狸の化寺
村人 | お庄屋はん、お庄屋はん |
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庄屋 | お、なんじゃいな |
村人 | いま、黒鍬の連中さんがお着きになられましてな |
庄屋 | えっ、黒鍬のみなさんがもう着いた?いやいや、近いうちに寄せてもらう、という手紙をさいぜんもろたところやがな。思たよりはやいこと着いたんやな |
村人 | へえ、とりあえず大勢さんでな、井戸端へ案内したら、足洗う人がいてる、裸んなって背中流してる人がいてる、まぁ、水飲んだりして休んでもろてまんねんけどね、中にひとり、一番えらい人、頭(かしら)ですわ、頭さんいいますねんけどね、ごっついカラダでっせ、六尺からあろうかっちゅう、大きなからだですわ、からだ一面彫りモンぶわーっと入れてまんねやがな、ぱっと見たかて、そんなもん、人間のからだに見えまへんで |
庄屋 | ほう、何に見える? |
村人 | わたい、じーっと見てたら、上等のお仏壇か、岸和田のだんじりかいなと思いましたなぁ |
庄屋 | えらいからだやな |
村人 | えぇ、その人が、ぜひともお庄屋はんにご挨拶したい、とこない言うてはりますんで |
庄屋 | ああ、そうか。ではこっち通っていただいて・・・ああ、あんたかな、ご苦労さん、どうぞ、こっちへ入っておくれ |
頭 | これはこれは、お庄屋はんでございますか、わたいは、黒鍬の束ねをしております、火の玉の両五郎という人間で、以後お見知りおきを置かれまして、よろしゅうお願い申します。 |
庄屋 | これはこれは、ご丁寧な挨拶、ありがとうさんでございます。話は聞いてもろうとると思うけどな、実は、この間の大雨でな、うちの村の隣を流れとる狐川の堤が切れましてな、田圃やら畑やら、水浸しになってしもうてな。いちおう傷口は村のもんで手当しておいた。しかし、どんな大雨、どんな嵐が来るやわからん。こんど堤が切れたら、もう村がビチョビチョになってしまうで、早いとこ直してもらいたい思うて |
頭 | へぃ、その話、聞いておりましたんでな、こっちへ来るとき覗いて参りました。ここやなぁ、思いまして、えぇ、あんなもん、土さらえて手当したら、十日もいらしまへん。ただ、雨が降って伸びたりしたらあれですので、半月ほどみといてもらえまっか |
庄屋 | ああ、仕事の段取りはあんたに任せますよって。で、何人で来てもろうとりますか? |
頭 | 私をいれまして、二十三人で |
庄屋 | へぇ、頭をいれて二十三人! おおぜいさんじゃな、とりあえず仕事は明日からかかってもらうとしてじゃな、それだけ皆さんで泊まってもらうとしてじゃな、こういう田舎のこととて、大きな宿屋というようなものが無いんや。悪いんやけど、あっちへ三人、あっちへ四人と、分宿、分かれて泊まってもらえますか? |
頭 | ああ、さよか……できたら二十三人いっぺんに泊まりとおまんねんけどね |
庄屋 | いや、そういう大きな宿屋というものがないので |
頭 | と言いますのはね、気の荒い連中でっさかいな、酒呑んで暴れたりして、村の人に迷惑かけたらかなわんので。いやいや、そんな宿屋でな、どこでも結構、お寺はおまへんか? お寺 |
庄屋 | 寺・・・?寺は、あることはある。しかし、泊まってもらえんのじゃ。というのはな、ここ四、五年はな、住職がおらん、無住のままじゃ。村のもんも守りを怠ってな、荒れ果ててしもてるんじゃ。このごろ妙な噂が立ってるんじゃ、あの寺からバケモノが出る、幽霊が出るちゅうて、化け寺じゃ、化け寺じゃ言うて、怖がって誰も寄り付かん。たまに腕に自信のある、剣術の修行してるやつが「退治してやる」言うて何人かは中へ入っていって行った。しかし、出てくるのを見たものがおらん。そんな恐ろしいところじゃ。とても泊まってもらうわけにはいかん。 |
頭 | あ、さよか……ぜひとも!そこに泊めてもらいましょか |
