- 魚頭(ぎょとう)
中国語:鱼头(ユートウ)
出典:『点石斎画報』
魚の頭を持つ怪異。新聞的怪談として描かれ、不吉の前兆とされる場合もある。 - 鮨魚(しぎょ)
中国語:鮨鱼(ジーユー)
出典:『山海経・北山経』
魚の体に犬の頭を持ち、赤子の泣き声のように鳴くとされる。食べると癲狂の病が治ると記された不思議な魚。 - 鰼鰼(ぎゅうぎゅう)
中国語:鰼鰼(シーシー)
出典:『山海経』
珍しい水棲の妖魚として記される存在。姿の詳細は諸説ある。 - 魚婦(ぎょふ)
中国語:鱼妇(ユーフー)
出典:『山海経・大荒西経』
女性と魚が混ざったような姿の妖怪。人魚的な水の怪異として扱われる。 - 鲐鮯(たいげつ)
中国語:鲐鮯(タイグー)
出典:『山海経・東次三経』
特殊な薬効や予兆と結びつけられる怪魚。 - 鮫精(こうせい)
中国語:鲛精(ジャオジン)
出典:海洋伝承・鮫人譚
鮫人・人魚系統の妖怪。涙が宝玉になるという鮫人に近い特徴を持つ。 - 鴸鳥(しょちょう)
中国語:鴸(チュー)
出典:『山海経』
フクロウに似て手がある怪鳥。鳴き声は病人のうめき声のようで、災いの前兆とされる。 - 鸞(らん)
中国語:鸾(ルワン)
出典:『山海経』『周書』
鳳凰と並ぶ聖鳥で、王道・徳治の象徴とされる瑞鳥。 - 鳴蛇(めいだ)
中国語:鸣蛇(ミンシェー)
出典:『山海経』『南都賦』
不気味な声で鳴く蛇。鳴き声は災厄や変事の前兆とされる。 - 鷁(げき)
中国語:鷁(イー)
出典:
災難除けや航海安全を象徴する霊鳥。船の舳先の装飾にも使われた。 - 鹿蜀(ろくしょく)
中国語:鹿蜀(ルーシュ)
出典:『山海経・南山経』
馬の体に虎の文様を持つ霊獣。皮を身につけると子孫繁栄に良いとされる。 - 黄父鬼(こうふき)
中国語:黄父鬼(ホアンフーグイ)
出典:『述異記』
黄色い姿をした鬼で、災いの前触れとして現れる怪異。 - 黒眚(こくせい)
中国語:黑眚(ヘイシン)
出典:『続子不語』
黒い影のような災いの霊。病気や不運を象徴する。 - 黿鼉(げんだ)
中国語:鼋鼍(ユエントゥオ)
出典:『竹書紀年』ほか
巨大なスッポンやワニに似た水棲の怪獣。洪水や大河と関わる存在として記録される。 - 鼓(こ)
中国語:鼓(グー)
出典:『山海経・西次三経』
人の顔と龍の体を持つとされる怪物。鳴き声が鼓のように響くという。 - 鼠精(そせい)
中国語:鼠精(シュージン)
出典:中国各地の伝承
長く生きた鼠が妖怪化したもの。人に害をなすことも、恩返しをすることもあるとされる。 - 龍伯(りゅうはく)
中国語:龙伯(ロンボー)
出典:『列子・湯問』『山海経』
海を支配するとされる巨人・神。釣り上げる魚が巨大で扱えないという誇張的逸話で知られる。 - 龍龜(りゅうき)
中国語:龙龟(ロングイ)
出典:中国風水・伝承
龍の頭と亀の体を持つ瑞獣。長寿・財運・安定を象徴し、風水で非常に重視される。 - 朱雀(すざく)
中国語:朱雀(ジューチュエ)
出典:中国伝説・『山海経』ほか
東西南北を司る四神のうち、南方と火を象徴する霊鳥。燃え立つような赤い羽を持ち、戦や災いを祓う守護神として信仰された。 - 椒図(しょうず)
