時空にまつわる不思議な体験『天狗の仕業』など短編全5話

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時空にまつわる不思議な体験『天狗の仕業』など短編全5話 不思議な話
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天狗の仕業

 

私の叔父の話。
場所は山陰地方に属する地味な県のさらにド田舎(私からしたらお婆ちゃんち)

叔父が1才だった頃、行方不明になった。
お婆ちゃんは洗濯をしてたらしくて、長く見ても目を離してから30分もたってない。
まだ歩けないから、行動範囲なんてたかが知れてるのに、どこを探してもいない。
警察に連絡して捜索してもらったけど見つからなかった。
一応、行方不明ということになってるけど、もう皆死んでしまったと思ってたんだって。
当時は今と違って貧しい時代だから病気で死ぬ子供も多かったみたいだし、
子供もたくさんいたから、今よりは子供に対するそういう感覚が違ったのかもね。

それから1年くらいたった時に、遠くから子供の泣き声が聞こえるって近所の人達が騒いで、色々探し回ったら、舗装してない小さな山の頂上付近に叔父いたんだって。
見つけたのは、近所の人ではじめは叔父だと分からなかったんだけど、お婆ちゃんがかけつけたら叔父に間違いないってことになった。
でもおかしいのは、その姿が叔父が行方不明になった当時のままの1才くらいの姿だったこと。
1才から2才ってものすごく成長してるはずなのに。

病院で色々検査してもらったけど体に異常はなかったらしい。
DNA検査とかは当時無かったみたいだね。
その地域で少し騒ぎになっただけで、叔父はそのまま普通に育てられた。

お婆ちゃんからこの話を聞いて、始めは疑ったけど真面目なお爺ちゃんも、それを目撃してた他の叔父叔母も嘘をついてる様子もなく「事実だよ」って。

私はすごく怖いんだけど、みんなは「天狗に・・・」とか言って普通に受け入れてた。
結局叔父は30才になる前に、くもまっか出血で亡くなってしまって私は会ったことはない。
この話を思い出すたびに、叔父は1年間どこで何をしてたのかってことと、見つかったのは本当に叔父なのかなって恐ろしくなるよ。
叔父自身だって記憶には無かったんだろうけど。

 

 

メトロノーム

 

高校のときだよ。バンドやってて。
ライブ近くて部屋でギター弾いてたの。
メトロノームかちかち鳴らしながらw
かちかちチーンで合わせるとハマるところがあったのw
で昼からスタジオで合わせに入ったんだけど、調子悪くて。
頭痛が酷くなってくるし、吐き気はしだすし。
で、もうだめだってことで帰ったんだ。家に。
バス停から家までは遠くないんだけど、バス停に着いたのが夕方5時。
帰って5時半には寝れるなぁと思いながらチャリこいだんだ。
ところが帰ったのは7時。
やばいなぁ疲れてんなぁとか思いながら、部屋で時計見てたんだ。
そしたら何か聞こえてくるんだよ。遠くの方から。
耳すませないと聞こえないんだけど。何か聞こえる。

 

何だろうと思って聞いてたら
チーン・・
え?と思ったらメトロノームが動いてんのさ。
メトロノームの横に目覚ましがあって、時間は7時5分くらいで、その秒針見ながらメトロの音とチーンを確認してたよ。夢かと思って。

部屋について7時と知ったとき、そのメトロは止まってたんだよ。
慌ててメトロノーム止めて、振り子戻して、これはヤバイと思ってそのまま寝ました。
ぜったい疲れてるって思い込ませて。
結構寝たと思うんだ。
母親が飯だって呼びに来たんで起こされた。
で、時計見たら7時5分なんだ。

テレビじゃふつうに7時のニュースやってたよ。

飯食いながら母親に言われた。
青い顔して帰ってきて何も言わずに部屋に行ったきりで!って

俺帰ったとき誰もいなかったんだが。
母親にも会ってないし。

ほんとに時空の歪に入った気がした。

 

俺もよくわかんない出来事だったんだ。
家に5時半には絶対着けるのに着いたら7時。
寝たのが7時5分、起こされたのも7時5分。
感覚的には2時間くらい寝た気がするのに。
母親いわく6時前に俺が帰ってきて何も言わず変な顔でそのまま部屋に行ったらしい。
けど、俺が部屋に戻ったのは7時でそのとき家には誰もいなかったんだ。

 

 

夕日に向かって歩く

 

小2の頃、中の良かったタケシと一緒に虫取りに学校の裏山へ行った。
その山は俺達の遊び場で隅から隅まで知っている。まぁ、山ってより中規模の雑木林みたいな感じ。
突然タケシが「赤い蝶がいた!」って言って走り出した。俺もすぐにその後を追う。
夢中で走って、息が切れた頃にタケシが立ち止まった。
「タケちゃん。どうした?逃げられちゃった?」
「ああ、逃げられた。すごいデカイ蝶だったぜ!」
その後も赤い蝶を探して歩いたがとうとう見つからなかった。
日も暮れ始め、そろそろ帰ろうかということになり、帰り道を歩き始めた。

