書きためはないのんびり書く
あれは俺がまだ将来に夢を見ていたピカピカの高校生の時の話
俺は当時本当に馬鹿な子供で、中学では友達すらいなかったのに高校に入ればSOS団みたいな仲間と楽しい日々が送れると夢見ていた
そんな夢見る子供だった俺は新しい日々を過ごすため地元から電車で二時間の学校への進学をすることにした
受験も無事済ませ特に感傷に浸ることもなく中学を卒業したおれは、春休みの間アニメとラノベを参考に輝く高校生活へのイメージトレーニングに勤しんでいた。
春休みは毎日が楽しかった
隣の席に美少女、放課後の教室、楽しい部活、中学時代に友達がいなかった俺の頭に同性との青春を考える能力はなく妄想の多くはまだ見ぬ彼女とのキャッキャウフフを妄想していた
そんな感じで春休みはすぐに終わり、なんか四月になり入学式を迎えた
入学式、片道二時間の通学も苦に感じす俺はワクワクしながら学校に通学した
通学路で見る同じ学校の制服の生徒をみるとさらにワクワクしたのを今でも覚えている
教室にむかうとさらに興奮して少しブヒブヒしてしまった
なぜなら、見渡す限り
女子!女子!女子!
女子のバーゲンセールだったからだ
そう、高校で友達を作る予定がなかった俺は男女比1対9のほぼ女子高に入学したのであった
楽しくてニヤニヤが止まらなかった
今思うとこのニヤニヤが原因でクラスで浮き始めたのかもしれないが当時の俺は気づきもしなかった
だってお前ら、クラスに女子が40人もいるのに男子は三人だぜ?
しかも俺の他はガリガリなチビとただのデブ
これはまじでキョンになれると俺は思った
そんでニヤニヤしているうちに入学式は終わった
翌日、すぐに授業は行われず自己紹介や部活紹介、クラス委員の取り決めとかが行われた
午前中は自己紹介とクラス委員の取り決めと学校の説明だった記憶がある
入学式当日はよく観察できなかったが、観察をしてみると我が一年F組は結構レベルの高いクラスだということが判明した
特に高山さんと山下さんは可愛かった
隣の席は吉井さんというデブだった
自己紹介は明るく爽やかにこなし、委員会は保険委員に立候補した
午前の予定が終わると先生は職員室に行ってしまい、生徒達の交流タイムが始まった
同性に興味がなかった俺はとりあえずクラスに溶け込もうと隣の吉井さんと話をすることにした
吉井さんは見た目は本当にただのデブで、常にかたあげポテトを食べているようなデブだったが、紳士としてクラスの全員に分け隔てなく交流を持った方が良いと思ったので先ずは吉井さん話しかけた
別に可愛い子に話しかけるのが怖かったわけではない
吉井さんに話しかけるとハンサムな紳士にいきなり話しかけられたことにびっくりしたのか、人語ではないなにかをブツブツ呟いていた
その一件以来、俺がクラスの女子と関わることはなかった
みんなが仲良くなっていく中で一人寝たフリをして午後まで時間を潰した
途中で見てみたらクラスの男子デブとチビが楽しそうにアドレスを交換しているのが見えた
少し泣いた
そんな感じで午後の部活紹介を迎えた
部活紹介は退屈でしかなかった
上級生が寸劇をしたり、自分達の作品や活動内容を説明するだけの陳腐で退屈なだけの部活紹介だった
憂鬱のハルヒもこんな気持ちだったのかなぁ、とか考えながら俺は可愛い先輩がいる部活探しに精を出していた
しかし部活紹介も終盤に近づいた頃
俺の人生を大きく変えることになったその部活紹介は地味な感じに始まった
なんかちっこい先生が壇上に立ってた
推定身長145センチの幼児先生が壇上の隅にちょこんといた
少し辺りがざわついたが先生は構わずに部活紹介を始めた
「天文部です、部員は0、活動内容は未定、活動予定も未定、入れば即部長」
「以上です!」
さらっとなんか凄いことを10秒ぐらいで簡潔にまとめてカッコよく言い放って壇上を去って行った
その瞬間体中に電撃が走った、もうなんかその時はすごく感動した
放課後、俺はルーズリーフに入部とだけ書いて職員室にかけてった
職員室に行くまではラノベぽくて我ながらカッコ良かったと思ったんだけど
いや冷静になったらあの先生の名前を俺は知らんかった
てか入学二日目で職員室に入るとか俺の器ではハードルが高すぎる
あともっと冷静になると俺は通学に片道2時間かかるから部活動が物理的に無理なことにそこで気がついた
俺はルーズリーフをゴミ箱に捨てて家に帰った
下校中、少し泣けた
校門で部活勧誘の上級生にまったく勧誘されなくて泣いた
家に帰り飯も食わず自分の部屋にこもり布団を体に巻き泣いた
「通学二時間てなんだよ!」
「疲れるんじゃボケェ…」
と入学前にしっとけ的な内容を喚き散らしながら足をバタバタさせながらわんわん泣いた
頭の中では子供先生の以上!がリピートされまくってわけがわからないことになっていた
ふ、消失のキョンもこんな気持ちだったのかな…
俺は所詮光ある世界にはいけないのか…
なんて悲劇の主人公を気取ったりもした
喚いてたら妹が親を呼びやがって家族会議になった
後で聞いた話だが、中学時代にいじめを受けていた際それすらを楽しんだ俺が奇声をあげていたので家族は本当に心配をしたらしい
「なにがあったの?」
母親が気持ち悪いくらい優しい声で俺に訪ねてきた
「なんもねーよ!!」
鼻水垂らしながら全く説得力のないことを叫びまくった
いや言えるわけないだろ、ラノベを夢見て遠くの学校に進学したらすごく遠くて通学きついし、女子に話しかけて勝手に傷ついて、一人で寝たフリをして、友達できなくて、通学時間長くて部活できないとかとか
まるで俺が馬鹿みたいじゃねーか
いじめを楽しむのは割と楽
黒板に大量に死ねと書かれたらけさずに残してクラスの雰囲気を悪くしたり、机の上の花は育てたり、靴の画鋲はポスターに使えるし、殴られたらランボーごっこできるし
教師が来る前に犯人が消したりするんだろうか
>>62
そわそわするけど消さないよ
基本そのまま先生が来て気まずくなる
熱血先生だと学級会議、腑抜けだとなにもなかった体で授業
俺はどっちでも高みの見物
フゴフゴ言ってたら妹が背中をさすってくれた
「お母さんには内緒にしとくから簡単に話してみ?」とか言って慰めてくれた
俺は鼻水垂らしながら妹に
「学校遠いの…」
って言った
直後に妹が爆笑したから部屋に帰りまた泣いた
ごめん、俺も爆笑しちゃった
今思うと学校が始まりわずか二日で四つも上の兄が「学校遠いの…」とか言い始めたらそりゃ笑うわ
それから三時間ぐらい家族との争いがあり、なんか色々あって学校まで三十分のばあちゃんの家に居候することになった
これから三年もの間、親と不仲で捨てられて遠い親戚の家で孤独に暮らす少年という設定を俺が貫き通したのは言うまでもない
翌日が土曜日だったので俺は翌日から引っ越しの準備を始めた
引っ越しといっても、同じ県内でお互いの家も近いので荷物は学習道具と衣類と僅かな生活必需品だけという簡単なものであった
ちなみに実家には毎週の土日と連休、夏休みなどの大型連休は帰るという約束をした
悩みが無くなった俺は月曜日ワクワクしながら学校に登校した
高校生活三日目
放課後までが本当に辛かった、相変わらず友達はいなかったし休み時間は寝たフリをしてしのいだ
ガリデブはなぜかすごく仲良くなってて教室の隅でお昼休みに遊戯王をしていた
俺は飯をすぐに済ませ、図書室で火の鳥かブラックジャックを読んだと思う
教室から俺の居場所が無くなっていくの肌に感じた
放課後
特に部活動を一緒に見て回るような友達も彼女もいなかったから少し教室に残ってみた
ラノベとかだとここでヒロイン候補の一人でも出てくる所だけれど、誰も来ないし二十分で秋田
そして俺は少しだけ丁寧に名前とクラスを書いたルーズリーフを持って子供先生がいるであろう職員室にむかった
職員室に着くと時間もあってか先生はまばらにしかいなかった
中に入って先生を探すと窓際にちょこんと先生はいた
先生の前まで行って
「すみません、天文部の入学希望です!」
と早口でいった、今思うと自分からなにかを始めようとしたのはこれが初めてだったような気がする
噛まずに言い終えて安心していると先生が俺の入部届けを見ながら
