シュー(Shu)【エジプト神話】
エジプト神話の大気の神で、天地創造に関わる重要神。 太陽神アトゥムの子で、 天空の女神ヌトと大地の神ゲブを引き離し、世界に“空気の空間”を作った神として知られる。
シューは風・光・乾いた空気を司り、
エジプト世界に秩序と生命の空間をもたらす存在とされた。
アイオロス(Aeolus)【ギリシア神話】
アイオロスはギリシア神話における風の主(風の管理者)。 ゼウスにより風の袋を託され、 アネモイ(四方の風の神々)を支配している存在として語られる。
『オデュッセイア』では、主人公オデュッセウスに帰路の風を与える重要な役割を持つ。
アパルクティアス(Aparctias)【ギリシア神話・北風】
アパルクティアスはギリシア神話における北風の神。 北風の主神ボレアース(Boreas)の変異名・別名または細分類の一つとされる。 ボレアースよりも「寒冷で乾いた北風」を象徴する場合が多い。
古代ギリシアの気象体系において、
季節風としての北風(アパルクティアス)は天候を冷やす風として扱われた。
アフェリオテス(Apheliotes)【ギリシア神話・東北東の風】
アフェリオテスはギリシア神話における東北東の風の神。 アネモイ(風の神々)の一柱に分類され、 中間方位を吹く穏やかな風を象徴する。
ギリシアの「八風体系(オクトース・アネモイ)」では、
晴れをもたらす爽やかな東北東風として記録されている。
アネモイ(Anemoi)【ギリシア神話・風の四神】
アネモイはギリシア神話における風の神々の総称。 四方位の風を司る主な四神は以下の通り:
ボレアース(Boreas) … 北風の神
ノトス(Notus) … 南風の神
ゼピュロス(Zephyrus) … 西風の神
エウロス(Eurus) … 東風の神
アネモイは天候・季節・航海・農業に深く関わり、
ギリシア文化の自然観の中心的存在であった。
アルゲステス(Argestes)【ギリシア神話・西北西の風】
アルゲステス(または「Argestes」)は、ギリシア神話における 西北西(WNW)から吹く乾いた風 を司る神格。 「澄んだ風」「晴れをもたらす清浄な風」とされ、 アテネの“風の塔(ホロロギオン)”では、八風の1つとして描かれている。
ボレアース(Boreas)【ギリシア神話・北風】
ボレアースはギリシア神話の 北風の主神。 力強く荒々しい風を象徴し、 冷たい暴風や冬の到来をもたらすとされる。
アテネで厚く信仰され、ギリシア軍を助けた「ボレアースの嵐」の伝説が有名。
風の神々アネモイの四大神の一角。
カイキアス(Caicias)【ギリシア神話・東北東の風】
カイキアス(Kaikias)は 東北東(ENE)の風 を司る神。 アテネの風の塔では、袋から落ち葉を撒く姿で描かれ、 乾燥した強い風/嵐を呼ぶ風としての性格を持つ。
エウロノトゥス(Euronotus / Euronotus)【ギリシア神話・南東の風】
エウロノトゥスは 南東(SE)の風 の神格。 名称はエウロス(東風)とノトス(南風)に由来し、 両者の中間方位の風を表す。
ギリシアの八風体系(オクトース・アネモイ)で重要な中間の風として扱われた。
エウロス(Eurus)【ギリシア神話・東風】
エウロスはギリシア神話の 東風の神。 突発的で予測しづらい風として語られ、 しばしば嵐・悪天候の前触れとされた。
ローマでは「Eurus」は南東の風として扱われることがある(地域差あり)。
リプス(Lips)【ギリシア神話・南西の風】
リプスは 南西(SW)の風 を司る神。 南海から湿った空気を運び、 雨・嵐をもたらす海風として扱われる。
風の塔では、船を操る姿で描かれ、航海と深い関わりを持つ。
ノトス(Notus)【ギリシア神話・南風】
ノトスはギリシア神話の 南風の神。 夏の終わりに吹く湿った南風を象徴し、 嵐・豪雨・季節の移り変わりをもたらすとされる。
アネモイ四大神の一柱で、収穫の季節に重要な神。
スケイロン(Skeiron / Sciron)【ギリシア神話・北西の風】
スケイロンは 北西(NW)の風 を司る神格。 冷たく乾いた冬の風を象徴し、 季節の変わり目に吹き荒れる強風として恐れられる。
風の塔では、火鉢に灰を撒く姿で表される。
ゼピュロス(Zephyrus)【ギリシア神話・西風】
ゼピュロスはギリシア神話の 西風の神。 春を運ぶ優しい風として知られ、 最も穏やかで心地よい風とされる。
花を咲かせる風として芸術に多く登場し、
アネモイ四大神の中で最も親しまれている。
ストリボーグ(Stribog)【スラヴ神話】
ストリボーグはスラヴ神話における 風・大気・空の動きの神。 すべての風の祖父とも呼ばれ、 突風・嵐・季節風・海の風 など自然の風を支配する。
ロシア文学では、ストリボーグの風は「氷の風/冷気の風」として描かれることが多い。
マルト神群(Maruts)【インド神話(リグ・ヴェーダ)】
マルト(Maruts)は 嵐・風・雷を司る若き戦士の神々の集団。 リグ・ヴェーダで頻繁に登場し、 武装した騎馬の軍団として空を駆け抜け、 突風と雷鳴をともなう嵐(ハリケーン)を象徴する。
インドラ神の随伴者としても知られ、
インド神話の中でも特に力強い風の神格。
ルドラ(Rudra)【ヒンドゥー教】
ルドラは 嵐・暴風・疾風・山野を駆け抜ける風 を司る古代神。 「雷鳴の如き叫び声をあげる者」を意味する名を持ち、 破壊的な暴風雨と、嵐の後の再生力の両方を象徴する。
後にシヴァ神と同一視され、
破壊と再生の力の原型とも考えられる。
ルドラス(Rudras)【ヒンドゥー教】
ルドラスは ルドラに従う複数の暴風神たち を指す集合名。 文献によっては11柱、または33柱の神々とされ、 嵐の勢い・疾風の力・戦いの風を象徴する。
ヴェーダ文献では、
「ルドラの息子たち」「世界に嵐をもたらす者たち」として位置付けられる。
ヴァーユ(Vayu)【ヒンドゥー教・インド神話】
ヴァーユはインド神話の 風の主神(風気の化身)。 日常の風、生命の息(プラーナ)としての風を支配する存在。 『リグ・ヴェーダ』ではインドラに次いで重要視され、 神々の御者として天界の戦車を走らせる風と描かれる。
仏教にも取り入れられ、
ヴァーユは風天(ふうてん)の起源となった。

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