【C+クラス】霊怪・怪異・地域妖怪が中心の“中位クラス”
強烈なインパクトを持つ霊怪や、地域で恐れられた妖怪、美しいが危険な怪異など、
人に害を及ぼす力を持つものの、上位クラスほどの破壊規模はない存在をまとめています。
- 累(かさね)
『累ヶ淵』の怪談で知られる女性の怨霊。強い恨みから姿を変え、世代を超えて祟ることもある。
最も有名な“日本の四大怪談”の一つに数えられる怨霊。 - 船幽霊(ふなゆうれい)
海で亡くなった者の霊が現れる妖怪。夜の海で船に近づき、「柄杓を貸せ」と言って海水を入れ沈める怪異。
海難事故の象徴として全国に類話が残る。 - たたりもっけ
岩手県の伝承に見られる災厄の妖怪。家に取り憑き、病・不幸をもたらすとされ、
“家付きの祟り神”のように扱われる存在。 - 赤舌(あかした)
『百鬼夜行絵巻』に登場する巨大な舌を持つ妖怪。
人の家に現れ舌でなめ回し、災いや疫病を運ぶ不気味な怪異として描かれる。 - 影わに
影だけが見える巨大なワニの妖怪。姿は見えず、水辺に映る影だけが現れる。
影が触れると命を奪われるという伝承もあり、水の怪異の一種。 - 赤えい
妖怪化した巨大エイ。海中から人を襲い、尾の毒針で傷を与える危険な海妖。
漁師の間で恐れられた“海の化け物”。 - 安宅丸(あたけまる)
船そのものが怪異化した存在。かつて沈んだ軍船が亡霊船となり現れる“海の怪異船”。
目撃すると海難を招くと恐れられた。 - 烏天狗(からすてんぐ)
鳥の顔と翼を持つ天狗。高位の天狗より格は下がるが、
飛行能力と俊敏な動きを持つ山の妖怪として知られる。 - 木葉天狗(このはてんぐ)
烏天狗と並ぶ下位の天狗。木の葉を操る術を持ち、幻術で旅人を惑わせる中位の山の怪異。 - 牡丹灯籠(ぼたんどうろう)
“牡丹灯籠”の怪談に登場する女性の幽霊。夜ごと灯籠を手に現れ、生者と逢瀬を重ねる怪異。
恋と死が交錯する日本的怪談として有名。 - 以津真天(いつまで)
人の死を報せる妖鳥。亡者の声のような不気味な鳴き声を発し、
その声を聞くと不吉が訪れるとされる“凶兆の鳥”。 - 鶴瓶落とし(つるべおとし)
木の上から巨大な頭が落ちてくる妖怪。旅人の頭上に落ち、驚かせたり押し潰そうとする。
夜道に現れる“奇襲型”の怪異。 - 雪女(ゆきおんな)
雪の中に現れる美しい女性の妖怪。冷気で人を凍らせたり、吹雪の中に誘い込んだりする。
東北を中心に多くの伝承がある冬の代表的な霊怪。 - 風狸(ふうり/かざり)
強風とともに現れ、人を空中にさらうとされる妖怪。
風による怪我や事故を“風狸の仕業”とする民間信仰がある。 - 濡れ女(ぬれおんな)
海辺・川辺で全身濡れた姿で現れる女性の妖怪。
近づく者を水中に引きずり込むといわれる“水難系の怪異”。 - 嫁取橋の大蛇(よめとりばしのおろち)
橋の下に棲む巨大蛇の妖怪で、通行人や花嫁行列に災いをもたらす地域怪異。
地域によっては龍神として祀られることもある。 - 鎌鼬(かまいたち)
突風とともに現れ、鎌のような鋭い爪で皮膚を切り裂く妖怪。
痛みは少ないが深い傷を残す“風の怪異”。 - 女郎蜘蛛(じょろうぐも)
美しい女性に化ける蜘蛛の妖怪。旅人を誘惑し、巣に引き込んで殺すとされる。
山間に多い“変化型の妖怪”として有名。
【Cクラス】地方伝承の強妖怪・怨霊・異形の霊獣が集まる“中堅クラス”
地域で恐れられた妖怪、歴史伝説に登場する鬼、獣由来の霊獣など、
危険度は高いものの、上位クラスほどの破壊規模には至らない存在をまとめています。
- 夜行さん(やぎょうさん/首切れ馬)
近畿に伝わる“夜道の怪異”。首が切れた馬の亡霊が走り回り、夜行の旅人を驚かせる。
馬の足音だけが聞こえることもあり、遭遇は不吉の兆しとされた。 - 両面宿儺(りょうめんすくな)
『日本書紀』に登場する二つの顔・四本の腕をもつ異形の存在。
飛騨地方では“英雄的神格”として祀られ、朝廷伝承では“反逆的怪物”として描かれる二面性の強い存在。 - キムナイヌ
アイヌ伝承の山の怪物で、人を食う悪しき獣として語られる。
熊より大きく凶暴だとされ、山中で出会うと生命の危険がある恐ろしい魔物。 - 目一鬼(めいっき/めいちき)
一つ目の鬼の総称。力は強いが知性は低いとされ、山の怪異として頻出する存在。
