【風神】日本と世界の『風を司る神』一覧 51選|名前の意味・象徴・神話を総まとめ

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【風神】日本と世界の『風を司る神』 一覧 神・仏
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ヴァータ(Vāta / Vata)【ヒンドゥー教・インド神話】

ヴァータは ヴァーユとほぼ同一視される風の神。 しばしばヴァーユの別名または古い名称とされ、 自然界を吹き抜ける風・季節風の性質を象徴する。

日常の風・息・生命力との関連が特に強く、
インド伝統医学アーユルヴェーダの「ヴァータ・ドーシャ」の語源にもなった。

ターウィリマーテア(Tāwhirimātea)【マオリ神話】

ターウィリマーテアは、ポリネシア系マオリ神話の 風・暴風雨・雷を司る強力な神。

天地が分かれた際、父母を引き裂く兄弟神に反逆し、
激しい嵐と風を解き放って戦った伝承が有名。
マオリ文化における最も重要な自然神の一柱である。

フラカン(Huracan / Jun Raqan)【マヤ神話】

フラカンは 風・嵐・火を司るマヤの創造神。 名は「心臓を持つ者」「一足の者」を意味し、 世界を三度創造した神として『ポポル・ヴフ』に記録されている。

また、英語の “Hurricane(ハリケーン)” の語源になった神としても有名。

パウアフトゥンス(Pauahtuns)【マヤ神話】

パウアフトゥンスは 四方位と風・大地を支える神々の集団。 それぞれ東西南北を担当し、 世界の角を支える四柱の神として描かれる。

彼らは風・雨・季節を見守る役割も持ち、
大地の安定を守る守護神として信じられた。

バアル(Baʿal / Hadad)【ウガリット神話・カナン神話】

バアルは古代カナンおよびウガリット神話における 嵐・雨・雷・肥沃を司る最高神の一柱。

暴風・雨・雷を支配する一方で、
慈雨をもたらし農業を豊かにする豊穣神として篤く信仰された。

嵐の神バアル・ハダドは、
メソポタミア~シリアにかけて広範囲で崇拝された強力な気象神である。

エンリル(Enlil)【メソポタミア神話】

エンリルはシュメール神話の 風・大気・嵐を司る最高神の一柱。 アヌ(天空神)とエンキ(水・知恵の神)と並ぶ「三大神」の一角を占める。

名前は「嵐の主」「風の主」を意味し、
大洪水を引き起こした神として『ギルガメシュ叙事詩』にも登場。

農業・王権・秩序にも深く関わり、
古代メソポタミアで最も重要視された神の1つである。

パズズ(Pazuzu)【メソポタミア神話】

パズズはアッカド神話に登場する 風・熱風・疫病を運ぶ魔神(悪霊)。 「風の魔王」とも呼ばれ、 毒風・熱風・疫病・旱魃をもたらすと恐れられた。

一方で、
母性の悪霊ラマシュトゥを退ける護符として
パズズ像が魔除けに用いられるという二面的な存在でもある。

タテ(Tate)【ラコタ(北米先住民)】

タテ(Tȟaté)はラコタ族(スー族)の 風の精霊・風の父 とされる神。 四方向の風(北・南・東・西)を生み出した存在で、 自然の動き・季節の変化を象徴する。

タテには「四人の息子(四方位の風の精霊)」がおり、
世界の均衡と大地の呼吸を象徴する重要な神格である。

ヴェンティ(Venti / Ventus)【ローマ神話】

ヴェンティ(Ventī)はローマ神話の 風の神々の総称。 ギリシア神話のアネモイに対応し、 四方位の風+中間の風を司る複数の風神で構成される。

主な四風は以下の通り:

アクィロ(Aquilo) … 北風

アウステル(Auster) … 南風

ファヴォニウス(Favonius) … 西風(ゼピュロスに相当)

ヴァルトゥルヌス(Vulturnus) … 東風

ローマでは、風そのものを「Ventus(ウェントゥス)」と呼んだ。

飛廉(Fei Lian / Feng Bo)【中国神話】

飛廉(フェイリアン)は古代中国における 風の神・風伯(ふうはく) とされる存在。 姿は資料によって異なり、 鳥の翼を持つ獣・蛇の尾を持つ神獣・鹿の体をした怪物など様々に描かれる。

多くの場合、
“袋で風を操る風伯(Feng Bo)”と同一視され、
嵐や暴風を指揮する風神として登場する。

アウストリ(Austri)【北欧神話・東風】

アウストリは北欧神話の 東方を司るドヴェルグ(ドワーフ)。 エッダ詩によると、 巨人イミルの頭蓋骨から作られた天空を、 東西南北の四隅で支えた4人のドヴェルグの1柱。

彼らは各方角の風の源を象徴し、
アウストリは 東風の起源とされる。

ノルズリ(Norðri)【北欧神話・北風】

ノルズリ(Northri)は 北の方位を司るドヴェルグ。 北の寒冷な風・冬の象徴として扱われる。

天空の北側を支え、
世界の構造を安定させる役目を持つ。

スズリ(Suðri)【北欧神話・南風】

スズリ(Sudri)は 南風に対応するドヴェルグ。 南の暖かい風、季節の移り変わりを象徴する。

四方を司るドヴェルグの1柱で、
天空の南側を支える役割を担う。

ヴェストリ(Vestri)【北欧神話・西風】

ヴェストリ(Vestri)は北欧神話における 西風の起源を象徴するドヴェルグ。 四方の風・四方位の象徴体系の一部として、 世界のバランスを保つ重要な存在。

 

風の神々が教えてくれる、自然と共に生きてきた人類の歴史

世界の神話に登場する「風の神々」は、
地域ごとに名前も姿も役割も異なります。
しかしその根底には、どの文化にも共通した思いがあります。

それは、
「風を恐れ、恵みとして受け取り、そこに神聖な力を見た」という感覚。

穏やかな春風から、
嵐・台風・砂嵐をもたらす暴風まで、
風は生活を左右する最も身近な自然現象でした。

だからこそ、
シナツヒコやボレアース、エンリル、ヴァーユ、フラカンといった
世界各地の風の神々は、
「自然への敬意」そのものでもあります。

本記事で紹介した神々を知ることで、
古代の人々が風に込めた祈りや畏怖、
そして自然との深い結びつきを感じ取ることができるでしょう。

現代の私たちにとっても、
風の神話は “自然とともに生きる知恵” を思い出させてくれる
大切な文化遺産なのかもしれません。

 

FAQ よくある質問

風の神とは?どのような役割を持つ存在ですか?

風の神とは、世界各地の神話や伝承において、風・大気・嵐・季節の変化を司る神の総称です。 穏やかなそよ風を生む神から、暴風雨や台風を起こす神まで、多様な役割があります。 古代の人々は、生活に大きな影響を与える風に“意思”を見出し、守護神・豊穣神・嵐の神として崇拝していました。

世界にはどんな風の神がいますか?

世界各地には多くの風の神が存在します。 日本ではシナツヒコ、ギリシアではボレアース(北風)、ゼピュロス(西風)、インドではヴァーユ、マヤではフラカン、メソポタミアではエンリルなどが代表例です。 それぞれの文化で風の性質や役割が異なるため、神々の姿や性格にも地域差が見られます。

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