鎖・分銅・暗器|忍器・古武術で用いられた携帯武器
- 分銅鎖|ふんどうぐさり
両端または片端に金属の分銅を付けた鎖武器。打撃・絡め取り・武器の奪取に優れ、古武術で体系的に使われた。 - 鎖鎌|くさりがま
片手に鎌、もう片手に分銅付きの鎖を持つ複合武器。鎖で間合いを制し、鎌で斬り込む技法が発達し、忍術・古武術で著名。 - 鎖龍蛇|さりゅうだ
鎖状の金属節を連ねた柔軟武器。打撃・巻き付け・牽制に用いられ、扱いには高度な技術が必要。 - 手甲鉤|てっこうかぎ
手甲に鉤爪を付けた武具で、登攀や攻防に使用。武器を受け止めたり絡め取る用途もある。 - 鉄貫|てっかん
握り込む小型鉄棒。拳の強化や打撃力増大のため用いられ、近距離戦に特化している。 - 鉄拳(武器)|てっけん
鉄製のナックルガード型武器。拳に装着し打撃力を上げる目的で使われた。 - 鉄甲|てっこう
拳や手の甲に装着する鉄製防具。受け流し・打撃の両面で用いられた。琉球(沖縄)武術由来の武器。 - 猫手|ねこて
手袋状の武具に金属の爪を付けたもの。引っかき・攫い・登攀に使われ、忍具としても知られる。 - 忍び鎌|しのびがま
小型の鎌を用いた忍器。携帯しやすく、登攀・縄切り・護身・奇襲など多用途に使われた。
捕具|江戸時代の警察(与力・同心)が用いた制圧武器
- 十手|じって
刀を受け止め、絡め取り、押さえ込むための制圧武器。江戸の町奉行所で公式装備とされ、身分象徴としても知られる。 - 刺股|さすまた
左右に開いた「叉」で相手の体を押さえる制圧具。現代警察にも形を変えて残る長柄武器。 - 袖搦|そでがらみ
鉤や返し爪を備えた長柄武器。衣服に引っ掛けて転倒・拘束を目的とする。町奉行所の三捕具の一つ。 - 突棒|つくぼう
先端を太くした棒で、押し出して拘束・制圧する武具。三捕具の中で最も単純かつ頑丈な構造。 - 鉄刀(捕具)|てっとう
鉄製の短い棒状捕具。相手の武器を叩き落としたり、絡め取る用法がある。 - 南蛮千鳥鉄|なんばんちどりてつ
千鳥形の突起を持つ鉄製武器。打撃・絡め取りの両用途を備え、特殊武具として伝承されている。
防具兼武器|攻撃にも使える特殊装備
- 鉄扇|てっせん
鉄板製の扇。受け流し・打撃・刀の挟み込みなど多彩な技法が伝わる。武士の護身用として携帯された。 - 鉄扇子|てっせんす
鉄扇とほぼ同義だが、流派により名称が異なる。小型で携帯性が高く密接戦に強い。 - 籠手(武器用)|こて
鉄板を重ねた防具だが、突き・打ちによる攻撃に使われる例もある。武器と防具の中間的存在。 - 手甲|てこう
手首から甲を覆う鉄製防具で、受け・払い・打撃に用いられる。武家・忍者の双方に実用例がある。
琉球武器|古武術(琉球王国)で用いられた実在武器
- ティンベー|てぃんべー
盾に相当する武具で、エイの皮や金属で作られた丸盾を用いる。片手にティンベー、もう片手に短槍などを持つ組み合わせが特徴。 - サイ(釵)|さい
三本の叉状構造を持つ金属武器。打撃・受け・絡め取りに優れ、沖縄武術ではトンファーや棒と並ぶ代表武器。 - トンファー|とんふぁー
柄の横棒を握り、回転させて打撃・受け流しを行う武器。実在武器として琉球で体系化され、現代武術にも派生した。 - ヌンチャク|ぬんちゃく
二本の木棒を紐・鎖で連結した武器。打撃・巻き付け・拘束に使われ、扱いには高い技術が必要。 - エーク(櫂)|えーく
船を漕ぐ櫂を武器化したもの。打撃力が強く、護身用としても利用された。琉球古武術の特徴的武器の一つ。 - スルチン|するちん
鎖・分銅の系統に属する柔軟武器。投げ・絡め取り・牽制に用いられたと伝わる。
火器|戦国〜江戸で実際に用いられた火砲・鉄砲
- 火縄銃(種子島)|ひなわじゅう/たねがしま
火縄を用いたマッチロック式鉄砲。1543年の伝来後、日本中で急速に普及し、戦国の主力兵器となった。 - 大筒|おおづつ
火縄銃を大型化した火砲。城攻めや防衛戦で威力を発揮し、射程と破壊力が高い。 - 石火矢|いしびや
火薬を詰めて点火し、石や火薬玉などの弾を撃ち出す砲。城攻め・城防衛で火攻めや爆裂効果を狙って使用された。 - 南蛮筒|なんばんづつ
南蛮交易を通じて持ち込まれた鉄砲。国産改良の火縄銃に影響を与えた。 - 握り鉄砲|にぎりでっぽう
携帯性の高い小型の火器。構造は簡易だが、奇襲や護身用途に使われたとされる。 - 二十連発斉発銃|にじゅうれんぱつせいはつじゅう
複数の銃身を束ね、一度の操作で20発を同時に発射できる斉発式の火縄銃。実験的な多連斉発銃で、史料に記録が残るが、連続発射式ではない。

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