庄屋 | あんたも変わってるな。なにもそんなところに泊まらんかて |
頭 | いや、他のことやったら構わしまへんけども、化け寺と聞いて後へ退くわけにいきまへんがな!わたいらも黒鍬ちゅう看板であっちこっち仕事してまんねんがな。そんなんで怯えて下がったてなことになったら、仕事できんようになってしまいます。たってそこへ泊めてもらいましょう。うちらの若い連中、ごっついやつらばっかりだ、そのバケモン、そら退治することはできんかもしれまへん、でも、「なんや、こいつかい」ちゅうて、なんか掴めるかもしれまへん! |
庄屋 | や、ああ、そうか、そうしてもらえたら、村のもんも喜ぶわ・・・聞いてたやろ、黒鍬の連中さん、あの寺に泊まって、なんか見つけてやる言うてなはる。ありがたいこっちゃがな。数だけ十分に用意して、水やな、足らんてなことではあかんで、醤油やなんかも、布団も数だけ用意して。 |
頭 | 布団てなもん、いりまへんがな |
庄屋 | いやいや、数だけあるさかいに。枕も用意して |
頭 | 枕てなもん、いらしまへんがな!うちらの若い連中、丸太一本びゃーっと倒しといたら、それを枕に寝てしまいまんがな!起こすときは、丸太の切り口を足でボーンと蹴ったらぱっと起きよりまんがな! |
庄屋 | そんな手荒いことせんかて・・・とりあえず、数あるで、みな手分けして、村の衆で持っていくのやで |
頭 | こっちで持って行きますがな |
庄屋 | いやいや、案内がてら、案内がてらやがな。みな、行くで、黒鍬の連中さんを、お寺にお連れ、お連れー・・・。 |
村人 | こっち来とくなはれ、こっち来とくなはれ、あの上にぽつんと丘がおますやろ、あの上ですさかいに。みなさん、ついてきておくなはれや、だんだん暗ろうなってきてますさかいにな、ほら、だんだん近づいてきた・・・。 |
村人 | あの、私ね、この山門から中へ、入ったことがおまへんので、私、ここで失礼させてもらいます |
頭 | あぁ、わかりました。明日から仕事にかかりますで、お庄屋さんによろしゅう。 おう、みな、中へはいれ! ほんに、荒れ果ててるな、しかし、これは立派なお寺やで。昔はそこそこ由緒あったんと違うか?境内なんか荒れ果てて、草が伸び放題やな。ここに半月ほど住まわせてもらうねん。同じことなら、きれいに住みたいわい。おい、まず境内の掃除にかかろう。みな、鎌出したか?ほんなら、境内の草刈り、始め、始めーっ |
ザクーッ、ザクーッ、ザクーッと、二十二人が、頭の命令できれいに掃除してしまいよった。
若い衆 | 頭、頭 |
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頭 | なんじゃぃ |
若い衆 | 頭、この寺、やっぱ、なんやおかしおまっせ |
頭 | おかしいんかい? |
若い衆 | おかしい。わたしら、みなで、草刈ってましたやろ、草の間から、これ、ふ、糞が、出てきてまんがな。これ、ムジナとかタヌキとか、そういうもんの、糞でんがな・・・わたいら、ほんま、くさかった |
頭 | お前、なにをしょもないこと言うてんねん!それよりも、井戸見てこい、井戸!いちばん水が大事やないかい、井戸はどないなってんねん! |
若い衆 | 井戸、か、頭、あきしまへん、枯れ草やら落ち葉やら落ちてしもうて、こんなもん、飲まれしまへん! |
頭 | ほんならな、井戸の水を汲んでは捨て、汲んでは捨てすんねん、そうしたら、新しい水が湧いて出てきよんねん。井戸の水をかい出せ、かい出せっ |
さあ、がらがらがら、と井戸の水をば汲んでは捨て、汲んでは捨てしておりますと、だんだんと新しい水がぐわーっと湧いて出て来た
若い衆 | 頭、見ておくなはれ、井戸の水、透き通ってきた、これでよろしゃろ |
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頭 | あぁ、これでいいど |
若い衆 | 何を言うてなはる!頭かて言うてなはる |
頭 | ああ、移った |
若い衆 | そんなもん、移りまっかいな |
頭 | 次は本堂の掃除にかかれーっ |
ガラガラガラ、ガラガラガラっと雨戸を開けます、道具を外へ放り出します、阿弥陀さんをいったん外へ出しますと、二十二人が一斉に拭き掃除。またたくうちに、床が光り出します。またぞろ、阿弥陀さんをもとへ収めます、道具を片づけて、雨戸をガラガラガラガラ
若い衆 | 頭、見ておくなはれ、本堂、きれいになりましたやろ |
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頭 | ほんどうやな |
若い衆 | いや、もうよろしわ。それより、次、どうしたらよろしい? |
頭 | せっかく井戸きれいにしたんやから、風呂沸かそう、風呂をな。半分は風呂入れ、そして半分は飯食え。そのあと、風呂入った奴は飯食え、飯食うたやつは風呂入れ、そして、寝えぇっ |
と、えらい勢いでごさいます。頭の一声でぱっぱっぱっと動きます。
頭 | よっしゃ、明日は早いさかいに、今日はお疲れさん、早いことねてくれ |
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親方、おやすみ、親方、お休み・・・と寝てしまいます。頭はひとりは行灯を手元に引き寄せまして、キセルを片手にひとり起きております。
米 | 頭、あんた、寝られしまへんのか? |
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頭 | わしは、夜通し起きてる |
米 | な、なんでまた |
頭 | お庄屋はんがあんなこと言うてた。化け物が出る、魔物が出るって。そんなもん、出やへん。幽霊の正体見たり、枯尾花・・・しかし、万が一、ひょっと何ぞ出よったら、こらえらいこっちゃ。やから、わしは寝ずの番してる。そのかわり、何ぞ出よったら、すぐ起こしたるよって、お前ら安心して寝たらええ。 |
米 | さよか・・・ほたら、頭、えらいすまんけど、寝させてもらいます |
頭 | ああ、心配せんでええ。ゆっくりおやすみ |
米 | エラいなぁ・・・やっぱり違うなぁ・・・やっぱり人の上に立つ人は違うなぁ |
辰 | ・・・お前、なに感心してんねん |
米 | 頭や、立派なもんや。頭かておれらと同じだけ動いてはんねん、疲れてはんねん。せやけど、「ひょっとなんぞ出たらいかんので、わしが寝ずの番してる。何かあったらじき起こすさかい、お前ら、安心して寝ぇ」やっぱり、人の上に立つ人は違うな・・・ |
辰 | あほ・・・ぼけ・・・かす・・・ |
米 | なんでそないボロクソに言われなあかんねん |
辰 | そんなこと言うてるから、お前はいつまでも人の下で働かなあかんねん。お前、頭のハラの中を読めてないんかい |
米 | 頭のハラの中って、なんや |
辰 | そうやないか。ひょっとここへ化け物が出るとするわな。寝てるもんと、起きてるもんと、どっち、喰いよい? |
米 | ・・・そら、起きてたら手向かいのひとつもするさかい、寝てる方が喰いよいわな |
辰 | そやろ?わいらが喰われてるうちに、頭逃げるハラやがな・・・わし、ちゃんと読めたるがな |
米 | ・・・こら起きとかな損やな |
辰 | 当たり前やないかい。言うて、代わってもらえ、代わってもらえ |
米 | 頭・・・ |
頭 | なんや、まだ寝てないんかい |
米 | いや、寝ようと思うたんですけど、そないして、頭ひとりが起きてはったら、わたい、気になって寝られしまへんねん。あの、わたい、起きてますさかい、どうぞ、頭、寝ておくんなはれ |
頭 | いや、わしが夜通し起きとってやる。なんかあったら起こすさかい、寝たらええ |
米 | ・・・いや、寝たらええって言わはりますけどね、わたし、き、気ぃ使うて、寝られしまへんので、どうぞ、頭、寝ておくなはれ |
頭 | そうか。こんなもん、大勢で起きてても仕方ない。よし、ほんなら寝かしてもらう。何かあったらじき起こせ! |
米 | へい、なんかあったらじき起こしますさかい、どうぞ、寝ておくんなはれ |
頭 | そうか、なんかあったらじき起こせよ!ぐぉぉぉぉ |
米 | ・・・・・・おい、頭、気持ちよう、寝てしまわはったぞ |
辰 | ・・・すると、そういうつもりやなかったんかな? |
米 | なにを言うてんねん!嫌やで、おれ、夜通し起きてんの、嫌やで! |
辰 | もういっぺん言うて、代わってもろうたら? |
米 | ようそんなこと言うなぁ! 頭、すんまへん、頭 |
頭 | ・・・なんや、いま、気持ち良う寝かけたところやないかい |
米 | すんまへん、頭がそうやって、気持ち良う寝はったら、わたいもついつられて、寝てしまいそうになりますので、すんまへん、やっぱり、代わってもらわれしまへんやろうか |
頭 | 情けないやっちゃな、情けない。まあええわい、寝たらええ。起きとってやるさかいに、心配せんと、寝たらええ |
米 | すんまへん、おおきに |
と、みな寝てしまいました。
頭が、行灯のそばで、キセルを持ちながら、ひとり起きております。
次第々々に夜が更けて参ります。
昼間の疲れが出たものと見えまして、つい、ウトウト、ウトウトといたしました。ちょっと眠りが深くなったと思うと、阿弥陀さんの横から、青い陰火がポッと出ると、現れたのが、年の頃なら十七、八のきれいな女の子でございます。絣の着物、手甲脚絆、頭は手ぬぐいで姉さんかぶり。手には花かごを持ちまして、どっから見てもシノブ売りという格好で・・・
女 | 頭さん! おーい、おーい |
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踊りながら頭のそばへ来たと思うと、大きな目を見開きよって、大きな声で
女 | 頭さーん、噛もか、噛もか! |
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頭 | おい、おい、みんな、起きぃ!起きぃ! 出よった、出よった!灯り灯せ、灯り灯せ! |
米 | 出よった、出よった |
辰 | 出ましたかっ! |
頭 | 出よった、なんや知らんけど、黒いモンがダッと、阿弥陀さんの向こうへ入りよった!灯りあてて、見てみぃ!なんかあるやろ! |
米 | へぇ、ちょっと待っとくなはれや、見てみますで・・・なんもおまへんで? |
頭 | そんなこと、あるかい!確かに今、その後ろに入りよった!そっちから見てみい! |
米 | 待っとくなはれ・・・な、何もいてまへん |
頭 | そんなこと、あるかい!黒いモンがバァッとそこの後ろへ入りよったんや |
米 | ・・・頭、お、おかしい・・・ |
頭 | おかしい? |
米 | おかしい!わたいら、本堂掃除してたときに、阿弥陀はん運びましたやろ?あの時、阿弥陀はん、三体しかおまへんでした。いま見てみなはれ、四体になってますやろ!?・・・・・・いったい、どないしてん |
頭 | しょムないこと言うな!これに化けよったんや! |
米 | うまいこと化けよったなぁ |
辰 | どれがホンマモンの阿弥陀はんやら、魔物の阿弥陀版やらわからへん・・・ |
頭 | おい、かんてきもってこい!枯れ草やら松葉やら燃やして、煙で燻り出してやんねん!辰ッ、このかんてきもって、右の阿弥陀はんの前へいけ、米ッ、後ろからかんてき扇げッ! |
辰 | わ、わ、わて、こ、このかんてき、あ、阿弥陀はんの顔の下へ、も、持っていくんでっかぁ?? |
頭 | そうや |
辰 | 米が後ろから扇ぐんでっしゃろ・・・わい、一番前にいてまんねんで・・・ほんまもんの阿弥陀はんやったらよろしいけど、ば、バケモンの阿弥陀はんやったら・・・「なにさらすねん、このガキャぁ、いてもたろか」と、思いまへんか? |