「んーあーお前部長な」
と興味なさそうに俺につげた
俺は天文部初の男子部員で初の男子部長になった
それから面倒くさそうな先生と一緒に天文部の部室に行った
部室は屋上へのドアの前の踊り場にあった、広さは大体教室の半分くらいで中には色々機材があったけど誇りを被っていた
話を聞くと天文部は三年間部員がいないらしい、先生の名前は佐倉らしいことも分かった
先生は部室の鍵と屋上へのカギを俺に渡して掃除とか済ませたらなと言って一人で帰った
部室の鍵とかおもらってなんか本当にラノベの主人公にでもなったみたいでテンションが上がった
その日は満足したので帰った
家に帰ってからは明日からの事を考えてワクワクが止まらなかった
部室を掃除してSOS団みたいに色々持ち込んだりするのを妄想したり、後から女の子の部員が入部してきて消失長門的な展開がくるかもwww
みたいな受動的な妄想を楽しんでいた
今思うと自分から行動もしないで幸せが来るのを待ってるのがダメだったんだと思う
次の日、放課後までは寝たフリで過ごした
放課後、佐倉先生は来る気配がないので一人で部室の掃除をした
昔の天文部の写真とか出てきてまた輝かしい未来を妄想した
部員は来なかった
また次の日、いつもと変わらず放課後まで過ごした
クラスのやつらは大分仲が良くなったみたいだった
放課後、掃除が済んだので佐倉先生を呼びに行った
先生は部室を見るとくつろげるようにリフォームしろといって部費をおいて職員室に戻っていった
家に帰ってからどんな部室にしようか考えた、しかし部費は三万円なので悩むほど余裕はないことに気がついて寝た
次の日から週末までは特に活動はしなかった
相変わらずクラスでは話す人もいないし昼も一人で食べて図書室で火の鳥を読む生活を送った
放課後は部室に行き今までの活動記録とか資料とか読んだりしながら過ごした
佐倉先生は部室に一回も来なかった
新入部員も一人も来なかった
週末は家に帰り妹と買い物に出かけた、部室をくつろげるようにするためだ
お菓子、ティッシュなどはばあちゃんの家からいくらでも持っていけるので他のものを買うことにした
考えに考え抜いた結果、ポット、ミニ冷蔵庫、コップを買うことにした
あとは妹のセンスで小物を少し買ったゴミ箱とか
そんな感じで月曜は大荷物を持って学校にむかった
学校につくと普段ずっと黙ってるだけの俺が大荷物を持ってきたことに驚いているのかクラスのやつらが若干ざわついていた
俺は少し恥ずかしかったけど普段通りに過ごした
お昼火の鳥を読み終えたのではだしのゲンを読み始めた
そして放課後、荷物を抱えて走って部室に向かった
楽しくて少し叫んだら少し変な眼で見られたのは御愛嬌、俺は部室につくと早速リフォームを始めた
まあ、もって来た物を置いて荷物を整理しただけなんだけど凄い満足した
ポット、冷蔵庫、テレビ(ビデオ専用)、椅子、各種本、天体望遠鏡等
結構いい感じの部室になった感じがしたので佐倉先生を呼びに行った
佐倉先生は「おー、あとはソファーとDVDが見れれば合格だな」と言って職員室に帰ってしまった
DVDはともかくソファーは買えないし運べないので途方に暮れてしまった
なんか疲れたから帰った
入部希望者ははその日も来なかった
それから数日間特になにもなかった
クラスでは話す人が相変わらずいない、俺を取り残して皆が仲良くなっていった
ガリデブコンビが女子とお昼を食べてるのを見たときは図書室に駆け込んで泣いた
手にゲンを持っていたから相当キモかったと思う
放課後、部室でも特に変化はなかった
家からPS2をもって来て一人でDVDを見る日々が続いていた
佐倉先生は部室に来なかった
入部希望者も来なかった
気が付いたら仮入部期間が終わっていた
五月に入った頃だったと思う
いつものようにクラスで寝たフリをしていたら佐倉先生が俺を訪ねてきた
昼間に誰かに話しかけられることなんて皆無だったから先生でも嬉しかった
「放課後駐車場に来い、以上」
佐倉先生は簡潔に述べるとすぐに去って行った
そのあとワクワクしながら放課後まで過ごした
ゲンがはげた
放課後、佐倉先生との約束通り駐車場に行くと佐倉先生が手を振ってた
行くとなんか軽トラがあって荷台にはちと古いソファーが乗ってた
「友達呼んできてこれ部室まで運べ」
佐倉先生は笑顔でそういった
「(いや、いねーし!)」
俺は渋い顔をした、佐倉先生も黙る俺を見て俺の状態に気がついたのか渋い顔をした
結局ソファーは佐倉先生と運んだ、屋上の前だから大変だった
佐倉先生は凄い暴言吐きながら運ぶし、体力ないしとにかく大変だった
ここまでで気がついたけど、どうやら佐倉先生は生徒の前ではしっかりしてるように振舞っているらしいが、本性はなんかダメ人間だった
なんだかんだで部室にソファーが置かれてなんか部室が更に快適になった
てか入部一ヶ月でまだ天文部らしい活動をなに一つしてなかったけど言いだせなかった
佐倉先生は満足げにソファーに座りながら俺の買ったオレンジジュースを飲んで一人帰って行った
少し楽しかった
その日はニヤニヤしながら帰った
ばあちゃんは赤飯炊いた
言い忘れたが俺は男、佐倉先生は女当時26だったかな
次の日も昼間はいつもと変わらなかった、いつものように一人で過ごして一人で飯食って昼には図書室に行った
変化といえば漫画を読み終えたのでハリーポッターに変えたことくらいだったと思う
そんなかんじで放課後
部室に行くとなんか佐倉先生がいた、てかポテチ食いながらソファーでテレビ見てた
その年、結局入部希望者は一人も訪ねてこなかった
だけど、代わりに佐倉先生がほぼ毎日遊びに来るようになった
それからは前よりは少しだけ忙しい、けどちょっと楽しい日々が続いた
午前中はいつも通り寝たフリ等で一人で過ごし、昼は飯を食べたら図書室に行き読書、放課後は部室に行き本を読んだり佐倉先生が持ってくるビデオを見たりボードゲームをしたり
あとはボーっとしたりだ
そんな感じで五月は終わり、中間テストもそこそこの成績だった俺は六月を迎えた
六月、生活は相変わらずクソみたいなもんだったが部活と図書室だけは好きだった
図書委員の女の子とはあいさつする程度の仲にもなった、この頃俺はグリム童話など世界の童話を読みニヤニヤしていた
クラスも相変わらずだ、俺以外は仲が馬鹿みたいに良いガリデブもすっかりマスコット的なポジションにいた
何回かクラス会があったらしい
放課後も相変わらずだった、変化といえば佐倉先生がテレビゲームを持ち込んだことくらいだろうか
あとは二人で係を分担したことかな
俺…掃除、買い出し、お茶汲み、ゴミ捨て
先生…DVD係、その他
こんな感じだった
でまあこれはこれで楽しかったんだけど、俺も一応部長なわけで先生に活動について聞いてみた
「先生、天文部なんですけどそろそろ星見たりしないんですか?」
そういうと、先生は凄い嫌そうな顔をして
「いや、梅雨じゃん?」
といってゲームに戻って行った
こんな感じで天文部的な活動は夏になるまで一度も行われなかった
そんなこんなで六月もだらだらと当初思い描いたん高校生活とは違う形で進んでいった
この頃にはもうハルヒのようなトンデモ高校生活はこれから先も起こらないだろうと達観し、厨二病も抜けだし心身ともに至って良好であった
そんな六月の終わり、俺がいつものように図書室で童話を読みニヤついていると、佐倉先生が騒がしく図書室に入ってきた
「おい、私の部屋が危ない」
言ってる意味はよくわからなかった
まあ要するに
天文部がつぶれるかも知れないらしかった
天文部の廃部の理由は簡単な物だった
まず初めに部員不足
現在我が部は部員が俺一人、生徒手帳には五人からとか何とか書いてあった
次に活動内容
普通の部活動は大会に出たりコンクールに作品を出したり、試験にチャレンジしたりするところ
天文部は名ばかりで特に活動をしてこなかったのを言われたらしい
廃部を免れるには定期的な活動と学園祭での発表をしなければいけないことになった
佐倉先生は愚痴りながらこんな感じの事を話して帰った
俺は泣きたくなって早退した
家に帰ってこれから先のことを考えたがなにも思いつかなかった
定期的な活動?
