日本には、夜の闇にふわりと浮かぶ「火の玉」にまつわる不思議な伝承が数え切れないほど残されています。
それらは総称して 怪火(かいび) と呼ばれ、怨霊・妖怪・自然現象・神聖な存在など、地域によってまったく異なる意味が込められています。
ここでは 怪火 ・鬼火の由来・特徴・地域性などをわかりやすく整理しました。
日本の怪火・鬼火一覧
出典・参考:Wikipedia – 怪火
- 怪火(かいび) 霊的・妖怪的な火の総称。自然現象・妖怪・怨霊など由来は多岐にわたる。
- 鬼火(おにび) 霊魂・妖怪などが発するとされる不思議な火。全国に類似現象が多い。
- 亡霊火(もうれいび) 死者の霊が火の姿で現れるとされる怪火。墓地周辺に多いと語られる。
- 提灯火(ちょうちんび) 徳島県などで見られる怪火。地上1mほどを漂い、人が近づくと消える。多数が並んで電球のように見えることもある。
- 狸火(たぬきび) 狸が灯すと信じられた怪火。『諸国里人談』では、火でありながら人の姿で現れ、世間話をするほど自然だったという逸話がある。
- 小右衛門火(こえもんび) 九州の怪火。一晩で墓場から墓場へ約4kmも飛び回る。雨夜に多く、提灯ほどの大きさ。
- 遊火(あそびび) (高知県)軌道が読めず、近→遠へ急に飛ぶほか、火が分裂し再集合する不思議な火。
- いげぼ (三重県度会郡)鬼火の地方呼称。地上近くを漂う光の玉。
- 陰火(いんか) 寂しい場所に現れる青白い火。怨念・霊魂の形ともいわれる。
- 風玉(かぜだま) (岐阜県)暴風雨時に現れる盆サイズの火球。明治30年の大風では山から多数出現したとされる。
- 皿数え(さらかぞえ) 鳥山石燕『今昔画図続百鬼』。皿屋敷のお菊の怨霊が陰火となり「一枚、二枚…」と皿を数える怪異。
- 叢原火・宗源火(そうげんび) (京都)仏罰で火となった僧の霊。火の中に苦悶の顔が浮かぶとされる。鳥山石燕『画図百鬼夜行』に描かれる。
- 火魂(ひだま) (沖縄)火消壺に潜む火の精。鳥の姿で飛び回り、時に火をつけると伝わる。
- 渡柄杓(わたりびしゃく) (京都・美山町)細長い尾を引く青白い火の玉。形が柄杓に例えられる。
- 狐火(きつねび) 狐が関わるとされる光。骨の燐光や光の屈折現象など諸説あり。鬼火の一種とされる場合も、別扱いの場合もある。
- 不知火(しらぬい) (熊本県)海上に多数の光が並ぶ怪火現象。蜃気楼・炎色反応などの説もある。
- じゃんじゃん火 音を立てて飛ぶ怪火。「じゃんじゃん」という音が名前の由来。
- 天火(てんか/てんび) 空から落ちる火、または空を漂う火。神仏・霊の火とされることも。
- 筬火(おさび) (宮崎県延岡)雨夜に三角池へ2つ並んで現れる火の玉。筬の貸し借りで争い池に落ちた女性2人の怨念とされ、2つの火が今も争うように動く。見た者には不吉が続くとも。
- オボラ(オボラビ) (愛媛県大三島〜今治市)亡者の霊火とされる怪火。海上や墓地に多数現れ、漂う光が「オボラビ」と呼ばれる。
- 金の神の火(かねのかみのひ) (愛媛県・怒和島)大晦日の深夜、氏神の社殿裏に出る提灯状の火。人の声のような音を発し、歳徳神の出現の前触れとされる瑞兆的な怪火。
- 金火(きんか) (江戸時代『三州奇談』)火縄のように細長く現れる怪火。上使街道八幡や小松周辺で目撃された。
- 蜘蛛火(くもび) (奈良県・岡山県など)多数のクモが一塊となり火の玉になった怪火。触れると死ぬと恐れられる。岡山では稲荷社の森に赤い蜘蛛火が現れ、流星のように飛び回る。
- 権五郎火(ごんごろうび) (新潟県三条市)博打で殺された「五十野の権五郎」の怨念の火。雨の前触れとして現れ、農家は火を見ると稲架を取り込む風習があった。
- 地黄煎火(じおうせんび) (『絵本小夜時雨』)地黄煎(飴)を売る商人が盗賊に殺され、その執心が火となって雨夜を漂ったとされる。
- スウリカンコ (青森県八戸市)美しい“カン子”が村人に生き埋めにされ、その怨念が怪火となったもの。後に祠が建てられた。
- 煤け提灯(すすけちょうちん) (新潟県)雨の夜、湯灌の捨て場から飛び出す火の玉。煤で汚れた提灯のように見える。
- 野火(のび) (高知県長岡郡)傘ほどの火が漂い、突然数十個に弾ける壮大な怪火。草履に唾を付けて招くと頭上に来て舞うという。
- 尻屋埼灯台の怪火 (青森県・尻屋崎)1945年に破壊された灯台が、翌年の夏に夜間だけ突然発光した謎の現象。公文書にも記録が残る。
- 青鷺火(あおさぎび / 五位の火) 青鷺(サギ)が夜に青白く発光するとされる怪現象。生物発光説などがある。

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