日本と世界の神話に登場する『雷を司る神』を一覧で紹介します。
ヴェーダの宗教/ゾロアスター教/バラモン教/ヒンドゥー教のインドラ、ギリシア神話のゼウス、ローマ神話のユーピテル、北欧神話のトールなど、世界各地の神話に「雷の神」が登場します。
日本の雷神
雷神(らいじん、いかづちのかみ)は、日本の民間信仰や神道における雷の神です。「鳴神(なるかみ)」「雷公(らいこう)」とも呼ばれます。
菅原道真は死して天神(雷の神)になったと伝えられています。
- 火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)
雷の猛威、稲妻と共にもたらされる雨の恵みの神。別名、火雷神(ほのいかづちのかみ)、雷神(いかづちのかみ)、八雷神(やくさいかづちのかみ)。 -
素戔男尊(すさのおのみこと)
神名の「スサ」は、荒れすさぶの意として嵐の神、暴風雨の神とする説がある。
『古事記』では建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、速須佐之男命、須佐之男命、『日本書紀』では素戔男尊、素戔嗚尊等、須佐乃袁尊、『出雲国風土記』では神須佐能袁命(かむすさのおのみこと)、須佐能乎命と表記される。【『本朝英雄傳』より「牛頭天王 稲田姫」 歌川国輝 画】
【須佐之男命 歌川国芳作】
- 天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)
没後の菅原道真を神格化した呼称。天神信仰、天満宮の主神。学問の神で雷神。 - 火雷天気毒王(からいてんきどくおう)
『北野天神縁起絵巻』などでは、太鼓を打ち雷を起こす鬼神の姿で描かれる。清涼殿落雷事件を起こし、醍醐天皇の肉体、臓器を爛れさせ、死に至らしめた。また、崇福寺、法隆寺、東大寺、延暦寺、壇林寺などの諸大寺を焼亡させたという。 - 建御雷神(たけみかづち)
『古事記』では建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)、建御雷神(たけみかづちのかみ)、別名に建布都神(たけふつのかみ)、豊布都神(とよふつのかみ)と記され、『日本書紀』では武甕槌や武甕雷男神などと表記される。
雷神、かつ剣の神。相撲の元祖ともされる。また鯰絵では、要石に住み、日本に地震を引き起こす大鯰を封じ込める存在として描かれている。
- 阿遅鉏高日子根神(あじすきたかひこねのかみ)
農業の神、雷神、不動産業の神として信仰されている。『古事記』では阿遅鉏高日子根神、阿遅志貴高日子根神、阿治志貴高日子根神と表記し、別名に迦毛大御神(かものおおみかみ)、『日本書紀』では味耜高彦根命、『出雲国風土記』では阿遅須枳高日子と表記する。 - 賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)
各地の加茂神社(賀茂神社・鴨神社)で祀られる。
八雷神(やついかつちのかみ)
黄泉の住人と化した伊邪那美命の五体から発生した八柱の雷神。
伊邪那美命に生じた8柱の雷神は、それぞれが雷が起こす現象を示す神だと考えられている。詳細は以下の通り。
- 大雷神(おほいかづちのかみ)
【強烈な雷の威力】
生まれた部位:頭 - 火雷神(ほのいかづちのかみ)
【雷が起こす炎】
生まれた部位:胸 - 黒雷神(くろいかづちのかみ)
【雷が起こる時に天地が暗くなる事】
生まれた部位:腹 - 咲雷神(さくいかづちのかみ)
【雷が物を引き裂く姿】
生まれた部位:女陰 - 若雷神(わかいかづちのかみ)
【雷の後での清々しい地上の姿】
生まれた部位:左手 - 土雷神(つちいかづちのかみ)
【雷が地上に戻る姿】
生まれた部位:右手 - 鳴雷神(なるいかづちのかみ)
【鳴り響く雷鳴】
生まれた部位:左足 - 伏雷神(ふすいかづちのかみ)
【雲に潜伏して雷光を走らせる姿】
生まれた部位:右足
雷神図(尾形光琳)
風神雷神図(俵屋宗達)
風神雷神図(ふうじんらいじんず)は、風袋から風を吹き出し風雨をもたらす風神と、太鼓を叩いて雷鳴と稲妻をおこす雷神の姿を描写した絵画。俵屋宗達筆の屏風画が有名。
雷神を祀る寺社の祭神
- 上賀茂神社(賀茂別雷神社)
賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ) - 冨士神社(封込神社)
雷神(らいじん)配祀神 - 加波山神社本宮・中宮・親宮
八雷神(やついかつちのかみ) - 塩竈神社・左宮
建御雷神 - 天満宮
天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)
火雷天気毒王(からいてんきどくおう) - 春日大社
