サタンクラスの悪魔 Satan
悪魔の王であることを表すこの名称は、もともと特定の悪魔を示すものではなく、悪魔の中でも上位にある者、新約聖書の中で悪意ある存在として結びつけられた者たちをがサタンであるとされた。ルシファーやベルゼブルなどの有名な大物は確実にサタンとして現れるが、中にはサタンから除外されることのある悪魔もいる。
ルシファー Lucifer / ベルゼバブ Beelzebub / ベリアル Belial / アザゼル Azazel / アスモデウス Asmodeus / サマエル Samael / マステマ Mastema / レヴィアタン Leviathan / ベヘモト Behemoth / アバドン Abadon
ルシファー Lucifer
ルドルフ・シュタイナーの現代のルシファー観では、ルシファーは悪神アーリマンの敵対者であり、霊的領域に上るための力を人間に吹き込み、大地から解き放とうとする。しかしルシファーの行為はやりすぎる傾向もあり、無責任な霊的世界への落下には時として抵抗する必要もある。アーリマンは人間を生命のない土に変えてしまおうとするが、ルシファーが生命を与えすぎても人間は愛に満ちた大地の再生に関わることを忘れてしまう。
ベルゼバブ Beelzebub
蠅の王
ベルゼバブともベルゼブル(Beelzebul)とも呼ばれる。ルーツはカナンの異教の神で、本来の名はBaal Zebbub(館の主)であった。だがこの名がソロモン王を意味すると受け取られる可能性があったため、ヘブライ語で蔑称として「蠅の王」を意味するこの名前に置き換えられた。しかし、古代宗教の多くでは蠅は魂を運ぶと信じられていて、「蠅の王」とは魂の支配者をも意味した。蔑称であった「蠅の王」の名は、後に彼の姿そのものを表すようになり、中世では巨大な蠅の姿で描かれるようになった。
悪魔の王
イエスが復活する前、まだ遺体が墓の中にあったとき、ベルゼバブはサタン共にイエスと三日間対決したという。
『ニコデモの福音書』ではサタンに代わり、ベルゼバブが地獄の主となっている。『新約聖書』ではベルゼバブが悪霊の頭と呼ばれている。
ミルトンの『失楽園』ではサタンの副官であり、「罪においてサタンに次ぐ者」としているが、やはりサタンと同様、王者の風貌は保っており、憂国の至情に満ちあふれていると描写されている。
ミカエリスの階級におけるベルゼバブは堕天した熾天使の君主であり、ルシファーに次ぐ者であった。
ヨハン・ヴァイエルは『デーモン偽君主国』でベルゼバブを冥界の至高の王にして大いなる蠅の位階の創始者としている。
ベリアル Belial
外見は美しく内面は醜悪な悪魔
「無価値」を意味するベリアルという名を持つこの悪魔は、“地獄でもっとも放埒、卑猥で、悪徳のために悪徳に熱中する精神の持ち主”、“外見は美しく、優雅で権威に満ちているが、その魂はすこぶる醜悪”だという。堕天前は力天使の重職にいた。ミルトンの『失楽園』でのベリアルは、詭弁に長けどんな低俗な事柄も立派な論理に仕立て上げることができるが、彼の思想そのものは低俗で、悪徳に情熱を注ぎ、善行に対してはきわめて怠惰で臆病だと評されている。
ベリアルの悪行
『ベニヤミンの遺訓』で、ベリアルはユダ王国十五代王マナセ王に取り憑き、その支配下で偶像崇拝を復活させた。その他、神の信徒の殺害、禁じられた魔術の行使などの悪行を行い、国を荒廃させた。しかし、マナセ王は後に悔い改め敬虔なユダヤ教徒になり、ベリアルの策略は失敗に終わったらしい。
ベリアルは死海のほとりの町ソドムに同性愛、獣姦を広めた。ゴモラの町でも同様の罪悪とされることが広まり、神はこのソドムとゴモラの町に天から硫黄と火を降らせ滅ぼした。
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