いやまて、活動ならこれまでだってしてきている
ただ内容があれなだけだ、てかそもそも天文の事をなにもしらない俺には何もできない、顧問もあれだし
発表もきつい、だって一人だし
唯一の希望は部員不足を解消しなくてもいいことだった、それが入ってきたら完璧に部は潰れてた
次の日、俺は行きたくなかったけど学校に行った
クラスのやつらは相変わらず能天気な顔しててムカついた
昼、図書室にいったは良いがニヤつく元気もなく、図書室に行って初めて本を読まずに寝た
誰も起こしてくれなかったから気が付いたら授業が始まっていた、クラスのやつらがニヤニヤしてた
無性にイライラした
放課後、佐倉先生と相談すればなんとかなるかもしれない、あの人も一応大人で教師だ!
とか思って期待して部活に行った
その日佐倉先生は部活に来なかった
高校生になって二カ月、部長になって二カ月、中学を卒業して三カ月、若造にはぼっちよりも辛い状況だった
それから数日間、佐倉先生は部室に来なかった
俺からも佐倉先生を訪ねたりはしなかった
そうこうするうちに七月になり、期末試験が始まり俺も部室に顔が出せなくなっていった
期末試験が終わりだんだん暑くなった頃、俺は久しぶりにといっても五日ぶり位な感じに部室に行った
部室に行くと部屋の電気がついており、中からピコピコ電子音が聞こえた
佐倉先生が部室にいた
「おいーす」
相変わらず適当な感じにソファーでくつろぎながらゲームをしてた
久しぶりの佐倉先生は相変わらず小さくて薄着になっていた
なんか耐えられなくて頭を撫でたら喉突かれたのは今でも良い思い出だ
「合宿するぞ!」
二人でアイスを食べていたら佐倉先生がさらっと凄いことを言った
「なんのですか?」
「天文部の」
「またまた」
こんな感じの会話をした結果どうやら佐倉先生の合宿発言が本気であることが分かった
話を詳しく聞くと、部活存続条件の定期的な活動については年二回の合宿で手を打つことを上と話をつけてきたらしい
腐っても鯛、腐っても先生、佐倉先生もどうやら会わない期間部活のために頑張ってくれていたらしかった
動機は定かではないが
しかしここでもまた問題が発生した
合宿の合宿所は長野の学校所有の宿舎に泊まることができるらしいのだが、問題は参加人数であった
流石に学校も生徒一人、先生一人に合宿所は貸してはくれない、最低でも生徒五人は参加する必要があるとのことだった
「お前適当に友達誘ってこい、いなけりゃナンパだ」
こんな佐倉先生の無茶から俺は次の日から大変な生活を送ることになったのは言うまでもない
次の日から俺は学校に行くのがとても嫌だった
なぜなら俺には気軽に合宿に誘える友達はおろか、話す程度の知人すら学校にはいなかったからだ
それを一人ならまだしもあと四人も集めるなんて、無理だろ
さらに悪いことにうちの学校は生徒の九割が女子だ、もっと無理だ童貞だ
佐倉先生に貼り紙か校内放送での参加の呼びかけを提案してみたが
「んな知らん奴と合宿にいけるか」
と却下されてしまった
俺が連れてくる生徒もほぼ知らん奴だろうに
クラスにつくととりあえずクラスの唯一のだんしガリデブに話しかけてみようかと思ったが、なんかしばらく見ぬうちに頭をワックスでお洒落にしてるし
クラスの雌と夏休みについて話し合ってやがったからムカついて候補から外した
なんかあいつらはこれ以上幸せになっちゃいけない気がしたからだ
次にクラスの女子も考えたが冷静になったら俺はデブの吉井さんとしかまともに会話をしたことがないことに気がついた
いや、あれも会話かどうか聞かれちゃらグレーゾーンだが
そんな感じで誰にも話しかけないまま初日は終わった
二日目も初日と同じ感じだったと思う
部室に行くと佐倉先生にとにかく怒られた
あと一週間もすれば夏休みになってしまうのになにやってんだみたいな、いやそりゃ無理があるでしょと思ったが口にはしなかった
三日目、半日授業になったので生活が変わった
午前が終わると部室で飯を食い二時まで図書室に行き、二時からは佐倉先生を待ちつつビデオ、こんな感じだった
図書委員の名も知らぬ女の子は吉井以外の唯一の交流のある女子であったが、オアシスを自ら汚すのもあれなので誘うことはなかった
夏休み三日前位、ついに佐倉先生が切れた
俺のあまりの不甲斐なさに俺を散々罵った後ジュースを買いに行かせ、面白いポーズを写真に撮って弱みまで握られた
俺に任せてたら埒が明かないと俺に交流リストみたいな物を書かせた
俺の交流リスト
吉井
図書委員の子
図書室にいるおばちゃん二人
流石に佐倉先生も俺をいじるのをやめた
翌日、佐倉先生が俺の交流リストを元に誘おうと提案した
しかし、図書室のおばちゃんは生徒じゃないから数には入らない、吉井とは俺が勝手に話しただけ、委員の子も俺が勝手に姿とニヤニヤを提供しているだけという状況だったので
「ないないww」
と笑ったらまた怒られた
とりあえず佐倉先生が俺と一緒に吉井と図書委員を誘いにいってくれることになった
こちらとしては望んでいないが仕方なかった
図書委員は二時までは図書室にいることをここ数日のスト―キングで把握していたので、まず初めに吉井に会いに行くことになった
どうやら吉井は調理部という食材を部費で買い調理して喰らうという天文部よりも存在価値が不明な部活に在籍しているらしく、その日もその巨体を揺らしながらなにかをつくっていた
さすがの佐倉先生もこれが来るとは思っていなかったらしく面喰っていたが、意を決して吉井に話しかけた
「吉井さんかな?」
「はぁ?」
忘れていると思うが佐倉先生は普段はクールな先生を装っているから、吉井も説教でもされるのかと思ったらしく少しびっくりしてた
「このこ、分かるかな?」
「はい、クラスが一緒です」
「話したことは?」
「少しだけ…」
「今度天文部で合宿があるの、長野に行くんだけど料理は自分たちで作らなければならないのよ」
「はぁ」
「その話をこの子にしたら、同じクラスの吉井さんが料理が上手って話を聞いてね」
「それでお願いなんだけど、よかったら合宿に参加しない?参加費はいらないから」
色々あったけど吉井が合宿に来ることになった
ご機嫌な佐倉先生は続いて図書委員を獲りに行くといって俺を引きずっていった
図書室につくといつもの女の子がいつものように静かに椅子に座っていた
俺はおばちゃんたちに挨拶をしてから、佐倉先生にどの子か教えた
佐倉先生は図書委員を見ると「ああ、なるほど」とかなんとか言っていた
どうやら佐倉先生とその子は知り合いらしかった
まあ、佐倉先生は一応先生だから知っていてもおかしくはないんだけど
>>221
小中苛められて、高校三年間佐倉先生以外とほぼ会話しない程度には不細工
十分休憩する
「おい、田村ちょっといいか?」
佐倉先生が図書委員改め田村さんをよんだ、後から聞いた話だが田村さんは二年で一年の時に佐倉先生が教科を受け持っていたらしい
「なぁ、お前星とか興味ないか?」
気がつくと佐倉先生は田村さんを攻略していた
ああ、ハルヒに振り回されるSOS団もこんな感じなのかなと久しぶりにラノベ脳を働かせた
こんな感じで佐倉先生の協力で合宿参加者を集めることができた
ちなみに残り二人は田村さんが友達を連れてくるらしかった
興奮した
勧誘の帰り道、佐倉先生にジュースを奢った
今思うと金は持ってるはずなのに佐倉先生は本当にけちな人だった
「お前友達いねーのによく学校毎日くるなww」
とか反応にこまること言われたのは良い思い出だ
そんな感じで長く色々あった一学期は終わり、高校一年の夏が始まった
合宿は八月の初めから二泊三日を予定されていたので七月は部室でだらだらと過ごした
佐倉先生は暑いからパスと言って電話一本よこしてこない日もあったが、俺は毎日部活に行った
長期休暇のため自宅からの通学だったが構わなかった、今思うと何が楽しかったんだろうと思うが
他に生徒がいない校舎で屋上で昼寝したり望遠鏡で人を観察したりするのは結構楽しかった
七月も終わりの頃、珍しく佐倉先生が朝から部活に来ていたので一緒にご飯を食べながら合宿での計画を立てた
この季節に見える星等も調べたかったが、佐倉先生が「綺麗ならそれでいい」というので計画は主に昼間の過ごし方に重点を置くことになった
ご飯は皆で作るとして、昼間は何をするか
冬ならスキーが楽しめるらしいのだが生憎季節は真夏、雪どころか雨すら珍しかった
仕方がないから各自遊び道具を持って現地で何をするか決めることになった
吉井と田村さんには俺が連絡することになり、俺はこの夏初めて携帯電話を買った