建御雷神 - 雷電神社
火雷神(ほのいかづちのかみ)
大雷神(おおいかづちのかみ)
別雷神(わけいかづちのかみ) など - 鹿島神宮
建御雷神(たけみかづち)
世界の雷の女神
- オヤ (Oya)
【ヨルバ人】 - カドル (Kadlu)
【イヌイット神話】 - フルゴラ (Fulgora)
【ローマ神話】 - ペレ (Pele)
【ハワイ神話】
炎、稲妻、ダンス、暴力などを司る女神。美しく情熱的だが気の荒い女性で、嫉妬や怒りから人々を焼き尽くすとされる。 - ワイティリ (Whaitiri)
【マオリ】 - 電母 (Dian Mu)
【中国神話】
世界の雷の男神
- トラロック (Tlaloc)
【アステカ神話】
雨と雷(稲妻)の神。 - ママラガン (Mamaragan)
【アボリジニ】 - アマディオハ (Amadioha)
【イボ人】 - ペレンディ (Perëndi)
【イリュリア人】 - セト (Set)
【エジプト神話】
嵐の神、戦争の神、 砂漠の神 。ヘリオポリス九柱神に数えられる。 - サラピタ (Tharapita)
【エストニア神話】 - ラシャプ (Resheph)
【カナン神話】
名は「火をつける者」、「照らす者」を意味する。弓矢や死を司り、稲妻と悪疫をばら撒くため「矢の王」の異名を持つ。 - アルゲース (Arges)
【ギリシア神話】
天空神ウーラノスと大地母神ガイアの息子。落雷・稲妻の神。 - ブロンテース (Brontes)
【ギリシア神話】
天空神ウーラノスと大地母神ガイアの息子。雷鳴の神。 - ステロペース (Steropes)
【ギリシア神話】
天空神ウーラノスと大地母神ガイアの息子。電光・雷光の神。 - ゼウス (Zeus)
【ギリシア神話】
ギリシア神話の主神たる全知全能の存在。全宇宙や天候を支配する天空神。 - トゥパ (Tupã)
【グアラニー族】 - ゲブレイジス (Gebeleizis)
【ゲタイ】 - タラニス (Taranis)
【ケルト神話】 - ホラガルレス (Horagalles)
【サーミ人】 - コキジョ (Cocijo)
【サポテカ文明】 - ペルーン (Perun)
【スラヴ神話】
スラヴ神話の主神であり、雷神。東スラブの最高神。その名には「雷で打つ者」を意味するという説もある。 - アラメイ (Àlamei)
【ソリ王国】 - ソヴィオソ (Xevioso)
【ソリ王国】 - アクトジン (Aktzin)
【トトナコ族】 - ジベルスイウルドス (Zibelthiurdos)
【トラキア】 - ムルング (Mulungu)
【バントゥー系民族】 - インドラ (Indra)
【ヒンドゥー教】
デーヴァ神族に属する雷霆神、天候神、軍神、英雄神。 - ペルケレ (Perkele)
【フィンランド神話】
フィンランド神話における雷神。北欧神話のトール (Thor) に相当する。 - ウッコ (Ukko)
【フィンランド神話】
天空・天気・農作物とその他の自然の事象を司る神。 - アザカ・トンネッレ (Azaka-Tonnerre)
【ブードゥー教】 - テシュブ (Teshub)
【フルリ人】 - ハイキリ (Haikili)
【ポリネシア人】 - カハイ (Kaha’i)
【ポリネシア人】 - ナン・サプウェ (Nan Sapwe)
【ポンペイ島】 - ターワキ (Tāwhaki)
【マオリ】 - テ・カナプ (Te Kanapu)
【マオリ】 - テ・ウイラ (Te Uira)
【マオリ】 - チャク (Chaac)
【マヤ神話】
雨と雷を司る神。水も司るため農業の守り神ともされた。 - シャンゴ (Shango)
【ヨルバ族】
ナイジェリアのヨルバ人に伝わる雷と嵐を司る神。かつては人間であった。その象徴は両刃の斧とされる。 - ハオカー (Heyoka)
【ラコタ】
アメリカインディアンのスー族の神話に伝えられる、雷と狩猟を司る精霊。 - ペルクナス (Perkūnas)
【リトアニア神話】
雷神で、ギリシア神話のゼウスなどに相当する。北欧神話の雷神トールのように、斧を武器として悪と戦い、山羊に曳かれる2輪の車で移動する。 - ユーピテル (Jupiter)
【ローマ神話】
天空の神、気象現象(特に雷)を司る神。 - スムマーヌス (Summanus)
【ローマ神話】
夜の電光の神。 - 電父 (Dian Fu)
【中国神話】 - 雷公 (Lei Gong)
【中国神話】 - トール (Thor)
【北欧神話】
神々の敵である巨人と対決する戦神、雷神・農耕神。
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