父が亡くなりました。
死因は病死です。
表向きは。
しかし、私は祖父の本当の死因を知っています。
本当の死因は、出血多量による失血死なのです。
実は、祖父は亡くなる三年前から癌を患い、入院をしていました。
そして、入院して二年程経った先月のある晩、その日は私と母が泊り込みで祖父の所に看病とお世話に行っていたのですが。
その時、比較的若い女性の看護師さんが点滴をかえにやって来ました。
そして、彼女が点滴を変えてから数時間程経った頃でしょうか。
私と母は祖父と同じ部屋で寝泊りをしていたのですが、誰かの呻く様な声で目を覚ましたのです。
まるで苦しむ様なその呻き声に、寝起きで回らない頭のまま辺りを見回してはっとしましたが、そこは祖父の病室ですから、私と母と祖父以外居る筈がありません。
そして、ようやく事態をのみ込み、理解した私と母は慌てて祖父に駆け寄りました。
その声の主は、祖父でした。
見ると、先程の看護師さんのミスでしょうか…点滴のホースジョイント部分が緩んでいたらしく、寝返りをした際に外れてしまった様で、結果、シーツや枕には左手の手首から逆流してしまった祖父の血液が溢れ、白い筈のベッドは真っ赤に染まり、まさに血の海となっていました。
祖父は生きながら少しずつ血を失い、朦朧としていく意識の中、それでも必死に生きようと…誰かに助けを求める為に必死で呻きを、声を、上げていたのです。
私と母は直ぐにナースコールを押しましたが、時既に遅く、ただでさえ末期の癌で体力がなかった事に加え、大量に失血してしまった為、宣告を受けていた余命より遥かに早く祖父は亡くなってしまいました。
しかし、あの鮮血に染まったベッド、真っ赤になった祖父の寝巻き、何より…苦しみに満ちたあの呻き声を私と母は忘れる事が出来ませんでした。
そんな事があったものですから、私と母は長男である伯父はてっきり病院を医療過誤で訴えるものだと思っておりました。
そして、祖父が亡くなった次の日、長兄である伯父(母は五人兄妹の末っ子です)と担当医から、大切な話があるから病院の会議室の様な場所に来る様に言われ、行ってみると、そこには既に私や母以外の親族が全員集まっていました。
(今からここで医療過誤についての説明があるのだろうか…?)
私は、やっと祖父の無念が報われる、と少し興奮した気持ちで今か今かと伯父からの発表を待ちました。
すると、やっと伯父が徐に口を開き、話を始めました。
そこで伯父が話したこと…それは、祖父の死因は癌による容態の急変、という事でした。
(おかしい!!!)
私と母は顔を見合わせました。
しかし、私と母とあの夜の看護師、そして家が近かった為に直ぐに駆けつけた一番上の伯父以外事実を知る者はいませんでした。
その親族会議が終わった後、私と母は伯父に何故本当の事を言わないのかを問い詰めました。
すると、伯父は母を無言で、強い力で殴りつけ
「余計な事を言うな」
と吐き捨てる様に言うと、立ち去っていきました。
後から伯母に聞いた話ですが、この時、伯父は病院から口止め料としてかなりの大金を受け取っていたそうです。
祖父の命を、金で買った訳です。
病院からの帰り道、母は泣きました。
私も泣きました。
私も母も祖父が好きでした。
だからこそ、大好きな祖父の為に何もしてあげられなかった自分に泣きました。
あの時写真でも撮っておけば良かった。
いや、あのシーツを保管しておけば。
そんな事は数限りなく頭に浮かびましたが、今となってはもうどうにもならない事です。
証拠がなくては、例え裁判を起こしたとしても勝てません。
私と母は諦めてしまったのです。
悔しいですが、あの男の暴力に屈したのです。
その日からでしょうか、止める者がいなくなった伯父の行動は暴君その物になっていきました。
先ず、伯父は自分のマンションを引き払うと祖父と祖母の家が住んでいた実家に戻り、祖母を追い出すとそこに自分の愛人と隠し子を住まわせました。
