北欧・古ノルド語の創世と破壊の火
氷と火が世界を形づくる北方神話から、荒々しくも神秘的な炎の語を選びます。神々の運命と自然の厳しさが重なる、重厚な響きが漂います。
- Eldr — エルドル|古ノルド語
火を意味する基本語。
氷に覆われた世界観の中で、命を支える力と破壊の両義性を帯びた存在として語られます。 - Múspell — ムスペル|古ノルド語
炎の原初的世界に結びつく名。
創世と終末の両方に関与する力として、北欧神話全体を貫く象徴性を宿します。 - Logi — ロギ|古ノルド語
炎を擬人化した存在の名。
意志を持つ火として描かれ、制御不能な破壊と必然性を感じさせます。 - Bruni — ブルーニ|古ノルド語
燃焼・炎を意味する語。
抽象的な概念ではなく、個として立ち現れる火の存在感を強く意識させます。 - Surtr’s Flame — スルトルズ・フレイム|英語
炎の巨人スルトに属する火。
ラグナロクを告げる終末の炎として、世界を焼き尽くす運命の力を象徴します。 - Eldfjall — エルドフィヤットル|アイスランド語
火山を意味する語。
大地の内部から噴き上がる炎として、破壊と創造が同時に生じる瞬間を思わせます。 - Glóð — グロード|古ノルド語
熾火、残り火。
激しさの後に残る熱として、静かに持続する力と余韻を帯びます。 - Bál — バール|古ノルド語
葬送の火を指す語。
死と再生が重なり合う場面で用いられ、厳粛で逃れがたい空気を生みます。 - Eldur Guðs — エルズル・グズ|アイスランド語
神の火。
自然現象に神性を重ねる感覚が表れ、畏怖と静かな信仰心をにじませます。 - Elding — エルディング|古ノルド語
稲妻、天から落ちる火。
天と地を瞬時に結ぶ炎として、神々の意志や天災を連想させます。
ケルト・アイルランド伝承の聖なる火
祝祭や守護、再生と結びついた炎の表現です。人の暮らしと神秘が近くにあり、温もりと霊性が静かに寄り添う言葉が並びます。
- Teine — ティネ|アイルランド語
火。
生活の炉から祭礼の焚き火までを支える基本語で、身近さの中に古い時間が残ります。 - Tân — ターン|ウェールズ語
火。
家の火にも野の火にも通じる簡潔な語で、熱の気配を短い響きで伝えます。 - Coelcerth — コイルケルス|ウェールズ語
かがり火/ボンファイア。
祝祭の夜に灯る大きな火を指す語として知られ、集いの中心に温かい輪郭を作ります。 - Beltane Fire(s) — ベルテイン・ファイア|英語
ベルテイン(五月祭)の火。
季節の境目に焚かれた火は、家畜や人々を守る力があるとされ、煙や灰までもが護りとして扱われました。 - Bealtaine — ベアルタナ|アイルランド語
五月祭(ベルテイン)。
夏の始まりを告げる名で、祭りそのものが「火」と結びつき、明るい季節へ踏み出す合図になります。 - Calan Mai — カラン・マイ|ウェールズ語
五月一日(夏の始まりの祭)。
伝統的に焚き火と結びつき、闇を越えて季節が切り替わる感覚が濃く残ります。 - Need-fire — ニード・ファイア|英語
摩擦で起こす儀礼の火(守護・清めの火)。
金属を避け、古い方法で生んだ火に特別な力を見た風習があり、病や災いを遠ざける象徴になりました。 - Beltane Bonfire — ベルテイン・ボンファイア|英語
ベルテイン祭の焚き火。
集落ごとに灯された大きな火で、煙や炎をくぐることで災厄を遠ざけると考えられていました。

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