実際のところは別にアニメ的でも漫画的でもなんでもない事なんだけど
当時の俺はアドレス帳にある三件の家族以外の連絡先を見て良くニヤついていた
そんな感じでドキドキしながら七月は過ぎ、相変わらず佐倉先生としか会わないまま合宿の当日を迎えた
前の日はワクワクして眠れなかった
合宿当日、俺は待ち合わせの一時間前に集合場所に向かった
何回も荷物を確認して、今日の服装がへんじゃないかもチェックした
なんせ家族以外と休日に外に出るなんて小学生ぶりだ、服も妹に頼んで買い物に付き合ってもらった
三十分も待つと一人目の参加者が現れた
吉井だ
吉井は馬鹿みたいに真っ白なワンピースから馬鹿みたいに太い四肢を出してのそのそとこちらに這ってきた
額からは汗がだらだらと垂れてまるで蒸気機関車のようであった
吉井は俺を見るなり嬉しそうに手を振ってきた
俺は紳士的に控えめに手を振り返した
確かに服は可愛い、服は可愛い
しかしまて、その服はお前でないと俺に言っている「今すぐ脱ぎ捨ててジャージを纏え!」
本心ではこう言いたかったが、天文部のために休日を潰してまで参加してくれた吉井を部長として丁重に扱う義務が俺にはあったので
「可愛い服だね、吉井さんはせんすがいいなぁ」
と適当にほめておいた
吉井との遭遇から十分二人での沈黙はかなりきつかったが、集合時間二十分前に田村さん御一行が到着した
田村さんは魔女の宅急便の絵描きの人みたいな恰好をしていて、正直ごちそうさまでした
残りの二人は、一人はハリセンボンの死神に似てて、もう一人はいまどきの普通の女の子だった
確認
吉井、デブ
田村さん、声優の後藤沙緒里さんみたいな感じ、あんなに美人ではないが
木村、死神
内田、普通
それからしばらくして集合時間を十分くらい越してから佐倉先生が来るまで到着した
佐倉先生は「すまん、ジブリが」とか言い訳してたけど、珍しくジュースとお菓子を買ってきてくれたから許した
言い忘れたが今回の旅行は佐倉先生の運転で行くことになっていた
正直子供みたいな先生に命を任せるのは心配ではあったが大丈夫と言い張るので車で行くことにした次第だ
>>283
全員一個上
まぁ、車の中はそんな感じで特に何もなかった
佐倉先生の運転してる様子がやけに一生懸命で可愛かったとか、高速で届かなくて大変だったとか
出来事と言えばそのくらいだ
なんだかんだで佐倉先生としか会話しないまま車は長野に到着した
都会のゴミゴミした空気とは違い空気が澄んでいるよう気がして、急に気持ちまで大きくなって
佐倉先生の事をさくちゃんて呼んできた、当然すねを蹴られた
田村さんに聞いたのだが、二年女子の間では佐倉先生はさくちゃんとよばれているらしい
車の中は以外だけど快適だった
俺は先生の命令で助手席に座らされて先生の話し相手になっていたから参加はできなかったが
他の女性陣達は後ろでトランプなどを行いすっかり打ち解けたみたいであった
観察していると、どうやら田村さんの友達は良い人みたいで特に死神は明るくトークが中々に面白く見直した
吉井も案外話を聞いていると普通の女の子だった、デブだが
合宿所はコテージみたいな感じだった
中に入ると少し埃っぽくて止まるには少しあれな感じだった
そこでお昼も近いこともあり登板を決めて掃除と買い出しをすることになった
話しあった結果女の子に買い出しに行かせるのは危ないと俺と吉井が買い物に行くことになり
その他のメンバーで合宿所を掃除することになった
お店がある所まで徒歩で片道二十分、吉井がいることを考えると四十分はかかると思われた
佐倉先生が車を出せば早いのではと提案したが「疲れた」と言われた
疲れたなら仕方がない俺はそう思った、この頃には俺は佐倉先生の言うことなら大体許す程度には佐倉先生との上手い付き合い方を身につけていた
かくして、デブを引き連れての従軍が始まった
歩き始めてしばらく、俺と吉井は一言も会話をしなかった
特に会話の内容も思いつかなかったし吉井と仲良くしたいとも思っていなかったからだ
意外だったのは吉井が案外テキパキと軽快な足取りで歩くことだった、額からは滝のような汗を流しているし
ワンピースも少し透けてて見苦しいのだが、吉井はペースを落とすことなく俺の歩くペースについてきていた
普段なら吉井に気を使うことなんてしないのだが俺は思わず吉井に話しかけていた
「なぁ、もしかして無理してる?」
俺のいきなりの問いかけに吉井はフゴっとびっくりしたのか鼻を鳴らした
「いや、汗すごいしきついなら少し休憩する?」
立ち止まると吉井はさらに凄い量の汗を垂らしたので、俺は少しびっくりしてつい優しく接してしまった
「ず、ずごじだげ!!」
なんかもう吉井も必死だったので俺たちか木陰に行き休憩することにした
木陰にいくと凄い音を立てながら吉井が草の絨毯の上に腰をおろしていた
あまりに汗が凄かったので、俺はまだ開けていない水のペットボトルを吉井に渡した
水を受け取ると吉井はお礼を言い水を貪るように飲みほした、俺はなんだか申し訳がない気持ちになって吉井にペースを提げて歩く提案をし
それからはなるべく吉井に話しかけるようにした
吉井は話してみると以外と面白い奴だった
なんというか、吉井はデブはデブでも好かれるデブのようだった
俺が驚いたのは吉井が自分はデブであることを自覚していて、デブであることを陽気に話してくる明るい人間だったことだ
こいつ生まれる国が違えばもてたのかもしれないなとか考えるぐらいには吉井の事を見なおした、デブだけど
買い物を済ませ往復する頃には吉井とも大分打ち解けたように思えた
そして、もうじきコテージにつくと思われた頃吉井が自分の事を話し始めた
小中と友達はいたけど体型のことでいじめにあっていたこと、自分に自信が持てなくて学校でもあまり自分を出していけないことなど
吉井は人には言いにくい内容を俺に話してくれた
それから俺の事を普段誰とも喋ってないから不良なのかと思ってたと笑いながら言った
そんな俺の目に吉井はやけに輝いて写った
多少の違いはあれど似た境遇にも関わらず、笑顔で笑いながら人と関わっていく吉井を見て自分がひどく小さい人間に思えた
また泣きたかったけど吉井がいるから泣くのだけは我慢した
やばい眠い
一応一年の学園祭までは書く気でいるけど眠い
今21、身長は当時は170位で体重は痩せてた
コテージにつくと佐倉先生たちはまだ掃除をしていた、どうやら掃除の担当を決めていて取り組んでいたらしいが案の定佐倉先生の持ち場の進みが遅いらしかった
仕方ないので佐倉先生の持ち場を手伝いに行くと、先生は「どうだった、どうだった?」
とまるで中学生みたいなお出迎えをしてくれたので俺の涙は引っ込んで佐倉先生に呆れてしまった
それから皆で掃除を済ませ、買ってきた食材を吉井と死神が先頭に立ち料理して皆で食べた
食べた後、佐倉先生は一人でお昼寝をしてしまった
俺たちは持ち寄った遊び用具の中から俺の人生ゲームを選んで静かに楽しんだ
長野なのにやってることは普段の天文部とあんまり変わらなくて少し笑った
夕方になると佐倉先生も目を覚まし皆で夕ご飯のカレーを作ることにした
佐倉先生のこだわりでご飯は飯盒炊飯にしたんだけど、当番の佐倉先生がやり方を知らず
ぼっちな俺も過去の学校での知識が全くないため天文部二人組は大人しくテレビを見て待っていることになった
佐倉先生は「あんなもん大人になりゃつかわねーよ」と言っていたが失敗して少し気を落としていたのを俺は見落としていない
先生が落ち込むのは初めて見たけど、カレーを食べる頃にはすっかり機嫌が直っていたので単純あ人だなーと思いあんまり深く考えるのをやめた
カレーは普通に上手かった
夜になると天文部として初めて天文部らしいと言える活動、天体観測をした
天体観測といっても地面に川の字になって横になり皆で星を見ただけなのだが
何というか都会のゴミゴミした空とは違い、広い空で見る星は格別だった
先生も吉井も田村さんもその他も、みんな声を静かに空を見上げてでも楽しそうに星を見ていた
なんか、青春してるって思った
初日で疲れていることもあり、第一回天文部天体観測は一時間程度で幕を閉じた
合宿所に戻ると、俺は一応用意してきた活動日誌に教の活動を記録し風呂に入って寝た
女性陣達はなにやらガールズトークに華を咲かせているみたいであったが、俺は無理はしないタイプなので突入などは特にせず
紳士的に女の子の話声に耳を傾けながら眠りについた
朝、目が覚めると時計の針はまだ五時の周辺をさしていた
今までは気がつかなかったが俺はどうやら修学旅行はワクワクしてしまうタイプらしいことが分かった
二度寝はどうにもできそうになかったので外に出て散歩することにすると、外に田村さんがいた
どうやら田村さんもワクワクしてしまうタイプの人間だったらしい
改めて思い返すと、田村さんとはあいさつする程度の仲でしかないので急に緊張してしまった
お互い特に会話がないまま朝を迎え田村さんはそそくさと合宿所に戻って行った
俺は少し泣いた
朝になるとしっかり者の女の子たちが続々とリビングに集まってきた
寝巻のせいか吉井や死神にまで少しドキドキしたのは秘密だ
田村さんとは相変わらず気まずかったけどあちらは気にしていないようで笑顔をこちらに向けてくれた
佐倉先生は当然として起きてこなかったので電話を執拗にかけ続けてみた
しばらくして起きてきた佐倉先生に蹴られたのはいうまでもない
合宿二日目は朝から大変忙しかったのを覚えている
佐倉先生が「昨日はこいつ役に立ってないだろ」と言い始めてたので、俺と佐倉先生が朝食当番になり暗黒物質を作ったり
今日やりたいことを合宿当日に会議したりしたからである
会議の結果午前中は、山道のハイキング、お昼(三チームに分かれてお互いに評価する)
午後は近所の色々体験できるところに行き自作のキャンドルを作る、適当に遊ぶ、晩御飯もチームごとに分かれて作る
そんでもって夜は天文部らしく天体観測という流れであった
佐倉先生との朝食作りはとにかく大変だった
俺は料理なんて目玉焼き程度しか出来なかったし、佐倉先生に至っては味噌汁しかロクに作れなかったからだ
後で聞いた話だが、佐倉先生は実家に住んでいるらしく、当時は家事の大半を母親にお願いしていたらしい
まあ、今もらしいが
結局俺たちは俺が固い目玉焼きと、佐倉先生が薄い味噌汁、二人でキャベツだけサラダを作った
微妙な朝食を済ませると俺たちは早速ハイキングへの準備を始めた
俺は一人だけの自室に戻り今日のコーディネートを考えた、まあ考えるもなにも服に関しては妹の取り説がついていたので組み合わせについては考える必要はなかったのだが
「うーん、少しちがうかなー」
とか一人でファッションショーしてまるで普通の学生みたいなことしてニヤニヤしてた
リビングにいくと女子達が既にキャッキャウフフと盛り上がっていた
どうやらお互いの服について意見し合っていたようだった
今日の服は、吉井がなんかフリフリのスカートで田村さんもワンピースになっていた
残りの二人は普通
なんかこの頃になると俺の心はかなり広くなっていて、なんかもう吉井のフリフリスカートから這い出るボンレスハムみたいな四肢でさえ可愛く思えた
そして、なにを思ったのか俺は朝気まずくなったばかりの田村さんに話しかけていた
「そ、その服可愛いですね」ニヤニヤ
「え、ありがとう」
「に、似合ってますよ」ニヤニヤ
「は、はい」
このように大変短いやり取りを田村さんとしたのを覚えている、今思うと田村さんは気持ち悪がってた気がしてならないが
当時の俺はなぜか「きまった!!」と、お花畑な脳みそで感動していた
佐倉先生は部屋に呼びに行くとまだ服を選んでいた、「運命の出会いはいつ来るかわからないからな」
とか言いながら真剣な顔をして服を選んでいたのが可愛かった
結局俺の意見でスカートを穿いて頂いた
ハイキングは思ったよりも楽しかった
長野は地元より少し涼しいこともあり、のんびり歩く分には気持ちが良かったし
自然の中を歩くと自然と心が穏やかになって皆との会話も弾んだ
まあ、俺は荷物持ちで会話にも入ってなかったから「楽しいの?」と聞かれたら答えに困るが
人が近くにいて、楽しそうに会話してるのを見るだけで俺もなぜか楽しかった
佐倉先生は最後尾で死にそうになってた
残念ながら佐倉先生の運命の男性は現れることがなく、というか他の人と全く遭遇しないままハイキングは終わった
流石にみんな疲れたのかコテージにつくといっせいにソファーに倒れこんでいた、吉井はジュース飲みに行ったけど
佐倉先生はもう死にそうだった、途中からは立ち止まってしまい中々歩きださなかったくらいだ
今考えるとちっこい先生だから歩幅もちっこくて大変だったんだと思う
当時の俺はそんなことには気がつかずに、「がんばりましょうねー」とか言っていつもはクールな佐倉先生をいじって遊んでいた
休憩後、皆でお昼を作ることになった
朝の会議でチームに分かれて作ることは決まっていたので、とりあえずチーム分けをした
結果として、俺は死神と組むことになった
他には、先生と吉井、田村さんと内田さんという組み合わせになった
俺たちのチームは死神が以外とできる女だったので結構テキパキと調理が進んだ
といっても、俺がやったのは精々芋の皮むき程度だったのだが
他のチームよりも早く調理が終わってしまったので死神とタイマンで会話にも挑戦してみた
俺は終始気持ちが悪かったと思うが死神は案外優しくて俺とも楽しそうに会話してくれた
しばらく死神と会話をしていると他のチームも続々と調理を終えたようであった
「せーの!」でそれぞれの作品を見せ合った
お互いの作品を見て最初に俺が抱いた印象は茶色の一言であった
俺&死神、肉じゃが
先生&吉井、生姜焼き的な何か
田村&内田、煮魚
という感じであった
結果として料理は全部美味しかった
俺たちの肉じゃがも無難な味をしていたし、生姜焼きもいい味だった
特に煮魚は思わず惚れてしまうくらい美味しかった
みんなでお互いの料理に意見したりしながら昼食は楽しく進んだ
佐倉先生は自分の作った料理を自慢げに俺に見せてきたけど、吉井のおかげであって佐倉先生はあんまり関係ないんだろうなと俺は思った
まあ、楽しそうだったから何も言わなかったけど
昼食を終えて少し休憩をはさんでから、俺たちは佐倉先生の運転でキャンドル作りにむかった
キャンドル作りの体験教室に行くと俺たちの他にも子連れの家族やカップルなどが数グループ体験場に集まっていた
それから説明を聞き、少し苦労しながらキャンドルを作った
キャンドルを作っての感想だが、意外だったのだけどキャンドル作りが案外簡単で初心者でも結構綺麗なキャンドルができたことだった
透明な蝋に着色して海みたいにしたり、ビーズを入れたりして俺たちは思い思いのオリジナルキャンドルを作った
佐倉先生を見ると、佐倉先生は欲張ってビーズを入れすぎたので蝋がケースから漏れていた
なんか可哀そうだから手伝ってあげて一緒にもう一つ作ったのも今となっては良い思い出だ
とまぁ、そんな感じで合宿二日目のキャンドル作りは大盛況のうちに終わった
みんな楽しそうにしていたし、形として思い出に残るものができたので俺も嬉しかった
そのあと、コテージに戻った俺たちはすっかり機嫌が良くなった佐倉先生の提案でかくれんぼとかをして晩御飯までの時間を楽しく過ごした
晩御飯もチームに分かれてつっくた
俺は佐倉先生と組むことになった、結果については言うまでもないと思う
晩御飯を食べ終わるとみんなで第二回の天文部天体観測に出かけた
二日目ということもあり、皆は会話をしながら天体観測を楽しんでいたようであった
天体観測を始めてから一時間ほどが経った頃だっただろうか、佐倉先生が突然「きもだめしだな」
と意味不明なことを言い始めたので肝試しをすることになった
肝試しといっても特にお化け役がいるわけでもなく、コテージの周りを一周するだけという単純なものであった
二人組で行くことになったけど「お前と女の子を夜道で二人きりにするのは心配」
という佐倉先生の粋な計らいもあり俺は真っ暗な中一人で肝試しをすることになった
他のメンバーは二人組と三人組を組み肝試しに臨んだ
俺は三組中の三番、ラストの出発となった
一組目と二組目が楽しそうにキャーキャー言いながら帰ってくるととうとう俺の順番が回ってきた
田村さんが可愛い声で怖かったと言っていたので少しだけちびりそうになった
今思えば友達のいなかった俺は夜間に外出することなど一回もなかったので、あんな時間に散歩をしたのは始めてだったような気がする
歩き始めてすぐになるほどこれは確かに怖いなと思った
なぜなら道には外灯が殆ど無く、たまにある明かりが公衆電話だったりしたので更に恐怖心を煽られた
正直言って怖かったので途中でコースカットすることも考えたのだが、コースカットはコースカットで怖いのかったので正しい道を恐る恐る道を進んだ
肝試しも終盤に差し掛かった頃だっただろうか、俺は背後からガサガサと物音がなるのを感じ取った
ビビったが猫だ猫と自分に言い聞かせ後ろを見ずに前へ歩き続けた
俺と同じビビりなら分かると思うが、夜道で後ろを振り向くのはなんか怖いだろ?
