剣の種類や名前には、その形状だけでなく、時代の空気や文化、そして戦い方までも刻み込まれています。
西洋のロングソード、日本刀、古代ギリシャのコピス、東南アジアのクリスまで──世界には多様な剣が存在し、それぞれに独自の物語が宿っています。
ここでは、世界各地の剣を100種類以上にわたり紹介し、外国語表記や特徴にも触れていきます。
創作やファンタジー設定、ゲーム制作、デザインなどのアイデア源として、気になる剣の名前を手がかりに、あなたの世界観を広げてみてください。
世界の剣の種類一覧
出典・参考:Wikipedia – 剣
1 西洋・ヨーロッパの剣(Western & European Swords
中世から近世にかけて発達した、直剣を中心とした多彩な刀剣文化。騎士が使ったロングソードやレイピア、巨大な両手剣など「武器としての機能性」と「美しい造形」が共存するのが特徴。戦場・決闘・礼装など用途ごとに形状が洗練され、西洋剣術とともに発展した。
- アーミングソード|Arming Sword
中世後期の騎士が盾と組み合わせて使用した片手剣。十字型の護拳と両刃直刀身が特徴で、最も基本的な「騎士の剣」とされた。 - ナイトソード|Knightly Sword
10〜13世紀頃の典型的な「騎士の片手剣」。アーミングソードとほぼ同義で、鎖帷子を着た敵に対する基本武器として使われた。 - ロングソード|Longsword
14〜16世紀に普及した両手持ちの長剣。フェヒトブーフ(剣術書)に技法が多く残り、西洋剣術を象徴する武器のひとつ。 - ハンド・アンド・ハーフソード/バスタードソード|Hand-and-a-half Sword / Bastard Sword
片手・両手のどちらでも扱える中間的長剣。状況に応じて盾や両手操作を切り替えられる柔軟性を持つ。 - グレートソード|Greatsword
ロングソードよりさらに大型の両手剣。長いリーチを活かし、歩兵戦・対騎兵戦で強力な斬撃を加えるために使われた。 - ツヴァイハンダー|Zweihänder
ドイツ語で「二手剣」を意味する巨大な両手剣。ランツクネヒト傭兵が槍の列を崩す目的で使用したことで知られる。 - クレイモア|Claymore
スコットランド高地で用いられた二手剣。外向きに反った独特の護拳と長大な刀身を持ち、民族戦争の象徴となった。 - ブロードソード|Broadsword
幅広の両刃直剣の総称。後世にはバスケットヒルトを備え、騎兵や士官の軍用剣として発展した。 - バスケットヒルト・ソード|Basket-hilted Sword
手を覆う籠状の護拳を持つ軍用剣。スコットランド、イタリアなどで発達し、防御力の高い柄構造が特徴。 - バックソード|Backsword
片刃の直剣で、厚い背を持つ実戦武器。後期にはバスケットヒルトと組み合わせて騎兵・歩兵に広く用いられた。 - サーベル|Saber / Sabre
緩い湾曲を持つ片刃剣。騎兵の斬撃武器としてヨーロッパ全土に普及し、後には軍刀・儀礼刀としても使われた。 - スパドゥーン|Spadroon
17〜19世紀の士官が佩用した軽量直剣。小剣とブロードソードの中間的な性質を持ち、突きと斬りの両方が可能。 - カトラス|Cutlass
海軍が使用した短く頑丈な湾曲剣。船内の狭い空間で扱いやすく、白兵戦やロープ切断に向いていた。 - ハンガーソード|Hanger / Hunting Sword
比較的短い片刃刀身を持つ狩猟用剣。下士官のサイドアームとしても広く用いられた。 - レイピア|Rapier
細長い直刀と複雑な護拳を備えた刺突特化剣。16〜17世紀の紳士の決闘・護身・礼装武器として象徴的存在となった。 - サイドソード|Sidesword / Spada da lato
ルネサンス期イタリアの軍民両用剣。中世剣から発展し、レイピアの直接の祖先とされる。 - エスパダ・ロペラ|Espada ropera