一つ目の妖怪の原型と考えられることもある。 - 鈴鹿御前(すずかごぜん)
鈴鹿山に現れる絶世の美女の妖怪。盗賊の頭領、天女、鬼女など諸説ある。
英雄・坂上田村麻呂と深い関係が語られることもあり、霊力・武芸に長けた存在。 - 悪路王(あくろおう)
東北に伝わる反逆者・異族の王の伝説から派生した怪異的存在。
鬼のような力を持つとされ、征夷大将軍が討伐に向かった逸話が残る。 - 槌の子(つちのこ)
胴が太く短い蛇のような未確認生物。跳ねるように動き、毒をもつという説もある。
日本版UMAとして全国的に有名な存在。 - 犀(さい)
古い書物で“強力な獣”として語られる存在。角の霊力や怪力が強調され、
実在の動物だが怪物視された地域もあり、妖怪獣として扱われることがある。 - 獏(ばく)
夢を食べるとされる中国由来の霊獣。悪夢を祓う守護的な性質を持つ。
日本では“厄除けの霊獣”として広く信仰された。 - 水虎(すいこ)
水辺に棲む獣の姿をした妖怪。中国の水怪“水虎”の影響を受け、
人を襲ったり引きずり込むとされる水系の強怪物。 - なまはげ
秋田の来訪神で、怠け者を戒める存在。妖怪より神格的だが、
山から突然現れる“畏怖の対象”として怪異性が高い。 - 茨木童子(いばらきどうじ)
酒呑童子の四天王の一人とされる強力な鬼。羅城門で渡辺綱の腕を奪った逸話が有名。
都を荒らす怪力・妖力を持つ凶悪な鬼として語られる。 - 鬼(おに)
日本の代表的な怪物で、怪力・耐久力を持ち、地域により性質はさまざま。
一般的な“鬼”は中位クラス相当で、山や村を脅かす存在とされた。 - 海難法師(かいなんほうし)
船の難破にまつわる怪異で、僧の姿をした亡霊が海に現れるとされる。
海難事故や悪天候の前兆として恐れられた海の怪異。
【C−クラス】怪異・中堅妖怪・地域の民間伝承が中心の“やや下位クラス”
人を脅かす能力はあるものの、上位クラスほどの破壊規模は持たない妖怪たち。
とはいえ、姿や性質が強烈で、地域の民間伝承では非常に恐れられた存在を中心にまとめています。
- 鵺(ぬえ)
猿の顔・狸の胴・虎の手足・蛇の尾を持つ怪物。京都の清涼殿に夜な夜な現れ、天皇を悩ませたとされる。
“正体不明の怪異”の象徴としても扱われる。 - おとろし
神社の門の上に潜む毛むくじゃらの妖怪。
下を通る人間を睨みつけて落ちてくるとされ、恐怖心を煽る怪異として知られる。 - イッポンダタラ
片足しかない巨大な山の怪物。かつて鍛冶職人が祟りで化けた姿とも言われる。
冬至の日に山に現れ、人を襲う“奇形の妖怪”として語られる。 - 狒々(ひひ)
山に棲む巨大な猿の妖怪。人間を襲い、毒気や妖力を持つとされる。
しばしば“山の魔物”として武将に討伐される逸話が残る。 - 鬼童丸(きどうまる)
茨木童子の子ともされる鬼。強大ではないが、怪力と妖術に秀でた少年鬼として描かれる。
渡辺綱と戦ったとされる伝承がある。 - 栄螺鬼(さざえおに)
巨大なサザエに似た殻を背負う妖怪。海辺に現れ、旅人に襲いかかる海の怪異。
甲羅のような殻が非常に硬いとされ、海妖の典型的存在。 - 金霊(きんれい)
金属に宿る霊的存在。夜道で“かん、かん”と金属音を響かせ、人を驚かす怪異。
財宝や金運にまつわる縁起として扱われることもある。 - ひょうすべ
九州を中心に伝わる河童に似た妖怪。人を脅かす悪戯が多く、
農作物を荒らすため農家から恐れられた存在。 - 河童(かっぱ)
水辺に棲む有名な妖怪。水中の力が強く、相撲好きで、尻子玉を抜くという伝承がある。
地域により性格が異なり、友好的に描かれる場合もある。 - 手長足長(てながあしなが)
長い手や足を持つ巨人の妖怪。海や山で人を襲うとされ、
“不気味な異形”として古書に多数登場する。 - 二口女(ふたくちおんな)
後頭部に第二の口を持つ女性の妖怪。二つ目の口が飢え続け、人を悩ませる怪異。
欲深さ・飢餓を象徴する妖怪として語られる。 - 弥三郎婆(やさぶろうば)
山に棲む老婆の妖怪。夜道で旅人を追いかけたり、大声で脅かす怪異として知られる。
山姥の一種とされることもある。 - 小池婆(こいけばば)
池のほとりに現れる老婆の妖怪。水辺に誘い込み、溺れさせると言われる。
“水の山姥”として恐れられた。 - 鍛冶が嬶(かじがかか)
