時空にまつわる不思議な体験『早く進む時計』など短編全5話

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時空にまつわる不思議な体験『早く進む時計』など短編全5話 不思議な話
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洗練されたおもちゃ

 

多分小学校1~2年の頃。今から22~3年前の記憶。

父親と二人で車で外出した帰り、家からそう遠くない国道(広い道)沿いで、新しく開店したらしいおもちゃ屋を見つけた俺は、父親に頼んで車を止めてもらった。
時間は7時とか8時。もう真っ暗だったと思う。中に入ると閉店間際なのか、お客の数もまばらで、俺はあちこちの棚を見て回った。
父親には「見るだけだぞ。今日は買わないよ」
というような事を言われた。店の内装はピカピカで、陳列は全て壁に造り付けのガラス棚。
さすが新しく開店したばかりの事はあるなあ。

と子供ながら思っていたが、今から考えると実家があるのは市内でも外れの方の片田舎なので、随分とおしゃれなおもちゃ屋だった。

しかも当時は80年代初頭のはず。記憶にある内装は、どう考えても90年代~の、アメコミフィギュアを扱うような、こじゃれた「トイショップ」そのものだった。

並んでいたおもちゃを見ていた俺はすぐに奇妙な事に気付いた。今まで見たこともないおもちゃばかりだ。ロボットが変形するようなもの、電池式で光ったりするもの、それらが箱から出した状態で棚にきちんと並べられて売られている。

どれも複雑な仕掛けがあって、変形・合体おもちゃが好きだった当時の俺でも全部を試してみることは出来なかった。
そうこうしているうちに「そろそろ帰ろう」と促され、その日は家に帰った。

後日、同じ店に行こうとしたんだけど、結局見つからなかった。

あの店は何だったんだろう。

 

 

早く進む時計

 

小六の頃の話。時間は午後五時くらいかな。
部活が終わって教室にランドセルを取りに行った。
時計がしょっちゅうカチッ、、カチッ、、とうるさいので、変に思って目をやったら驚いた。
一分がもの凄い早さで経過していた。数えてみたら20秒に満たなかった。
しばらく教室に留まって数えていた。どんどんスピードが増していく。
で、時計がいかれたんだろうと思ってみんなのいる体育館に戻ったら、同じ時間だった。他の時計も確認した。

友達にそのことを話し、教室についてきてもらった。
一分は60秒に戻っていた。

 

 

ミラーハウスの坊さん

 

小さい頃(小学校低学年だと思う)の妙な思い出。

ある日、家族で遊園地に行った。
その遊園地にはミラーハウスがあって、自分はイヤだったが姉が入りたがったので一緒に入った。
しばらく一緒におっかなびっくり歩いていたが、途中から姉はすったかたったったと進んで行ってしまい、自分は思いっきり一人ぼっちで取り残された。

半べそをかき、生来の方向オンチも手伝ってパニクる自分。
呼べども呼べども姉は答えない。
早く出たいのに回りは鏡ばっかりで右も左も分からずあっち向いてゴン、こっち向いてガン。
おでこは痛いし転ぶし心細いし同じ場所ぐるぐる回ってるしで限界だった。
いろんな意味で。

と、手探りしていたらようやく通れる道を見つけて、やったー!これで出られるー!と喜び勇んで進んで行った。
そしたら、目の前にとんでもないものがあった。

 

鏡の通路の一面に、まぎれるようにガラスケース。
その中に、真っ白な大理石の坊さんの像があった。
大仏みたいに右手を前に、左手を上に向けてまっすぐに立って、目は薄く笑ったような半眼で、口は歯を見せて笑ってる。
その目からも口からも鼻からも、真っ赤な血が出てた。
真っ白な大理石に恐ろしいくらい真っ赤な血のり。
首まで血がたれたその坊さんの、菩薩のような微動だにしない笑顔。
そんなものがガラス一枚隔てて存在するという異常事態。
真っ暗なミラーハウスの中で、鏡の反射とその坊さんだけが白く浮かんで見えた。
今思えば2メートルもないんだろうその大きさも、子供の自分にはむちゃくちゃ大きく感じられた。

恐怖で声も出なかった。
とにかく走って走って逃げまくった。
驚くべきことに、あれだけ迷った道筋を、一度も迷うことなく自分は入り口から飛び出した。
とにかく速かった。推定速度50メートル8秒台は堅かった。

 