その山では『夕日に向かって歩く』という掟がある。
夕日向かって歩けば道路に出られるからだ。
もし、迷子になっても夕日に向かって歩けば絶対に道路に出るという地形になっていた。

 

しかし、その時の俺達にはそんな掟は不要だった。
この山は知り尽くしている。だから迷子になって夕日を頼りにすることなんてあり得ない。
俺達はゲームの話しをしながら歩いていた。
「あれ?なにこれ?」
どういう訳か通行止めの標識が立っている。道路なんて無い山の中にだ。
その時は道路標識がどういう物か知らない。今まではこんな物は絶対になかった。
「なんだろ?道間違ったかな?」
「そんなわけ無いよ。」
「でも、こんな道知らないぜ。」
「・・・。確かに見たこと無いね。迷子?」
「ちょっと、戻ってみよう。」
危機感のかけらも無く、後戻りしてみる。
しかし、戻れど戻れど知らない風景。こんなことはあり得ない。
「え~!ここどこ?」
タケシが泣きそうになってた。俺もこんな所は来た事がない。
とりあえず、夕日の方向に歩き始めた。それがここの掟だ。
段々と日が暮れてきた。

 

夕日に向かって歩くとすぐに道路に出た。
そのままタケシと別れて、俺の家まであと500mくらいの場所で後ろからタケシがものすごい勢いで走ってきた。
話を聞くと、タケシの家で葬式が行われているらしい。
驚いて、家に帰れず俺を追いかけて来たと言う。
タケシにせがまれて俺も一緒にタケシの家に行った。
本当葬式が行われていた。
亡くなったのはタケシのお兄さんだった。

 

しかし、タケシの家の前には誰もいない。鍵もかかっていて、家に入れない。
泣きじゃくるタケシを連れて、とりあえず俺の家に連れてきた。
「ただいまぁ」と家のドアを開けるなりオヤジが飛んできた。
キョトンとしている俺を見るなり、平手打ちが飛んできた。
そのまま、家の中に連れて行かれ散々に怒られた。
どうやら俺とタケシは2日間行方不明になっていたらしい。
事情を話しても信じてもらえなかった。タケシの家で葬式なんて無かったと言われた。
それから1ヶ月は外に遊びに行けなかった。ようやく謹慎処分が解けた後、タケシと山に行ったがあの道路標識なんて無かった。

 

 

ふわふわ感覚

 

俺は幼稚園の頃、東京の町田に住んでました。
幼稚園時代は気楽だったな・・・というのはまた別の話なんですが、当時住んでいた家の隣は空き地だったんです。
その空き地は草ボウボウでバッタとかダンゴムシとかがよくいて、子供ながらにワクワクする空間だったから、よく遊んでいました。
うちの家は、道路から階段を上って崖の上に家がある感じで、その空き地も崖の上にあり、家の隣にある、という感じでした。
ある日、母親に空き地で遊んでくると言って独りでその空き地で遊んでいました。
俺は崖の上の空き地に行くために、ブロックが積まれて崖になった崖壁を登っていくのが大好きで、(簡単に子供でも登れるような、60度くらいの傾斜の崖でして)
その日も崖を上って行ったんです。

いつものように登りきり、崖の上つまり空き地から下の道路を眺めていたら、ふと吸い込まれるような、飛んでいるような感覚になりました。
その時、直感的に「あぁ、落ちる。」と思いました。そして景色が白くなりボンヤリとしていき、本当にフワフワとした感覚に襲われ、視界が傾いて落ちそうになる恐怖と戦いました。
しばらくして気が付くとちゃんと崖の上に立っていました。

 

その後何もなく家に帰り、普通に母親と過ごしていたんですが、その時の恐怖は誰にも話さず、今に至ります。
しかし、あの時の恐怖感はすごかった。俺は今になって思うんですが、あの時、道路がまるで自分に近づいてくるような感覚で浮いていると感じたのは、実は本当に落ちたんじゃないかと。でも、時間が逆戻りして、崖の上に立って下を見る瞬間にまで戻れたんじゃないかと、そう思うんです。

 

 

瞬間移動

 

些細なことなんだが、自分がまだ小学2、3年の頃。
足には自信があって信号のない横断歩道を車が来てるときに駆け抜けようとしたんだ。
普段なら車の速さも一定で変わらないし先読みして渡れたんだが、横断歩道の真ん中に来た辺りで車が急に速度付けてきたんだ。
怖くなって「死ぬっ!!」って目を瞑って固まったんだが目を開けたら、
向かい側に着いてたんだよ。
真ん中で足を止めたのに無事向かい側にいたんだよ。
誰かに守られてたのか、はたまた時のいたずらか。

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