- 代表的な大天使とその役割
- 大天使ミカエル(Michael)|守護と戦いの大天使
- 大天使ガブリエル(Gabriel)|神のメッセージを告げる天使
- 大天使ラファエル(Raphael)|癒しと旅路の守護者
- 大天使ウリエル(Uriel)|光と知恵の天使
- 大天使ラグエル/ラギュエル(Raguel)|調和と公正の天使
- 大天使ザドキエル(Zadkiel)|慈悲とゆるしの天使
- 大天使ラジエル(Raziel)|神秘と知恵の書の守護者
- 大天使ジョフィエル(Jophiel)|美とインスピレーションの天使
- 大天使チャミュエル(Chamuel)|愛と絆を探し出す天使
- 大天使ハニエル(Haniel)|優雅さと喜びの天使
- 大天使ジェレミエル(Jeremiel)|人生を振り返る天使
- 大天使アズラエル(Azrael)|死と別れを見守る天使
- 大天使アリエル(Ariel)|自然と生命を守る天使
- 大天使サンダルフォン(Sandalphon)|祈りと音楽の天使
- 大天使メタトロン(Metatron)|天上の書記と仲介者
- 天使の階級と役割(九つの「天使の位階」)
- 天使の名前について
- 天使の役割をどう捉えるか
代表的な大天使とその役割
ここでは、ユダヤ教・キリスト教・イスラーム、そして後世の神秘主義やスピリチュアルの伝統でよく名前の挙がる代表的な天使・大天使と、その役割として語られてきたイメージを簡潔に整理します。
(※宗派によって解釈や位置づけが異なる場合があります。あくまで「一般的に語られてきた役割」としてお読みください)
大天使ミカエル(Michael)|守護と戦いの大天使
- 名前の意味:「神のような者」「神に似た者」
- 主な伝承:旧約聖書『ダニエル書』、新約『ヨハネの黙示録』などに登場
- 役割イメージ:
- 神に忠実な軍勢を率いる戦う大天使・守護者
- 悪やサタンと戦い、人々を守る霊的な戦士
- カトリックでは「天使の長」「教会とイスラエルの守護者」とされる
大天使ガブリエル(Gabriel)|神のメッセージを告げる天使
- 名前の意味:「神の力」「神の人」
- 主な伝承:『ダニエル書』、新約『ルカ福音書』など
- 役割イメージ:
- 神の重要な言葉を人間に伝えるメッセンジャー
- 受胎告知など、歴史を変える出来事の前に現れる天使
- イスラームでは「ジブリール」として啓示をもたらす天使として重要
大天使ラファエル(Raphael)|癒しと旅路の守護者
- 名前の意味:「神は癒やす」
- 主な伝承:カトリックの正典『トビト書』
- 役割イメージ:
- 病気や心の傷を癒す癒しの天使
- 旅人を導き、安全な道を示す守護者
- 医療・看護・福祉など、癒しの働き全般と結びつけられることが多い
大天使ウリエル(Uriel)|光と知恵の天使
- 名前の意味:「神は光」「神の炎」
- 主な出典:外典『エズラ記(第2エズラ書)』『エノク書』などに登場
- 役割イメージ:
- 困難な状況にある人に、気づきや洞察をもたらす天使
- 災いを事前に知らせる預言・警告の役目を担うともされる
- 後世の神秘主義では「地」や知恵と結びつけられることもある
大天使ラグエル/ラギュエル(Raguel)|調和と公正の天使
- 名前の意味:「神の友」
- 主な出典:外典『エノク書』など
- 役割イメージ:
- 天使たちの秩序や調和を保つ調停者
- 不正や不公平を正し、公平さと平和をもたらす天使
- 人間関係のもつれや対立を整える象徴として語られることが多い
大天使ザドキエル(Zadkiel)|慈悲とゆるしの天使
- 名前の意味:「神は義」「神の正しさ」
- 役割イメージ:
- 神の慈悲・ゆるしを象徴する大天使
- 過去の出来事を手放し、ゆるしや自己受容へ導く存在として語られる