先に出ていた姉は何も見ていないと言うし、どんなに怖かったか身振り手振り訴えても親は腹を抱えてゲラゲラ笑うだけだった。
あれから何度もこの話を友達にもしてみたが、その遊園地に行ったことのある友達誰一人として、そんなものを見た事はないと言う。

あれ以来、あのミラーハウスに行くことは絶対になくなった。
時が流れてあの遊園地にいくことすら稀になった。

でも、今でもあの坊さんの顔をはっきり思い出せる。
夢や偽の記憶にしてはリアルすぎる。
第一あの頃、自分は目や口から血が出るなんて知らなかった

 

 

食い違い4

 

小三ぐらいの時に、親が小学校に呼ばれて、俺は友達と下校せずオカンと合流して車で一緒に家に帰ることにしました。オカンの用事も大したことではないらしくて、「すぐに終わるから車で待ってて。

もしおなか空いたらどら焼きでも食べて」と言われ、オカンがアタッシュケースの中にどら焼きを放り込みました。
ところがオカンは二時間たっても三時間たっても帰ってきませんでした。
俺は話が長くなってんだろうなと思い、日も傾いてきたのでどら焼きをたいらげて家まで歩いて帰りました。
10分ぐらいして家に辿り着くと我が家のガレージに車が停まってました。
「なんやオカン家帰ってるやん。後もうちょい待ったら車で帰れたのに」と
軽くぼやきつつ家にあがりました。

 

台所で料理をしているオカンに
「遅いやん、すぐ帰るって言ってたやん」と言うと
「お母さん直ぐ帰って来たよ、あんたおらんかった先帰ったんよ」
「嘘つけや、俺ずっと車で待ってたんやで」
「何言ってんの、お母さんすぐ車に戻ったんよ」
「俺三時間ぐらい待ってたんやで」
「お母さん家帰ってきたの二時間前よ」
「え…?」
その時台所の調理の進み具合といい、オカンのあまりにも普通の表情といい、嘘を言ってる感じではありませんでした。

俺は頭が混乱してそれ以上何も言わず二階に上がっていきました。
今考えてもかなり不思議です。俺が待っていた車はどら焼きもあったし間違いなくうちの車です。

 

 

どこを歩いていたんだ・・・

 

俺が消防の頃、友達の家に行った帰り道。
田んぼのあぜ道?のような所を友達と二人で歩いてた。普通の道路よりその道のほうが近いからだ。
どうして家に帰る俺にその友達がついて来たかは、ちょっと覚えていないのだが、たぶん見送りだろうと思う。
ちょうどその頃は秋で、ススキが自分たちの背の高さ以上に生い茂っていた。
んで、しばらく歩いてもなかなかそのあぜ道を抜けないんだね。
不思議に思って俺は周りをキョロキョロ見るんだけど、凄い後ろの遠くのほうになんか二つの人影のようなものが見えた。
(自分達が歩いていた道はほぼ真っ直ぐで、かなり長かった。で左右はススキと田んぼの稲で囲まれて、上下前後しか視界が無かった)
その時はここを人が通るなんて珍しいな、とか軽く考えていた。
そのときは特に友達も気には留めなかった。
そのまま歩き、少したってから何気なく後ろを見ると、さっきの人影は2キロ以上離れていて豆粒みたいにしか見えなかったのに、いきなり200メートルくらいのところまで来ていた。

 

そのいでたちを良く見ると、
片方は全身黒い服で、上が黒いパーカー、下が黒いズボン。
なんか自分が見たときは、肩から上が無かった。
もう一人は上が緑の、同じくパーカー、下が地味な色の茶色いズボン。
こちらは足が無いように見えた。顔は良く見えず、いわゆるのっぺらぼうというか、顔全体が火傷しているような、異様なのように見えた。
俺と友達はさすがに怖くなって、走って逃げた。
俺も友達も足が速いほうだったので、ずいぶん走って振り切った。
「何だあれ何だあれ!」「あれ見たよな?やべえよやばい」を連呼してた。
で、そのあぜ道の出口近くに曲がり角があるんだけど、そこ曲がったら、さっきの二人がいた。そこで記憶が途切れてる。
後日友達にも話したが、俺と同じところで記憶が途切れていた。
親にそのときどうやって帰ってきたか聞いても、覚えていないという。
今考えると、あのあぜ道はいつもは30分くらいで抜けられるのだが、自分達は3時間くらい歩いていたような気がする。
そこは国道からそんなに離れていないのに、車の音すら聞こえなかった。
あの時俺はどこを歩いていたんだと思うとゾッとする。

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