大天使ラファエル Raphael
称号 | 神の熱 |
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役職 | 人々への癒し |
シンボル | 炎の剣 |
エレメント | 風 |
方位 | 西 |
霊力 | 理性 |
美徳 | 正義 |
癒しの天使
癒しを行う輝ける者、人間の霊魂を見守る者、生命の木の守護者。他に夜の翼の天使、祈り、平和、喜び、光、愛の天使などの肩書きを持ち、守護天使を監督する立場にもある。黙示録で神の御前に立つ七人の天使の一人である。ヘブライ語のラファは、「癒す者」、「医者」、「外科医」を意味する。「人間の子らのあらゆる病とあらゆる傷を治す四人の存在の一人」(エノク書)、「人間の病を癒す役目も与えられている」(ゾーハル)とされている。癒しのシンボルである蛇に結びつけられることも多い。彼はアブラハムの割礼の痛みを癒し、天使と格闘して足を負傷したヤコブの傷を治療し、ノアに医学の書を与えている。
ラファエルはプロテスタントの聖書にはその名は出てこないが、カトリックで正典と認められている『トビト書』で重要な役割を果たし、正典に名前を残す主要な天使のひとりとなっている。
穏和な気質
大地と、そこに住まう人間の物理的な幸福はラファエルにかかり、天使たちの最も親しい友人であるという。天使の中でも明るく穏和な気質を持ち、何も知らない人間と楽しく語り合っていることも多い。『失楽園』の中で、エデンの園にサタンが侵入したことを心配した神がアダムとイヴのもとにラファエルを使わして忠告させるが、そこでも「友誼心」の厚い天使と形容されている。さらにエデンの園に降り立ったラファエルは、天界でのルシファーの反乱のことの他、アダムの好奇心の質問に応じて世界の創造のことや天体の運行などを話してやったりしてアダムの話し相手になっている。
『トビト書』の悪魔退治
トビトの息子トビヤは、盲目となった父の頼みでメディアに使いに向かうことになり、その道案内としてトビトの同族だというアザリアという若者が同行した。実はこのアザリアはラファエルの化身した姿だった。
道中、チグリス川で二人は魚を捕まえるが、アザリアはその切り裂いた魚の胆汁と心臓と肝臓を持っていくようにトビヤに言う。理由を問うトビヤにアザリアは「魚の心臓と肝臓は、悪魔や悪霊に取り憑かれている人の前でいぶしなさい。いかなる憑きものもその人から逃げ去ります。胆汁は、眼に白いしみ(白内障のこと)のできた人の眼に塗り、眼に吹き込みなさい。そうすれば治癒します」と語る。
二人がメディアの町に着くと、アザリアはトビヤにその町に住むトビヤの同族のサラという娘との結婚を勧める。しかし、このサラという娘はアスモデウスという悪魔に取り憑かれていて、今までに七回も結婚しているがいずれの夫も新婚の夜に殺されていた。そのことを噂で聞いていたトビヤはためらうが、さきほどの魚の心臓と肝臓を使えば悪魔を追い払うことができると教える。ためらいつつも、かくしてトビヤとサラは結婚し、新婚の晩を迎える。彼がアザリアに言われたとおりにすると、悪魔は逃げだし、その逃げた悪魔はアザリアが捕らえて縛り上げる。娘の汚名と不幸が解消されたことを喜んだサラの父は、トビヤに財産の半分を明け渡す。そして父からの頼みを果たし、さらに妻と財産を伴って帰ってきたトビヤが、眼を患っていた父トビトにあの魚の胆汁を施すと、それも治癒する。
この上ない喜びの祝宴の中、アザリアは自らが「七人の天使の一人、ラファエル」であることを告げ、二人は神の威光を知り平伏する。
こうしてラファエルは癒しと悪魔払いの行いを果たし、さらには旅の安全の天使とも呼ばれるようになる。絵画ではラファエルは杖と水を持った旅人の姿で描かれることが多い。
カトリック伝承のラファエル
四世紀、マクシミアヌス皇帝のもとで殉教した聖キュリアクスについて、彼女は拷問を受けているときも主の栄光をたたえていた。そしてラファエルが現れ、彼女の祈りを聞いたと言い、その勇気を賞賛したという。
十八世紀後半、病気がちだった修道女マリア・フランシスのもとに天使が現れ、病気を治してやろうといわれ、それから彼女は元気になった。その時に、彼女を含め何人かがラファエルがいたという証拠になる甘い芳香を嗅いだことを証言している。
大天使ウリエル Uriel
称号 | 神の炎 |
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役職 | 太陽の運行と人の魂の守護者 |
シンボル | 焔の剣、楯 |
エレメント | 地 |
方位 | 南 |
霊力 | 感受 |
美徳 | 堅忍 |
厳格な天使
「神の炎」を意味する名前を持ち、『ペテロの黙示録』では懺悔の天使として罪人を永遠の業火で焼き、不敬者を舌で吊り下げて燃えさかる炎にかける。最後の審判の日に黄泉の門を開き、すべての魂を審判の席に座らせる役目を持つ。
エノクはウリエルを、七人の大天使の長であるとし、罪人を罰する場のタルタロスを取り仕切っているという。熾天使とも智天使であるとも言われるが、智天使としてのウリエルは、炎の剣をもってエデンの園の門を守る天使とされる。また、雷と恐怖を監視する天使と同一視されることがある。
太陽の統治
ミルトンの『失楽園』の中で彼は太陽の運行を司る天使として登場し、“太陽の統率者”と呼ばれている。また、『エノク書』ではすべての天の発光体を司り、地上の天体の運行、季節、気象はウリエルによって秩序づけられているとのことだ。
予言と解釈
『第二エズラ書』でのウリエルはヘブライの予言者エズラが見た幻視の意味を解説する。ほかに預言の天使の帽子をかぶり、ノアに洪水が迫っていることを教えたのも彼とされている。
彼は作家にインスピレーションを与える存在で、本と巻物が彼の象徴である。
ウリエルの堕天
745年のローマ教会会議によってウリエルは堕天使として非難された。民間で加熱し過ぎた天使信仰を押さえるための処置で、聖書正典に名前の現れるラファエル以外の天使は否定された。その後、教会の処置は寛容になり、ウリエルは復権するが、天使ではなく聖人としてだった。聖ウリエルのシンボルは開いた手の上にのせられた炎である。
ヤコブとウリエル
ウリエルは『ヨセフの祈り』の中ではメタトロンをはじめ、人間から天使になった者はいるが、ウリエルは記録の中では初めて天使から人間になった者であると解釈できる。
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