大天使ラジエル(Raziel)|神秘と知恵の書の守護者
- 名前の意味:「神の秘密」
- 主な伝承:ユダヤ教神秘主義(カバラ)の文献など
- 役割イメージ:
- 宇宙や自然界の隠された法則を記した「秘められた書」を守る天使
- 神秘学・象徴・夢などの理解を深める存在として扱われる
大天使ジョフィエル(Jophiel)|美とインスピレーションの天使
- 名前の意味:「神の美」「神の輝き」
- 役割イメージ:
- 美しいものを愛し、心の中に「美しい考え方」を育てる天使
- 芸術・デザイン・創造的表現にひらめきを与える守護者として語られる
大天使チャミュエル(Chamuel)|愛と絆を探し出す天使
- 名前の意味:「神を見る者」とも解釈される
- 役割イメージ:
- 失われたもの・探しているものを見つける手助けをする天使
- 人間関係や愛情のつながりに光を当てる、愛の守護者として語られる
大天使ハニエル(Haniel)|優雅さと喜びの天使
- 名前の意味:「神の恵み」「神の優雅さ」
- 役割イメージ:
- 喜び・魅力・美的感覚など、人生の「ささやかな幸せ」に関わる天使
- 一部の伝統では、金星や芸術的感性と結びつけられる
大天使ジェレミエル(Jeremiel)|人生を振り返る天使
- 名前の意味:「神の慈しみ」
- 役割イメージ:
- 人生を振り返り、そこから学ぶべきことを理解する手助けをする天使
- 心の整理や「これからどう生きるか」を考えるときの象徴的な存在
大天使アズラエル(Azrael)|死と別れを見守る天使
- 名前の意味:「神は助けてくださる」と解釈される
- 主にイスラームで、死をつかさどる天使として知られる
- 役割イメージ:
- 死者の魂を肉体から離し、あの世への移行を助ける「死の天使」
- 遺された人の悲しみをなぐさめる存在として描かれることも多い
大天使アリエル(Ariel)|自然と生命を守る天使
- 名前の意味:「神の獅子」
- 役割イメージ:
- 自然界・動物・植物など、地球のいのちと結びつけられる天使
- 環境保護や自然との調和を象徴するスピリチュアルな存在として語られる
大天使サンダルフォン(Sandalphon)|祈りと音楽の天使
- ユダヤ教神秘主義では、預言者エリヤが昇天して天使になった姿とされることがある
- 役割イメージ:
- 人間の祈りを神のもとへ届ける存在
- 音楽や歌を通して、神への祈りや感謝を表すことと結びつけられる
大天使メタトロン(Metatron)|天上の書記と仲介者
- 主な伝承:ユダヤ教のタルムードやカバラ文献など
- 一部の伝承では、旧約の「エノク」が天に挙げられたのち、メタトロンという天使になったとされる
- 役割イメージ:
- 人間の行いを記録する天上の書記・記録者
- 神と人間のあいだをとり持つ、きわめて高位の天使として描かれることが多い
天使の階級と役割(九つの「天使の位階」)
キリスト教、とくに中世以降の神学では、天使たちは九つのグループ(九階級・九天使群)に分けられていると考えられてきました。これは偽ディオニュシオス『天上位階論』などの影響を受けた伝統的な考え方です。
上位から順に挙げると、次のようになります。
- 熾天使(セラフィム):神に最も近い「燃えさかる愛」の天使。神への賛美と礼拝に専念するとされる。
- 智天使(ケルビム):豊かな知恵と理解を象徴し、神の計画や摂理を深く観想する存在。
- 座天使(スローン):神の正義と裁きを映し出す「座(玉座)」のような存在。神の御力を受け止める器とされる。
- 主天使(ドミニオン):下位の天使たちを導き、宇宙全体の秩序を保つ役割。
- 力天使(ヴァーチュー):自然界の動きや奇跡、季節や星々の運行など、「動き」に関わるとされる天使。
- 能天使(パワー):霊的な戦いを担当し、悪霊や混乱から世界の秩序を守る守護者。
