捕具・特殊武器
- 叉(捕叉)|さ|Chā|チャー
三つ又の長柄武器。古代から捕縛・制圧に用いられ、民兵・役人の標準捕具として記録される。 - 月牙叉(半月叉)|げつがさ|Yuèyá chā|ユエヤーチャー
半月形の刃を左右に持つ捕具。武器を引き落とす・押しとめる用途で用いられる。 - 棍叉(混合捕具)|こんさ|Gùnchā|グンチャー
棍の先端に叉状金具を付けた捕具。制圧・押さえ込みに特化し、主に護衛・警邏で使用。 - 盾(籐牌)|とうはい|Téngpái|テンパイ
籐を編んだ丸盾。明代の「藤牌兵」で有名で、軽量かつ耐衝撃性が高いため実戦で多用された。 - 大藤牌|だいとうはい|Dà téngpái|ダーテンパイ
通常の籐牌より大型の盾。歩兵隊形を組む際の防御具として記録がある。 - 手盾(掌盾)|しゅじゅん|Shǒudùn|ショウドゥン
手に装着する小型の盾。近接戦での防御・打撃に使われ、鏢・短武器と併用される。 - 拐子(警棒)|かいし|Guǎizi|グアイズ
古くは杖状の武器・護身具を指す呼び名としても用いられ、逮捕具としての性格が強い非致死性武器。 - 鉄尺(鉄定規)|てっしゃく|Tiěchǐ|ティエチー
鉄製の細長い棒。武術では短棒として使われるほか、護身具としても記録が残る。 - 虎頭牌(儀仗盾)|ことうはい|Hǔtóu pái|フートウパイ
虎頭意匠をあしらった儀仗用盾。実戦より儀礼性が強いが、歴代王朝で実在が確認されている。 - 戒尺|かいしゃく|Jièchǐ|ジエチー
僧院で用いられた鉄製または木製の短棒。懲戒具だが、護身武器としての記載も残る。 - 鉄骨扇(鉄扇)|てっこつせん|Tiěshàn|ティエシャン
鉄製の扇子。扇を装いながら打撃・受け・防御を行う実在武器で、中国武術でも体系がある。 - 鉄尺扇(定規扇)|てっしゃくせん|Tiěchǐ shàn|ティエチーシャン
扇子の骨に鉄尺を仕込んだもの。近代以降の護身具・創作設定として語られることのある名称で、歴史史料での用例は確認しづらい。 - 鞭杖(鞭棒)|べんじょう|Biānzhàng|ビェンジャン
鞭と杖の中間構造を持つ武器。主に護衛・捕縛用で、軍事記録にも名前が残っている。本来は刑罰用の鞭・杖を指す語で、そこから護身・捕縛用の武器として転用されたと考えられる。 - 渾鉄棒|こんてつぼう|Húntiě bàng|フンティエバン
鉄製の無骨な棒。打撃力が非常に強く、小型兵器としても用いられた。 - 鉄鞭|てつべん|Tiěbiān|ティエビェン
鞭と名が付くが棒状の武器。軍用記録でも確認できる堅牢な打撃具。 - 狼牙槌(短柄)|ろうげつい|Lángyá chuí|ランヤーチュイ
狼牙棒の短柄版。歩兵の至近距離制圧用。名称自体は近年の解説・創作で用いられることが多く、歴史的には狼牙棒系の打撃武器の一種として理解できる。 - 連弩(諸葛弩)|れんど|Liándù|リェンドゥ
連射式の小型弩。諸葛亮に関連付けられることが多いが、複数矢を連続射出する装置として実在した。 - 袖弩|しゅうど|Xiùdù|シウドゥ
袖に隠して使用する超小型弩。実在が確認される最も古い“仕込み武器”の一つ。 - 鉄鉤(鉤棒)|てつこう|Tiěgōu|ティエゴウ
長柄の先端に鉤を備えた武器。登攀・捕縛・引き倒しに使用される実用武具。 - 虎頭鉤(装飾鉤)|ことうこう|Hǔtóu gōu|フートウゴウ
虎頭の飾りを持つ鉤武器。儀仗・護衛の両目的で使用されたと伝わる。虎頭意匠を施した鉤槍・鉤棒の一種を便宜的にこう呼ぶ。
中国武器の世界
中国武器は、武術・戦争・文化が交差して形づくられた独自の体系です。
刀や槍から暗器のような小さな武器まで知っていくと、その背景にある戦い方や技法の成り立ちが立体的に見えてきます。
気になる武器があれば、用途や歴史、武術との関わりをさらに調べてみると、いっそう深い理解につながります。
武器を知ることは、中国の歴史や思想に触れることでもあります。
あなたの創作や学びが、そこからさらに豊かに広がっていきますように。
FAQ よくある質問
中国武器にはどんな種類がありますか?
中国武器には、刀・剣・槍・戟・棍などの主要武器のほか、軟兵器(九節鞭・三節棍)、暗器(飛刀・袖箭)、捕具(鉄叉・籐牌)など多様な種類があります。歴史や武術体系ごとに用途が明確に分かれています。
中国武術でよく使われる代表的な武器は何ですか?
代表的な武術武器には、刀(ダオ)、剣(ジエン)、槍(チャン)、棍(グン)、九節鞭、三節棍、蝴蝶双刀などがあります。これらは武術の型(套路)に組み込まれ、技法や流派の特徴を象徴しています。

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