死を司る天使
ユダヤの伝承では死の天使は冷酷で魂を奪い取る存在とされ、地上の何者も彼から逃げられないように体中が目で覆われているという。しかし、時に逆に人間にだまされたり、哀れみからまたの機会に改めようとすることもあるという。
・ユダヤ教では「黄泉の国の守護者」としてガブリエルが筆頭にあがっている。
・キリスト教ではミカエルが死の天使として人間の魂を秤に掛けるという。
・イスラム教ではアズラエルが死の天使とされる。
・堕天使サマエルもまた死の天使の候補に挙がっている。
古代バビロニアではそれぞれ役割を分担する六人の死の天使がいるとされた。
- ガブリエル 若者の生命を司る
- カフジエル 王の生命を司る
- メシャベル 動物の生命を司る
- マシット 子供の生命を司る
- アフ 男性の生命を司る
- ヘマハ 家畜の生命を司る
偽ディオニュシオス Pseudo-Dionysius
西暦500年頃のこと、中東にディオニュシオスと名乗る著述家が現れ、聖書の様々の天使の話を調べ始めた。こうして集めた資料から彼は熾天使を最高位とする天使の九階級を作り上げた。彼の作品にもディオニュシオスという署名が残されている。
ディオニュシオスという人物は聖書の『使徒言行録』にも登場する。古代のキリスト教徒たちは彼をこのディオニュシオスと同一人物と考えた。ところが、後世になってディオニュシオスの著作が、『使徒言行録』のディオニュシオスのいた時代よりも何世紀も後だということが証明されたのだ。それまで誰もこの二人のディオニュシオスが同一人物と信じて疑わなかったのである。
こうしたことから、前者のディオニュシオスを学者らは偽ディオニュシオスと呼んでいる。しかし偽ディオニュシオスの天使の位階は、キリスト教国では今ももっとも支持を得ている説である。
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