そして祖父が死んで間もないと言うのに伯父は床の間に万両を飾ったのです。
万両はめでたい席に飾ったりする植物です。
祖父が死んで伯父はめでたいとでも思っているのか――。
私たちはその無神経な行動に激しい憤りと怒りを覚えました。
そして、更に伯父の行動はエスカレートしていきました。
祖父のお葬式の席で遺産相続の話をする。
足が悪く養護施設にいる伯母(母の二番目の姉)の所まで出掛け、遺産を放棄するという書類に判子を押さなければ施設との契約を破棄し、路頭に迷わせてやると脅し、遺産を放棄させる。
(伯母の施設に入るには身元保証人が必要で、一人は生前の祖父であり、もう一人が伯父だったのです。施設を出されたら両手と両足が麻痺している伯母は一人では生きてはいけない為、判子を押さざるを得なかったそうです。)
他の、健康な伯母や伯父の事は殴る蹴るで脅し、無理矢理遺産を放棄させました。
そして、その遺産放棄の話は遂にうちの母のところにもやって来ました。
伯父は最初は優しく、かなり低姿勢に母に話しかけて来ました。
しかし、母が放棄を拒み続けると態度は一変…机をひっくり返したり、乱暴な言葉で罵ったり、まるでヤクザの様な様子で母を脅し始めたのです。
ですが、母は頑なに伯父の話を断り続けました。
結果、伯父は手当たり次第にうちの家具を破壊し、一通り大暴れをした後
「てめぇ覚えてろよ」
と、テンプレートな捨て台詞を吐いて去って行きました。
その一週間後の夜の事です。
仕事から帰り、私は家で母とお茶を飲みながら今後の事について話をしていました。
遺産についてです。
私達はお金が欲しい訳ではありません。
ただ、もう二度とあの男に屈したくないだけなのです。
金の為ならば自分の父親の悲しい死に様すら曲げて伝える、醜い金の亡者のあの男には。
私と母は話しながら、やはりあの男を一生許す事は出来ないーー負けてもいい、どんなに辛い目に遭ってもいいから、弁護士の先生を探してあの男を訴えよう、そう決めたのです。
そう決意も新たにし、明日からいよいよ動き出そう、でもその為にはしっかり休んで英気を養わないと、と眠りに就いたのですが。
ジリリリリリリ!!!!
リーンリーンリーンリーン!!!
ピコピコピコピコピコ!!!
リンリンリンリン!!!
携帯電話から固定電話まで、家にある電話という電話が全て一気に鳴り始めたのです。
「うわっ?!何?!」
あまりのけたたましい音に、私と母は飛び起きました。
部屋どころではなく、家中に響き渡る電話の呼び出し音。
すわ故障かと。
私と母は半ばパニックになりながら一つ一つ電話を止めて回りました。
すると、その時です。
バタンッーー!!
玄関の扉が閉まる音がしました。
「えっ…?」
おかしいーーーー。
私と母は顔を見合せました。
今、この家には私と母しかいません。
父も、長期出張中で当分帰ってくる予定はありません。
何より、父であれば帰ってくる前に毎回電話を入れてくれる筈です。
ならば、一体誰が…?
私と母は先ず施錠を確認しに行きました。
すると、鍵は開いており、外側には抉じ開けられた時に出来た様な傷が幾つもついていました。
やはりおかしい。
私は寝る前に確かにこの目で確認したのです、鍵が閉まっているのを。
その時ーーー
「○○っ!!あれっ!!」
母が窓から身を乗り出す様にして外の家の前にある道を見ながら指を指していました。
思わず、私も窓に駆け寄り、下を見下ろしてみました。
すると、そこには…黒い覆面を被った状態で走り去る男がいたのです。
「泥棒?!いや、強盗?!」
私は慌てて携帯を手に取りました。
すると、男は私達が見ている目の前で覆面を脱ぎ始めたのです。
その顔は、紛れもなく伯父でした。
母を殴ったあの伯父です。
何故、伯父がこんな時間にこんな所にーー?
そう疑問に思ったのも束の間
「あっ!!危ない!!!」
母の叫び声が響き渡りました。
私も眼下の伯父もその声に気を取られた、その一瞬
ガシャァンッーー!!
ザシュッ!!
