🐉 スラブ文化圏
- ズメイ(Zmey / Zmaj / Smok):火を吹く多頭竜。悪の象徴として描かれる。
– ズメイ・ゴリニュチ(Zmey Gorynych):三つ頭を持つ山の竜。
– チュド・ユド(Chudo-Yudo):三〜九十の首を持つ魔竜。
– ジルニトラ(Zirnitra):ヴェンド族の龍神。デンマーク王家の紋章にも登場。
🇹🇷 タタール
- ジラント(Zilant):ワイバーンやコカトリスに似た蛇型の竜。カザンの守護紋章に用いられる。
🐉 西アジアの龍
アジアの西方、乾いた大地と古の王国には、龍たちが神を喰らい、星を睨み、死と再生の物語を紡いでおる。これらはただの幻影にあらず。世界の骨格をなす精霊、混沌を抱く創造の証しなり。
🏺 アナトリア(ヒッタイト・トルコ)
- イルリャンカ(Illuyanka)
ヒッタイト神話に登場する蛇状の龍。雷神タルフンツに討たれる。 - エブレン(Ebren)
トルコ民間伝承の龍。足も翼も持たず、尾から火を吐くという。
🕌 アラビアの龍
- アル・ティンニン(Al Tinnin)
星座の伝承に由来する龍。ギリシアの影響を受け、31の星を有する。 - ファラク(Falak)
中東の伝説に登場する深淵の龍、天体や世界の下に眠る災厄の象徴。 - バハムート(Bahamut)
宇宙を支える巨大な海蛇であり、後に翼を持つ龍として描かれることもある。近代作品でも人気。
⛰️ アルメニアの龍
- ヴィシャプ(Vishap)
翼のある蛇や、多様な動物の特徴を持つ混合龍。火山や水と結びつく。 - ハイクの龍(Dragon of Hayk)
英雄ハイクとその王朝の象徴とされる七つ頭の龍。
🌊 レヴァント(カナン・ウガリト神話)
- ヤム(Yam)
カナン神話における海の神。水の支配者として恐れられる。 - ロタン(Lotan)
ヤムの従者である水の龍。嵐の神バアルによって討たれる。 - リヴァイアサン(Leviathan)
ユダヤ教・レヴァント神話に登場する海の怪物。終末に討たれるべき存在とされる。
🐍 メソポタミア(シュメール・アッカド・バビロニア)
- アブズ(Abzu)
原初の水を象徴する神/存在。時に龍のような姿でも描かれる。 - ティアマト(Tiamat)
混沌の海の女神。蛇龍の姿で描かれ、神々との戦いでマルドゥクに討たれる。 - マルドゥク(Marduk)
神々の王。ティアマトを破り、世界を創造した英雄。 - ムシュフシュ(Mušḫuššu)
「赤き蛇」とも。鷲の爪、猫の前足、角ある頭を持つ合成の龍。バビロニアの門(イシュタル門)に刻まれる。 - クル(Kur)
シュメール神話最古の龍。冥界を象徴する存在。
🔥 ペルシャ(イラン・ゾロアスター教系)
- アジ・ダハーカ(Azhdaha)
巨大な蛇または竜。心臓を食べると勇気が得られると信じられた。 - ウル(Ur)
マンダ教における「闇の王」。蛇や龍の姿を持つ。 - ザッハーク(Zahhak)
三つの頭、または肩から蛇が生える存在。ゾロアスター教における堕落の象徴。
– 一部では巨大なコブラのような姿とされる。
– 『千夜一夜物語』にも登場。 - アジ・ザイリタ(Aži Zairita)
「黄の龍」。英雄カルサースパに討たれる。 - アジ・ラオイディタ(Aži Raoiδita)
「赤の龍」。悪神アングラ・マイニュによって生み出され、冬を招く。 - アゴルガン(Agorghan)
七つの頭を持つ龍。ゴルゴンとの関連性を持つとも。 - アシュモグ(Ashmog)
ゾロアスター神話に登場する龍。

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