心霊ちょっといい話『墓掃除』など短編全5話

スポンサーリンク
心霊ちょっといい話『墓掃除』など短編全5話 不思議な話
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

墓掃除

 

友達の友達の友達n(ryから聞いたお話

その友達の実家は山の中腹辺りに有る。
しかも近くに古い御墓も有り夏の夜はかなり雰囲気が有る。
ある夏の夕方、友達(A)はダイエットのため家の近くの山道を走って(歩いて)いた。
件の御墓の前を通り過ぎた時、御墓の近くから声がした。
御墓の周りを見回しても誰も居ない。
気のせいだと想い視線を御墓から背けたら、耳元で
「御墓掃除して下さい…」
と少女の声で囁かれた。
怖くなり、転がるように家に帰り布団に潜り込んで震えていた。
だが、先程の声が余りにも哀れに覚えて次の日花と線香と掃除道具を持ち、御墓に行った。
掃除が終わり、花と線香を添え終えて、手を合わせていたら
「ありがとう。」
と、前より少し明るい少女の声でお礼を言われた。
顔を挙げると目の前の地面に、野苺と一輪の花が有るだけだった

 

 

小太郎

 

Kさんの近所に住む一人暮らしのお爺さんの話です。
お爺さんは昔、喉の手術をしていて声はあまり出ませんが足腰が丈夫で働き者。皆から好かれています。
奥さんが入院中で一人暮らしのお爺さんは、ワンコを飼っていました。
そのワンコは目も開いてない子犬の頃、お爺さんの畑の肥料用の生ごみのポリバケツに投げ込まれていたのだそうです。
お爺さんはワンコを小太郎と名付け我が子のように可愛がっていました。
愛敬があり賢い小太郎は近所でも人気者だったのですが8歳の時、病気で亡くなってしまいました。
お爺さんの悲しみは大層なもので、近所の人も集まってお葬式をした程。
ある日の事、お爺さんは壊れた雨樋を修理しようと屋根に上った所うっかり足を滑らせて屋根から転落。
腰に激痛が走り動けなくなってしまいました。
続きます。

喉が悪いお爺さんは声も出せません。
誰にも気付いて貰えず苦しむお爺さん。
その時です。
激しく吠える犬の鳴き声が聞こえました。
近所の人が驚いて飛び出てくる程です。お爺さんの隣の家の奥さんと斜め向かいに住むKさんも出てきて吠える犬を探します。
そして、倒れて動けないお爺さんを見つけたのです。
直ぐ救急車が呼ばれ、お爺さんは病院へ。結果は椎間板の損傷。
となりの奥さんも犬の声を聞いた近所の人たちも、あの犬の声は間違いなく小太郎だと断言しました。
怪しい人や押し売りなどが来た時に、お爺さんを守ろうとする小太郎が吠える声と全く同じだったからです。
お爺さんは驚くほどの回復力を見せ、今も畑を作っています。
Kさんは時々、小さい尻尾を目一杯振ってお爺さんの隣を歩く小太郎を見かけるのだそうです。

 

 

彼の思い出

 

こないだのこと。
不思議なものはよく見るけど、大半は幻覚だと気にしないできた。
よくある恐い話みたいに、ストーリーのあるものは見たことがなく、通りすがりばかり見てきたからだ。
それが先日、もしかして幻覚じゃないのかなぁ?と思う体験をした。
彼氏は実家の近くの離れの一軒家で生活している。
実家に用があり、彼氏について玄関先まで行った時のこと。
犬が走り寄ってきた。
夜中だし、なんだか透けてるし、2、3歩で消えてしまってよくは見えなかったが、可愛らしい中型犬。
ただ、種類がよく分からないくらいかわった犬だったから、雑種だと思った。
ふと、彼氏が昔犬を飼っていて、死んでしまってからは動物を飼わないときいたのを思い出した。
私「ねぇ、マルちゃんって柴犬みたいな中型犬?」

彼「そうだよ。雑種だからちょっと変わってたんだ」
私「毛が長くてポメラニアンみたいとか?」
彼「…そうだけど…何で?」
私「今いたから。そこにいた」
彼「しっぽは!?しっぽ見たか??」
私「立ってるんだよね?ふさふさして狸みたいなんだけど、立ってたよ」
彼「耳は?」
私「顔はよく見えなかった」
彼「マルちゃんだよ。マルちゃんは、毛の長い柴犬みたいな犬で、しっぽはふさふさ立ってるんだ…」
それきり黙る彼。じっと玄関を眺めていた。