当時の俺もそんな感じでガサガサは気になっていたが振りむけずにいた
すると、しばらくしてガサガサと鳴っていた音が急に鳴りやんだ
俺はどうしたんだろう思い、怖かったが無性に気にもなってしまった
凄く怖かったが自分の中で好奇心と恐怖心が対決し結果的に好奇心が恐怖心に勝ってしまった
そして俺は恐る恐る後ろを振り向いた
遠くの方に白い服を着た女がいた
最初は吉井か?と思ったが良く見ると吉井ではなかった
遠いので顔は良く見えなかったが明らかに吉井ではないことを俺は確信した
白い女は痩せていた
俺は固まった、白い女も固まっていた
しかし、直後白い女がなぜか猛ダッシュで俺に向かって走り出した
当然俺も猛ダッシュで逃げた、100メートル16秒の快足で風を切るように無我夢中で走った
しばらくすると前にコテージの姿を確認することができた、コテージの前で田村さんたちが笑顔で手を振っていたが俺には手を振り返す余裕なんてなかった
無我夢中でコテージまで走り切った俺は田村さんたちに口早に「腹が痛いので部屋にいます」と言って自室に戻り震える体を布団に包んで泣いた
しばらくすると心配をしてくれたのか田村さんが部屋を訪ねてきた
田村さんは心配そうに声をかけてくれたが、恥ずかしくて泣き顔は見せられなかったので布団の中から返事だけを返した
今思うと声で泣いてることなんかばれてたんだと思うけど、当時の俺はそこまで頭が回らなかった
三十分くらいすると今度は佐倉先生が部屋を訪ねてきた
なんか聞いたことのない位優しい口調で「花火するぞ」って言ってきた
俺はお腹が…と言って抵抗してみたが、業を煮やした佐倉先生に布団を剥ぎとられて半ば強制的に外まで連れて行かれた
外にいくと皆が笑顔で俺を迎えてくれた、顔は涙でぐしゃぐしゃだったけど
それから佐倉先生が花火を持ってきて皆で花火をした
俺は終始ビビりまくって隅の方で辺りを警戒しながら花火をしていたけど、みんなは楽しそうに花火をしていた
佐倉先生は「もう若くもないからねぇ…」と言いながら俺の横にちょこんと座って蛇花火をしていた
二日目はそんな感じ、花火が終わったら俺は怖くてすぐに寝た
白い女の正体は未だに分からない、もしかしたら佐倉先生だったのかもしれないけど恥ずかしいので未だに聞けないでいる
三日目は特に書くことがない
昼までは適当に談笑や写真撮影などをして、お昼過ぎには地元に帰った
集合写真も撮った、俺は嬉しくて部室に飾った
楽しい合宿はこんな感じに終わった
そして俺たち天文部は部の存続をかけて学園祭への準備を始めた
合宿から帰ってくるとまたいつもの天文部の生活が始まった
朝一人で学校に向かい、昼までは部室で勉強
昼過ぎに佐倉先生が来てからは二人でビデオを見たりゲームをしたりとまぁそんな日々がしばらく続いた
たまに佐倉先生が来ない日は一人で一日を過ごすこともあったが、俺は気にせずお盆休み以外毎日天文部に通った
友達と遊んだりは特にしなかったけどなんか毎日が楽しかった
一回だけクラスのやつらが集まってるのを目撃した、なにやら学園祭の準備をしているみたいだった
流石にもう泣くことはなかったけど、俺は忘れていたことを思い出した
そういや学園祭の準備全くしてねーぞ
そんな大事なことをお盆が終わり夏の日差しが若干弱まった頃になってようやく俺は気がついた
合宿の楽しさで忘れていたが天文部は現在いつ廃部してもおかしくないような状態
正しく言うと学園祭で発表をしなければすぐに潰れてしまう弱小部だ
学園祭は九月の上旬、二学期開始直後
俺は慌てて佐倉先生に電話をした
やばいおもしろい
仕事そっちのけで、このスレ張り付いてるわ
>>1って今も学生さん?
