中国の神話や伝承には、龍や麒麟、鳳凰、鵬といった神聖な霊獣から、鬼や魃のような畏怖すべき怪異まで、数多くの存在が登場します。
これらの神獣や妖怪は、単なる空想ではなく、自然への畏敬・王権の象徴・吉凶の予兆として、古代中国人の思想と密接に結びついていました。
本記事では、中国神話に登場する神獣・妖怪・霊鳥を一覧化し、それぞれの名前の意味・由来・象徴などを紹介します。
中国の有名な妖怪 一覧
参考・出典:中國妖怪列表 – 维基百科,自由的百科全书
- 九尾狐(きゅうびこ)
【Jiǔwěihú/ジウウェイフー】
『山海経』『史記』に登場する九つの尾を持つ霊狐。美しい女性に化け、日本の玉藻前伝説の起源ともされる。 - 饕餮(とうてつ)
【Tāotiè/タオティエ】
『山海経』に登場する貪欲の象徴。古代青銅器の装飾にも刻まれ、暴食と強欲の象徴とされる。 - 刑天(けいてん)
【Xíngtiān/シンティエン】
『山海経』に登場する首を失った巨人。乳の間の目と臍の口で戦い続け、反逆と不屈の象徴とされる。 - 共工(きょうこう)
【Gònggōng/ゴンゴン】
『淮南子』『山海経』に登場する洪水の神。怒って天柱を倒し、大地が傾いたという大洪水伝説で知られる。 - 四神(しじん)
【Sìshén/スーシェン】
東西南北を司る霊獣。東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武から成り、陰陽五行思想と深く関わる。 - 四霊(しれい)
【Sìlíng/スーリン】
『礼記・礼運篇』に登場する瑞獣。龍・鳳凰・麒麟・亀の四種を指し、繁栄と吉兆を象徴する。 - 四凶(しきょう)
【Sìxiōng/スーシオン】
『書経』『左伝』に登場する悪神たち。饕餮・渾沌・窮奇・檮杌の四体で、混乱・貪欲・凶暴を司る。 - 伏羲(ふっき)
【Fúxī/フーシー】
古代神話の創世神。人頭蛇身の姿で、女媧とともに人類を創造し、八卦を発明したとされる。 - 修蛇(しゅうだ)
【Xiūshé/シウシェー】
『山海経』に登場する蛇の怪物。洪水をもたらす水神の一種で、自然の力の象徴とされる。 - 夔(き)
【Kuí/クイ】
『山海経』に登場する一足の怪獣。牛に似て角がなく、雷を鳴らす音楽神のような存在として描かれる。 - 兕(じ)
【Sì/スー】
『山海経』『詩経』に登場する一角獣。サイに似た姿を持ち、角は酒器「兕觥」に使われるという。 - 僵尸(きょうし)
【Jiāngshī/ジアンシー】
中国民間信仰に伝わる跳ねる屍体の妖怪。道士が符で操り、生命力を吸い取るとされる。 - 年獣(ねんじゅう)
【Nián/ニエン】
春節伝説に登場する怪物。爆竹の音と赤い色を恐れ、これが中国の年越し風習の起源となった。 - 三尸(さんし)・三虫(さんちゅう)
【Sānshī/サンシー】【Sānchóng/サンチョン】
道教における人体に棲む三匹の虫。人の悪行を天に報告して寿命を縮めると信じられた。 - 六耳獼猴(ろくじびこう)
【Liù’ěr Míhóu/リウアル・ミーホウ】
『西遊記』に登場する孫悟空の分身。六つの耳を持ち、他人の心を読み取る能力を持つ。 - 三大仙(さんたいせん)
【Sān Dà Xiān/サン・ダー・シエン】
『西遊記』第44〜46回に登場する妖仙。孫悟空と対立する三人の仙人で、強力な法術を使う。 - 嘲風(ちょうほう)
【Cháofēng/チャオフォン】
「龍生九子」の一体。勇猛で闘争を好み、宮殿の屋根の棟飾り(鴟尾)に彫られる守護的存在。 - 囚牛(しゅうぎゅう)
【Qiúniú/チウニウ】
「龍生九子」の一体。音楽を好み、楽器の装飾模様に使われる。静と調和を司る象徴。 - 夔龍(きりゅう)
【Kuílóng/クイロン】
夔と龍を合わせた神獣。古代青銅器の文様にも描かれ、音と力を象徴する霊獣とされる。 - 大風(たいふう)
【Dàfēng/ターフォン】
『山海経』に登場する巨大な怪鳥。その翼が風を起こし、暴風を巻き起こすと伝えられる。 - 大鵬(たいほう)
【Dàpéng/ターポン】
荘子『逍遥遊』に登場する巨大な鳥。悟りや自由の象徴で、仏教では迦楼羅(ガルーダ)と同一視される。 - 夜叉(やしゃ)
【Yèchā/イエチャー】
元はインド神話の鬼神。仏教を通じて中国に伝わり、悪鬼でありながら守護神としても信仰された。 - 壁神(かべがみ)
【Bìshén/ビーシェン】
古い壁に宿るとされた妖霊。『太平広記』などに見られ、人に取り憑いて病をもたらすとされる。

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