私「ごめんね。何か悲しくさせた?」
彼「ううん。マルちゃん死んだとき、悲しかったなぁって。いるのかな?」
私「(彼の弟の嫁に)子供が産まれたから、見に来たんだよ。にぎやかだなぁって」
彼「うん」
いい話しじゃないかもだけど。彼の大切な思い出を見れたみたいで、ちょっと嬉しかった。
しっぽふりふり走ってきたから、彼に会いたかったんだね。

 

 

じいちゃん猫

 

我が家は、大工だった亡父が建てた、亡父の念願の一戸建てなのですが、この家に越してから、家族に病人が続出しまして、当時怪現象なんかもあったりしてあまり良い印象のなかったものでした。
元々ただの空き地を買って建てたのですから、原因なども思い当たりません。
それなのに、変な事は続き、父もその関連でなくなった様に思えたりして・・・

父が亡くなってからも、怪現象も病気も続き、そのじーちゃん猫も交通事故で死に、私も手術をしても長期治療をしても一向に良くならず、成す術もなく寝たきりに近いような生活をしていました。
鬱々とした日々が続き、呪いや祟りのように感じ、欝が増すような状態でそんな中である日、そのじーちゃん猫が夢に出てきました。
「この家は建て方が、間違えてるねん。だからしゃーない。」
というような事を言われました。建て方って何?まだ続くの?と思い、酷い恐怖心がありました。
で、その怖がる私を見て、やれやれ、よっこらしょといった感じでじーちゃん猫が立ち上がって、私の寝ていた2階の部屋のすぐ横にある階段を、降りていきます。
「ほな、全部持っていったるから。もう怖がらんでええ。」
そう言い残されました。
それがもう会えないのだという事ははっきり解ったので、追いかけるんですが、猫は行ってしまいました。

それが本当の事なのか何なのかは解りませんし、追求する気もないんです。
私が欝状態で、猫という不思議な動物の力を借りたかっただけの、夢かもしれません。
そのじーちゃん猫に甘えたかっただけかも知れません。
でも、彼の家族に対する愛情を疑う気は更々ないです。
私の中に残る「何故彼が一人で全部背負わねばならないのか」という後悔も、それが僭越であるだろうと判断する気持ちも。
全部ごちゃ混ぜのまま不思議な夢として、今に至ります。
体は、係りつけの病院で移動配属された先生に、時間を間違えて受診に行ったのが元で、検査がてらの手術をする事になり、その20分程の手術で全快しました。(コレが一番不思議か)

 

 

背後の気配

 

昨日の九時頃のことなんだけど「ゆうとっぷ」というゲームで遊んでたんですね。
もう終わり近くなってきたら内容が悲しくて号泣してしまったんです。
そうしたらなぜか背後のほうで誰か泣いてるような気配がするんですよ。
おれの部屋にはおれしかいないはずなのに。
でもこの気配は誰か知ってる人のような気がすると思ったところでそれが誰なのかを思い出しましたね。
5年前に事故で亡くなったあの子だって
「おれと一緒に泣いてる」と思うとこれまた余計に泣けてくるもんなんですね。
そのまま泣きながらゲームを終わらせて余韻に浸る間もなくなぜかわからないけどロード第二章を聞き始めました。
そこでまた号泣ですよ
「こんなに泣いたのは何年ぶりだろう」なんてふと考えるとなんとなく肩に手が置かれるような感触がありました。
ある時そっとおれの肩へ手を置いてくれた時に感じた柔らかい手のひら。
その感触のある辺りへおれはそっと手を伸ばして何年かぶりに彼女を感じることができました。
少ししたら消えてしまったんですけどね。

まぁこんなところですがその相手は片思いでしかなかったんですけどね。
それでも好きだよって言えなかった気持ちからずっとひきずってはいました。
背後で感じた気配や肩に置かれた手の感触は気のせいかもしれません。
だけどおれにはなぜかそこにいるって確信が持てたんですね。
今までこんなこと一度もなかったのに急にこんなことが起きたのは不思議に思います。
今までおれのことを近くで見守っていたのかもしれないと思うと嬉しくなると同時におれが今までひきずっていたせいであっちへ行けなかったのかもしれないと少し申し訳なくもなりました。
最後にこの場を借りて彼女へ「おれはもう大丈夫だからゆっくりおやすみ」と言いたいと思います。
しばらく行けてなかった墓参りへも行こうと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました