5. 螳螂拳(象意と実戦技巧を併せ持つ巨大体系)
- 七星螳螂拳|しちせいとうろうけん|Qīxīng Tánglángquán|チーシン タンランチュエン
螳螂拳の代表流派で、北斗七星の布陣に例えた身法を特徴とする。速攻・連撃・擒拿(関節・捕え技)が高度。 - 梅花螳螂拳|ばいかとうろうけん|Méihuā Tánglángquán|メイホア タンランチュエン
静から動への切り替えに優れ、花が開くような円転身法を持つ。武当・少林の技法も取り入れた柔剛の名門派。 - 六合螳螂拳|りくごうとうろうけん|Liùhé Tánglángquán|リューホー タンランチュエン
六和(心・意・気・力・身・歩)の一致を重視する内外一体の流派。螳螂拳では最も内功色が強い。 - 八歩螳螂拳|はっぽとうろうけん|Bābù Tánglángquán|バーブー タンランチュエン
八つの基本歩法で相手を崩すことを重視。軽快な足捌きと鋭い手技が特徴で、広く海外にも伝播した。 - 秘門螳螂拳|ひもんとうろうけん|Mìmén Tánglángquán|ミーメン タンランチュエン
「秘伝の門」とされる分派。擒拿・点穴の技術体系が多く、実戦性の高さで知られる。 - 摔手螳螂拳|すいしゅとうろうけん|Shuāishǒu Tánglángquán|シュワイショウ タンランチュエン
摔跤(投げ技)を強化した螳螂拳。特徴的なフック状の手形と組技の融合が見られる。 - 光板螳螂拳|こうはんとうろうけん|Guāngbǎn Tánglángquán|グアンバン タンランチュエン
螳螂拳中でも最も素早い発勁と瞬発力を持つ系統。動作の簡素化により実用性を増した。
6. 北派長拳系(通背拳・翻子拳・査拳・華拳など)
北派武術の核となる体系群で、長い手足の伸び、俊敏な歩法、跳躍技が特徴。
- 査拳|さけん|Zhāquán|ジャーチュエン
唐代将軍査尚義の名を冠すると伝わる長拳系の基礎拳術。華北を中心に広く伝わる代表的長拳。 - 華拳|かけん|Huáquán|ホアチュエン
“華のように美しい拳”とされ、滑らかな身法と大きな円運動を特徴とする北派の名門拳。 - 通背拳|つうはいけん|Tōngbèi quán|トンベイチュエン
“力が背を通る”という名の通り、背中を使った全身発力が特徴。猿の身法に由来するという説もある。 - 祁家通背拳|きけつうはいけん|Qíjiā Tōngbèi quán|チージャー トンベイチュエン
祁氏一族に伝わる通背拳。武術史上もっとも体系化された通背拳の一つとして知られる。 - 翻子拳|ほんしけん|Fānziquán|ファンズーチュエン
素早い連打と転身を特徴とする北派拳。少林と密接な関連があるとされる。 - 劈挂拳|ひこうけん|Pīguàquán|ピーグアチュエン
大きな振りと遠心力を利用した強力な腕法が特徴。翻子拳と併修されることが多い。 - 迷踪拳|めいそうけん|Mízōngquán|ミゾンチュエン
李錦臣が広めたとされる“迷いの拳”。複雑なステップ・倒転身で相手を惑わす独特の武術。 - 節拳|せっけん|Jiéquán|ジエチュエン
節(関節)を使った強烈な震撃を放つ拳。質実剛健で北方らしい攻防を持つ。 - 紅拳|こうけん|Hóngquán|ホンチュエン
紅流の長拳として知られ、明代軍事武芸の影響を強く受けた実戦性の高い拳術。
7. 宗教・神話モチーフ拳法(仏教・道教・伝説を由来とする拳術)
仏門・道家・神話の人物や概念を名称に持つ拳法群。精神性と象意を重視するものが多く、套路名称にも物語性がある。
- 羅漢拳|らかんけん|Luóhànquán|ルオハンチュエン
仏門の守護者・羅漢の威容を体現する少林由来の伝統拳。剛柔併備で種類も多い。 - 羅漢十八手|らかんじゅうはって|Luóhàn Shíbāshǒu|ルオハン シーバーショウ
羅漢拳の核心を成す十八の技法体系。少林武術の基礎とされる。 - 金剛拳|こんごうけん|Jīngāngquán|ジンガンチュエン
金剛力士を象徴した剛健な拳法。強力な打撃と馬歩の安定が特徴。 - 夜叉拳|やしゃけん|Yèchāquán|イエチャーチュエン
夜叉の荒々しい性質を模した拳。大きな動作と突進力を持つ攻撃的な套路が多い。 - 八仙拳|はっせんけん|Bāxiānquán|バーシェンチュエン
道教の八仙(八人の仙人)を象徴する拳で、八種類の異なる動作・性質を組み合わせて構成される。 - 達摩拳|だるまけん|Dámóquán|ダーモーチュエン
少林寺の始祖とされる達摩を象徴。禅の呼吸法と強力な当撃を融合させた拳。 - 太祖拳|たいそけん|Tàizǔquán|タイズーチュエン
宋太祖 趙匡胤に由来する伝統拳。基礎拳として多くの流派に影響を与えた。 - 三皇炮捶|さんこうほうすい|Sānhuáng Pàochuí|サンホアン パオチュイ
三皇(伏羲・神農・黄帝)を称した豪快な拳。爆発的な“炮捶(砲のような打ち)”で知られる。 - 玄女拳|げんじょけん|Xuánnǚquán|シュエンニュー チュエン
玄女神に由来する拳法。女性的な柔身法と鋭い攻撃を併せ持つ独特な体系。 - 峨嵋拳(峨眉派武術)|がびけん|Éméiquán|エーメイチュエン
四川省・峨眉山を源流とする宗教系武術。仏教・道教思想を背景に、柔らかい身法と鋭い指法を併せ持つ。少林の剛・武当の柔の中間に位置づく総合武術体系。

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