中国語:椒圖(ジャオトゥー)
出典:竜生九子説話
竜生九子の一つ。貝や蛙のような姿で「閉じこもる」のが好きとされ、門扉の環をくわえる装飾として表される、侵入者除けの魔除けの霊獣。 - 檮杌(とうごつ)
中国語:檮杌(タオウー)
出典:『書経』『左伝』ほか、四凶伝説
四凶の一柱とされる凶獣・悪神。頑迷で道理を聞かず、混乱や反逆を象徴する存在として、暴君や乱臣の比喩にも用いられた。 - 欽原(きんげん)
中国語:欽原(チンユエン)
出典:『山海経』
昆侖の丘に棲むとされる怪鳥。蜂のような姿で鴛鴦ほどの大きさがあり、その毒針に刺されると鳥獣は死に、木も枯れると伝えられる。 - 毒龍(どくりゅう)
中国語:毒龍(ドゥーロン)
出典:中国伝説
毒気や瘴気をまき散らす邪悪な龍。毒水・毒霧と結びつけられ、疫病や天災の元凶として恐れられる一方、道教的法術で調伏される対象にもなった。 - 比翼の鳥(ひよくのとり)
中国語:比翼鳥(ビーイーニャオ)
出典:『山海経』ほか
二羽で一対となり、それぞれ片翼ずつしか持たない伝説上の鳥。常に連れ添って飛ぶことから、深い夫婦愛・永遠の愛情の象徴として詩文に多用される。 - 水母娘娘(すいぼにゃんにゃん)
中国語:水母娘娘(シュイムーニャンニャン)
出典:中国民間信仰
中国北部など水に乏しい地域で祀られる、水を司る女神。雨乞いや井戸の守護神として信仰され、干ばつから民を救う慈悲深い存在とされる。 - 水落鬼(すいらくき)
中国語:水落鬼(シュイルオグイ)
出典:中国伝承
溺死した者が変じたとされる水中の鬼。川や湖から現れて人を水底へ引きずり込み、同じような死を与えると恐れられた。 - 渓嚢(けいのう)
中国語:渓嚢(シーナン)
出典:『白沢図』ほか妖怪資料
桓山のあいだに棲む子どもの姿の妖怪。人を見ると袖を引っ張り、そのまま引かれると人は死ぬが、逆に引き返すと渓嚢のほうが死ぬと伝えられる。 - 渾敦(こんとん)
中国語:渾沌/混沌(フンドゥン)
出典:『荘子』『神異経』ほか
人面で目鼻口のない怪物として描かれる、混沌の精。秩序のない原初状態や、愚かで暗い存在の象徴として哲学的な寓話にも用いられる。 - 火星(かせい)
中国語:火星(フオシン)
出典:中国の民間説話
三国時代に未来を予言した子どもが、のちに「布になって飛び去った」と語られる怪異譚の主人公。凶兆を告げる星・火星と結びつけられた存在と解釈される。 - 火烏(かう)
中国語:火烏(フオウー)
出典:中国神話
太陽に棲むとされる三本脚の烏。日輪そのもの、あるいは太陽神の化身と解釈され、昇陽・光明・権威を象徴する神鳥とされた。 - 炎帝神農氏(えんていしんのうし)
中国語:炎帝神农氏(イェンディーシェンノンシー)
出典:『史記』『淮南子』など
三皇五帝の一人とされる農耕と医薬の神。百草を嘗めて薬効を試したと伝えられ、農業技術や薬草知識を人々に授けた文明神でもある。 - 炎駒(えんく)
中国語:炎駒(イェンジュー)
出典:中国伝承
全身が炎のように赤いとされる霊馬・神獣。しばしば麒麟にもなぞらえられ、戦場や災厄の場に現れる瑞兆・前触れとして語られる。 - 牛頭(ごず)
中国語:牛頭(ニウトウ)
出典:仏教説話・地獄変相図