鍛冶屋の妻が変化したとされる妖怪。赤黒い姿で現れ、鍛冶場に災いをもたらす。
火と鉄にまつわる怪異として伝承されている。
【D+クラス】地域に根付く妖怪・精霊・怪異が中心の“下位中堅クラス”
日常生活に入り込み、人を驚かせたり小さな害を与えるタイプの妖怪が中心。
強力ではないものの、伝承の数が多く、地域色の強い存在をまとめた階層です。
- 犬神(いぬがみ)
四国・中国地方に伝わる憑き物。犬の怨念から生まれ、人に取り憑き不幸や病をもたらす。
“憑き物筋”として一族に影響すると恐れられた強力な霊。 - 雷獣(らいじゅう)
雷とともに落ちてくる獣の妖怪。姿は猫・イタチ・雷の塊など多様。
木に爪痕を残しながら落ちるため、落雷の原因とされた。 - 覚(さとり)
山中に現れ、人の心を読むと言われる妖怪。
思考を先読みして驚かせるが、危険性は比較的低い“山の怪異”。 - 山姥(やまんば)
山に棲む老婆の妖怪。旅人を迷わせたり、子どもをさらうと伝えられるが、
地域によっては子守り神の側面を持つ二面性の存在。 - 肉吸い(にくすい)
山の闇に潜む怪異で、人の肉を吸うとされる不気味な妖怪。
姿は曖昧で、人影のように忍び寄るとされる。 - 豆狸(まめだぬき)
小型の狸の妖怪。大狸に比べ力は弱いが、変化や悪戯が得意。
人を驚かせる程度の“小悪魔的な妖怪”。 - 偽汽車(にせきしゃ)
夜の線路に現れる“幽霊列車”の怪異。汽笛だけが響き、実体はないとされる。
戦後の怪談にも登場する比較的新しい都市怪異。 - 狸(たぬき)
日本全土で語られる変化の得意な妖怪。人をだますが比較的害は少ない。
宴会好きで憎めない存在として描かれることも多い。 - 袋貉(むじな)
狸と似た変化能力を持つ妖怪。顔がつるりと皮のように変わる“のっぺらぼう”現象で知られる。
人を脅かすだけで、大きな害はない。 - カワウソ
水辺に現れる変化獣の一種で、人を化かしたり声をまねる。
悪意は薄く、遊び好きでイタズラ程度の存在。 - キジムナー
沖縄のガジュマルに棲む精霊。赤い子どもの姿で、気に入った人には福をもたらす。
ただし恨みを買うと手酷い仕返しをする二面性がある。 - 川姫(かわひめ)
河川に現れる美しい女性の妖怪。人を水に誘い入れる“水の怪異”。
地域によっては水神として祀られる場合もある。 - 網切り(あみきり)
蟹や海老の姿の妖怪で、漁師の網を切ってしまう海の厄介者。
害は主に漁業への悪戯レベル。 - 一反木綿(いったんもめん)
布のような姿で空を飛び、人に巻きつく妖怪。
悪意は弱く、驚かせる程度だが遭遇すると危険な場合もある。 - 姑獲鳥(うぶめ)
産後に亡くなった女性の霊が化けた妖怪。赤ん坊を抱き、夜道に現れる。
悲しみと未練が形になった霊怪として語られる。 - ヒダル神(ひだるがみ)
山道で旅人を急激な空腹に陥れる怪異。倒れてしまう者もいるとされ、
“空腹の病”として恐れられた。 - おさん狐(おさんぎつね)
産婦を助けるとされる優しい狐の妖怪。悪戯好きの狐とは異なり、
人助けの逸話が多い稀有な存在。 - 葛の葉(くずのは)
阿倍晴明の母とされる伝説の白狐。人間に化け、家族を愛した“善狐”。
ここでは妖怪・変化の象徴として採用。 - 狐火(きつねび)
夜の野山に現れる青白い火。狐の霊力による現象とされ、旅人を惑わせる。
雷や湿気と結び付けた自然現象説もある。 - 狐(きつね)
変化の代表的存在。地域によっては善悪が異なるが、基本的には中位〜下位の妖怪。
イタズラや変化で人を惑わせる。 - 片足ピンザ
沖縄の怪異で、片足で跳ね回る不気味な妖怪。特に害はないが、夜道で遭遇すると驚異。
姿が奇妙で恐れられた。 - 馬の足(うまのあし)
馬の足だけが現れる怪異。足音が突然現れるとされ、不吉の前兆として語られる。
実体がなく、怪音系の妖怪。 - 足洗邸(あしあらいやしき)
大きな足が天井を踏み破って現れる怪異。
“足を洗え”と言われ水をかけると去る、不思議な家屋怪異。 - 疱瘡婆(ほうそうばば)
疱瘡の流行と結び付けられた老婆の妖怪。疫病の象徴として恐れられ、
疱瘡神と同一視されることもある。

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