スペインの貴族が佩用した細身の礼装剣。レイピア系の剣として上流階級のファッションの一部となった。 - スモールソード|Smallsword
17〜18世紀に宮廷文化で流行した非常に軽量な礼装剣。主に刺突用で、社交の象徴として扱われた。 - エペ|Épée
スモールソードから発展した近代フェンシングの競技剣。実戦用ではなく、スポーツ・決闘文化の武器。 - エストック|Estoc / Tuck
プレートアーマーの隙間を突くことに特化した硬質直刀。刃が鋭利でない例もあり、14〜17世紀に使用された。 - フランベルジュ(波刃剣)|Flamberge / Flame-bladed Sword
火炎状・波状の刃を持つ剣。外見的特徴だけでなく、相手に与える衝撃・抵抗の変化による心理効果も注目される。 - ファルシオン|Falchion
片刃で先端が広がる中世ヨーロッパの湾曲剣。重心が前寄りで、叩き斬る力に優れる。 - ダスザック|Dusack / Dussack
中欧で使われた片刃のサーベル型サイドアーム。木製訓練剣(プラクティス武器)の原型ともされる。 - メッサー|Langes Messer / Großes Messer
ドイツ語で「大きなナイフ」を意味する片刃長剣。斧のような破壊力と剣の操作性を併せ持つ。 - カッツバルゲル|Katzbalger
ランツクネヒトの象徴的短剣。S字状護拳と頑丈な幅広刀身が特徴で、乱戦用サイドアームとして使用された。 - シアヴォナ|Schiavona
ヴェネツィアで16〜17世紀に用いられたバスケットヒルト剣。猫頭型ポメルが象徴的。 - エグゼキューショナーソード|Executioner’s Sword
処刑専用の幅広刃と丸い切っ先を持つ剣。儀式性が強く、銘文や装飾が施された例も多い。 - グラディウス|Gladius
古代ローマ軍団の主兵装となった短剣型直剣。密集陣形からの刺突戦法に最適化されていた。 - スパタ|Spatha
ローマ帝国の騎兵・歩兵が用いた長い直剣。後の初期中世ヨーロッパ剣の源流となる重要な武器。 - カロリング/ヴァイキングソード|Carolingian / Viking Sword
8〜11世紀北欧・西欧で使われた両刃直剣。幅広刀身と短い十字護拳を持ち、騎士剣の原型となった。 - シクサ/スクラマサクス|Seax / Scramasax
ゲルマン系民族が使用した片刃ナイフ〜短剣。大型のものは短剣型ソードとして扱われる。 - キンケデア|Cinquedea
15〜16世紀イタリアで流行した幅広短剣。基部が極めて広く、芸術的な装飾が施された。 - バゼラード|Baselard
スイス起源の短剣・小型ソード。I字型やH字型の柄を持ち、14〜15世紀に広く流通した。 - キシフォス|Xiphos
古代ギリシアの両刃短剣型ソード。葉形の刀身が特徴で、ホプリタイ歩兵が槍の補助武器として携帯した。 - コピス|Kopis
前重心の片刃湾曲剣。ギリシア〜ヘレニズム期に用いられ、強い斬撃力を誇った。 - ファルクス|Falx
ダキア人が使用した内湾曲の鉤状刃武器。短柄タイプは片手剣として扱われた。 - ウォールーンソード|Walloon Sword / Épée wallonne
17世紀に用いられた軍用ブロードソード。サムリング付きの特徴的な半籠護拳を備える。 - モーティュアリーソード|Mortuary Sword
イングランド内戦期のカット&スラスト用ブロードソード。複雑な半籠護拳が特徴で、のちのバスケットヒルト剣の前身となった。 - ファルカタ|Falcata イベリア半島の古代戦士が用いた内側に湾曲した片刃剣。重心が前にあり、強力な斬撃と突きを兼ね備えた「マチェーテ系」の実戦武器とされる。
- カラベラ|Karabela 17〜18世紀のポーランド・リトアニアで流行したサーベル型の軍刀。鳥の頭のような特徴的な柄頭と優雅な湾曲刀身を持ち、貴族騎兵の象徴とされた。

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