人身牛頭の姿を持つ地獄の獄卒。馬頭と対をなし、亡者を責め立てて地獄の秩序を維持する恐ろしい鬼神として描かれる。 - 狗頭鰻(くとううなぎ)
中国語:狗头鳗(ゴウトウマン)
出典:中国伝承
船を襲う巨大なウナギの妖怪。川や湖に棲み、嵐や船の転覆と結びつけられる、水神的な側面を持つ怪異として伝えられる。 - 独脚鬼・独足鬼(どっきゃくき/どくそくき)
中国語:独脚鬼・独足鬼(ドゥージャオグイ)
出典:中国各地の伝承
一本足で山野を跳ね回る鬼神。山の神として畏れられ、人間に災いをもたらす一方で、祭祀によって山林を守る守護霊ともされる。 - 狴犴(へいかん)
中国語:狴犴(ビーアン)
出典:竜生九子説話
竜生九子の一つで、虎に似た姿の獣。善悪を見分け正義を好むとされ、牢獄の門や裁判所の装飾に刻まれ「法と秩序」の象徴とされた。 - 猙(そう)
中国語:猙(ジェン)
出典:『山海経・西山経』
赤い豹のような体に一本角と五本の尾を持つ獣。鳴き声は石を打ち鳴らす音に似るとされ、その姿は猛獣の王のような恐ろしさを帯びる。 - 猩猩(しょうじょう)
中国語:猩猩(シンシン)
出典:中国古典・博物誌
赤毛で人語を解するとされた酒好きの霊獣・怪物。血が猩紅色で染料になる、酒樽の神として祭られるなど、酒宴と結びついた伝承が多い。 - 猪八戒(ちょはっかい)
中国語:猪八戒(ジュウバージエ)
出典:『西遊記』
豚の頭を持つ天界出身の妖仙。大食いで女好きだが、戦闘力も高く、三蔵一行の一員として旅を支える。人間味あふれるキャラクターとして親しまれている。 - 猿神(さるがみ)
中国語:猿神(ユエンシェン)
出典:中国・日本の習合的信仰
猿の姿で現れる山の守護神・太陽神の使い。山岳信仰や猿を神使とする信仰と結びつき、災厄除けや橋の守護神として祀られることもある。 - 獙獙(へいへい)
中国語:獙獙(ビービー)
出典:『山海経・東山経』
翼のある狐のような姿の獣で、雁のような声で鳴く。姿を見かけると大旱魃が訪れるとされ、干ばつの前兆として恐れられた。 - 獬豸(かいち)
中国語:獬豸(シエジー)
出典:中国法獣伝承
一角を持ち、善悪を見抜いて不義の者を角で突くとされる正義の獣。古代には裁判官の冠や笏の装飾に用いられ、公正・廉潔の象徴となった。 - 玄武(げんぶ)
中国語:玄武(シュエンウー)
出典:四神信仰
北方と水・冬を司る四神の一つ。亀と蛇が絡み合った姿で描かれ、長寿・守護・不動の象徴として城郭や墓室の北側に配される。 - 王貴人(おうきじん)
中国語:王贵人(ワングイレン)
出典:中国怪談・『封神演義』
琵琶に宿った女の妖怪として語られる存在。美しい女性の姿で現れ、人を惑わせる一方、琴の音色とともに哀しい情念を伝える物語も多い。 - 盤古(ばんこ)
中国語:盘古(パングー)
出典:中国神話(創世神話)
混沌の卵の中から生まれ、天と地を切り開いたとされる創世神。死後その身体は世界の山川草木や日月星辰に変化し、宇宙そのものになったと語られる。 - 睚眦(がいし)
中国語:睚眦(ヤーズー)
出典:龍生九子伝承・中国各地の伝説