- 権天使(プリンシパリティ):国や都市、共同体など「集団」を見守り、指導者たちを支える天使。
- 大天使(アークエンジェル):ミカエル・ガブリエル・ラファエルなど、人間の歴史に重要な役割を果たす使命を与えられた天使。
- 天使(エンジェル):人間ひとりひとりの日常に最も近い存在として、導きや励ましを与えると考えられている。
この九つの階級は、必ずしも聖書そのものに明確なリストとして書かれているわけではなく、後の時代の神学者たちが聖書に登場する様々な呼び名を整理した結果生まれた体系です。
天使の名前について
ユダヤ教・キリスト教に登場する天使の名前の多くは、ヘブライ語に由来しています。しばしば末尾につく「〜el(エル)」は、「神(エル)」を意味する語で、
- Michael(ミカエル)=「誰が神のようであろうか」
- Gabriel(ガブリエル)=「神の力」
- Raphael(ラファエル)=「神は癒やす」
- Azrael(アズラエル)=「神は助けてくださる」
といった具合に、名前そのものが祈りや告白になっていることが多くあります。
キリスト教の聖書正典に登場し、カトリック教会で正式に名を唱えてよいと認められている天使は、次の3名です。
- ミカエル(Michael)
- ガブリエル(Gabriel)
- ラファエル(Raphael)※『トビト書』にもとづく
他の天使名(ウリエル、ラグエル、ザドキエル、メタトロンなど)は、外典・偽典、ラビ文献、カバラ、後世の神秘主義文献やスピリチュアル書の中で発達してきたものです。伝統の違いによって「高位の天使」とされたり、名前の綴りや役割が変化したりするケースも多く見られます。
天使の役割をどう捉えるか
天使の世界は、聖書正典だけでなく、外典・神秘主義・オカルト・スピリチュアルなど、さまざまな文献や信仰が折り重なってできたとても多層的な世界です。
この記事では、
- 正典に登場する大天使(ミカエル・ガブリエル・ラファエル)
- 外典・神秘主義などで語られてきた大天使たち
- 九つの天使の階級という伝統的な整理
を一度に見渡せるようにまとめました。
「自分の生まれた曜日で守護天使が決まる」「特定の願いごとにはこの天使が良い」といった考え方は、主に近現代のスピリチュアル文化の中で発達したもので、宗教的な公式教義とは異なることが多くあります。
そのぶん、「どの伝統にもとづいた話なのか」を意識しながら、天使の物語や名前を楽しむと、より深く理解できるでしょう。
気になる天使がいたら、その天使の出典(聖書・外典・神秘主義・現代スピリチュアルなど)をたどってみると、信仰や文化の歴史が見えてきます。天使たちの役割や名前の由来を調べることは、古代から続く人間の「祈り」と「想像力」に触れることでもあります。
FAQ よくある質問
有名な天使にはどんな種類がありますか?
有名な天使には、ミカエル・ガブリエル・ラファエルといった聖書正典に登場する天使のほか、ウリエル・メタトロンなど外典や神秘主義に見られる天使もいます。役割は「癒し」「守護」「啓示」「戦い」など多岐にわたり、伝統によって強調点が異なります。
天使の役割とは何ですか?
天使の役割は、基本的には「神のメッセンジャー」とされていますが、宗教や文献によって細かく分類されます。大天使は国家・民族を守る使命を担い、一般の天使は人間の日常生活を導く存在として理解されています。
大天使と普通の天使の違いとは?
大天使(アークエンジェル)は、歴史上重要な出来事に関わる高位の天使で、ミカエル・ガブリエル・ラファエルなどが該当します。普通の天使は人間に最も近く、守護・導き・日々のサポートといった個人的な役割が中心です。

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