人類の歴史には、光とともに必ず「闇」が語られてきました。
その象徴として生まれたのが、悪魔(デーモン)という存在です。
悪魔は単なる恐怖の象徴ではなく、
・人を惑わせる誘惑
・災いをもたらす力
・自然の猛威への畏怖
・死後の世界への警戒
など、時代や地域ごとにさまざまな意味を持って登場してきました。
キリスト教のサタンやルシファー、ユダヤのリリス、イスラムのイブリース……
神々の敵として描かれる存在もいれば、
人間の心の弱さを映す鏡として語られる悪魔もいます。
また、世界には宗教的な悪魔だけでなく、
ギリシア神話の怪物、北欧の巨人、エジプトの冥界の獣など、
文化の数だけ多様な“悪魔的存在”が生まれました。
本記事では、世界の神話・宗教に登場する悪魔たちを
読みやすく整理し、解説付き紹介していきます。

世界の神話・宗教の悪魔 一覧
キリスト教の悪魔
アガリアレプト
ルシファーに仕える悪魔で、サタナキアとともにヨーロッパやアジア一帯に影響力を持つとされる。
アスモデウス(アスモダイオス、アシュメダイ、アスモダイ)
キリスト教の「七つの大罪」では色欲を司る悪魔。堕天する前は、神に近い高位の智天使だったともいわれる。
アドラメレク
地獄の「上院議長」あるいは「宰相」とされる高位の悪魔で、サタンの衣装係という役割も担うとされる。
アマイモン(アモイモン)
「8人の下位王子(Eight Sub Princes)」のひとりに数えられる有力な悪魔で、非常に強い支配力を持つとされる。
コルソン
世界の四方を司る四大悪魔のひとりで、南を統べる魔王として恐れられている。
サタン
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教における悪魔で、もとは神に仕える御使い「ルシファー」と呼ばれていたが、神に反逆して堕天した存在とされる。
ルシファー(ルシフェル、ルキフェル)
堕天使たちの長であり、魔王サタンの堕落前の名ともされる。光り輝く存在から、もっとも深い闇へと堕ちた象徴的な悪魔。
サタナキア
ルシファー、ベルゼブブ、アスタロトに仕える六人の上級精霊のひとり。女性を意のままに操る力を持つとされる。
ジミマイ
ソロモン王に従える72の悪魔たちをも抑える力を持つ四大魔王のひとり。特別な儀式のときにしか召喚できないといわれる。
デモゴルゴン
古い時代から語られる、冥界と深い関わりを持つ原初的な存在。混沌や恐怖の象徴として描かれることが多い。
バフォメット
山羊の頭と黒い翼、男女両方の特徴を備えた両性具有の悪魔。中世ヨーロッパでは魔女たちの崇拝対象とされることもあった。
ピシウス
魔法の神ティーンチに仕える狡猾な悪魔で、策略や裏切りを好む存在として描かれる。
フルーレティ
アフリカに潜む高位の悪魔。仕事を命じると一晩のうちにやり遂げる働き者であり、望む場所に雹を降らせる力も持つとされる。
プルフラス(ブファス、ブザス)
地獄の大君主にして公爵。戦争や不和、欺きなどをもたらす力を持ち、サタナキアの配下として地獄の軍勢を率いるという。
ベルゼブブ(ベルゼバブ)
「ハエの王」とも呼ばれる高位の悪魔。サタンに次ぐほどの地位を持つとされ、腐敗や疫病の象徴とされる。
ベルフェゴール(ベルフェゴル、ベールフェゴル)
七つの大罪のうち「怠惰」や「好色」を司る悪魔。人間に楽な方法や近道を囁き、堕落させるとされる。
マモン(マンモン)
「富」や「貪欲」の象徴とされる悪魔。金銭欲や利益至上主義を煽る存在として描かれることが多い。
インキュバス(インクブス) – 夢魔の男性形
理想的な姿をした男性として夢に現れ、人間と交わるとされる下位の悪魔。男女どちらの夢にも現れると考えられている。
サキュバス(スクブス) – 夢魔の女性形
誘惑的な美女の姿で夢に現れ、人間の精気を奪うとされる下位の悪魔。男性だけでなく、人の欲望そのものを象徴する存在でもある。
メフィストフェレス
ルシファーの配下として知られる悪魔で、人間にさまざまな誘惑をもたらし、魂と引き換えに願いを叶える存在として描かれる。
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