竜の九人の子の一柱とされる凶相の霊獣。怒りと殺気を象徴し、武器や刀剣の装飾に刻まれて「悪を威圧し、敵を挫く」護符とされた。 - 穆王八駿(ぼくおうはっしゅん)
中国語:穆王八骏(ムーワン・バージュン)
出典:『穆天子伝』『列子』ほか
周の穆王が乗りこなしたとされる八頭の名馬の総称。天地を駆けめぐる駿馬として、王権の威光や理想郷への旅を象徴する。 - 窫窳(あつゆ)
中国語:窫窳(イェユー)
出典:『山海経』
人面馬脚の姿を持つ怪物で、人を喰らう凶獣とされる。辺境の山野に棲み、見る者に恐怖と災いをもたらす存在として記録される。 - 窮奇(きゅうき)
中国語:穷奇(チョンチー)
出典:『山海経』ほか(四凶伝承)
上古の四凶のひとつに数えられる怪獣。翼を持つ虎のような姿で善人を食らい、悪人をかばうとされ、極端な「悪徳」の象徴とされた。 - 竦斯(しょうし)
中国語:竦斯(ソンスー)
出典:『山海経』
人の顔と雉の体を持つ鳥の怪。人を見ると歌い踊りだすとされ、その出現は吉凶さまざまな前兆として語られる。
- 羅刹鳥(らせつちょう)
中国語:罗刹鸟(ルオチャニャオ)
出典:『子不語』ほか逸話集
鶴のような姿で灰色の体と鉤爪を持つ怪鳥。墓地の陰気から生じた妖怪とされ、人を襲って目玉をえぐるなどの凄惨な怪異譚が伝わる。 - 羽民(うみん)
中国語:羽民(ユーミン)
出典:『山海経』
全身に羽毛を持ち、空を飛べるとされる伝説上の人々。人間に近い姿ながら鳥の性質を備えた「鳥人族」として異郷譚に登場する。 - 胡喜媚(こきび)
中国語:胡喜媚(フーシーメイ)
出典:『封神演義』
雉鶏の精が化けた美女として描かれる妖女。魅惑的な容姿と妖術で人心を乱し、王朝を傾ける存在として物語上の悪役を担う。 - 胡媚娘(こびじょう)
中国語:胡媚娘(フーメイニャン)
出典:『白蛇全伝』など白蛇伝系統
狐や蛇の妖と関わる美女の妖怪。人間の男を惑わしながらも、ときに恋や情のドラマを生む、多面的なキャラクターとして描かれる。 - 花神(かしん)
中国語:花神(ホワシェン)
出典:中国各地の民間信仰
山や庭園に花をもたらす神格・精霊の総称。地域ごとに名や姿は異なるが、花の季節や豊穣、美の象徴として祀られてきた。 - 花魄(かはく)
中国語:花魄(ホワポー)
出典:怪異譚・民間伝承
木や花に宿った精に、非業の死を遂げた者たちの怨念が重なって生まれたとされる霊的存在。美しさと哀しみ、妖しさを併せ持つ妖怪として語られる。 - 蒲牢(ほろう)
中国語:蒲牢(プーラオ)
出典:龍生九子伝承・『酉陽雑俎』ほか
竜の九子の一つで、よく吠える性質を持つ小竜。大鐘の鈕や装飾に刻まれ、その咆哮が鐘の音をさらに大きく響かせると信じられた。 - 虎人(こじん)
中国語:虎人(フーレン)
出典:異民族譚・変身譚
人の姿と虎の性質を併せ持つとされる種族・妖怪。人語を解しながらも獣性が強く、山野で人を襲う存在として恐れられた。 - 螭吻(ちふん)
中国語:螭吻(チーウェン)
出典:『山海経』・龍生九子伝承、建築装飾
竜の子の一種で、屋根の両端に据えられる獣頭装飾の原型とされる。水を司ると信じられ、火災除けの護符として宮殿や寺院の棟に飾られた。 - 螭首(ちしゅ)
中国語:螭首(チーショウ)
出典:中国古代建築・石刻
