- 燈篭切虎徹（とうろうきりこてつ）【打刀】
長曽祢虎徹の作。「石灯籠切虎徹」とも呼ばれる。試し斬りの際、松の枝を切ろうとして誤って石灯籠まで切り込んだという逸話が名の由来。切れ味を誇る虎徹作の代表的な逸話として知られる。 - 徳善院貞宗（とくぜんいんさだむね）【短刀】
国宝。相州貞宗の傑作で、前田家の徳善院に伝来したことからこの名が付く。貞宗作の中でも特に完成度の高い一振として評価される。 - 友切（ともきり）【太刀】
源氏の宝刀「髭切」の別名。兄弟刀「膝丸」とともに伝わり、妖を退ける霊剣として数々の伝承や物語に登場する。 - 蜥蜴丸（とかげまる）【刀】
愛知県に伝わる妖刀。刀身を見た者に災いが起こると伝えられ、「見てはならぬ刀」として恐れられた。地方に伝承が残る異名の多い妖刀。 - 虎御前（とらごぜん）【太刀】
関兼常の作とされる。竹中半兵衛が小谷城の戦いでの功績により豊臣秀吉から授けられ、のちに山内一豊に伝わった。現在は京都井伊美術館蔵。 - 長篠一文字（ながしのいちもんじ）【太刀】
国宝。一文字派の名工による作。奥平信昌が長篠の戦いでの戦功により織田信長から拝領したと伝わる。豪壮な丁子刃が特徴。個人蔵。 - 長曽祢虎徹（ながそねこてつ）【打刀】
新刀期の名工・長曽祢興里（虎徹）の作。新選組局長・近藤勇の愛刀として知られ、「今宵の虎徹は血に飢えている」という逸話で名高い。ただし所持刀は二代目・長曽祢興正作とも伝わる。 - 中務正宗（なかつかさまさむね）【打刀】
国宝。相州正宗の名刀で、本多中務大輔忠勝が所持していたことに由来する。相州伝特有の冴えた地刃を見せる。 - 鳴狐（なきぎつね）【打刀】
重要文化財。粟田口国吉の平造り脇差。館林藩主・秋元家に伝来。静かな刃文と上品な姿を持つ。東京国立博物館蔵。 - 鯰尾藤四郎（なまずおとうしろう）【脇差】
銘「吉光」。粟田口派の作で、もとは長巻を脇差に直したもの。尾張徳川家に伝わり、再刃ながら保存状態良好。薙刀直しの姿がナマズの尾に似ていることから名付けられた（『享保名物帳』）。 - 波游ぎ兼光（なみおよぎかねみつ）【打刀】
重要美術品。金象嵌銘「波およぎ末代剱兼光也／羽柴岡山中納言秀□所持之」。備前長船兼光の作。立花宗茂の佩刀で、敵兵を斬った際、川を渡りきった後に真っ二つになったという逸話からこの名が付いた。法人蔵。 - 南泉一文字（なんせんいちもんじ）【打刀】
重要文化財。無銘ながら福岡一文字の典型作。尾張徳川家伝来で、僧・南泉和尚の逸話にちなみ「南泉一文字」と称される。徳川美術館蔵。 - 南山（なんざん）【太刀】
朝鮮出兵の際、武将・菅正利が虎を斬ったとされる太刀。その勇壮な逸話から「虎斬りの刀」として語り継がれる。 - 二王清綱（におうきよつな）【脇差】
二王派の刀工・清綱の作。新選組関連の伝承で知られ、横倉喜三次が所持し、近藤勇の処刑に使用されたと伝わる。 - にっかり青江（にっかりあおえ）【脇差】
重要美術品。備中青江派の作。夜道で「にっかり」と笑う女の霊を斬ったところ、翌朝見ると石灯籠が真っ二つになっていたという逸話に由来する。丹羽長秀を経て京極家に伝来。現在は香川県丸亀市に所蔵。 - 日光一文字（にっこういちもんじ）【太刀】
国宝。無銘ながら福岡一文字派の作と極められる。日光二荒山神社への奉納刀で、北条家から黒田家へ伝わり、現在は福岡市博物館蔵。蒔絵刀箱が付属する。 - 日光助真（にっこうすけざね）【太刀】
国宝。新藤五国光門下・助真の作。加藤清正が徳川家康に献上したとされる愛刀で、日光東照宮の筆頭宝物とされる。拵は「助真拵」と呼ばれる。 - 人間無骨（にんげんむこつ）【槍】
銘「和泉守兼定作」。戦国時代の名工・兼定（孫六兼元の一派）による名槍。あまりの切れ味に「人間に骨なし」と称された。森長可（森蘭丸の兄）が所持していたことで知られる。個人蔵。 - 猫丸（ねこまる）【毛抜形太刀】
菅原道真が自ら鍛えたと伝えられる太刀。怨霊退散の護符とされ、北野天満宮にも同銘の脇差が伝来する。刀身に触れた猫を両断したという伝承に由来して名付けられた。 - 博多藤四郎（はかたとうしろう）【短刀】
重要文化財。銘「吉光」。粟田口吉光の作。福岡藩主・黒田忠之が息子・光之と小倉藩小笠原家の長女・市松姫の婚儀に際し贈呈した刀。博多で発見されたことからこの名がある。以後、小笠原家に伝来。文化庁蔵。 - 破邪の御太刀（はじゃのおんたち）【大太刀】