>>560
今は大学生
「先生、今すぐ部活に来てください」
「だるい」
「アイス買ってあげますから」
こんな感じのやり取りをしてとりあえず怠け者の佐倉先生を部室に呼んだ
佐倉先生は本当に嫌そう顔をしていたけど、問題が問題なので俺は勝手に説明をした
「このままじゃ天文部がなくなります」
「んなわけあるか」
「あります」
「合宿した」
「学園祭は?」
佐倉先生はそういえばみたいな顔をしていた
そして次の日から生徒一人先生一人の天文部で学園祭に向けての準備が行われた
話しあった結果、吉井さんが所属する調理部と合同で喫茶店のようなものをやることになった
詳しく説明すると、空き教室を暗幕で暗く簡易プラネタリウムで星を映し出す
そして調理部が作ったクッキーなどを出しお客さんに良い感じに休憩してもらうという物だった
先生の提案でキャンドルも作って安値で売ることにした
次の日から、衣装や調理に必要な材料などの買い出しに俺は勤しんだ
買い出しはきつかったが、生まれて初めてまともに参加する学園祭に俺は少しワクワクもしていた
買い出しを済ましてからは佐倉先生と一緒にキャンドルを作った
しかし、佐倉先生は売れ残るとかそういうことを気にしないでたくさん作っていたので、俺は数を調整するために飲み物等の買い出しに走ることもしばしばあった
調理部の試食もした、といっても佐倉先生への差し入れを頂戴しただけなのだが
そんな感じで夏の後半は佐倉先生と二人で学園祭の準備を頑張った
九月になり新学期が始まるとまた辛い日々が始まった
同級生達の黒い肌とチャラくなった頭髪、楽しかった夏の思い出が聞こえてくるたびに俺の心は締め付けられた
ガリデブの頭は以前にもまして鋭く尖り重力に逆らい、肌は真っ黒でこの夏の充実を見せえつけられているような気分になった
俺はこの日久しぶりに寝たフリをして午前中を潰した
授業が終わるといつものように昼飯を食べ図書室にもいった
図書室につくと田村さんが合宿での集合写真と俺と佐倉先生のツーショット写真をくれた
俺は嬉しくなり久しぶりに火の鳥を読んだ
しばらくすると部室に行った
佐倉先生がキャンドルを作っていたので一緒にキャンドルを作った
特に会話はしなかった、黙って二人でキャンドルを作り続けた
佐倉先生に写真も渡した、なんか嬉しそうだったから後日部室に飾ることになった
そうこうするうちに学園祭前日を迎えた
学園祭前日は午前中から授業がなく、学園祭の準備の日に当てられていた
そのため、俺は朝学校に行くと教室にはいかず部室に荷物を置きに行った
教室ではクラスのやつらがクラスの出し物を準備しているだろうから行かなかっただけだ
俺がいても邪魔なだけなのはわかっていたのでこの判断に至った
天文部が使う空き教室に行くと、誰もいなかったので一人で準備を始めた
しばらくすると佐倉先生が教室に来た
先生は俺を見つけるとびっくりした顔をしていたがすぐに
「相変わらず一人かよww」
と笑って作業を手伝ってくれた
俺も「相変わらずってなんですかww」とか言って笑って対応しながら作業を続けた
作業と言っても教室中に暗幕を張って、机を並べてテーブルクロスをかけるくらいだからすぐに終わった
内装を準備し終えてからは試しにプラネタリウムをつけてみた
本物には負けるけど結構綺麗で感動をしたのを覚えている
そのあとは教室の外につける看板とを二人でせっせと作った
今思うと佐倉先生は黙って手伝ってくれたけど、本当は教師がするような仕事ではなかったような気がする
二人で不器用に看板を作ったけどなんか楽しかった
看板が完成してからは翌日の学園祭に向けて練習をした
調理部と合同ではあるもののあちらはお菓子の製作担当なので、接客に関しては天文部が担当しなければならなかったからだ
俺と佐倉先生は似合わないエプロンをつけて二人で客役と店員役を回して下校時間まで練習をした
その日の夜は本当に眠れなかった
学園祭に参加するのははじめてだったし、学校でなにかをするのも初めてだったからだ
その日は久しぶりにSOS団もこんな感じに文化祭を迎えたのかなぁ、とラノベ脳明日の楽しい一日を考えながら妄想して寝た
翌日は学園祭初日の校内発表、俺の人生で忘れられない一日が始まろうとしていた
学園祭初日、俺はワクワクしながらいつもよりも三十分早く学校に行った
学校にはすでに生徒が溢れていていつもと違う空気を肌に感じることができた
その空気に俺も自然と浮足だったが、まずは義務的にホームルームを受けなくてはならないのでクラスに向かった
クラスに行くといつの間にかクラスの内装が段ボール張りの小汚い喫茶店に早変わりしていた
俺の机は撤去されていて仕方がないので床に座ってホームルームを待った
なんかクラスのやつらが俺を見てヒソヒソ悪口を言っていた
普段は関わろうともしないくせにイベントごとでさぼられるのは気に食わないらしかった
俺が関わったら関わったで悪口を言うだろうに、そんな感じで俺は寝たフリをして時間を潰した
しばらくすると担任がきてホームルームを始め、簡単な言葉を述べ職員室に戻って行った
ホームルームが終わると、俺は荷物をまとめ足早に部室に向かった
クラスを出るときクラスのやつらの悪口がまた聞こえたが気にせず教室をあとにした
今思うとこれが原因で佐倉先生を悲しませることになるのだが、俺はこの時気づきもしなかった
部室に着くと荷物を置きエプロンを着用し準備を始めた
部室からキャンドルを運んだり、少し接客の練習をしたりとまあそんなところだ
それからしばらく教室で待機していると、佐倉先生が来たので一緒にエプロンをつけて準備をした
佐倉先生が来てからは調理部のお菓子を運んだり、ジュースとコーヒー等の飲み物類の準備を済ませた
かくして、天文部の学園祭初参戦は始まった
「天文部カフェどうですかー!!」
佐倉先生が大きな声を出して接客を始めた
「い、いらしゃー…」
俺は良く分からない言葉で接客をした
校内発表なので本来皆身内なのだが俺にはそんなもの関係ない、全員他人だしほぼ女子だから全員宇宙人だ
声をあげて接客なんてできるわけもない
しばらくすると佐倉先生効果もあってかお客がパラパラと入り始めた
そうなると二人しかいないので自然と分担をすることになり、佐倉先生がウエイトレス役となり俺はお菓子の盛り付けやジュースの準備、キャンドルの販売係に落ちついた
どうやら聞いていた通り佐倉先生は生徒から人気があるらしく、「さくちゃんきたよー」とか声をかけられながらドンドン客を拾いバンバン客をさばいていった
調理部のお菓子も盛況で午前中はなかなかの客入りとなった
キャンドルも女子が多いうちの学校なので「可愛い!」とかで結構売れた
しかし、校内発表ということもあり初日は参加人数自体が少なかった
そのためお昼になるころには客足も落ち着き、俺も接客に慣れてきたことから一人で店をやりくりしていけるくらいにはなっていた
そこで俺は佐倉先生に「さくちゃん、休憩してきたらどうっすか?」とか祭り効果で浮かれて提案した
腕つねられたけど
そんな感じで佐倉先生は休憩がてら昼食をとってくることになり、店には俺が一人残ることになった
だが俺はわかっていなかった
クラスのやつらが俺を良く思っていないことを
俺が一人になってしばらくすると、すっかりDQNになったガリデブがクラスの女子数人を連れて天文部の喫茶店に訪れた
しかし、運が悪いことにその時店にはガリデブ達しかいなかった
俺は嫌な気持ちもあったが、大人な対応としてガリデブ達を接客した
ガリデブ達は終始ニヤニヤしながら、「サボり野郎が接客してるよww」とか悪口を言いながら笑ってた
イライラしたけど俺は我慢した、確かにサボってるけど恥ずかしいことは何一つしてないと思ったからだ
ガリデブ達はニヤつきながら適当な飲み物とお菓子を注文した
俺は注文を受けると黙ってオーダーの準備に取り掛かったが、その間もガリデブ達は悪口を言っていた
準備を終えガリデブ達の元にオーダーを届けるとガリデブ達は更に笑った
「このジュース大丈夫なのか?ww」
「腐ってんじゃねーのww」
とか本当に幼稚なことを言いながら嬉しそうにこっちを見ていた
俺はその間、無表情で黙って次のお客を待ち続けた
「この菓子まずww」
ガリデブ達が不意に大声を出してそういった
ガリデブ達は調理部のつくったお菓子を笑い始めた
「うわ、まじだ甘すぎるだろwww」
「なにこれ、お腹とか大丈夫かな?」
とか適当なことを食べていない奴らまで言い始めた
俺は堪忍袋の緒が切れそうになって、でも佐倉先生と作った学園祭と天文部を守りたくて必死に歯を食いしばった
ガリデブたちがいる時間は本当に苦痛だった、いつもの悪口ならまだしも他人を貶したのが許せなかった
ガリデブ達はたっぷりと時間をかけてジュースを飲むとニヤニヤしながら席をたった
俺はああ、やっと解放される
そう思った
しかし、ガリデブ達は何を思ったのかキャンドルコーナーに近づいて行った
俺はポカーンとしてた
なに、こいつらまだいるの?ってこんな感じだった
ガリデブ達はキャンドルコーナーにいき、キャンドルをニヤニヤと気持ちが悪い目つきで舐めるように見ると手に取り