角のない竜「螭」の頭部をかたどった装飾。石碑の上部や欄干などに用いられ、水や霊力を象徴する意匠として尊ばれた。 - 角端(かくたん)
中国語:角端(ジャオドゥアン)
出典:『山海経』ほか瑞獣譚
黒い麒麟に似た一角獣で、善悪を見抜き、不義を憎む正義の獣とされる。現れること自体が王道政治の証とみなされる瑞兆でもある。 - 諦聴(たいちょう)
中国語:谛听(ディーティン)
出典:仏教説話・『西遊記』ほか
地蔵菩薩や地獄の王に従う犬獣の霊獣。地の底まで響く声を聞き分け、嘘と真実、善悪を見抜く耳を持つと伝えられる。 - 讙(かん)
中国語:讙(フアン)
出典:『山海経』・中国妖怪譚
狸に似た姿で、光る片目と三本の尾を持つ怪獣。夜ごと不気味な声をあげ、人を惑わせる妖として山野の怪談に登場する。 - 貍力(りりき)
中国語:狸力(リーリー)
出典:中国妖怪一覧・民間伝承
狸に似た外見を持つ妖獣。人家の周りに現れては物を盗んだり、怪異を起こしたりするが、ときに福をもたらすとされる二面性を持つ。 - 貔貅(ひきゅう)
中国語:貔貅(ピーシウ)
出典:中国神話・風水信仰
龍の頭と獣の体を持ち、財運を食らって貯め込むとされる霊獣。口から入るが排泄しないため、「財を吐き出さない」金運の守護神として現代でも人気が高い。 - 負屓(ふき)
中国語:负屃(フーシー)
出典:龍生九子伝承・碑座の装飾
亀に似た竜子で、重い石碑を背負う姿で表される。文運と名声を支える象徴とされ、石碑の台座彫刻に多用された。 - 貫匈人(かんきょうじん)
中国語:贯匈人(グアンションレン)
出典:『山海経』系統の異人譚
胸に大きな穴が開いた姿をした伝説上の人種。風通しのよい身体ゆえに暑さ寒さを恐れないとされる、異界的な人々として紹介される。 - 賽太歳(さいたいさい)
中国語:赛太岁(サイタイスイ)
出典:『西遊記』ほか
太歳(歳星)の力を持つとされる魔王。運勢や方位神としての太歳信仰と結びつき、怒らせると大災厄をもたらす凶神として畏れられた。 - 赤虎(せきこ)
中国語:赤虎(チーフー)
出典:中国神話・虎の怪物譚
真紅の毛並みを持つとされる虎の怪物。血や戦争、猛火と結びつけられ、凶兆・軍神の象徴として語られることが多い。 - 跂踵(きしょう)
中国語:跂踵(チージョン)
出典:『山海経』ほか
一本足に猪の尾を持つ梟のような妖鳥。現れる土地には疫病が流行するとされ、病をもたらす凶兆の化身とされた。 - 酒甕(さけがめ)
中国語:酒甕(ジウウェン)
出典:中国妖怪譚・日本の説話系統
古い酒甕に魂が宿り、人間の姿をとった大酒飲みの男となった妖怪。人々の酒席に現れて酒を飲み干し、酔いと混乱をもたらすとされる。 - 酒虫(しゅちゅう)
中国語:酒虫(ジウチョン)
出典:中国民間伝承
酒の中に棲むとされた小さな虫の精。人が酒を好みすぎるのは、この酒虫が腹に住みついて酒を求めるからだと俗説で説明された。 - 野狗子(やくし)
中国語:野狗子(イェゴウズ)
出典:中国妖怪一覧・戦場伝説
戦場に現れ、死体の脳みそを食らうとされる妖獣。戦の惨禍や無残な死を象徴する存在として、兵士たちに恐れられた。 - 金烏(きんう)
中国語:金乌(ジンウー)
