外典・初期ユダヤ文献に登場する伝統的な守護天使
外典・偽典・ラビ文献・初期カバラなど、に登場する天使をまとめたリストです。 星座・季節・自然・誕生・知識などを司る天使が多く、宗教的・神秘主義的な世界観の構築に役立ちます。ファンタジー創作やスピリチュアルにも相性が良い天使が揃っています。
- Azazel(アザゼル) – 旧約外典で罪を負わせる象徴として登場する天使。堕天使とされる文献もあるが、本来は「罪の転嫁」を司る存在。
- Abdiel(アブディエル) – 「神の僕」を意味する名を持つ天使。反逆の天使に立ち向かい、神への忠誠を貫いた存在として伝えられる。
- Anael / Haniel(アナエル) – 愛と調和のエネルギーをもたらす天使として知られ、人間関係の守護者として信仰された。
- Aniel(アニエル) – 勇気と霊的成長を助ける天使。迷いを断ち切り、前に進む力を授ける。
- Asmodel(アスモデル) – 「牡羊座の支配天使」として古代占星術に登場。熱意と積極性を導く存在。
- Barbiel(バービエル) – 10月の守護天使とされ、変化の季節における精神の安定をもたらす。
- Bariel(バリエル) – 一日の第11時を守るとされる天使で、時間とリズムを整える力を持つ。
- Batariel(バタリエル) – 旧約偽典に登場する見張り天使の一人。人間に知恵を授けたと伝えられる。
- Bene Elohim(ベネ・エロヒム) – 「神の子ら」と呼ばれる天使群。自然界の調和と秩序を守る存在。
- Cerviel(セルビエル) – プリンシパリティ(権天使)の指導者とされ、秩序と平和をもたらす。
- Dagiel(ダギエル) – 魚と水域を司る天使。豊穣や流れの象徴として信じられた。
- Dumah(ドゥマ) – 沈黙の天使。死者の国の静寂を守る存在としてタルムードに見える。
- Gazardiel(ガザルディエル) – 東方を守護する天使。新しい始まりや日の出の力を象徴する。
- Guriel(ガリエル) – 獅子座を司る守護天使。情熱や創造力を高める力を持つ。
- Harahel(ハラヘル) – 知識と書物の天使。学び、研究、図書館の守護者として知られる。
- Hasmal / Chashmal(ハスマル) – 神の御座周辺に存在する炎の天使。強大な霊的エネルギーを帯びる。
- Hofniel(ホフニエル) – 神の戦士とされる天使。信仰心を強め、困難に立ち向かう力を授ける。
- Iaoth(イアオト) – 古代ユダヤ文書に登場する神名由来の天使。悪を退ける守護者。
- Israel / Israfil(イスラエル) – 神の国そのものを象徴する天使的存在。民族の保護と調和を象徴する。
- Jahoel / Yahoel(ヤホエル) – 『アブラハムの黙示録』に登場する高位天使。神聖な名を守護する重要な存在。
- Jehoel(ジェホエル) – ケルブとして神の炎を司る天使。神聖さと浄化の象徴。
- Kabshiel(カブシエル) – 恵みと恩寵を司る天使。他者への慈しみと寛容を象徴する。
- Kakabel(カカベル) – 星と星座を司る天使。天文学を人間に教えたと伝えられる。
- Kemuel(ケミュエル) – セラフィムの長として伝えられる天使。神の愛と力の象徴。
- Kokabiel(コカビエル) – 星の支配者であり、宇宙の秩序を表す天使。古代文献にもその名が見られる。
- Lailah / Laylah(ライラ) – へブライ文献における「誕生の天使」。魂を胎児に授ける存在。
- Leliel(レリエル) – 夜の静けさを司る天使として語られ、内面の癒しを象徴する。
- Malahidael(マラヒダエル) – 勇気と決断を司る天使。積極的な行動を後押しする。
- Machidiel(マキディエル) – 3月と牡羊座を司る守護天使。新たな始まりと情熱を象徴する。
- Morael(モラエル) – 時間と変化の天使。衰退を遅らせ、安定をもたらす力を持つ。
- Muriel(ミュリエル) – 6月を司る天使。情緒の調和と優しさを広める存在。
- Nanael(ナナエル) – 学問と哲学を司り、知性を深めることを助ける天使。
- Nahaliel(ナハリエル) – 川と流れの守護天使。浄化や流れの改善を象徴する。
- Nathanael(ナタナエル) – 隠された真実を司る天使。霊的洞察を授けるとされる。
- Omael(オマエル) – 生命の成長と種の繁栄を守る天使として古文献に名が見える。
- Peniel(ペニエル) – 第三天に属する天使。祈りと信仰の強化をサポートする存在。
- Qaspiel(カスピエル) – 月を司る天使としてユダヤ神秘学に登場。情緒の安定を象徴。
- Rachmiel(ラフミエル) – 慈悲の天使。悩みや苦しみを癒し、心の平安を導く。
- Ramiel(ラミエル) – 幻視と啓示を司る天使。混乱の中に新しい洞察をもたらす。
- Sabriel(サブリエル) – 第1天の守護を担う天使。天界の入り口を守る門番的存在。
- Sarandiel(サランディエル) – 夜の12番目の時間を司る天使。眠りと夢の守護者。
天使の生体
『創世記』に描かれる天地創造の前段階で、すでに天使は創造されていたとされます。
人間(アダム)が土の塊から創られたのに対し、天使は炎のような精妙な質から生まれたと語られます。
ふだん天界にいる天使の身体は「エーテル」と呼ばれる原質でできた霊的な身体で、
実体はありません。しかし、神の命令で地上に現れるときには物質化し、人間にも見える姿を取るとされます。
中世の神学では、天使の身体について大きく二つの考え方がありました。
トマス・アクィナスの立場では、天使は完全に非物質的な存在であり身体を持たないとされます。
一方、ドゥンス・スコトゥスの立場では、天使はごく繊細で希薄な身体を持ち、
人間には見えないだけだと考えられました。
天使の登場する書物
旧約・新約聖書の正典の中で、名前付きで登場する天使はミカエルとガブリエルのみです。
ここにカトリックの正典である『トビト書』を加えると、もう一人ラファエルが登場し、合計三人になります。
一方で、ウリエル、アザゼル、ラハブなど、名前を持つ天使は非常に多く存在します。
その多くは、旧約・新約の正典から外れた偽典・外典(アポクリファ)や、
オカルト的な伝承の中に現れます。
正典としての旧約・新約聖書は2世紀頃に教会によって整理されましたが、その過程で外された文書も数多くあり、
それらが「偽典・外典」と呼ばれるようになりました。
天使が多く登場する代表的な書物が、旧約外典の『エノク書』であり、
ここでは多くの天使の名前や役割が詳しく語られています。

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