山口県下松市指定有形文化財。全長465cmを誇る日本最大級の大太刀。「邪を打ち払い、正しきを示す」象徴として花岡八幡宮に奉納された。安政6年（1859）の式年大祭の際に製作されたと伝わる。 - 蜂須賀正宗（はちすかまさむね）【短刀】
重要美術品。伝・正宗作。別名「日暮しの短刀」。朱銘に正宗とあり、島原の乱の戦功により戸田家が将軍から拝領。徳島城博物館で展示された記録がある。個人蔵。 - 八文字長義（はちもんじちょうぎ）【太刀】
長船派の刀工・長義作と伝わる。佐竹義重が戦場で騎馬武者を兜ごと斬り、その遺体が馬の両脇に「八」の字のように垂れたという逸話から命名された。 - 破敵剣（はてきのつるぎ）【剣】
別名「将軍剣」または「三公闘戦剣」。戦勝祈願や儀式に用いられた霊剣で、武運長久を祈る象徴とされる。 - 備前三郎国宗（びぜんさぶろうくにむね）【太刀】
宇和島藩伝来の国宗作。1936年、日独防共協定締結を記念し、日本政府よりアドルフ・ヒトラーに贈呈された。戦後、日本に返還された経緯を持つ歴史的名刀。 - 姫鶴一文字（ひめつるいちもんじ）【太刀】
重要文化財。銘「一」。備前福岡一文字派の作で、上杉謙信の佩刀として知られる。上杉家を象徴する刀であり、現在は米沢市・上杉博物館蔵。 - 日向正宗（ひゅうがまさむね）【短刀】
国宝。無銘ながら正宗作と極められた傑作。水野日向守が関ヶ原の戦いで石田一族から奪取したと伝わる。正宗の代表作の一つで、三井記念美術館蔵。 - 平野藤四郎（ひらのとうしろう）【短刀】
御物。銘「吉光」。粟田口吉光の名作で、平野某が所持していたことから名付けられた。皇室御物として伝わる。 - 風鎮切光代（ふうちんぎりみつよ）【打刀】
柳生厳包（やぎゅうげんほう）が愛用した脇差。肥後守秦光代の作。4つ重ねた風鎮を一太刀で断ち切ったことからこの名が付けられた。 - 伏見貞宗（ふしみさだむね）【短刀】
国宝。朱銘「貞宗／本阿弥花押」。伏見で発見されたことから号が付けられた。相州貞宗の傑作として名高く、黒川古文化研究所蔵。 - 布都御魂剣（ふつみたまのつるぎ）【剣】
国宝。「韴霊剣（ふつのみたまのつるぎ）」とも呼ばれる。鹿島神宮の御神体である霊剣で、古代から国を鎮める神剣として信仰されてきた。石上神宮の初代御剣を写して奉納されたと伝わる。 - 不動行光（ふどうゆきみつ）【短刀】
銘「行光」。相州行光の作。織田信長の佩刀として知られ、本能寺の変で焼失したとも伝わる。信長が「不動行光九十九髪、人には五郎左御座候」と詠んだ逸話でも有名。 - 丙子椒林剣（へいししょうりんけん）【直刀】
国宝。四天王寺に伝わる聖徳太子の佩刀とされる霊剣。七星剣と対をなす存在で、太子信仰とともに伝承されてきた。 - へし切長谷部（へしきりはせべ）【打刀】
国宝。通称「圧切長谷部」。織田信長が無礼を働いた茶坊主を刀を抜かず押し当てて斬ったという逸話からこの名が付けられた。のちに黒田官兵衛（黒田孝高）に与えられ、黒田家の重宝となる。拵も名高く、福岡市博物館蔵。 - 庖丁正宗（ほうちょうまさむね）【短刀】
国宝。三口が現存し、いずれも短寸で重ねが薄く、包丁のような姿から号が付いた。徳川美術館・永青文庫・法人蔵に伝わる三振が知られる。 - 宝寿丸（ほうじゅまる）【太刀】
畠山重忠が武蔵御嶽神社に奉納したと伝わる2振の太刀。「宝寿丸黒漆鞘太刀」と「宝寿丸太刀」を総称して呼ぶ。茎に「宝寿」と刻まれ、倶利伽羅と三鈷剣の彫刻を備える。重要文化財。 - 蛍丸（ほたるまる）【大太刀】
来国俊作。南北朝時代、阿蘇惟澄の佩刀とされる。戦で刃こぼれした際、夜に蛍が群がり修復したという伝説がある。阿蘇神社に伝わり、旧国宝指定。現在は所在不明。 - 布袋国広（ほていくにひろ）【脇差】
堀川国広の作。黒田家旧蔵。刃長31.2cmの刀身には「夢ハ香シ梅里多」と刻まれた例もある。国広晩年の代表作の一つ。 - 乱新藤五（みだれしんとうご）【短刀】
重要美術品。相州伝の祖・新藤五国光の作。新藤五の作品としては珍しく乱れ刃を持ち、その特徴から号が付けられた。南北朝期の逸品。 - 乱藤四郎（みだれとうしろう）【短刀】
重要刀剣。銘「吉光」。粟田口吉光作の中でも珍しい乱れ刃の短刀。朽木家に伝来し、法人蔵。華やかな刃文と精緻な地鉄が魅力。
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