『村を壊滅させた熊』|動物の本当にあった怖い話

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『熊で村壊滅』|動物の本当にあった怖い話 動物系の怖い話
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村を壊滅させた熊

 

昔、夜中に民家が羆に襲われた。
家族はまだ起きていて一目散に逃げ出したんだが、体が不自由な老婆は捕まってしまった。
村中大騒ぎになり、何人もの男衆がその民家を取り囲んだがその家に近づく者は当然いない。
するとその家の中から グギ・・ ゴギ・・ と生木を折る様な音と石を擦り合わせるような音がしだした。

男衆はすぐに理解した、この音は骨を噛み砕き、食らう音だと。
それを聞いた男衆は羆が老婆を喰らい終わらぬうちに村民を全て村から避難させる事に決めた。
村人も否も応も無くそれに従い、耳障りな音が鳴りつづける中、村から避難した。

 

翌日男衆が話を聞いて駆けつけた猟師達と共に村に戻った。
・・・音は当然止んでいたが村全体が仄かな異臭にまみれていた。
それを嗅いだ猟師の一人は「羆か・・・」と呟いた。

それはとある一点に行くに近づいて濃くなっていき、そして惨劇の舞台となった民家に辿り着いた。
流石に昨日のそれが起こっている時にその場にいた男衆の中にその家に近づこうという者はいない。
結局は猟師衆の半分が中に入っていくこととなった。

その家の玄関を開けた時、今まで嗅いでいた異臭を何倍にも濃密にした物が噴出してきた。
男衆の中のみならず、経験の浅い猟師でさえその臭いを嗅いで嘔吐したものがいた。

・・・・濃密な獣臭と血臭

 

だだ漏れの異臭の中、猟師たちはそれぞれの愛銃を手に民家に入っていった。
男衆は異臭から逃れるためと、いつ羆が飛び出してきても逃げ出せるように遠くから民家を取り囲み、猟師たちが何事も無く出てくる事を願っていた。

暫くした後、猟師達は民家から出てきた。
猟師の中の一人に銃を片手に、そしてもう片手に風呂敷包みを持って出てきた者がいた。
その男は怖々と周囲を取り囲んでいた男衆を自分の元に来るようにと呼びつけた。
その声に従い、その男に皆は近づいていった。
近づいていく時に皆が気がついていた、血臭が濃くなっている。
血臭は民家の中から以外に、猟師の持つ包みからも漂い出ているという事に。

 

猟師はその包みを地面に置くと、集まった男衆にこう言った。
「残念だが婆さんは助からなかった、遺骸はこれで全部だ、これしか残ってなかった。この遺骸は押入れの中で、ちぎられた布団で覆い隠されていたんだ。羆の奴はきっとこの残りを今夜にでももう一度喰いに来るつもりだったんだろうな。 」と

そしてこう続けた
「ここを襲った羆はもう人の味を覚えちまった、それにこの遺骸を持っていっちまったら餌を奪われた怒りと、新たな餌を得るためにもっともっと殺すだろう。臭いをたどられると厄介だからこれはここで焼いていけ、それとおそらくこの村は捨てる事になるだろうな」

それから男衆はその遺骸を焼き、猟師の指示どおり川で体を洗い、家族の待つ下の村落に帰り、事の顛末を話したという。

昔は羆一匹で村落一つ捨てなければならなかったんだもんな。
やっぱりクマは凄いわ。

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