出典:『淮南子』『山海経』ほか
太陽の中に棲む三本足の烏。十個あった太陽の一つともされ、日輪そのもの、あるいは日輪を運ぶ神鳥として崇拝された。 - 金華猫(きんかびょう)
中国語:金华猫(ジンホワマオ)
出典:中国妖怪一覧・都市伝説
金色の斑を持つ猫が長年生きて妖怪となったもの。人の心を惑わせたり、家に取り憑いて吉凶さまざまな出来事を引き起こすとされる。 - 睚眦(がいし)
中国語:睚眦(ヤーズー)
出典:龍生九子伝承・中国各地の伝説
竜の九人の子の一柱とされる凶相の霊獣。怒りと殺気を象徴し、武器や刀剣の装飾に刻まれて「悪を威圧し、敵を挫く」護符とされた。 - 穆王八駿(ぼくおうはっしゅん)
中国語:穆王八骏(ムーワン・バージュン)
出典:『穆天子伝』『列子』ほか
周の穆王が乗りこなしたとされる八頭の名馬の総称。天地を駆けめぐる駿馬として、王権の威光や理想郷への旅を象徴する。 - 窫窳(あつゆ)
中国語:窫窳(イェユー)
出典:『山海経』
人面馬脚の姿を持つ怪物で、人を喰らう凶獣とされる。辺境の山野に棲み、見る者に恐怖と災いをもたらす存在として記録される。 - 窮奇(きゅうき)
中国語:穷奇(チョンチー)
出典:『山海経』ほか(四凶伝承)
上古の四凶のひとつに数えられる怪獣。翼を持つ虎のような姿で善人を食らい、悪人をかばうとされ、極端な「悪徳」の象徴とされた。 - 竦斯(しょうし)
中国語:竦斯(ソンスー)
出典:『山海経』
人の顔と雉の体を持つ鳥の怪。人を見ると歌い踊りだすとされ、その出現は吉凶さまざまな前兆として語られる。 - 羅刹鳥(らせつちょう)
中国語:罗刹鸟(ルオチャニャオ)
出典:『子不語』ほか逸話集
鶴のような姿で灰色の体と鉤爪を持つ怪鳥。墓地の陰気から生じた妖怪とされ、人を襲って目玉をえぐるなどの凄惨な怪異譚が伝わる。 - 羽民(うみん)
中国語:羽民(ユーミン)
出典:『山海経』
全身に羽毛を持ち、空を飛べるとされる伝説上の人々。人間に近い姿ながら鳥の性質を備えた「鳥人族」として異郷譚に登場する。 - 胡喜媚(こきび)
中国語:胡喜媚(フーシーメイ)
出典:『封神演義』
妖狐が化けた美女として描かれる妖女。魅惑的な容姿と妖術で人心を乱し、王朝を傾ける存在として物語上の悪役を担う。 - 胡媚娘(こびじょう)
中国語:胡媚娘(フーメイニャン)
出典:『白蛇全伝』など白蛇伝系統
狐や蛇の妖と関わる美女の妖怪。人間の男を惑わしながらも、ときに恋や情のドラマを生む、多面的なキャラクターとして描かれる。 - 花神(かしん)
中国語:花神(ホワシェン)
出典:中国各地の民間信仰
山や庭園に花をもたらす神格・精霊の総称。地域ごとに名や姿は異なるが、花の季節や豊穣、美の象徴として祀られてきた。 - 花魄(かはく)
中国語:花魄(ホワポー)
出典:怪異譚・民間伝承
木や花に宿った精に、非業の死を遂げた者たちの怨念が重なって生まれたとされる霊的存在。美しさと哀しみ、妖しさを併せ持つ妖怪として語られる。 - 蒲牢(ほろう)
中国語:蒲牢(プーラオ)
出典:龍生九子伝承・『酉陽雑俎』ほか
竜の九子の一つで、よく吠える性質を持つ小竜。大鐘の鈕や装飾に刻まれ、その咆哮が鐘の音をさらに大きく響かせると信じられた。 - 虎人(こじん)
