日本の伝説と神話に登場する武器 50選|神剣・霊刀・名槍一覧

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日本の伝説と神話に登場する武器|神剣・霊刀・名槍一覧 神話・伝説
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天羽々斬(あめのはばきり)

天を裂く一閃のごとき、須佐之男命(スサノオ)の神剣。 八岐大蛇(やまたのおろち)を討伐した際に用いられ、その切れ味と威力ゆえに「天羽々斬」と名づけられた。 十握剣(とつかのつるぎ)の一つに数えられ、スサノオが大蛇の尾を断った際、刃が欠けたためその中を改めると、そこから現れたのが天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)であったという。 神の怒りと浄化の力を象徴するこの剣は、天地の境を切り拓く“秩序の刃”として伝えられている。

生大刀(いくたち)

根の国より蘇りし、命の力を宿す剣。 大国主神(おおくにぬしのかみ)が、父神スサノオから授かった神剣であり、兄弟である八十神の謀略を退け、葦原中国を平定した。 「生(いく)」とは“生きる”を意味し、死と再生を司る霊力を象徴している。 この剣は、同じくスサノオの遺宝である生弓矢(いくゆみや)とともに、奈良県・美具久留御魂神社に奉納されていると伝わる。 その刃は滅ぼすためのものではなく、“命を護るために輝く剣”とされる。

伊都之尾羽張(いつのおはばり)

天地開闢の時代に振るわれた、原初の神剣。 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、火の神・軻遇突智(かぐつち)を斬り伏せたときに用いた十束剣(とつかのつるぎ)であり、その名を伊都之尾羽張(いつのおはばり)という。 この剣は後に天之尾羽張(あめのおはばり)と同一視され、血を浴びたその刃からは多くの新たな神々が生まれたと伝えられる。 すなわち、破壊の中に創造を宿す、“神々の連鎖を生み出した刃”である。

大量(おおはかり)

怒りと悲哀を映す、神々の情念の剣。 阿治志貴高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ)は、友であった天若日子(あめのわかひこ)の葬儀に訪れたが、その姿が故人にあまりにも似ていたため、生者であるにもかかわらず死者と見なされた。 この屈辱に怒りを燃やした神は、「死者と共にされてたまるか」と叫び、剣大量(おおはかり)を振るって喪屋を切り倒した。 その剣は、哀しみと怒り、そして神の孤独を象徴する“魂を裂く刃”として記される。

十束剣(とつかのつるぎ)

神々の時代を通して幾度も現れる、原型の聖剣。 名の「十束」とは、拳十個分の長さを意味し、その大きさと威力から“神々が手にするにふさわしい剣”とされた。 伊邪那岐がカグツチを斬る際にも、須佐之男が八岐大蛇を討つ際にも、この名が登場する。 つまり「十束剣」とは一振りの剣ではなく、**神が地上に介入する際に姿を現す“概念的な神剣”**であるともいわれる。 その刃は時代を超えて現れ、秩序と混沌の狭間を切り開いてゆく。

 

布都御魂(ふつのみたま)

雷の如き威を放つ、建御雷神(たけみかづちのかみ)の神剣。 『古事記』『日本書紀』によれば、神武東征の際、神々は東征を導くためにこの剣を授けたと伝えられる。 神武天皇はこの剣を佩びて戦い、乱世を鎮めて大和を平定した。 その後、この霊剣は奈良・石上神宮に奉斎され、「布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)」として祀られる。 「布都」とは“断ち切る”を意味し、邪を祓い、国の道を清める神意の象徴とされている。

八握剣(やつかのつるぎ)

天よりもたらされた、神宝の一振り。 「八握」とは八手で握るほどの長さを意味し、天地を貫く力を象徴する。 『先代旧事本紀』では十種神宝(とくさのかんだから)の一つとされ、天孫降臨の際、天照大神の命により地上にもたらされたと伝わる。 その剣は、神代より続く“生と死の循環”を司る神器の一つであり、祈れば死者すら蘇ると信じられた。 今もなお、その名には「再生」と「光明」の響きが宿る。

鉄輪(かなわ)

諏訪の地における神々の戦いを伝える、古き神具。 洩矢神(もれやのかみ)が建御名方神(たけみなかたのかみ)と相争ったとき、この鉄輪を武器として用いたとされる。 だが、建御名方神の放った藤蔓により、その鉄輪は砕かれた。 鉄と蔓──硬と柔、力と調和。その対比は、自然の摂理と神々の意志を象徴している。 この伝承は、信濃・諏訪の地に今も息づき、風土神信仰の源として語り継がれている。

倶利伽羅剣(くりからけん)

燃え盛る炎の中、龍が巻きつく聖なる剣。 不動明王の象徴とされ、右手に握られるこの剣は、無明を断ち、三毒──貪・瞋・痴──を打ち砕く智慧の刃である。 剣に絡みつく倶利伽羅竜王(くりからりゅうおう)は、怒りと慈悲を併せ持つ護法の化身。 火炎をまといながら悪を焼き尽くし、迷いを断ち切るその姿は、悟りへの道を象徴する曼荼羅そのものである。 人の心の闇に潜む煩悩をも斬る、魂の覚醒を導く剣といわれる。

 

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