ドンッ!…ゴロゴロゴロ…
改装中で工事をしていた隣の店舗の屋上から、透明な硝子板が落下してきたのです。
そして、その硝子板は真下にいた伯父の左の腕を真っ直ぐに直撃し、まるでギロチンの様にバッサリと切り落としたのです。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!いてぇぇぇぇ!!腕がぁぁぁぁぁ!!!俺の腕がぁぁぁぁぁ!」
伯父はその場に蹲ると、腕を無くした痛みにそのままもんどりうち始めました。
私と母は暫く呆然とその光景を眺めていましたが、直ぐに我に返ると
「きゅ、救急車!!!」
母はそう言って部屋に引き返して行きました。
しかし、私は怪我をした伯父を見ても何の感慨も浮かびませんでした。
だってそうでしょう?
あの男はあんなに私を大切にしてくれた祖父の死を、真実の死因を明らかにするという最期の尊厳を踏みにじったのですから。
何故私があんな男を助けなければいけないのでしょうか。
アスファルトの地面の上に徐々に大きく広がっていく伯父の血だまりを見ながら私はそう冷静に考えていました。
その時です。ギシ、ギシ、と何かが軋む様な音が聞こえて来ました。
(何だろう…?)
辺りを見回してみると、その音は隣の店舗の屋上からその音は響いている様でした。
同時に
ゴポッ…ゴボ…ボコ…
と、何かが泡立つ様な音も聞こえて来たのです。
しかし、今は深夜です。
キッチンに明かりがついている家もなければ料理をしている様な家も見当たりません。
ですが、確かのその音は聞こえて来るのです。
ゴボッ…ボコボコ…
そして、心なしかその音は少しずつ大きくなっている様な気もします。
ボコッ…ゴボボッ…!
音の元を目で探した私は、やっとその音が何処から出ているのかを見つける事が出来ました。
それは、伯父の流した血で作られた血だまりから響いていたのです。
血だまりはまるで煮え立つ溶岩の様にボコボコと表面が泡立ち、一際大きな血泡が何かの形を為そうしている所でした。
その血の泡は徐々に大きくなり…やがて伯父の背丈を越えました。
そして、私ははっきりと見ました。
その血泡の表面に浮き出した顔は、憤怒で歪んではいましたが確かに祖父だったのです。
憤怒の余り亡霊となって現れた祖父に、伯父はだらしなく涙と鼻水を流して泣きながら謝罪をしていました。
本当に心だけでなく見た目も汚らしい男です。
しかし、その祖父の姿の血泡は伯父の頭を地面に押さえつけました。
土下座だろうか、と私が思った瞬間
ブチッ…!!
何かが千切れる音がしました。
そして、同時に
ドシュッ…!!!
ガシャァーンッ!!!
という盛大な破壊音が響き渡りました。
見ると、隣の店舗の屋上に運ばれていた別の硝子を縛っていたロープが千切れています。
そして、その真下には…硝子により首を切断された伯父の首のない、土下座をしているかの様な姿の遺体がありました。
そして、その切断された首は…満足そうな笑顔を浮かべた血泡の祖父が持っていました。
その顔は恐怖に歪み、涙や涎でぐちゃぐちゃでした。
首の方には意識があるのか、それともあれは魂だけの姿なのか…首だけになった伯父は必死に命乞いの様な事を叫んでいる様でした。
しかし、祖父は首を持ったまま血だまりに消えると、伯父の首共々、二度と浮き上がっては来ませんでした。
伯父の遺体は首がなかった為他殺と判断された様ですが、余りにも沢山の人に恨みを買っていて犯人が絞り込めず、捜査は難航し、いつしか私達の話題にものぼらなくなりました。
(ちなみに、警察による捜査でうちの鍵のピッキングの痕跡から伯父の指紋が出た為、伯父が深夜良くない目的で我が家に侵入しようとしていたのだろうという事が判明しました。)
私の大好きなおじいちゃんは、怒りと恨みで悪霊になってしまったのだと思います。
でも、私が祖父を大好きな気持ちは変わりませんし、感謝もしています。
あのゴミクズを掃除してくれた事を。

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