「うっわ、なんだよこれ気持ちわりいwww」
と言った俺の堪忍袋はもう切れ目が入り始めていた
尚もガリデブはキャンドルを貶した、佐倉先生が作ったキャンドルを酷い言葉で何回も貶した
「買わないなら置いて出ていけ」
俺は怒りを抑え精一杯の言葉を絞り出してガリデブ達に退出を促した
「ああ、わかったよwww」
直後、ガリデブはキャンドルを適当な感じに机に投げた
気がつくと俺はデブの顔を殴っていた
って思いながら読んでた。
実際俺のクラスでは意味分からなかったって意見多かったし。
と、ここまで読んで俺の年齢は?と思ったあなたは御明察。
要するに、中学生でも理解できる人間はいるってことで。
それからの事はよく覚えていない
記憶にあるのは、切れたデブが俺を殴り倒しキャンドルやら何やらを壊しまくったこと
たくさん先生が来て職員室に運ばれたこと
もう明日の学園祭には参加が出来なくなってしまったこと
俺はやってはいけないことをことをしてしまった
職員室に運ばれてから数時間、学年主任から事情聴取みたいなことをされた
俺は状況を一から詳しく説明し、自分に非があることも素直に認めた
処分に関しては後日通達するとのことだったが、俺の顔面が血だらけだったこと、教室がぐしゃぐしゃだったこと、後は第三者の目撃条件などからガリデブ達に原因が大きいということは判明していたので停学などの大きな処分にはならないということだった
しかし、翌日は自宅謹慎を命じられた
学園祭への参加は教室の状態もあって不可能となってしまった
この日俺は佐倉先生に謝ることもできないまま自宅に帰り
一人泣いた
翌日は死人のようにベッドに横たわったまま動かなかった
時計を見るたびに本当なら今頃って思いが頭を巡って何度も泣いた
佐倉先生にどんな顔をして会えばいいんだよと思ってまた更に泣いた
学園祭一般公開日、俺の初めての学園祭は最悪な形で一日を終えた
次の日俺は普段通り学校に行った
いつもと同じ時間に登校し、いつもと同じようにクラスに入った
しかし、クラスの雰囲気はいつもと違った
教室に入ると皆が俺を見た後にヒソヒソ小声でなにかを言っていた
たまに普通に「良く学校これるよな」とか「死ねよ」等と言った罵声も聞こえてきた
後で聞いた話だがガリデブは俺とは違い停学処分になったらしい、まぁそりゃクラスのぼっちとマスコットが衝突してぼっちだけ普通に生活してたらこうなるわな
俺は耐えた、今までの経験からこの程度なら苦に感じなかったからだ
しかし、次の言葉で俺の心は脆くも崩れ去った
「佐倉先生がかわいそうだよね」
佐倉先生がかわいそう
この何気ない言葉は俺の心を今までのどんな苛めよりもいとも容易くズタぼろにした
俺は鞄も持たずに、靴も履かずに上履きのまま泣きながら走って実家に帰った
俺は学校が怖くなり
学校に行くのをやめた
登校拒否生活一日目
家族は鼻水垂らしながら帰ってきた俺に驚いていたが優しく迎えてくれた
俺はとくになにもしないまま部屋に戻り布団に包まり寝た
登校拒否生活二日目
朝妹が「学校遅刻するよ」と起こしに来たが、お腹が痛いと言い訳し欠席することにした
誰もいない家でテレビをだらだらみながら布団に包まっていた
気が付いたら夜でなんか眠いから寝た
登校拒否生活三日目
妹が懲りずにモーニングコール、俺は頭が痛いとかなんとか言って学校を欠席した
特に何もせずボーっとしたりボーっとしたりしていた
ああ、やばいかもしれないと思った
登校拒否生活四日目
家族会議、母親切れる
登校拒否生活五日目
家族会議、父親切れる
登校拒否生活六日~十日
妹に毎日慰められる
学校に行くのをやめてしばらく経つと気持ちはだいぶ楽になった
その代わり、学校と佐倉先生と過ごした日々がやけに遠い物に感じて思い出すたびに悲しくなった
学校に行くのを止めて十日が過ぎても佐倉先生からの連絡はなかった
学校からも処分についての連絡以外は特に連絡が来ることはなかった
学校に行くのをやめて二週間が過ぎたころには家族も俺という存在に諦めはじめ、学校の事に関してとやかく言うことは無くなって行った
唯一、妹だけが毎日俺の部屋に来て今日あった出来事や最近の楽しいことなどを話してくれた
学校に行くのをやめてから三週間位たったある日、妹とばあちゃんの家に生活用品を回収しに行った
たまには外の空気も吸おうという妹の案もここには含まれていた
学校の近くに来るのは実に三週間ぶりでなんだかここで生活をしていたのが遠い過去の事のように感じた
ばあちゃんの家に寄った後、妹がデパートに寄ろうと言い始めたので嫌々ながら寄ることにした
デパートに行くと、学校の近所ということもあり同じ学校の制服を着た生徒を見かけ少し胸が痛くなった
しばらくは二人で服とかを見ていたが一時間ぐらい経った頃に妹がトイレに言ってくると言い俺を一人残しどこかに行ってしまった
俺は久々の外出ということもあり疲れがたまっていたので近くのベンチに座って下を向いて項垂れていた
ああ、なにやってるんだろう…
一人になるとまた自己嫌悪の念が心に現れて辛くなってまた心が痛くなった
しばらくそうしてると、いつの間にか帰ってきたのか妹が俺に声をかけた
「おっせーよ」といって顔をあげるとそこには
ニヤニヤした妹とニヤニヤした佐倉先生が立っていた
佐倉先生?
なぜ?why?
俺は意味が分からなくなってとりあえず走って逃げた
後ろから叫び声が聞こえた
後ろを振り向くと佐倉先生が鬼の形相でなんか叫びながら物凄い勢いで俺を追いかけてきていた
数十秒後俺があえなく追いつかれたの言うまでもないだろう
先生は俺に追いつくと、とりあえず胸倉を掴み頭を叩いた
「逃げんなよ馬鹿!!」
佐倉先生はデパートなのに大声で言った
「ええ…」
俺も小さく抵抗した
言いあっていると妹が後から追い付いてきて俺たちを仲裁した
妹の提案で俺と佐倉先生は黙ったまま近所の公園に移動した
公園のベンチに座らされると俺は流石に観念し、目の前にいる佐倉先生と向き合う決意をした
妹は空気を読んでどこかに行った
二人きりになると佐倉先生は急に黙りなにも言わなくなってしまった
俺もなにも言えないでいた、沈黙が耐えられないくらいきつかった
俺は沈黙に耐えることができず佐倉先生に話しかけた
「学園祭はすみませんでした…」
必死に言葉を搾ってそんなことを言った
先生は少しの間黙っていたけれど少し経って口を開いた
「お前なんか勘違いしてないか?」
先生は少しムスッとした顔で俺の目を見てこういった
「別に学園祭のことなんか誰もおこってねーよ」
佐倉先生は言葉を続けた
「ただ、お前がいないと部室が快適じゃねーんだよ」
なんか俺は泣いた
佐倉先生は特にいいことも、感動するようなことも言ってはいない
だけど、俺の目からは涙があふれ続けた
「すいません、すいません…」
俺は何回も何回も佐倉先生に謝った
佐倉先生は笑いながら「一ヶ月ジュースおごりだかんな!」とか色々な事を言って俺の事を慰めてくれた
それから一時間くらい俺は泣き続け佐倉先生は俺の事を励まし続けた
公園からの帰り道、俺は妹と佐倉先生にファミレスでハンバーグを御馳走した
久しぶりに佐倉先生と過ごす時間は本当に楽しかった
後で聞いた話ではあるがあの日、俺を心配した妹は学校に電話をし佐倉先生の連絡先を聞き出しこの計画を立ててくれたらしい
次の日俺は三週間ぶりに学校に登校した
教室のドアを開けるときにまた胸が締め付けられるような感覚に襲われたが、佐倉先生の事を考えると自然と勇気が出た
教室に入るとクラスの連中がゴミを見るような目で俺を見て、ガリデブは相変わらず罵声を浴びせてきたけれど
なぜかあまり気にはならなかった
午前は寝たフリ
昼は図書室
放課後は天文部
天文部に入るとき、教室に入るときの数倍緊張したのはここだけの話し
部室の中でゲームをする佐倉先生を見て、大好きって思ったのもここだけの秘密
この後、廃部問題、新入部員、いじめの悪化、佐倉先生とのけんか等色々な事があったけど
それはまた別のお話です
おわり
なんか長くなったがお付き合いありがとうございました
先生とは今も交流が続いています、この秋に教育実習で母校に帰るので今回はこのような話を書きました
こんなに長くこんなに多くの人が見てくれるとは思わなかったからびっくりしてるわwww
続きに関してだがこの先もこの密度で色々な事件が起こって行くから続編を書くのはきついです、すんません
その後を少し書くと、二年の時に一人、三年時に二人新入部員が入りました
天文部は現在では結構な大所帯です
まあ、俺が在籍してるときは後輩は掛け持ちの女子ばかりだったので、基本は今までと変わらず二人の天文部でしたが
あと俺はすでに五回先生にふられています
これで本当に最後です
でわ
>>955
>この先もこの密度で色々な事件が起こって行くから
波乱万丈な高校生活だな、羨ましいわ
…いやもうマジでいい人生送ってんな
俺はどうしてこうなったんだ…
>>1乙
面白かったよ
重松清の作品みたいだった
おかげで今日の仕事1コも終わってないけど
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