海にまつわる怖い話『魚の鳴き声』|洒落怖・海の怪談

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海にまつわる怖い話『魚の鳴き声』|洒落怖・海の怪談 怖い話
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魚の鳴き声

 

ちょうどその日は沖泊まりで、夕刻は後部後半上で皆でメシを食いながら、何人かは釣りをして、釣れたものはそのまま司長にわたして即料理、という感じでした。
日も暮れてそろそろ寒くなり始めたころ、釣りをしている仲間の一人が、ハリセンボンのように膨れたカワハギ?を釣り上げました。
かなりヘンな形をしていたのですが、カワハギはとっても旨いし、どうせ料理してしまえば形なんてどうでもいいので、そのまま司長に渡しました。
晩飯を食いながら釣りをしていた私たちは、そのまま釣りを続け、サカナは調理場に・・・

 

そのとき、わたしは測深機の調子がおかしいということで、その場を離れ、一人ドライルームに入り、まさに機械の調整を始めようとしたところです。
「ギギギギギ・・・・ギギギギギ・・・・」と、身の毛もよだつような鳴き声(?)が突然したので、ビックリして部屋の外に飛び出しました。

「何の音だ?今のは!?」と周りを見回したその視界に入ったのは、青い顔をした司長が、さっき釣り上げたヘンな形のサカナをバケツに入れて、それを海に捨てようとしていたところです。
ですが、司長もかなりビックリしていて手元が狂ったのでしょう。
バケツの中のサカナは海ではなく、甲板上にこぼれ落ちたんです。
サカナは甲板上で、あの耳につくイヤな音を発しながら跳ねています。
それまでは晩飯を食っていた仲間もビックリして、その場に集まってきましたが、気持ち悪くて、誰もそのサカナに手を出そうとしません。

 

そうして、わたしたちがビビっている様を見てあきれたのか、ワッチ明けで非番の船員さんがやってきて、タモ網で跳ねたところをすくい取り、海へ放してくれました。
その間、とても長く感じましたが、実際は1、2分もなかったと思います。

不気味な鳴き声も収まり、ようやくわたしたちも気を落ち着けることができ、わたしは、機械の調整に戻り、ほかの仲間は釣りを再開しました。
仲間が釣りを再開したとき、さらにおかしなことが起こっていたんです。
先ほどの不気味な鳴き声で集まってきた間、釣り竿を固定して、針は海の中に垂らしたままになっていました。
それで、針はコアジとカワハギをねらっていたので、一本の糸に、互い違いに10個ぐらいの針がついているヤツを使っていたのです。
といっても、わたしは釣りに関しては素人なので、まあ、そんな針が付いていた、と言うことだけしか言えないのですが(苦笑)

 

それから誰も釣れなくなったようで、次々に糸を巻き戻して、次の餌付けをしようとしたのです。
すると驚くべきことに、全員の釣り竿で針が全部なくなっていたんです。
針の付け根の糸の部分で食いちぎられたのか、海底の岩場にでも針がひっかかって、引きちぎれたのかわからないんですけれど、とにかく針が全部なくなっていました。

そんなことがあって、先ほどのヘンなサカナの件もあり、薄気味が悪かったので、早々に釣りはやめてしまい、甲板上も片づけてしまい船内に引き上げました。

わたしも洋上では、不可解な出来事にあったことが何度かありますが、いろいろありますので、あまり考えないようにしています。

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