頭 | そら、思うやろ |
辰 | わたい、一番前にいてまんねんで・・・わたい、一番先にガバッといかれまっせ・・・ |
頭 | そや |
辰 | そ、そや、て!そ、そ、そらあかん! |
頭 | 何を言うてんねん、わいらがついんねんから、ビビらんと行け! |
辰 | 分かりました、行きます・・・行きますけど、米、しっかり扇げ・・・そのかわり危なかったら、危ないって、すぐ言えよ、「あかんっ」て言うてくれたら、ぱっと頭下げるから、お前、顔出せ |
頭 | 早う行け! |
辰 | い、行きますがな・・・言うてや、さ、最初の行くで・・・米、扇げ! |
米 | あ、あ、扇ぐど・・・(バタバタバタ)ど、どんな具合や、言うてくれ! |
辰 | ・・・なんともない、なんともない |
頭 | よし、次の阿弥陀はん行け! |
辰 | 頼むで、ほんまに・・・かんてきの宿替えや |
米 | 行くで・・・顔めがけて (バタバタバタ) ど、どないなってんねん! |
辰 | ・・・なんでもない |
頭 | よし、次行け |
辰 | ・・・扇いでくれ |
米 | (バタバタバタ) どんな具合や? |
辰 | ・・・なんでもない |
頭 | よし、次行け |
辰 | もう次行かんでええんとちゃいまっか!?もう次のに決まってまんがな!!えぇ?ちゃいまっか!? |
頭 | あほ、ひょっとしたら頭から四体あったかもしれへんやないかい!見とったるさかい、いけ! |
辰 | た、た、た、頼ンまっせ!頼ンまっせ! 扇げ! |
米 | (バタバタバタ) どんな具合や? (バタバタバタ) どんな具合や? |
辰 | こ、この阿弥陀はん、眼ぇパチパチさせとんど・・・おぉ、涙出てきた、ハナ垂れどんど |
米 | はは、おもろい |
辰 | おもろいことあるかい! |
一番最後の阿弥陀さんが、鼻へ煙が来たもんですから、おおきなクシャミを「ハークショーン!」とした途端に正体が現れました。大きなタヌキでございます。これをみんながエモノを持ちまして、ブワァーッと追い掛け回した。本堂の真ん中の柱を見つけますと、このタヌキが天井へビャーッと駆け上がりよった。この天井の四隅には欄間がありまして、そこに天女が何十と彫ってあります。
辰 | おっ、この天女に化けよった・・・こんな仰山彫ってある・・・いったいどれが本物の天女やら、タヌキが化けた天女やら・・・こんなもん、分からへんで・・・ |
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ところがよく見ておりますと、ひとりの天女が横目つこてるやつがいる。
頭 | これや、これや! 横目つことる、これに間違いない!棒持って来い! |
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長い棒をば持ちまして、横目つことる天女を、バーンッ、と突きますと、今まで四隅の欄間に彫ってありました何十という天女がいっせいに、天井へ向けて、ウャーッと流れて行きました。天井一面、天女の舞というやつでして。
辰 | じーっと止まっててさえ、よう分からんかったのに、こないに動かれたんでは、どれがタヌキの天女やら分からんな |
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頭 | シーッ、なんか聞こえる、なんか聞こえる、黙って聞いてみぃ |
耳を澄まして聞いてみますと、ひとりの天女が・・・「金が擦れる・・・金が擦れる・・・」
引用元:「東西落語特選」
http://www.niji.or.jp/home/dingo/rakugo2/
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