破壊神とは、その名の通り破壊を司る神のことで、宗教における破壊、滅亡を司る神格を持つ神です。
この「破壊」は、単なるや物理的な消滅や殺戮の他に、秩序・世界や人類全体の消滅などがあり、破壊の先には大いなる変化・創造があるとされます。
ここでは、日本と世界の神話に登場する破壊を司る神を紹介します。
日本の破壊を司る神
建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
古事記では「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」
日本書紀では「素戔男尊(すさのおのみこと)」
神名の「スサ」は、荒れすさぶの意として嵐の神、暴風雨の神ともいわれる。
八岐大蛇退治の英雄。
出雲の鳥髪山へ降った建速須佐之男命は、その地を荒らしていた巨大な怪物八俣遠呂智への生贄にされそうになっていた櫛名田比売命と出会う。スサノオは、クシナダヒメの姿形を歯の多い櫛に変えて髪に挿し、ヤマタノオロチを退治する。そしてヤマタノオロチの尾から出てきた草那藝之大刀(くさなぎのたち=草薙剣)を天照御大神に献上し、それが古代天皇の権威たる三種の神器の一つとなる。
世界の破壊を司る神
シヴァ
ヒンドゥー教の神。
世界の創造、維持、再生を司る最高神。
三神一体の一神として、「再生の為の破壊」の役割を担っています。
インド神話に登場する最高神には、「シヴァ神」「ヴィシュヌ神」「ブラフマー神」の三神がおり、同一の神として対等な力をもっていると言われています。
破壊を司る「シヴァ神」に対し、「ヴィシュヌ神」は維持、「ブラフマー神」は創造を司ります。
1000を超える異名があり多種多様な性格を持っています。
ジャガンナート
ヒンドゥー教の神。
名は「世界の主」の意。
ラト・ヤートラー祭では、ジャガンナートらを載せた巨大な山車が大通りに出され、グンディチャー寺院までの約2.7kmの道程を練り歩く。
この神聖な行列を観た者には福徳があると信じられており、山車の周りは毎年大勢の人々でごった返している。
13世紀末~14世紀初期のフランシスコ会宣教師オドリーコ・ダ・ポルデノーネは、当時のこの祭りについて「救済を求め、ジャガンナートの山車に轢かれて死ぬことを望む信者がいる」としるしている。
この報告から転じて英語『juggernaut (ジャガーノート)』は「恐ろしい犠牲を強いる絶対的な力や存在」を意味する単語ともなっている。
トラウィスカルパンテクートリ
アステカ神話に伝わる破壊神。
明けの明星(金星)の擬人化で、その名は「曙の主」を意味する。古代アステカでは、金星からの光はあらゆる災いをもたらすものとされていた。
激しく燃えさかる槍(光線)を投げつける姿で現される。
マサライ(Masalai)
ニューギニアのアラペシュ族に伝わる氏族神。
岩や水溜りなどに棲み、その姿は斑模様や縞模様、または双頭の蛇とされる。
狩猟神だが、侵入者に対しては容赦無く害悪をもたらすとされる。
妊婦には流産や死産、病気や死をもたらし、風や地滑り、地震や洪水などの災害を引き起こす力を持つという。
ある時、とある村で村人達がウナギを殺して食べた事によりマサライの怒りに触れ、マサライに村ごと滅ぼされてしまった。しかし、ウナギを食べなかった一人の女だけが生き残った。その女は身体からヤムイモを生み出す力を得て、一緒に住むようになった人々から感謝されるようになったとされる。
コメント