『異次元・異世界へ行った話 – 6』全10回|異世界系の本当にあった怖い話

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『異次元・異世界へ行った話 - 6』全10回|異世界系の本当にあった怖い話 オカルト
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電車に乗って変な場所に行った

話の発端は、三年前になる。

初夏が過ぎた頃、俺は電車で大学から帰路についていた。
地元はテンプレ通りのど田舎で、家に近付く程に人が少なくなってくる。
電車内はクーラーが効いていて、心地よい涼しさだった。
俺は最近の疲れもあり、静けさと、心地よい涼しさ、小刻みに揺れる車内に、寝てしまった。

習慣とは不思議なもので、
意識が殆どない状態でも、普段やってる事を体がセミオートでやってくれる。
その時も、勝手に乗り換えを身体がしてくれた。

そして、目が覚めた。

ここまで“習慣”が半分、手伝ってくれる。
普段ならここで、地元の駅に到着してる筈だったんだよ。
半分寝たまま電車を下りると、
全く知らない駅に降りた。

駅名は「牛身山」駅だったと思う。
読み方は「うしみ」とかじゃなくて、難しい読み方だった。
次の駅はなくて、前の駅は「東なんたら」だった。
すまん、これはうろ覚えだ。
書いてて気付いたんだけど、電車は次の駅の方面に向かって行った。
まぁ、線路はあったから向こう側もあるんだろうけど…。

聞いてたらおかしいと思うだろうけど、意外にも冷静だった。
駅から出ずに、駅内を歩いた。
駅員はおらず、無人駅…。

周囲は、ド田舎を、更に田舎にした感じだと思ってくれていい。
顔を上げれば、薄暗い空に星がポツポツと光っている。
目の前には大きな山が、二つ。
人工物のような音はしない。

そして、取り出した携帯も圏外。
これは、田舎の奴からすれば仕方ないとは思ってたし、慣れてたから違和感はなかった。

この駅、時刻表が存在しない。

三十分程待つも、駅に電車が来る気配も、人が現れる気配もない。
周囲は薄暗くなり始めると、次第に飽きてきた。
不思議な話、全く怖くない。
探検気分で駅を飛び出した。

切符も何も持ってないから、線路に降りて、そのまま駅を出た。

なんと!異世界とな!
ちなみに日本のどこの地域なん?

大阪の南の方だよ。
駅とか言っても大丈夫だよな?

探検気分でブラブラするけど、周囲には何もない。
廃れた店や建物はあるけど、それ以外には、特に変わったものもない。
沖縄に行った時に、こんな景色見たなー。とか思ってた。

数十分歩いて、気付いた。
「完全に迷子だ…。」
だからって危機感は薄かった。
とりあえず寝る場所を探せば大丈夫だろうって考えてたから。

キセル?それとも切符無くした?どっち?

すまん、キセルだ。

近くに道はあった?
あるならどれぐらいの規模の道がある?

道はあったぞ。
そこまで大きくない。

ここで最初の異変に気付く。

空は暗くなるにつれ、遠くに灯りが見え始めた。多分、提灯?なんだと思うんだけど…。
数が増えてるだけじゃなくて、こっちに向かって来てる(気がしてた)

まぁ、流石に俺もこれはヤバいんじゃないかと思いはじめた。宗教でも、それ以外でもな。

3年前話なのによく細かく覚えてるな

割と覚えてるぞ?
人に結構、話したからな。

暗くなる空、人はいない。
近づいて来る灯りの群れ…。
そして、聞こえてくるよくわからない歌と太鼓の音。

流石に怖くなった。

携帯のカメラのライトを点灯させて、走り出した。
実は数枚、写真を撮ったんだよ。
ちゃんと綺麗に撮った。
ありきたりな話で悪いけど、写真は逆光?みたいな感じで、真っ白だった。

走って、駅に戻ってくる頃には完全に夜になってた。
駅をウロウロしてると、
「何してるんや?」
と訛った方言で、声を掛けられた。
イントネーション的には、岡山弁に近いと思う。

俺はライトを照らすと、その人は右手で顔を光から隠した。
見た目は五十代ぐらいの年配の男性で、大工さんが着るような羽織るヤツを着てた。
首にタオルを巻いて、手には提灯持ってる。

「お前、どうやって来た?」

「○○からです。地元は○○です。」

「そう言う事じゃない。何で来たんだ?」

「…? 電車です。」

「色は?」

「みてません。」

「…。」

こんなやり取りをしてた。
もっと質問してきてたと思うんだけど、ここら辺は忘れた。

「ここ、どこなんですか? タクシーを呼びたいので、よければ電話を貸して欲しいのですが?」

「お前、帰りたいか?」

「えぇ、まぁ…?」

「なら、ついて来い。」

「あのー。」

「歩きながら話す。早くしないと、帰れなくなるぞ?」

それを聞いて、既に歩き始めてるおっさんの横まで走った。
色々と話したけど、おっさんは俺の質問には殆ど答えない。
この場所の事も、最低限しか教えてくれなかった。

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