中国語:虎人(フーレン)
出典:異民族譚・変身譚
人の姿と虎の性質を併せ持つとされる種族・妖怪。人語を解しながらも獣性が強く、山野で人を襲う存在として恐れられた。 - 虎男(とらおとこ)
中国語:虎男(フーナン)
出典:変身譚・現代創作
元は人間でありながら、呪いや因縁によって虎に変身するようになった男。人と獣の境界が崩れる物語のモチーフとして用いられる。 - 螭吻(ちふん)
中国語:螭吻(チーウェン)
出典:『山海経』・龍生九子伝承、建築装飾
竜の子の一種で、屋根の両端に据えられる獣頭装飾の原型とされる。水を司ると信じられ、火災除けの護符として宮殿や寺院の棟に飾られた。 - 螭首(ちしゅ)
中国語:螭首(チーショウ)
出典:中国古代建築・石刻
角のない竜「螭」の頭部をかたどった装飾。石碑の上部や欄干などに用いられ、水や霊力を象徴する意匠として尊ばれた。 - 角端(かくたん)
中国語:角端(ジャオドゥアン)
出典:『山海経』ほか瑞獣譚
黒い麒麟に似た一角獣で、善悪を見抜き、不義を憎む正義の獣とされる。現れること自体が王道政治の証とみなされる瑞兆でもある。 - 諦聴(たいちょう)
中国語:谛听(ディーティン)
出典:仏教説話・『西遊記』ほか
地蔵菩薩や地獄の王に従う犬獣の霊獣。地の底まで響く声を聞き分け、嘘と真実、善悪を見抜く耳を持つと伝えられる。 - 讙(かん)
中国語:讙(フアン)
出典:『山海経』・中国妖怪譚
狸に似た姿で、光る片目と三本の尾を持つ怪獣。夜ごと不気味な声をあげ、人を惑わせる妖として山野の怪談に登場する。 - 貍力(りりき)
中国語:狸力(リーリー)
出典:民間伝承
狸に似た外見を持つ妖獣。人家の周りに現れては物を盗んだり、怪異を起こしたりするが、ときに福をもたらすとされる二面性を持つ。 - 貔貅(ひきゅう)
中国語:貔貅(ピーシウ)
出典:中国神話・風水信仰
龍の頭と獣の体を持ち、財運を食らって貯め込むとされる霊獣。口から入るが排泄しないため、「財を吐き出さない」金運の守護神として現代でも人気が高い。 - 負屓(ふき)
中国語:负屃(フーシー)
出典:龍生九子伝承・碑座の装飾
亀に似た竜子で、重い石碑を背負う姿で表される。文運と名声を支える象徴とされ、石碑の台座彫刻に多用された。 - 貫匈人(かんきょうじん)
中国語:贯匈人(グアンションレン)
出典:『山海経』系統の異人譚
胸に大きな穴が開いた姿をした伝説上の人種。風通しのよい身体ゆえに暑さ寒さを恐れないとされる、異界的な人々として紹介される。 - 賽太歳(さいたいさい)
中国語:赛太岁(サイタイスイ)
出典:『西遊記』ほか
太歳(歳星)の力を持つとされる魔王。運勢や方位神としての太歳信仰と結びつき、怒らせると大災厄をもたらす凶神として畏れられた。 - 赤虎(せきこ)
中国語:赤虎(チーフー)
出典:中国神話・虎の怪物譚
真紅の毛並みを持つとされる虎の怪物。血や戦争、猛火と結びつけられ、凶兆・軍神の象徴として語られることが多い。

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